市場調査や生活者の心理・行動背景を深掘りするための調査手法として、定性調査が挙げられます。定性調査を効果的に実施するには専門知識やノウハウが欠かせないため、外部の調査会社に依頼するのが得策です。
この記事では、調査会社に依頼できることや選ぶ際に着目したいポイントを整理したうえで、強み別のおすすめ会社10選を紹介します。定性調査の依頼先を選定する際にぜひ役立ててください。
定性調査とは
定性調査とは、数値データでは表せない生活者の心理や行動背景を調査するための手法です。調査対象者一人ひとりの心理や行動、価値観といった情報を詳細に知りたい場合に適しています。
これに対して、数値データで表される情報を聴取する手法が定量調査です。ターゲットの全体的な傾向を大まかに把握したい場合は定量調査が、定量調査で得られた回答をさらに深掘りし、なぜその回答を選んだのかを聴取したい場合には定性調査をあわせて実施するのが得策です。
定性調査を実施するメリット・デメリット
定性調査の主なメリット・デメリットは次のとおりです。
【メリット】
・数値の背景にある意見を収集できる
・具体的な解決策の根拠を得られる
・アイデアの創出に役立つ場合がある
・対象者の声を共有できる
【デメリット】
・回答が断片的で偏ったものになる場合がある
・調査に時間と手間がかかる
・調査結果のまとめ方を工夫する必要がある
・適切な回答を得られない場合がある
定性調査では調査対象者の「言葉」に着目する必要があることから、適切な調査結果を得るには専門的な知識やノウハウが欠かせません。定性調査を有意義なものにするためにも、外部の調査会社に委託するのが得策です。
定性調査のメリット・デメリットについては、次の記事で詳しく解説しています。こちらもあわせてご参照ください。
調査会社(リサーチ会社)に依頼できること
調査会社(リサーチ会社)とは、マーケティングリサーチや市場調査に必要な各種調査に対応可能な事業者のことです。依頼できる調査の種類や業務の範囲を整理しておきましょう。
依頼できる調査の種類
調査会社に依頼できる調査の種類は、大きく分けて「定量調査」と「定性調査」の2種類です。
定量調査は数値化されたデータを収集する手法で、対象者全体の傾向を把握したい場合に役立ちます。
一方、定性調査は数値化できない対象者のインサイト(心理や行動背景、価値観などの内面)を深く知りたい場合に用いられる手法です。両者は組み合わせて実施するケースも少なくありません。
依頼できる業務の範囲
調査会社に依頼できる業務の範囲は、事業者によってさまざまです。主な例として、次のものが挙げられます。
・調査企画立案
・調査設計
・調査実施
・結果分析
・レポート作成
・マーケティング支援 など
調査会社によっては、依頼企業側が自社で調査票を作成したり調査を実施したりできるよう、セルフ型インタビューツールを提供している場合もあります。
一般的には、依頼する業務の範囲が広くなるほど料金がかかると考えてよいでしょう。
主な調査手法
【定量調査の主な手法】
・ネットリサーチ:Webサイトに公開されている情報などを元に行う調査
・会場調査:対象者を会場に集めて実施する調査
・ホームユーステスト:自宅で商品を試用し、アンケートに回答してもらう手法
・郵送調査:調査票を対象者に郵送し、返送してもらう手法
【定性調査の主な手法】
・グループインタビュー:複数の対象者へ同時に行うインタビュー調査
・デプスインタビュー:1対1で実施するインタビュー調査
・オンラインインタビュー:ビデオ会議ツールを活用して実施するインタビュー調査
・エスノグラフィー(行動観察調査):対象者の行動を一定期間にわたり観察する手法
調査会社を活用するメリット
定性調査に対応している調査会社に依頼することで、具体的にどのようなメリットを得られるのでしょうか。
主な3つのメリットを紹介します。
定性調査にかかる工数を削減できる
定性調査を通じてターゲットのインサイトを深掘りできる反面、調査には時間と手間がかかることが難点です。
調査会社に依頼することで、調査の企画・設計・実行・結果分析からレポート作成まで各工程を一任でき、最小限のリソースで調査目的を達成することも可能です。
調査会社が保有するアンケートモニターを活用できる
対象者のリクルーティングは、定性調査を実施するうえで課題となりやすいポイントです。
自社で調査パネルを保有していない場合や、既存顧客に調査協力を仰ぐのが現実的ではない場合には、調査会社が保有するアンケートモニターが役立ちます。
