ChatGPTとは
はじめにChatGPTとはどのようなサービスなのか、主な特徴について解説します。
OpenAIが開発したテキスト生成AI
ChatGPTは、OpenAIが開発したテキスト生成AIサービスです。文字による指示(プロンプト)を通じて文章や画像、プログラムコードといった多彩な成果物を作成できます。会話型AIサービスとも呼ばれるとおり、AIに実行してほしい処理の内容を自然言語(人間が使う通常の言語)で指示することが可能です。
従来、AIに指示を出すにはプログラミングの知識・スキルが不可欠でした。ChatGPTの公開は、非エンジニアの方でも手軽に利用できる生成AIの存在が広く認知されるきっかけとなりました。
ChatGPTの特徴
ChatGPTの大きな特徴として、Webブラウザ上で利用できる点が挙げられます。専用アプリをインストールして活用する方法もありますが、ChromeやEdge、Safariといった一般的なWebブラウザでも利用可能です。Webサイトを閲覧するのと同じような手軽さで利用できることは、ChatGPTのメリットといえます。
また、会話のような自然な言葉のやり取りを通じてコンテンツを生成できることも特徴のひとつです。作成したい文章や画像、動画などを文字で指示できるため、制作時間の短縮や省力化につながります。
生成AIとは
ChatGPTと生成AIはどう違うのか、疑問に感じていた方もいるでしょう。結論からお伝えすると、ChatGPTは「テキスト生成AIサービス」であり、生成AIを活用したサービスのひとつです。そもそも生成AIとは何か、ChatGPT以外にどのようなサービスがあるのか見ていきましょう。
学習データを活用して新たなコンテンツを生成できるAI
生成AIとは、学習データを活用して新たなコンテンツを生成できるAIのことです。従来のAIは、与えられたデータの範囲内で所定の処理を行います。これに対して、生成AIは後述する深層学習(ディープラーニング)の技術を駆使することで、新たなコンテンツを生み出せる点が特徴です。
従来のAIは、たとえば製造ラインにおける不良品の検知や特定のデータ分析といったように、限られた用途で活用されてきました。生成AIはこうした特定の処理に限らず、文章や画像・動画・プログラムコードといった、幅広い成果物を新たに生成できる点が大きく異なります。
生成AIと機械学習・深層学習の関係

機械学習とは、与えられたデータの中から適切な回答を判定したり、予測したりする技術のことです。機械学習がさらに進化し、AIが自ら学習を重ねることでデータの特徴や関係性を元に新たなコンテンツを生成できるようにする技術を深層学習といいます。生成AIも深層学習の仕組みを利用した技術のひとつです。
一例として、猫の画像を作成するケースを考えてみましょう。機械学習の場合、学習済みのデータの中から「猫」に該当する画像を選び出し、ユーザーに提示できます。ただし、学習データに含まれていない猫の画像を新たに生成するといったことはできません。深層学習であれば、大量の画像からAIが猫の特徴を抽出することにより、実際には存在しないもののリアリティのある猫の画像を生成可能です。このように、生成AIと深層学習は密接に関わり合っている技術といえます。
生成モデルの一例
ChatGPTに利用されているのは、GPTというLLM(大規模言語モデル)です。LLMとは、言語処理が可能な生成モデルのことを指します。ChatGPTが自然な会話のようなやり取りを通じてコンテンツを生成できるのは、GPTが搭載されているからです。生成モデルには、この他にも画像や動画、音声などの生成に対応しているものがあります。下記は画像生成モデルの一例です。
生成モデルの例 |
できること |
VAE (Variational Auto-Encoder) |
学習データから抽出した特徴を元に、新たな画像を生成する。 |
GAN (Generative Adversarial Networks) |
ランダムに生成した画像を学習データにもとづいて修正することで精度を高め、解像度の高い画像を生成する。 |
拡散モデル(Diffusion Model) |
学習データの画像にノイズを追加し、ノイズを除去する過程で高精度な画像を生成する。 |
生成AIを活用したサービスの事例
生成AIを活用したサービスの例を用途別に紹介します。それぞれのサービスの特徴をまとめていますので、生成AIで具体的に何ができるのかイメージする上で役立ててください。
■Notion AI
