SNSコンサルとは?業務範囲・費用・選び方-ネオマーケティング-
ライター:株式会社ネオマーケティング
公開日:2021年11月17日
| 更新日:2024年10月22日
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デジタルマーケティング
今回は、「SNSコンサル」について解説を行っていきます。
SNSコンサルとは、企業などのSNS運用を総合的にサポートするコンサルタントです。ただし一口に「SNSコンサル」といっても、実際にどんな業務を委託できるかは、ケース・バイ・ケースとなります。予算感や品質に関しても一定のものではなく、大きな幅があると言って良いでしょう。
そこで今回は、
・SNSコンサルに具体的にどのような業務を委託できるのか
・予算の相場や規模感
・SNSコンサルの選び方
といった疑問にお答えしながら、SNSコンサルの選定に役立つ情報をお届けしていきます。
SNSコンサルとは
まずは改めて、SNSコンサルとは何か確認していきましょう。
実は、SNSコンサルの明確な定義はありません。そのため、SNSコンサルと言っても、イメージされるものや実際に行われる業務は、場合により異なることもあります。
また、SNSコンサルタントになるための資格なども特に無く、誰でも「SNSコンサル」を名乗ることができます。(※民間団体による検定資格などはありますが、必須ではありません)
こうした現状があるため、クライアントとコンサルタントのミスマッチや、そもそも能力不足のSNSコンサルに依頼してしまうなど、トラブルに注意する必要もあります。
この記事では、SNSコンサルを以下のように定義して、解説を行っていきます。
<SNSコンサルとは>
企業・団体・法人の公式SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)アカウント運用に関して、課題解決や目標達成に資する技能や見識を提供し、その運用を戦略的に支援する業務を担う専門家。
■SNSコンサルとSNS運用代行の違い
SNSコンサルとよく似たサービスに、「SNS運用代行」と呼ばれるものもあります。どちらも明確な定義はなく、業務範囲が重なる部分もあります。
しかし一般的には、SNSコンサルとSNS運用代行には、次のような違いがあると考えて良いでしょう。
◆SNSコンサル … SNS運用の戦略や方針に関する支援業務
運用方針の策定、SNS施策の提案、マーケティング・リサーチやレポーティング等が主な業務となります。
◆SNS運用代行 … SNS運用の実務の代行
SNS投稿コンテンツの作成、投稿作業、SNSを通したユーザーとのコミュニケーションなどを主として担います。
実際には、SNSコンサルであっても、SNS運用代行の業務範囲をカバーしている場合もあります。また逆にSNS運用代行会社でも、月次レポーティングなど、SNSコンサル的な業務も行っているケースもあります。
このように現実的な線引はあいまいですが、
・戦略面でのサポートを重視する場合はSNSコンサル
・実務面の代行を重視する場合はSNS運用代行
といった点を一つの目安とすると良いでしょう。
SNSコンサルの業務範囲
それでは、SNSコンサルの業務範囲について、具体的に解説していきます。この記事では、SNS運用代行と異なる「SNSコンサル」ならではの業務範囲として、戦略面の支援を主に取り上げていきます。
具体的には、以下のような業務が例として挙げられます。
・SNS運用の目的の明確化
・目的達成のための中長期的な戦略立案
・運用方針の提案
・運用ポリシーの策定支援
・SNSマーケティング・リサーチ
・レポーティング
・SNS運用に関するアドバイス
それでは、より詳細な解説を見ていきましょう。
■SNS運用の目的の明確化
目的の明確化は、SNSを効果的に運用するために欠かせない重要なプロセスです。しかし、SNS運用に関するナレッジが社内に乏しい場合、どんな目的を設定すれば良いのか判然とせず、社内で意見がまとまらないことも多いでしょう。
SNS運用の適切な目的設定には、従来の経営情報に加えて、SNSという新しいフィールドへの理解が必要不可欠です。
・自社のコアコンピタンスや経営課題、将来展開に関する理解