調査結果をまとめたレポート作成を依頼できる
調査会社によっては、調査結果をまとめたレポートの作成もあわせて依頼できます。
調査の実施方法に問題がなかったとしても、結果レポートのまとめ方が適切でなければ十分な効果が得られません。対応可能なレポートの形式や納期は調査会社ごとに異なるため、自社が想定している形式・納期に対応できるかどうかもあわせて確認しておくことが大切です。
定性調査の依頼先を選ぶ際の6つのポイント
数多く存在する調査会社の中から依頼先を選ぶには、次の6点を確認しておくことが大切です。
ポイント1:定性調査の実績は十分か
そもそも定性調査を得意としている調査会社か、調査に必要な知識やノウハウを備えているか、十分に確認しておくことが大切です。過去の実績や取引企業の業種、調査目的などを参考に、自社の調査目的を達成可能な調査会社かどうかを見極めましょう。
ポイント2:対応可能な調査手法・専門知識を備えているか
定量調査・定性調査のどちらを得意としているのか、主要な調査方法は何かといった点を明確にしておくことが大切です。
調査会社によってはネットリサーチ専門の場合もあるため、オフラインでの調査を想定している場合には対応可否を確認しておきましょう。
また、調査を実施したい商材やサービス、業界などに関する専門知識を十分に備えているかどうかも重要です。
専門特化型の調査会社は費用が高くなりやすいものの、ニッチな分野や専門性の高いテーマで調査を実施したい場合には検討する価値があります。
ポイント3:パネル(回答者)の質と量
調査パネル(回答者)の質と量は、必ず確認しておきたいポイントです。
パネルの質については、自社が想定する属性に合致しているか、きちんと考えて回答してもらえるかを重視する必要があります。
パネルの量に関しても、調査方法や調査目的に適した回答者数を確保できるかどうかが重要です。量が不十分だと回答が偏ったり、多すぎると重複回答が目立ち費用対効果が悪化したりするおそれがあります。
ポイント4:料金の妥当性
料金設定は必ず確認しておきたいポイントですが、安ければよいというものではありません。
具体的な調査内容や対応している業務範囲を確認したうえで、料金とのバランスが妥当かどうかを慎重に検討することが大切です。格安で調査を実施できても、結果分析を実質的に自社で行わなければならないとすれば、収集した情報を十分に活用できない可能性があります。
ポイント5:希望の納期に対応可能か
自社が希望する納期への対応可否も、必ずチェックしておきたいポイントです。
調査内容や手法によって調査期間は異なりますが、同じ調査を実施した場合も調査会社によって納期に差が生じるケースは少なくありません。
複数の調査会社に見積もりを依頼することで、所要期間を比較検討しやすくなります。
ポイント6:納品物の種類
調査結果がどのような形で納品されるのかについても、事前に確認しておく必要があります。
文書化したレポート、グラフや図で視覚的に示したインフォグラフィック、処理前のローデータなど、どの範囲までが納品物として提供されるのかを明確にしておくことが大切です。
指定が難しい場合は「〇〇がわかるデータが必要」といった情報を調査会社に共有しておくとよいでしょう。
定性調査に強いおすすめ会社10選
定性調査に対応している調査会社10社を、強み別に厳選して紹介します。
幅広い調査対象・調査手法に対応する会社
■株式会社ネオマーケティング
ネオマーケティングは日本国内にアンケート会員3,075万人(提携含む:2026年8月時点)を保有し、グループインタビューやデプスインタビュー、オンラインインタビュー、訪問観察調査といった各種定性調査に対応しています。
優れたリクルーティング力による対象者の招集に加え、調査専用ルームを完備するなど、定性調査を一気通貫で実施するための知見やノウハウを備えている点が大きな特長です。
オーディションリクルートサービスでは、より精度の高い情報を得られるインタビュー対象者を事前にオーディション形式で抽出し、有益で希望に沿ったインタビュー結果を得られるよう努めています。信頼性の高い調査結果を得たい事業者様におすすめです。
また、セルフ型のオンラインインタビューツール「リサーチDEMO!」も提供しており、最短当日、3.3万円(税込)からインタビューを実施できます。できるだけスピーディーかつリーズナブルに定性調査を実施したい事業者様にもおすすめのツールです。
■株式会社MSS
