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NPSとNRSを合わせた顧客満足度調査とは?

ライター:吉原慶

公開日:2022年04月15日 | 更新日:2024年10月15日

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自社の商品やサービスが顧客の期待を満たしているのかを調べる「顧客満足度調査」を定期的に実施し、マーケティング施策に生かしている企業は少なくありません。また、マーケティング担当者にとっては馴染みのある調査ではないでしょうか。顧客満足度調査は「Customer Satisfaction(カスタマー サティスファクション)」を略して「CS調査」といわれていますが、ネオマーケティングは従来のCS調査に加えて、「Customer Status(カスタマー ステイタス)」に基づいた「CS調査」を提案しています。

顧客満足度調査はNPSで十分?

CS調査でメジャーな指標といえば、顧客ロイヤルティを測る「NPS(ネットプロモータースコア)」でしょう。
NPSは商品・サービスを人にお勧めしたいかどうかを聞き、「非常にそう思う」の10点から「まったく思わない」の0点までの11段階で回答してもらいます。そして、10点または9点をつけた人は「推奨者」、7〜8点が「中立者」、6点以下を「批判者」と分類します。

 

NPSに関する記事はコチラ

 

売上との相関が高いという理由でNPSを導入している企業が多いですが、NPSに問題点がないわけではありません。
「お勧めしたい」という思いを何点に設定するのかは人によって基準が異なりますし、とても気に入っているからこそ人に教えたくない、という人もいます。また、お勧めしたい気持ちはあるけれど、この良さを共有できる人が身近にいないという人は、何点をつければいいのか迷ってしまいます。
加えて、NPSは日本人には適さない調査であるという意見があります。これは、日本人は極端な回答を避け、無難な点数をつける傾向にあることが理由として挙げられます。「気に入っているし、人にすすめてもいいけど、まあ、間をとるか」と、5点や6点をつける人は少なくありません。そういう人は「批判者」になってしまいます。その結果、実態とアンケート結果に差異が発生します。
そのためネオマーケティングでは、NPSを用いる場合、10点または9点をつけた「推奨者」に重点的に注目することを推奨しています。「中立者」「批判者」の意見に注目して改善点を見出そうとしがちですが、そうではなく、「お勧めしたい」と言ってくれている人が評価している点に注目するということです。その評価されている点こそが、商品やサービスが持っている強みとイコールであるからです。
前述したように、俗にいうCS調査を行う際は、「推奨者」に重点的に注目することを勧めておりますが、ネオマーケティングでは、NPSを用いたCS(カスタマー サティスファクション)調査に、NRS(ネットリピータースコア)を用いたCS(カスタマー ステイタス)調査を加える事を新たに推奨しています。

顧客のステイタスに注目をする「NRS」とは?

一言で「顧客」といっても、中にはいろいろなタイプの人がいます。長年愛用し、人にお勧めしてくれる「ファン」がいれば、そこまで愛着はないが買い続けている「ミドルユーザー」、年に何度か買ってくれる「ライトユーザー」もいます。顧客は幾つかの階層に分類することができるのです。
様々な顧客をひとまとめに考えて満足度を見るのではなく、顧客を幾つかの階層に分類した方が、より詳細に商品・サービスの立ち位置を知ることができます。その指標となるのが、NRS(ネットリピータースコア)です。


NRSはとてもシンプルな設問で知ることができます。「1年後この商品(サービス)を継続して使いたいと思いますか?」という質問に対して、「積極的に継続したい」「今と同じ程度継続したい」「その時になってみないとわからない」「できれば継続したくない」「絶対継続したくない」の5段階で聞くだけです。

 

 

記事「顧客の体験や心の満足を定量化するには?科学的な方法論を解説した『心理ロイヤルティマーケティング』」参照

 

この5段階のうち、「積極的に継続したい」という人を「リピーター」と位置づけます。リピーターは「ロイヤルカスタマー」「ファン」と言い換えることができるでしょう。「今と同じ程度継続したい」人は「中立者」、それ以下の人は「離反リスク者」と考えます。継続したいかどうかを聞くわけですから、当然、現在のユーザーを対象に調査を行います。現在のユーザーは「現在の売上」に直結する存在であるため、調査結果を次のように捉えることができます。

・「リピーター」は積極的に継続したい人なので、未来を支えてくれる良い売上
・「中立」は、今と同じ程度継続したい人なので、将来的には少し不確実性のある売上
・それ以外の「離反リスク者」は、将来どうなるかわからないリスクの高い売上

 

 

「未来を支えてくれる良い売上」の比率が高ければ高いほど、NRSが安定しているといえます。反対に、売上全体は伸びていたとしても、その比率が下がっていれば、偶然「不確実性のある売上」が伸びているだけで、決して楽観できる状況ではない、と判断することができます。
つまり、現在の売上がどういう状況なのかという視点で、NRSの調査結果を見ることができるのです。

「NPS」×「NRS」で顧客満足度を考える

また、NPSにNRSを組み合わせることで、より詳細に顧客像をとらえることができます。NPSとNRSどちらにも高得点をつけている人は、「絶対に使い続けたい」と考えている愛用者で、さらに人にお勧めしたいという意向も高い人でもあります。つまり、超ロイヤルカスタマーであり、超ファンであるといえます。

 

 

この超ロイヤルカスタマーが、その商品のどこをどう評価しているのか?そこを深掘りしていくことで、「中立者」を「リピーター」にしていく施策が見えてくるでしょうし、「未来を支えてくれる良い売上」の比率を高めていくことができます。
NPSは人にお勧めするかどうかを判断する指標ですが、NRSは自分が継続をしたいかどうかを指標にしています。
CS調査にNPSとNRSの両方を用いるによって、より詳細に利用者実態が見えるようになり、今後の方針も立てやすくなります。

最後に

NRSを用いたCS調査はまだあまり浸透していませんが、とても示唆に富んだデータをもたらす指標です。
生活者の価値観が多様化している現代において、従来のCS調査(NPSを用いたカスタマーサティスファクション調査)ではカバーしきれない部分が多々あります。
NPSを使っているけれど、いまひとつ納得感が足りない。具体的なブランディング施策に繋がらないという方は、ぜひNRSを導入してみてはいかがでしょうか?

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吉原慶
WRITER
吉原慶
マーケティング会社を経て、上場企業のマーケティングリサーチ会社に移籍。 リサーチャーのチームを立ち上げ、マネージャーとして後進の育成や社内外での勉強会やセミナーの開催、新サービスの開発を担当。 2022年ネオマーケティング(エキスパートグループ)に合流し、現在はストラテジックリサーチャーとして「リサーチを起点に、デジタルマーケティング・PRグループとのシナジーを生み出す」ことをミッションにしている。

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