・自社プロダクトのマーケットやユーザーに関する情報
・各SNS媒体ごとの特徴
・SNS利用者のトレンド
・SNS文化や情報リテラシーへの理解
…等
従って、SNS運用の構想・検討段階から、専門家であるSNSコンサルのアドバイスを受けることが望ましくなります。
■目的達成のための中長期的な戦略立案
明確化した目的を達成するために、具体的にどのような方針でSNSを運用するのか、グランドデザインを描き出すプロセスです。
プロダクトやサービスの特性、ユーザーのニーズやセグメント、各SNS媒体ごとの特徴など、様々な要素を総合的に勘案して戦略を立案します。中長期的な運用スケジュールの策定や、KPIの設定なども行っていきます。
カスタマージャーニーマップを作成し、SNSを顧客体験のどこに位置付けるのか、どのような体験をSNSを通して提供していくのか、といった点まで戦略的に立案できると、より効果的になるでしょう。
こうした大きな枠組みでの戦略を立案するのが、この段階での業務となります。
■運用方針の提案
より具体的な、SNSアカウントの運用方針に関する提案です。
投稿するコンテンツの方向性、アカウントのキャラクター(人格)作り、ユーザーとどのようにコミュニケーションを取るか等、運用の大きな方向性を定めていくプロセスとなります。
SNS運用は、媒体によって適した方向性が異なります。また、商品やサービスの内容、顧客に求められるもの、ブランドイメージ等によっても、運用方針は大きく変わります。
ブランドイメージと合わない運用を行ってしまうと、思わぬ批判を招いてしまうなどのトラブルにもつながります。こうしたリスクを未然に防ぐためにも、SNS媒体の特性、自社のブランドイメージ、顧客とのコミュニケーション方法などを総合的に勘案し、運用方針を的確に定めることが重要となります。
■SNS運用ポリシーの策定支援
SNS運用ポリシーの策定支援も、SNSコンサルに期待できる業務の一つです。
SNS運用ポリシーとは、運用目的や運用方針、個人情報の取扱、免責事項、著作権に関する定めなどを明確化した規約です。
実際のSNS運用ポリシーの策定には、法務関連の知識も必要となるため、どこまで対応できるかはSNSコンサルによって異なります。社内SNS担当者、SNSコンサル、法務担当者もしくは法律専門家との協議によって策定できると望ましいでしょう。
■SNSマーケティング・リサーチ
SNSマーケティング調査は、アカウント運用開始時のみならず、運用中も継続的に行っていくコンサル業務の1つとなります。
・自社製品やブランドがSNS上でどのように言及されているか調査する「ソーシャル・リスニング」
・SNS全体の話題の傾向などを調べる「トレンド調査」
・自社のターゲットと近い属性が、どのような興味関心を持っているか
・競合他社の製品やブランドがどのように話題になっているか
・競合他社がどのようにSNSアカウントを運用しているか
といった、SNS空間の全体を見渡すリサーチになります。
こうしたSNSマーケティング・リサーチと、自社アカウントのアナリティクスとを統合することで、運用の改善や新しい施策へとつながっていきます。
■レポーティング
こちらも運用中、継続的に行っていくコンサル業務の一つです。
どのような運用を行い、どのような成果があったか、重要KPIの達成状況、SNSマーケティング・リサーチの結果、自社アカウントのアナリティクスなどを取りまとめて、報告が行われます。
月1回程度のレポーティングが、一般的な目安と考えて良いでしょう。
■SNS運用に関するアドバイス
日常的な業務の中で発生する、SNS運用に関する疑問や相談事に対するアドバイスです。ごく簡単なチャットでのやり取りから、オンラインミーティング、対面での打ち合わせなど様々な形があります。
SNS運用の専門家にいつでも気軽に相談できることは、SNSコンサルに業務を委託する上での大きなメリットの一つと言えるでしょう。
SNSコンサルの相場と品質
続いて、SNSコンサルの相場と品質について解説していきます。SNSコンサルは、価格相場によって期待できる品質やサービス内容が大きく異なります。
実態として決まりきった相場はなく、ケース・バイ・ケースで柔軟に対応してもらえる場合もありますが、あくまで参考価格としてご紹介していきます。
