この記事では、「Instagramに広告を出したい」「Instagram広告の出し方を知りたい」という方に向けて、基礎的な解説をお届けしていきます。また、単にInstagramに広告を出すだけでなく、広告戦略の成功のために欠かせないポイントについても、併せて解説していきます。
Instagram広告を活用し、製品やサービス、ブランドの認知拡大や、集客・売上アップにつなげるための方法を、具体的に見ていきましょう。
Instagramの広告の出し方は、大きく2つの方向性がある
Instagram広告の出し方は、大きく考えると、2つの方向性があります。
1:広告の出稿や運用を自社で行う
2:広告の出稿や運用を、マーケティング会社等に外部委託する
まずはこの2つの方向性について、それぞれメリット・デメリットを比較してみましょう。
自社でInstagram広告を運用する場合のメリットとデメリット
まずは、自社でInstagram広告を出稿し、運用する場合のメリットとデメリットを整理していきます。
<メリット>
・外部委託費が掛からない
自社で運用を行うため、外部委託費(外注費)が掛からない点がメリットです。ただし逆に言えば、それ以上のメリットは特にありません。強いて言えば、失敗や経験を重ねることで、社内にInstagram広告運用のノウハウが蓄積される点も、メリットと捉えて良いかもしれません。
<デメリット>
・広告運用のノウハウが蓄積されるまでの間、1年~2年は赤字になる
・意図しない規約違反などで、Instagramを今後一切利用できなくなる恐れがある
・不適切な広告によりユーザーから批判が殺到し、自社の信頼を損ねてしまう恐れがある
Instagram広告をこれから自社で運用していく場合、まずノウハウの獲得に最低限、1~2年は掛かると見るべきでしょう。Instagram広告は、非常に複雑な仕組みを持っているためです。
Instagram広告の仕組みについては、以下の記事で詳しく解説しています。
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Instagram広告の費用の仕組みや相場と費用対効果の評価について
広告の出稿審査、CPM、CPC、CPV、CPIといった課金方式の違い、広告オークション、配信面の設定、広告の効果測定と改善など、さまざまな知識を学び、経験を積む必要があります。
こうした知識と経験を獲得するまでに、早くても1年~2年は掛かるでしょう。その間、広告の成果は期待できず、赤字が続くことが通常です。もちろん、こうしたノウハウの習得は、独学では限界があります。担当者を研修に出すなど、習得のための予算や時間も必要になります。
それでも、失敗を重ねながら経験を蓄積できれば"順調"です。実際には、よくわからないうちに規約違反を行ってしまい、アカウントが凍結されて、二度とInstagramに広告を出稿できなくなる恐れもあります。
また、不適切な広告を配信してしまい、ユーザーから批判が殺到する"炎上"のリスクもあります。あっという間に数万人、数十万人のユーザーにネガティブな情報が拡散されてしまい、上場企業であれば株価にもマイナスを及ぼすほどの影響が生じる場合もあります。
こうした取り返しのつかない失敗の危険性もあるため、「赤字覚悟で失敗を重ねながら、Instagram広告運用のノウハウを自社で獲得しよう」と考えても、実際には、ノウハウを獲得する前に撤退となるケースのほうが多くなります。
Instagram広告の運用を外部委託する場合のメリットとデメリット
続いて、Instagram広告の運用を、マーケティング会社などに外部委託する場合について見てみましょう。
<メリット>
・最初からベストエフォートを目指せる
・複雑なInstagram広告の仕組みについて、ゼロから学ぶ習得コストが掛からない
・万が一のトラブルの際も素早くリカバリーでき、安全性が高い
Instagram広告の運用に強いマーケティング会社に委託できれば、Instagram広告は非常に効果的な広告戦略になります。
マーケティング会社の持つ、Instagram広告運用の様々な知識や経験を活用できるため、最初からベストな形での運用を実現できるでしょう。結果として、広告が赤字になってしまう期間を可能な限り短縮し、ベストエフォートを目指すことができます。
また、高度で複雑なInstagram広告運用の仕組みについて、ゼロから学ぶ習得コストが掛かりません。既にマーケティング会社がそうした知見を持っているためです。また、そうした委託先にコンサルを受けながら運用することで、社内にもノウハウの移転が期待できます。
とはいえ、Instagramは"生き物”です。大勢のユーザーによるコミュニケーションの場である以上、予測不可能なトラブルが発生する可能性は常にゼロにはできません。ですが、万が一のトラブルが発生した場合も、専門性を持ったマーケティング会社であれば、適切な早期対応により損害を最小限に留めることが可能です。
<デメリット>
・外部委託費が発生する
・本当に信頼できる委託先を選ぶ必要がある
Instagram広告の運用を外部委託する場合には、2つのデメリットが考えられます。
一つは、外部委託費が発生することです。これはInstagram広告に限らず、アウトソーシングには必ず必要になる経費です。
もう一つは、本当に信頼できる委託先を選ぶ必要があることです。Instagram広告の運用代行業者や、フリーランスでInstagram広告運用を請け負っている人々もいますが、残念ながら信頼のおけない委託先が含まれているのも実情です。
