生成AI技術であるChatGPTが、マーケティングリサーチの在り方を画期的に変えようとしています。
従来のアンケートやインタビューなどの方法と組み合わせることで、より効率的かつ深い知見が得られるとも言われていますが、多くのマーケターやリサーチャーは、リサーチ業務においてChatGPTをどのように活用すればよいのか悩んでいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、マーケティングリサーチでChatGPTをどのように活用できるのかについて全3回に渡って考えてみます。
第一回:ChatGPTを活用したマーケティングリサーチの実践
第二回:マーケティングリサーチャーとChatGPTの役割の比較
第三回:ChatGPTをパートナーにするためのプロンプト作成とおススメ拡張機能・プラグイン
第一弾の主なトピック
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✓ChatGPT等の生成AIの盛り上がりを危機感ではなく好機と捉える
✓どこでどう使えるか試行錯誤してみる
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ChatGPTとは
ChatGPTとは、OpenAIが開発した自然言語処理のための人工知能技術です。「Generative Pre-trained Transformer」の略称で、大量の自然言語テキストを学習して、その学習に基づいて自然な文章を生成することができます。
また。自然言語処理を使用したチャットボットや自動作文などのアプリケーションで利用されていて、その高い自然な表現力から、多くの人々に注目されており、今後もその応用範囲が拡大することが期待されています。
マーケティングリサーチにおけるChatGPTの活用方法
具体的な活用方法
●設問設計の効率化
✓ 設問の設計
ChatGPTを使用して、アンケートの設問を効果的に設計できます。
具体的な設問やオプションを生成することで、回答者が容易に理解できる設問を作成できます。
✓ 設問の最適化
既存のアンケート設問をChatGPTに入力し、より効果的な表現に最適化することができます。
●インタビューの準備
✓ インタビューフローの作成
インタビューの目的やターゲットに応じた質問リストを生成できます。
✓ フォローアップ質問の生成
インタビューの途中で回答者から得られる情報に基づいて、ChatGPTは関連するフォローアッ
プ質問を提案できます。
●アンケートとインタビューの分析
✓ 回答の要約と可視化
アンケートやインタビューの回答を要約し、分かりやすい形で表示できます。
これにより、結果の理解が容易になり、意思決定をサポートします。
✓ 感情分析
インタビューで得られた自由回答やコメントをChatGPTに入力することで、感情分析を行うことができます。
✓ 回答のクラスタリング
アンケートやインタビューの回答を関連性のあるグループにクラスタリングし、
重要なトレンドやパターンを分類できます。
●顧客セグメンテーション
✓ 顧客プロファイルの生成
アンケートやインタビューで得られた情報をもとに、ChatGPTは顧客プロファイルを生成できます。
●レポート作成とプレゼンテーション
✓ 効果的なレポート作成
アンケートやインタビューの結果をもとに、は分析結果をわかりやすいレポートを作成できます。
✓ プレゼンテーションのサポート
プレゼンテーション用のスライドやスクリプトを効率的に作成することができます。
●パーソナライズされたコンテンツ作成
顧客セグメントに応じたパーソナライズされたコンテンツを効率的に作成できます。
これにより、効率的な顧客エンゲージメントの向上やコンバージョン率の増加が期待できます。
実際の活用例
●アンケート分析
✓ 回答の要約と可視化
アンケートの自由回答を分析する際の手順です。
手順①:150件程データをランダム抽出
手順②:ChatGPTに取り込み分類
【ChatGPTによる分類結果】
※さらに細かく、もっと抽象的に、等追加でリクエストし、納得感が得られるまで分類を繰り返すことができます。
手順③:ExcelとAPI連携
手順④:②の分類をデータに割り当てるため、下記プロンプトを用意
【回答データ分類用のプロンプト】
【回答データ分類イメージ】
●インタビュー結果の整理
下記のようなインタビューフローに沿って実施したインタビューの発言録から全体の要約、ペルソナ、カスタマージャーニーマップを作成します。
【インタビューフロー】
※このインタビューは、ChatGPT上でデモ実施した結果をまとめています。
【要約】
【ペルソナ】
【カスタマージャーニーマップ】
カスタマージャーニーマップの消費モデルを指定することもできます。
自由回答やインタビューの傾向を掴むうえで、テキストマイニングよりもシンプルで分かりやすく、かつスピーディーに結果を俯瞰することができます。作業時間にして1分程です。
また、ブランドや商品のアフターコーディングにも同じように活用できます。
インタビューであれば、デブリーフィング(インタビュー後の振り返り)時に用意するといった活用もできるのではないでしょうか。
このように、マーケティングリサーチでChatGPTを効果的に利用することが可能と考えています。
ChatGPT等の生成AI技術を活用することにより、リサーチの依頼側・受託側ともに、従来に比べて時間と労力を減らすことができるでしょう。
作業工数を減らしクリエイティブ工数比率を高めることに役立つことは間違いありません。
否定する前にやってみる、恐れる前に可能性を探索してみる という前向きな気持ちで今起こっている変革を楽しみたいと思っています。
第二章では、
生成AI技術ができること、不得意なことを整理することで、どこにマーケティングリサーチャーの価値が生まれるかを考えてみました。
具体的にマーケティングリサーチャーとChatGPTはどのように役割を分けていけばよいのでしょうか・・・続きは第二弾「マーケティングリサーチャーとChatGPTの役割の比較」をご覧ください。