■月3~5万円程度のSNSコンサル
・業態:主としてフリーランス(個人事業主)
・業務内容:一日に2~3回程度のかんたんなコンテンツの投稿
月5~8万円程度のSNSコンサルは、ほとんど「SNS運用代行」と変わらないと考えて良いでしょう。業務内容も、一日に2~3回程度のかんたんな投稿のみとなるのが相場です。
月1回の月次レポートも含まれる場合もありますが、施策の意思決定に資するような高品質なレポートは期待できません。どういった投稿を行ったか、簡単な取りまとめ程度になると捉えて良いでしょう。
■月5~10万円程度のSNSコンサル
・業態:フリーランス(個人事業主)または企業
・業務内容:アドバイスや提案、成果検証などのレポーティングのみ
月5~10万円程度のSNSコンサルは、基本的なコンサル業務のみに留まるのが一般的です。
月5万円であれば、月次レポートが月1回のみとなるのが相場と考えて良いでしょう。より多くの相談やアドバイスを必要とする場合は、月10万円程度を見積もっておくと良いでしょう。また、運用代行の実務も依頼する場合、それらの費用は別途発生することが通常です。
■月15万円~25万円程度のSNSコンサル
・業態:主として企業
・業務内容:SNSマーケティング・リサーチ、月次レポート、施策の提案、運用代行実務の一部
月15万円~25万円程度の価格帯では、より本格的なSNSコンサルのサービスを利用できるようになります。マーケティング・リサーチなど、専門性の高い高品質なコンサルティングを受けるためには、少なくともこの水準の予算を確保するのが一般的と言えるでしょう。
戦略的な意思決定に関するコンサルティング業務に加えて、投稿内容のディレクションなど、一部の実務もサービス内容に含まれるケースもあります。
また、この価格帯とサービス内容になると、業態としてはほとんどが企業になります。一部の専門性を持ったフリーランス人材も、これらの価格帯とサービスで業務を行っている場合があります。
■月30万円以上のSNSコンサル
・業態:主として企業
・業務内容:フルセットのSNSコンサル+運用代行実務
月30万円以上のSNSコンサルになると、多くの場合、SNS運用業務のほぼ全てを任せることが可能です。
戦略立案、マーケティング、プランニング、改善策の提案といった上流工程から、日々の投稿コンテンツの作成、ディレクション、SNS利用者とのコミュニケーションといった実務も含めて、多くの業務を委託できることが多くなります。
SNSコンサルを選ぶ5つのチェックポイント
それでは次に、SNSコンサルの選び方について、ポイントを解説していきます。
SNSコンサルは明確な定義もなく、特に必要となる資格もありません。民間団体による「SNSエキスパート検定」等はありますが、これらの検定や資格を所持していなくても、誰でも名乗ることができます。
そのため、SNSコンサルタントの選定は注意深く行う必要があります。どのようなポイントに注意すれば良いのか、具体的に解説していきます。
■ポイント1:委託する目的を、可能な限り明確にする
まず重要になるのは、委託する目的を可能な限り明確にすることです。
・SNS運用を開始するにあたっての、専門的なアドバイスが欲しい
・運用中のSNSアカウントがあるが伸び悩んでいる。成長戦略を具体的に提案してほしい
・日々のSNS投稿業務に手がまわっていない。しっかりと調査分析を行い、計画的な運用を外部委託したい。
…など、なんのためにSNSコンサルをお願いしたいのか、目的を明確にしておきましょう。この点があいまいなままだと、SNSコンサルから提供されるサービスが「思ったものと違う」となり、トラブルになりかねません。こうしたすれ違いを避けるためにも、何のためにSNSコンサルをお願いしたいのか明確にし、社内で認識を共有化しておくと良いでしょう。
■ポイント2:委託したい内容にあった予算を組む
もう一つ重要なポイントは、委託したい内容にあった予算を組むことです。
たとえば、「月5万円で、SNSコンサルと運用代行をワンストップで全てお願いしたい」と考えても、実際にその依頼を受けてくれるSNSコンサルは皆無でしょう。
他の多くのサービスと同様に、SNSコンサルも、予算に応じてサービス内容や品質が変わってきます。低予算で高品質・充実のサービスを、と期待してしまいがちですが、あまりに相場とかけ離れた予算では、問題のある”自称コンサル”しか集まらない等、残念な結果になってしまいます。