Notionはメモやドキュメント作成をはじめ、タスク管理やプロジェクト管理といった幅広い用途に活用可能なワークスペースツールです。Notion AIは、このワークスペース上で活用できるAIアシスタントサービスとして提供されています。
Notion AIを駆使することで、たとえば文章を要約したり、文章を別の言語に翻訳したりできます。また、アイデアの提案やプログラミングコードの下書きなどにも活用できるほか、文章の要点を表や箇条書きにまとめることも可能です。
■Midjourney
Midjourneyは、テキスト情報から画像を生成できるAIサービスです。チャットアプリであるDiscord内でMidjourneyを利用することで、高品質な画像を作成できます。
たとえば、作成したい画像の対象(人物/動物/風景など)や種類(イラスト/写真など)のほか、色合いや雰囲気(元気な/落ち着いた、など)、構図(ポートレート/クローズアップなど)といった条件を言葉で指定することにより、要望を踏まえた画像を生成可能です。
■VALL-E
VALL-EはMicrosoft社が開発した音声合成AIサービスです。3秒間の短い音声サンプルを元に、サンプルを踏まえた声を再現できます。
一例として、文書の記載内容を経営者の声で読み上げたり、原稿にもとづくスピーチ音声を生成したりすることも可能です。単に音声サンプルの声を模倣するだけでなく、声のトーンを自然に変化させ、感情のこもったリアリティのある音声を生成できる点に特徴があります。
ChatGPTの記事制作への4つの活用例
ChatGPTは、Webメディアなどの記事制作にも活用できます。幅広い用途が想定されますが、ここでは4つの活用例を見ていきましょう。
活用例1:リサーチ業務のサポート
コンテンツを制作するにあたって、事前に情報収集を行うケースは少なくありません。テーマに沿った参考記事をChatGPTに抽出してもらったり、参考記事の要点をまとめてもらったりすることで、リサーチに要する時間を短縮できます。
参考記事やそれらの要点は、出典元のURLリンクとともに提示してもらうことも可能です。一次情報を確認することで、情報の正確性や信憑性を確保できるでしょう。リサーチ業務を効率化したい場合におすすめの活用法です。
活用例2:記事企画のアイデア出し
記事企画のアイデアをできるだけ多く挙げ、採用するアイデアを絞り込みたい場合にもChatGPTを活用できます。企画案をChatGPTに多数挙げてもらうことにより、少人数のチームでも充実したブレーンストーミングを実施できるからです。
また、ChatGPTに役割を与えることで、読者のニーズを踏まえた企画案を策定するヒントにもなります。たとえば、「あなたは企業の採用担当者です」といった条件をプロンプトに加えれば、採用担当者によくある悩みや課題を踏まえた記事企画を立案しやすくなるでしょう。
活用例3:記事構成案の作成・文章校正
ChatGPTは記事構成の素案作成にも活用できます。特定のテーマに沿った記事構成を複数提案してもらい、さまざまなパターンの構成を参考に実際の記事構成を練り上げていくとよいでしょう。
さらに、原稿の誤字脱字チェックにChatGPTを活用するのもひとつの方法です。変換ミスや表記ゆれなどを検出できるほか、修正後の文章についても提案してもらえます。人の目による原稿チェックとChatGPTを併用して、原稿チェックの精度を高めてみてはいかがでしょうか。
活用例4:イラスト制作
ChatGPTはテキスト生成だけでなく、画像生成にも対応しています。作成したい画像を文章で入力し、「……の画像を生成してください」と指示することにより、短時間で画像の作成が可能です。また、既存の画像をアニメ風に変換する処理にも対応しているため、たとえば実在する人物や場所をデフォルメした画像を掲載したい場合などに活用できます。
生成されたイラストは、プロンプトを追加して修正することも可能です。色や構図を変更したり、背景を追加したりできるため、修正を重ねることで作成したいイラストのイメージにより近づけられるでしょう。
ChatGPTは生成AIサービスの一種
ChatGPTは、数多くある生成AIサービスのうちのひとつです。生成AIの基本的な仕組みへの理解を深めるとともに、それぞれの生成モデルが対応できる処理を知ることで、用途や目的に合った生成AIサービスを選びやすくなるでしょう。今回紹介したChatGPTの活用性を参考に、記事制作の効率化・省力化を図ってみてはいかがでしょうか。