決裁権を見誤ると起きる問題
裁者を早い段階で把握できていないと、次のような問題が起きやすくなります。
・決裁権のない担当者とだけ話を進めてしまい、終盤で振り出しに戻る:
提案内容への評価が高くても、決裁者への説明・説得が商談の最終段階で必要になり、そこで時間を失ったり、決裁者の意向で覆ったりすることがあります。
・提案内容や資料が、決裁者の判断基準に合っていない:
現場担当者向けの機能説明に終始し、決裁者が重視するコスト対効果や経営インパクトの説明が不足してしまうケースです。
・ マーケティングが届けるコンテンツが、決裁権を持つ層に届いていない:
役職・職種によって決裁権を持つ割合が異なるため、ターゲティングやコンテンツ設計の前提として、決裁権の分布を踏まえておくと精度が上がります。
自社データで決裁権の分布を確認する
こうした問題を避けるには、感覚ではなく実態に基づいて「誰が決裁権を持ちやすいか」を把握しておくことが欠かせません。
ここから、ネオマーケティングが実施した「BtoB営業の社内稟議・承認プロセス実態調査2026」(2026年8月17日〜18日、直近1年以内にBtoB商材導入の社内稟議に承認・提案・情報収集のいずれかの立場で関与した国内企業勤務者540名〈ビジネスモデル別の内訳はBtoB事業者499名・BtoG事業者41名〉を対象に実施)の個票データを独自に再分析した結果を紹介します。
この分析は、調査の公開ページおよび関連記事のいずれでも扱っていない新しい切り口です。
なお調査全体では、直近1年以内に「承認する立場」で稟議に関与した人物(以下、この割合を「決裁権保有率」と呼びます)は540名中40.2%でした。残りは「提案する立場」(45.9%)または「情報収集する立場」(40.9%、一部回答者は複数の立場を経験)での関与です。この40.2%という全体値を基準に、役職・職種・企業規模別の違いを見ていきます。
【独自データ】役職が上がるほど決裁権を持つ割合も上がる
まず役職別の決裁権保有率を見ると、役職が上がるにつれてほぼ一直線に上昇する、明確な傾向が確認できました。

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役職
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サンプル数
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決裁権保有率
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社長・経営者
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59
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96.6%
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取締役・役員クラス
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44
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63.6%
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部長・マネージャークラス
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140
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57.1%
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課長クラス
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111
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23.4%
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係長・主任クラス
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92
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18.5%
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一般社員
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91
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9.9%
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社長・経営者クラスでは96.6%とほぼ全員が決裁権を持つ立場で稟議に関与しているのに対し、課長クラスで23.4%、一般社員では9.9%まで下がります。
特に「部長・マネージャークラス(57.1%)」と「課長クラス(23.4%)」の間で30ポイント以上の差があり、この間に決裁権の有無が大きく分かれる境界線があることがうかがえます。
(出典:BtoB営業の社内稟議・承認プロセス実態調査2026の個票データより、n=540)
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商談への活用例 商談相手の役職が「部長・マネージャークラス」以上であれば、半数以上の確率で決裁権を持つ立場にあると見込めます。逆に「課長クラス」以下の場合は、決裁者が別にいる可能性が高いと考え、早い段階で「このお話は最終的にどなたが判断されますか」といった確認を行うとよいでしょう。
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なお、この分析は当社が実施した調査の個票データを独自に集計したものであり、役職と決裁権の関係を完全に一般化できるものではありません。業界・企業文化・決裁フローの設計など他の要因によって、同じ役職でも決裁権の有無が異なる場合があります。
【独自データ】職種によっても決裁権保有率は大きく異なる
役職だけでなく、職種によっても決裁権保有率には差があります。16の職種を5つのグループに分けて比較すると、次のような結果になりました。

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職種グループ
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サンプル数
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決裁権保有率
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経営層
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86
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88.4%
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管理部門系(経営・事業企画/情報システム・IT/総務・人事・経理)
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176
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44.9%
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生産品質購買保守系(生産管理/品質管理/購買調達/保守メンテナンス)
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74