本当に信頼できる委託先を選ぶためには、Instagram広告の出し方や、成功する広告運用のポイントについて、基礎的な知識を持っておく必要もあります。今回はそうした観点から、Instagram広告の出し方について解説をお届けしたいと考えます。
Instagram広告の出し方の基礎知識:広告を出すまでの手続きの流れ
それでは、Instagram広告の出し方について、基本的な知識を把握していきましょう。
まずは、広告を出すまでの流れについて、手続き的な手順を見ていきましょう。
1:Facebookページを作成し、ビジネスアカウントを取得
2:Instagramをプロアカウントに変更し、Facebookアカウントと関連付ける
3:Facebook広告マネージャーで広告を作成し、出稿する
Instagram広告は、Facebookの広告システムで出稿する
まず重要なポイントとして、「Instagramの運営会社はFacebookの運営会社と同じ」という点を把握しておきましょう。InstagramとFacebookは、どちらもMETA社(旧:Facebook社)が運営するSNSです。そのためInstagram広告も、実際にはFacebookの広告システムを使って出稿することになります。
Instagramの広告の出し方は、基本的にFacebookの広告の出し方と変わりません。
・Instagramアカウントを「プロアカウント」に切り替え、Facebookの広告アカウントと紐づける
・Facebook広告マネージャーで、広告の配信先をInstagramに設定する
もう少し詳しく見ていくと、配信面の選択や広告のレイアウト(画像や文字の配置、画像サイズ等)などにも違いがありますが、アカウント開設の手順としては上記の違いだけになります。
Facebookの広告の仕組みや広告アカウント開設について、詳しくは次の記事をご覧ください。
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Facebook広告マネージャーの活用方法と知っておきたい仕組みの知識
事業の成果につなげるための、Instagram広告の出し方
手続き的なInstagram広告の出し方については、実際にはそれほど難しい点はありません。基本的なITリテラシーのある人なら、画面の指示に従って操作していけば、広告を出稿できる段階まで1日~2日程度で手続きが済むでしょう。
しかし、手続き的に広告を出せるようになったからといって、Instagram広告で事業成果を期待できるわけではありません。
実際には、こうしたアカウント開設などの手順よりも、広告戦略のほうが極めて重要になります。そこで、戦略立案から含めた、事業の成果につなげるためのInstagram広告の出し方について、一例をご紹介しましょう。
1:Instagramの媒体特性について理解を深める
まず最初に行うべきことは、Instagramの媒体特性について、理解を深めることです。
Instagramの利用者層は、20代~30代がボリュームゾーンとなっており、年齢が上がるにつれて割合は低くなります。また、Instagramの利用目的としては、有名人(芸能人やモデル、Youtuberなど)の投稿をチェックする目的で利用しているユーザーが最多となります。
また基本的な特性として、Instagramは画像や動画が非常に重視されるSNSです。FacebookやTwitterなど他のSNSよりも、写真やイラスト、画像、動画などの重要性が高くなります。広告配信においても、魅力的で価値の高い、プロ品質のビジュアルが求められます。
このようなInstagramのユーザーの傾向やSNSとしての特性を把握し、自社の配信したい広告の内容や、製品、サービス、ブランドイメージが合致しているか、どのような切り口なら合致するか等、まず検討を行ったほうが良いでしょう。
2:Instagramに広告を出す目的を明確化する
もう一つ、初期段階で必ず行っておくべきこととして、広告の運用目的の明確化があります。何のために広告を運用するのか、なぜInstagramに出稿したいのか、といった点を明確にしておきましょう。
<例1>
・広告の目的:新規に立ち上げるアパレルブランドの認知拡大
・なぜInstagram広告なのか:Instagramの主要な利用者層である10代~20代女性が、新規ブランドのメインターゲットとなるため
<例2>
・広告の目的:近日リリース予定のアプリの初期ユーザー獲得
・なぜInstagram広告なのか:アプリの主要ターゲット層がInstagramユーザーと重複するため。また、UIデザインに力を入れており、視覚的な訴求を重視したいため
<例3>
・広告の目的:自社飲食チェーン店の東京進出のPR
・なぜInstagram広告なのか:進出先の地域に都心を準備しており、渋谷、原宿、六本木等で大々的な広告キャンペーンを展開する。当該地域のトレンドに関心が高いユーザー層を調査したところ、Instagram利用者が多かったため。
ここでのポイントは、「なぜInstagram広告なのか」という問いかけです。広告を出稿できるWEB媒体は多数ありますが、なぜInstagramを選択するのか、その理由を明確にしておく必要があります。
先ほどの「Instagramの媒体特性」に加えて、広告の内容、マーケティング調査の分析結果などを捉え、目的を定めることが重要です。
3:競合調査
次に、この段階で一旦、競合調査を行ったほうが良いでしょう。自社と同様の目的、同様の製品やサービス、同業界のブランドが、Instagramでどのような活動を行っているのか確認していきます。