依頼したい内容に合わせて、先ほどご紹介した相場から大きく外れないように、予算を組んでおくと良いでしょう。
■ポイント3:SNSコンサルの実力を見極める
この点が最も難しいポイントになるかと思います。
SNSコンサルは、特にこれといった資格なども必要なく、名乗るだけなら誰でもできてしまう肩書きです。そのため、本当に見合った実力があるのかを、慎重に見極める必要があります。
一般論的には、フリーランスのSNSコンサルよりも、企業のほうが信頼性が高いと言われています。しかし、企業だから絶対に信頼できるという話でもありません。
・過去の実績について詳しい話を聞いてみる
・月次レポートのサンプル等があれば、内容を見て充実度を確認する
・正式な依頼前にミーティングを行い、話の内容や受け答えから、信頼できそうか判断する
など、しっかりと検討を行ってSNSコンサルを選定していきましょう。
■ポイント4:「すぐに」「安く」「絶対に」に警戒する
SNSコンサルを見極める上で、重要な指針の一つになるのが、誇張されたアピールです。
・「すぐに実績が上がります」など、早さを過度に宣伝している
・「どこよりも安い価格で」など、安さを過度に宣伝している
・「絶対に成果につがなります」「100%保証」など、必ず成果が上がるかのようなアピールを行っている
こうした「すぐに」「安く」「絶対に」は、特にSNSコンサルでは警戒すべきポイントだと言えるでしょう。
なぜならSNSコンサルは、やればやっただけ成果が出るものではなく、絶対の成功パターンも存在しないからです。
SNS運用は、ダイナミックに移り変わるSNSというフィールドで、多様な価値観や考え方を持った不特定多数の人々の中に飛び込んで、企業活動を行う分野です。無数の外部要因に左右されながら進めていく、不確実性の高いプロジェクトです。
この不確実性の高さが、成功した暁の大きな成果となりますが、注目される成功事例の背景には、誰の目にも見えない無数の失敗があります。
こうしたSNSというフィールドの特性を理解していれば、「すぐに」「安く」「絶対に」とは言えないものです。
■ポイント5:コンプライアンスをチェックする
企業のSNS運用には、極めて高いコンプライアンス意識も必要になります。
わずかでも法や倫理にもとると思われる投稿や、不適切な投稿は、SNS利用者から一斉に批判を浴びてしまいます。それだけでなく、そうした批判騒ぎはすぐにWEBメディアに記事化され、さらに多くの人に拡散してしまいます。
ほんの少しの油断で、企業としての信頼性が一気に損なわれてしまう危険性があることは、決して軽視できません。
そのため、SNSコンサルの選定においても、コンプライアンスの観点からしっかりとチェックを行って、委託先を選定していきましょう。
まとめ:何よりも重要になるのは「信頼感」
SNS運用は、十分な透明性を確保することが難しく、すべての成果が数値化できるほど単純な分野でもありません。
まったく成果が上がらないように見えていても、水面下でじわじわと好評が広がっており、何かのキッカケで急激なヒットをもたらすこともあります。逆に、順調にフォロワー数やインプレッション数が伸びているように見えても、実際には見込みと遠い利用者ばかりが集まっており、なんの成果にもつながらない場合もあります。
不透明で、不確実で、だからこそ多くの可能性を持っているのが、SNSという新しい事業分野です。そしてSNSコンサルは、この困難な事業に乗り出す、重要なビジネスパートナーとなります。
実績、実力、予算、業務範囲、そして何よりも信頼感を重視して、SNSコンサルを選定していきましょう。
ネオマーケティングは国内約2889万人のアンケート会員を保有するパネルネットワークを構築、ご希望の調査対象者にリサーチを実施することが可能です。
マーケティング課題を解決し、必要なデータを取得するための調査設計から、調査結果の活用まで、伴走してご支援しています。リサーチを起点に、デジタルマーケティング、PR、ブランディング支援も行っています。
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