企業のホームページなどを閲覧した際に、Cookie(クッキー)の利用に関するメッセージが表示された経験はありませんか?画面に表示されたメッセージにはCookieの利用について「承諾」、「拒否」などのボタンはあるものの、しっかりとした説明が記載されていることはほとんどありません。このCookieとは一体どのようなもので、利用を承諾するとユーザーには何が起こるのでしょうか?本コラムでは、Cookieの概要や用途、そのメリットやCookieを巡る問題、規制の動きなどについて解説していきます。
Cookieとは何か
コンピュータに関わる言葉は略称が多いので、Cookieも何かの略だと思われるかもしれません。ただしCookieは略ではなく、以前からこの言葉のまま使われています。またIEEEのような学術研究団体が策定した正式な規格でもなく、いわばインターネット普及の過程で自然発生的に発達したデファクトスタンダード(事実上の標準)的な仕組みです。
CookieはChromeやEdgeのようなWebブラウザを経由し、パソコンやスマートフォンに保存されるデータのことで、実体は単純なテキストファイルです。冒頭に書いたホームページからの承諾要求は、ユーザーIDや入力情報、閲覧履歴を今使っているブラウザを通じて、あなたのスマートフォン(もしくはパソコンなど)に保存してよいか?と聞かれているのです。このような問いかけに応ずる行為(承諾)は「Cookieを受け入れる」と表現される場合もあります。またブラウザによっては、セキュリティのレベルを下げるとすべてのCookieを自動的に受け入れる設定になるものもあります。サンプルを手に取ってもらい比較することができる…インタビュー調査
「インタビュー調査」とは、ご存知の通り、会場を設けてそこに対象者を呼ぶ、または街頭・電話などで対象者に対して直面して質問を実施する調査です。これは、商品の既存消費者だけでなく、購入した事のない消費者の意見を聞くためにも効果的な手法です。これは幅広いユーザーからの意見を聞いたり、競合他社の商品と比較した時の評価を聞きやすいというメリットがあります。
また、シニアの方々の体調やペース、年齢に合わせて、わかりやすくゆっくりと、身振り手振りを交えつつ、聞き取りを進めることができる点もインタビューならでは。さらに、Webからのアンケートではあらかじめ用意した質問に答えてもらうことでしか回答を集めることができませんが、インタビュー調査では対象者からの回答を「なぜ?」という形でさらに質問していくことで、深いところまで意見を集めることができます。
●Cookieを受け入れるとどうなる?
たとえば以前に訪問し、Cookieの受け入れを承諾したページに再度訪問すると「こんにちは!○○さん」などと表示されることはありませんか?また商品の購入時に配送先を記入しようとしたら、名前やメールアドレスが先に表示されていたことはないでしょうか?これらはすべてCookieの仕業で、Cookieによって閲覧者が識別されているのです。
このように書くと個人情報が盗まれているのではないか?と思われる人もいるかもしれません。ただしCookieは閲覧者のパソコンやスマートフォンに保存されており、基本的にあるサイトが発行したCookieは、他のサイトは利用できません。ですからCookieを受け入れることが、個人情報を盗まれることには直結しないと言えます。
Cookieの種類
Cookieの種類は大きく二つに分かれます。1st party Cookie(ファーストパーティクッキー)と3rd party Cookie(サードパーティクッキー)です。この二つは発行元と、機能が違います。
●1st party Cookie
ユーザーがアクセスしているドメイン(http://www.*****co.jp/の、*****の部分)が発行しているCookieを1st party Cookieと言います。1st party Cookieはユーザーにブロックされにくく、精度の高いトラッキング(ユーザーのサイト閲覧情報を収集して分析すること)が可能です。ただしドメイン単位でしかCookieを保存できないので、サイトを横断したトラッキングはできず別のユーザーと認識されてしまいます。
●3rd party Cookie
ユーザーがアクセスしているドメイン以外のドメインが発行するCookieを、3rd party Cookieと言います。1st party Cookieとの違いは発行元だけでなく、その機能にも大きな違いがあります。3rd party Cookieはドメインの制限を受けないので、サイトを横断して利用することができるのです。