この際、「広告」に囚われず、オーガニック投稿(広告ではない通常の投稿内容)についても目を配っていくと良いでしょう。
また、競合他社の広告やInstagramアカウントだけでなく、関連分野のインフルエンサー等がいれば、そうしたアカウントの内容もチェックすると、ユーザーのリアルな需要を把握しやすくなります。
<例>
たとえば、「自社の取り扱うオンライン幼児教育プログラムについて、30代の子育て世代からの認知を拡大したい」という目的で、Instagram広告の出稿を決めたとします。
この場合、競合調査の対象となるのは、自社同様に幼児教育プログラムを提供するサービス事業者だけではありません。たとえば、子育て系の人気アカウントや、教育系のインフルエンサー、自身の育児の様子を発信している芸能人・有名人のアカウント等もチェックしていきます。
自社の広告のターゲット層が、どのような興味関心を示しているかを把握することで、より効果的な広告戦略が設計できるようになります。
4:広告戦略の立案
ここまでの調査・分析をもとに、広告の具体的な戦略を立案していきましょう。ここで重要になるのは、差別化戦略です。Instagramでは、「どこかで見たようなもの」は、ユーザーの関心をほとんど惹きつけないためです。
訴求したい製品やサービスの特徴、特性、競合には無い強みなどを把握し、そうした要素にスポットライトが当たるよう、広告のテーマやコンセプトを明確にしていきます。
5:広告クリエイティブ、遷移先ページ等の制作
明確化したテーマやコンセプトに基づき、広告クリエイティブを作成していきます。広告クリエイティブとは、実際にInstagramユーザーに配信される広告の、画像やテキスト、動画などを差します。また、広告をクリックした際に遷移する、遷移先のページについても制作しておきます。
こうした素材は、出稿の段階で整っている必要があるため、予め完成させておいたほうが良いでしょう。ただし、広告の出稿審査に落ちてしまう可能性もあるため、後々修正が必要になることもあります。いくつかパターンを用意しておくと良いでしょう。
なお、Instagramの広告ポリシー、規約、ガイドラインは、Facebook広告のものになります。制作の前にしっかりと確認しておきましょう。また、配信面によって画像サイズなども異なるため、こちらも確認の上で制作に当たると良いでしょう。
6:各種アカウントの取得
広告クリエイティブや遷移先ページ等の制作と平行して、各種アカウントの取得も進めておきます。Facebookビジネスアカウント、Instagramプロアカウント、Facebook広告アカウント、Facebook広告マネージャー等、必要なアカウントを取得しておきましょう。
7:広告の設定と出稿
「Facebook広告マネージャー」を利用して、広告戦略や予算など必要情報を入力し、広告クリエイティブを作成、配信を設定します。Instagram広告の配信設定も、Facebook広告マネージャーを使って行うことになります。ここまでの段階でしっかりと準備ができていれば、広告の設定や出稿に戸惑うことは少ないはずです。
8:広告の出稿審査
Instagramの広告には、出稿審査があります。ガイドラインや規約に違反していないか等、人工知能(AI)により審査が行われます。審査に通過すれば、広告の配信が開始となります。
万が一、審査に落ちてしまった場合は、ガイドラインや規約などをもう一度よく見直し、広告の修正を行いましょう。また、AIによる誤審査が疑われる場合は、再審査のリクエストを行うなど対応を取ります。
9:運用開始
Instagram広告は、配信されたら完了ではありません。広告のリーチ数、インプレッション率、クリック率などの各種指標を確認しつつ、改善を行っていくことが重要です。こうした各種の指標は、「Facebook広告マネージャ」やInstagramの「インサイト」機能を使って分析することが可能です。
たとえば、複数のパターンの広告を出稿して、より反応率の良いものを絞り込んだり、成果が出にくく費用対効果が良くない広告の出稿を停止するなど、常に状況を見て臨機応変に対応し、PDCAサイクルを回していきます。
最初のうちは成果が伸びにくくなりますが、改善を続けていくうちにAIの機械学習も進むため、費用対効果が改善されていきます。
まとめ:Instagram広告の出し方は簡単でも、成果を出すのは簡単ではない
Instagram広告は、たんに広告を出稿するだけなら簡単です。画面の案内に従って操作してくだけで、だれでも広告アカウントを取得し、広告の配信を行えるようになります。
ですが本当に難しいのは、Instagram広告を運用して、事業の成果を出すことです。
Instagram広告は、ただ出稿するだけでは成果は期待できません。適切な広告戦略の立案、戦略に基づくクリエイティブや遷移先ページの制作、ターゲティングや入札戦略の設定など、さまざまな要素が複雑に絡み合っています。
Instagram広告の成功につながる要素は、さまざまな変数が相互作用しているため、一概に「こうすれば成功する」といった法則はありません。その時々の状況、業種や業態、事業環境、他の施策との関連などを総合的に俯瞰し、経験則で判断していく場面も多くなります。
だからこそ、Instagram広告に関する経験の蓄積が無い場合、なかなか成果が上がらず赤字続きになってしまうケースが多くなります。こうしたリスクを最小化するためにも、Instagram広告の運用を考える際は、こうした施策に強いマーケティング会社等に、早い段階で一度ご相談いただくことをお勧めします。