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27.0%
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開発技術系(新規事業開発/商品開発/研究開発/設計エンジニアリング)
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69
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23.2%
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営業マーケ広報系(営業/マーケティング/広報)
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129
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19.4%
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経営層を除くと、管理部門系(経営企画・情報システム・IT・総務人事経理)が44.9%と最も決裁権保有率が高く、営業・マーケティング・広報といった顧客対応系の職種は19.4%と最も低くなりました。
これは、BtoB商材(特にITシステム・SaaSや業務改善ツールなど)の導入検討において、管理部門が稟議の起案・承認に関わる機会が多いことが背景にあると考えられます。
(出典:同調査の個票データをもとに算出、n=540)
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商談への活用例 名刺交換や自己紹介で相手の職種が「経営企画」「情報システム・IT」「総務・人事・経理」と分かった場合は、決裁権を持つ可能性をやや高めに見積もれます。一方で「営業」「マーケティング」「広報」が相手の場合は、決裁者が別にいる前提でヒアリングを進めるのが安全です。
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営業・マーケティング部門が接点を持つ相手が「営業」や「マーケティング」の肩書きであっても、決裁権を持つ可能性は比較的低いという点は、商談設計のうえで意識しておきたいポイントです。
社内での担当者の見極め方・アプローチの工夫については「インサイドセールスのKPI項目と効果的な設定方法とは?」でも触れています。
【独自データ】企業の売上規模と決裁権の関係
企業の年間売上高別に見ると、役職・職種ほど明確ではないものの、ゆるやかな傾向が見られました。

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年間売上高
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サンプル数
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決裁権保有率
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10億円未満
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158
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48.1%
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10億〜100億円未満
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153
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36.6%
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100億〜500億円未満
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86
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39.5%
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500億円以上
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126
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34.1%
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売上高10億円未満の企業では48.1%と高く、企業規模が大きくなるほど緩やかに下がる傾向が見られます(ただし100〜500億円未満の層でわずかに上昇するなど、役職・職種ほどきれいな単調傾向ではありません)。
企業規模が小さいほど、回答者自身が経営層や管理部門を兼任しているケースが多いことが背景の一つにあると推測されます。中小規模の企業では「担当者=決裁者」である可能性を想定し、スピード感のある提案を進めやすくなります。
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商談への活用例 売上高10億円未満の企業が相手であれば、担当者自身が決裁権を持つ可能性を高めに見積もり、スピーディーな提案・クロージングを意識します。企業規模が大きくなるほど、担当者の上位者や管理部門への説明機会をあらかじめ想定したスケジュール設計が有効です。
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(参考)稟議の対象によって金額・期間の傾向も変わる
決裁者の見極めとあわせて押さえておきたいのが、稟議の対象(商材カテゴリ)によって契約金額・承認までの期間の傾向が異なるという点です。
同調査の個票データで、直近の稟議対象(10カテゴリ)別に、契約金額が1,000万円以上だった割合、承認までに1か月以上かかった割合を集計しました。

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稟議対象
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契約金額1,000万円以上の割合
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承認まで1か月以上の割合
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ITシステム・SaaS(n=92)
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40.2%
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43.5%
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設備投資(n=94)
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28.7%
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24.5%
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コンサルティング(n=27)
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29.6%
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33.3%
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生成AI関連サービス(n=72)
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22.2%