MSSは、ネットリサーチやインタビュー調査といった定性調査に対応している調査会社です。
ターゲットプロファイルや投稿評価法といった独自の調査手法を開発・提供しており、依頼企業が抱えている課題を的確な解決へと導きます。
分析企画から調査の実施・分析まで専任チームで取り組むため、一貫して同じ担当者に対応してもらえる点もメリットです。調査目的の達成を重視している事業者様や、顔が見える担当者を求めている事業者様に適しています。
■株式会社アスマーク
アスマークは、グループインタビューやデプスインタビュー、オンラインインタビューをはじめ、独自のインタビューシステム「i-PORT voice」を活用した定性調査を提供している調査会社です。
自社パネル100万人超をはじめ、提携パネル1,800万人以上を保有しており、大規模な調査からチャット形式の手軽な調査まで対応しています。
できるだけ手軽に調査を実施したい事業者様や、費用を抑えて定性調査を行いたい事業者様におすすめです。
■株式会社クロス・マーケティング
クロス・マーケティングは、年間調査件数10,000件以上と実績豊富な調査会社です。
日本国内にとどまらず海外拠点を構えている点も大きな特長で、海外調査専任チームによる世界85カ国以上を対象とした調査も可能です。
海外進出や国外での市場開拓を検討している事業者様におすすめです。
■株式会社インテージ
インテージは消費者の買い物データ5万人分以上、行動/意識データ2.5万人分を保有している調査会社です。
日本国内だけでなく国外9カ国の海外拠点を構えており、とくにアジアでは1,500万人の調査モニターを保有しています。豊富な消費者データにもとづく調査・分析を実施したい事業者様や、アジア地域での海外進出を検討している事業者様におすすめです。
■株式会社マクロミル
マクロミルは、インターネットリサーチをはじめ各種定性調査に対応している大手調査会社です。
調査目的に応じたモデレーターを用意し、専任チームによる運用を通じて生活者一人ひとりのインサイトを深く掘り下げます。
学術調査(アカデミックリサーチ)にも対応しており、研究テーマに沿った調査対象者を集められる点も大きな特長です。
また、セルフ型インタビューツール「Interview Zero」を活用することで、短期間でリーズナブルに調査を実施することもできます。
■GMOリサーチ&AI株式会社
GMOリサーチ&AIは、アンケートモニター延べ4億人以上を保有する大手調査会社です。
ネットリサーチとAIを掛け合わせた独自のソリューションを提供しているほか、16の国と地域で調査が可能な強力なネットワークに強みがあります。
国内外を対象とした調査を実施したい事業者様や、コストとスピードを重視して定性調査を行いたい事業者様におすすめです。
特定分野・手法に強みを持つ会社
■トビー・テクノロジー株式会社
トビー・テクノロジーは、アイトラッキング(視線計測/眼球運動)技術を駆使した調査を得意としている調査会社です。対象者が「どこを見ているのか」「何に注目しているのか」をデータから分析できるため、競合比較や好感度調査、コンセプトテスト、広告評価、広告効果測定などが調査目的の場合におすすめです。
■株式会社MS&Consulting
MS&Consultingは、覆面調査を得意とする調査会社です。
年間23万の覆面調査を実施しており、累計75万件の従業員満足度調査を実施してきた実績があります。
調査結果はレポートのほか、オンライン動画でも提供可能で、多忙な店長に代わりスタッフのレクチャーに活用できます。実店舗の顧客満足度調査や、従業員満足度調査を実施したい事業者様におすすめです。
■リアルワン株式会社
リアルワンは、従業員満足度調査・エンゲージメント調査・360度評価を軸に、企業の現状や課題を調査・評価している調査会社です。
仕事内容や企業風土、待遇といった基本項目だけでなく、依頼企業独自のオリジナル項目を加えた調査内容にも対応しています。
調査結果を視覚的にまとめたレポートや、Web集計システムの提供も可能です。定性調査を組織づくりに役立てたい事業者様におすすめです。
自社の調査目的・調査対象に合った調査会社を選ぼう
調査会社と一口にいっても、対応可能な調査手法や得意とする分野は事業者によって異なります。
依頼先を選ぶ際のポイントを押さえたうえで、自社の調査目的・調査対象に合った調査会社を選ぶことが大切です。
今回紹介した10社をはじめ、自社の課題解決につながるサービスを提供可能な調査会社を探してみてはいかがでしょうか。