たとえばAというサイトを訪問したときにAの1st party Cookieを、加えてAに表示されているBという広告の3rd party Cookieを受け取ってしまえば、Bはサイトを横断してユーザーのトラッキングが可能になります。
3rd party Cookieの詳細については、本コラムの別記事「サードパーティクッキーとは?進む規制と企業に求められる対応について解説します!」をご覧下さい。
Cookieのメリット
Cookieを利用するメリットは、ユーザーと発行側(サイト側)双方にあります。それぞれ確認しておきましょう。
●ユーザーのメリット
・情報入力の省力化
よく訪れるショッピングサイトなどで、購入時に名前や住所などを再入力する必要がありません。また一度ログインすれば、時間が経ってもID・パスワードを再入力せずにログインできるなど、同じ情報を何度も入力せずに済みます。
・広告の最適配信
まったく興味のない広告などは配信されず、関心・興味の高い広告が配信されるようになります。
●発行側(サイト側)のメリット
・ユーザーの行動データ収集
ユーザーのトラッキングデータを収集し、マーケティングに役立てられます。
・広告の最適配信
リードになる可能性の高い顧客に絞って配信を行い、広告コストを抑えることができます。
Cookieのデメリット
Cookieにはメリットだけでなくデメリットもあります。Cookieのデメリットは主にユーザー側に発生する可能性のあるものです。
●Cookieの不正利用
不審なサイトなどを訪問した際には、Cookieの不正利用、または流出などのリスクがあります。
●デバイスの紛失
万が一デバイスが紛失や盗難に遭った場合、デバイス内に残ったCookieが悪用される可能性があります。Cookieにユーザー名やパスワードなどのログイン情報が残っていると、他人がSNSを閲覧したり、過去に利用したサイトに勝手にログインするなどの可能性があります。デバイスには指紋認証などのロックをかけ、モバイルパソコンを屋外(カフェや公共の場所)に持ち出しているときなどは、画面を開いたまま離席をしないように注意しましょう。
Cookieとキャッシュの違い
Cookieと同様に、ユーザー側に保存される情報には「キャッシュ」があります。キャッシュとCookieは何が違うのでしょうか?ここで確認しておきましょう。
キャッシュとは、アクセスしたサイトの画面情報や内容を一時的に貯蔵(cache)しておく技術です。次回そのページを訪問したときに、データを再度はじめから読み込む必要がないため、サイトの表示速度などを上げることができます。Cookieはユーザーの情報を保存し、キャッシュはサイトの情報を保存することが大きな違いです。
マーケティングにおけるCookieの利用
悪用されればデメリットが発生してしまうCookieですが、メリットも多く、特にマーケティングにおいては非常に便利に使える仕組みです。
マーケティングにおいて、Cookie(特に3rd party Cookie)を一番使っているのが「リターゲティング」です。たとえばAと言うサイトを訪問し、Bと言う広告をチェックしたとしましょう。後日、別のサイトを訪問したときにもBの広告が表示されたことはありませんか?これがリターゲティングという広告の手法です。あなたがBの広告をチェック(クリック)したときに3rd party Cookieが送られ、この情報によって同じBの広告が表示されたのです。
また、このようなユーザーの動きをトラッキングすることによって年齢や性別、嗜好を分析し、それに合わせた広告を表示させることも3rd party Cookieを使えば可能です。
Cookieを巡る問題、規制の動き
ただしこのようなCookieの使い方は、プライバシー保護の観点から近年問題視する声が上がっています。実際、上記のような使い方でCookieと他の情報を組み合わせれば、個人識別ができる可能性もあるのです。
EUでは2018年に「EU一般データ保護規則(GDPR)」が施行され、Cookieなどのオンライン識別子を含む個人データを、EU域外に移転することが原則禁止されました。米国・カリフォルニア州でも2020年に「カリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)」が施行されるなど、全世界でプライバシー保護に関する規制は強まっています。日本でも同様に規制の動きが強まっているので、今後の動静には注目しておく必要があります。
Cookieに関する規制の詳細については、本コラムの別記事「サードパーティクッキーの廃止による影響ととるべき対策」をご覧下さい。