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31.9%
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市場調査・顧客調査(n=37)
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21.6%
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32.4%
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人材採用・人材サービス(n=51)
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19.6%
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35.3%
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業務改善ツール(n=77)
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15.6%
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31.2%
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広告・マーケティング施策(n=38)
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15.8%
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31.6%
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研修・教育サービス(n=29)
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10.3%
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37.9%
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ITシステム・SaaSは契約金額・承認期間のいずれも9カテゴリ中で最も高く、特に入念な見極めとスケジュール設計が必要な領域といえます。他方、研修・教育サービスや業務改善ツールは比較的金額・期間ともに小さく、決裁のハードルも低めである傾向がうかがえます。
決裁者を見極める具体的な質問・進め方
決裁権の有無を直接的に尋ねると不自然になりやすいため、次のような進め方が実践的です。
1.役職・部門から見当をつける:
前述のデータを参考に、商談相手の役職・部門から「決裁権を持つ可能性が高いか」をあらかじめ見積もっておきます。
部長・マネージャークラス以上、または管理部門系の職種であれば決裁権を持つ可能性が比較的高いと想定できます。
2.決裁のプロセスを尋ねる:
「このお話は、最終的にはどなたが判断される形になりますか」「社内の決裁は、どのような流れで進むご予定ですか」といった聞き方で、決裁者本人を特定せずに、決裁プロセス全体を確認します。
3.キーマンの存在を確認する:
決裁者本人だけでなく、情報システム部門や現場の推進担当者など、決裁に影響を与えるキーマンの存在も合わせて確認し、提案の説明相手を漏れなく洗い出します。
4.決裁者向けの説明機会を早めに設定する:
決裁者が別にいることが分かった場合は、商談の終盤ではなく早い段階で、決裁者向けの説明機会(同席・個別説明等)を提案します。
質問の切り口をもう少し詳しく知りたい場合は、お問い合わせフォームからご相談いただければ、商材・業界に合わせたヒアリング項目の設計についてもご案内できます。
決裁権の見極めでよくある失敗
・担当者の反応の良さだけで確度を判断してしまう:
担当者が前向きでも、決裁者の判断基準が別にある場合、終盤で評価が覆ることがあります。担当者の温度感と決裁者の判断は別軸で確認します。
・決裁者の存在に気づくのが商談の終盤になってしまう:
決裁プロセスの確認を後回しにすると、決裁者への説明が土俵際で必要になり、スケジュールが大きくずれ込みます。商談の早い段階で決裁プロセスを確認する質問を組み込んでおきます。
・肩書きだけで決裁権の有無を判断してしまう:
前述のデータのとおり、同じ役職でも決裁権保有率は100%ではありません。肩書きはあくまで目安とし、実際の決裁プロセスは個別に確認します。
・決裁者向けの資料と、現場担当者向けの資料を分けていない:
決裁者はコスト対効果や経営インパクトを重視する傾向があるため、現場向けの機能説明だけでは判断材料が不足しがちです。
決裁権を踏まえた営業・マーケティングの進め方のポイント
1.商談の初期段階でAuthorityを確認する質問を必ず組み込む:
BANTの他の3項目(Budget・Need・Timeline)と同じタイミングで、決裁プロセスの確認を標準の商談フローに入れておきます。
2.決裁者層に届くコンテンツを用意する:
役職・職種によって決裁権保有率が異なることを踏まえ、経営層・管理部門向けにはコスト対効果や導入実績を重視したコンテンツ、現場層向けには機能・使い勝手を重視したコンテンツを分けて用意します。
3.インサイドセールスでの一次ヒアリングに決裁プロセスの確認を含める:
架電・メールの早い段階で決裁プロセスを確認しておくことで、フィールドセールスへの引き継ぎ後の手戻りを減らせます。
4.決裁者が別にいる場合の商談設計をあらかじめ用意しておく:
決裁者向けの説明資料や同席依頼の進め方をパターン化しておくと、都度の対応に迷わず動けます。
よくある質問
決裁権と決裁者の違いは何ですか?
決裁権は「最終的な決定権限そのもの」、決裁者は「その権限を持つ人物」を指します。
決裁権=権限、決裁者=権限を持つ人、という関係です。商談では「誰が決裁者か(決裁権を持つ人物は誰か)」を確認することが実務上のポイントになります。
決裁者とキーマンは同じ人物ですか?
必ずしも同じではありません。決裁者は最終的な決定権限を持つ人物ですが、キーマンは決定に大きな影響を与える人物(例:実務担当者や情報システム部門の担当者)を指し、決裁権を持たない場合もあります。
商談では決裁者とキーマンの双方を把握しておく必要があります。
決裁権を持つ人物が複数いる場合、どう進めればよいですか?
複数人が決裁に関与する場合は、それぞれの判断基準(コスト重視・機能重視・リスク重視など)を把握し、関係者全員が納得できる説明を用意するのがおすすめです。
関与する決裁者の人数が多いほど、稟議の差し戻しや導入断念のリスクが高まる傾向があることは、「リードクオリフィケーションとは?BtoBの選別基準と進め方をわかりやすく解説」の独自データ分析でも確認しています。。
決裁権の有無を失礼にならずに確認する方法はありますか?
「決裁権はありますか」と直接尋ねるのではなく、「このお話は社内でどのように進めていただくご予定ですか」「最終的な判断は、どなたが行われる形になりますか」といった、決裁プロセス自体を尋ねる聞き方にすると、相手の状況を押しつけがましくなく確認できます。
中小企業と大企業で、決裁権の見極め方は変えるべきですか?
前述のデータのとおり、企業規模が小さいほど担当者自身が決裁権を持つ割合が高くなる傾向があります。
中小企業では「担当者=決裁者」である可能性を踏まえ、大企業ではより上位の役職者・管理部門の関与を見込んで商談を設計すると、見極めの精度が上がりやすくなります。
まとめ
決裁権は、BANTのAuthorityにあたる重要な確認項目でありながら、商談の終盤まで見極めが後回しになりやすい項目です。
本記事で紹介した自社データのとおり、決裁権保有率は役職・職種・企業規模によって大きく異なります。商談相手の肩書きだけに頼らず、決裁プロセスを確認する質問を商談の早い段階に組み込み、決裁者・キーマンの双方を見据えた提案を進めてみてください。
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