カスタマーサクセスとは?定義や成功のポイントについて詳しく解説
ライター:株式会社ネオマーケティング
公開日:2022年07月26日
| 更新日:2024年10月17日
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カスタマーサクセス(CS)
近年、マーケティングの分野で注目を集めているビジネスモデルにカスタマーサクセスがあります。ただ、カスタマー(顧客)に関する専門用語には「カスタマーサポート」や「カスタマーサティスファクション(顧客満足度)」などがあるため、カスタマーサクセスはそれらとどこが違うのか、やや分かりにくい面があるのも事実です。
今回は、カスタマーサクセスとは何かについて、その定義や成功のポイントについて詳しく解説します。
カスタマーサクセスとは?
カスタマーサクセスとは、能動的な顧客への関わりを通して、「顧客の成功」を実現させることです。
自社の商品・サービスによって成功体験を得られれば、その顧客は自社に対して高いロイヤルティ―(愛着・忠誠)をもつようになります。ロイヤルティが高くなれば、その顧客が自社のビジネスやブランドに生涯をかけてもたらす金銭的価値=ライフタイムバリュー(Life Time Value:LTV)を高めることが可能です。つまり、企業が長期にわたって安定的な売り上げ、利益の確保を目指す上では、より多くのカスタマーサクセスを実現することが重要になってくるわけです。
顧客に成功体験をもたらすには、顧客がどのような課題に直面していて、その解決にはどのような商品・サービスが必要となるのかを考える必要があります。そのためには、企業の側から能動的に顧客と関係をもち、その中で顧客のニーズを掘り起こすことが重要です。
また、顧客に自社商品・サービスを購入してもらった後も、カスタマーサクセスの実現のために、使用方法の提案や契約内容のグレードアップ、付属商品・サービスの提供などを継続して行う必要があります。顧客が自社商品・サービスを利用して課題解決や期待していた成果を実現できるように、企業側が積極的、継続的に関与し、サポートしていくわけです。企業側としては、それらのサポートを行いながら、一定の収益を上げ続けられます。
カスタマーサクセスとカスタマーサポート、顧客満足度との違い
カスタマーサポートとは、自社商品・サービスに対する顧客からの不明点や疑問点に答え、それを解消することを目的とした支援サービスです。基本的に「顧客からの連絡を待つ」という消極的なスタイルであり、KPI(重要業績評価指標)は受電率や電話応答率などが該当します。
一方、カスタマーサクセスは、自社商品・サービスが顧客の成功に直結できるように、企業側から能動的に関係をもち、必要となる支援サービスを提供します。KPIとなるのは顧客との関係継続に関わる指標である契約更新率や離脱率などです。
また、顧客満足度は自社商品・サービスを購入した顧客がどれだけ満足しているかを表す指標で、たとえば顧客の不満解消を目的とするカスタマーサポートなどは、顧客満足度を高めるために行われるサービスです。一方で、カスタマーサクセスはあくまで顧客の成功を目的とするビジネスモデルであり、事業活動の成果確認や改善点抽出を目的として測定される顧客満足度とは意味合いが異なります。
カスタマーサクセスを成功させるポイント
顧客の成功を実現するには、顧客が直面している問題をできるだけ正確に理解することが不可欠です。乗り越えるべき課題が何かが分からなければ、何をもって成功となるのかが分かりません。顧客が置かれている状況をしっかりと理解するために、顧客に関する幅広い情報収集と、精密な分析が必要になってきます。自社が保有する顧客情報だけでなく、必要に応じて外部の業者からデータを集めることもあるでしょう。顧客の課題・ニーズを把握し、それに応じた商品・サービスの提供や改善を行うことが、カスタマーサクセスの実現につながります。
また、顧客の成功を目指すといっても、ボランティア活動をするわけではありません。成功に向けた支援を通して、顧客からの売り上げや利益を上げる必要があります。カスタマーサクセスのビジネスモデルでは、継続的な顧客との関わりを通して必要な商品・サービスの提案を行っていくために、「LTVをどれだけ最大化できるか」という点が重要ポイントとなってきます。
顧客のデータ収集や課題分析が不十分でニーズの掘り起こし・対応に失敗した場合や、自社の商品・サービスのクオリティが低い場合などは、顧客は長期的な購買行動や契約を行いません。そうなるとLTVを高く維持できず、ビジネスとしては失敗となるでしょう。しかし、顧客からの信頼を得て、長く取引が続けば、その顧客から得られるLTVは高くなります。
LTVの最大化を目指す上で重要となるのは、顧客の信頼度です。顧客の課題にきちんと向き合い、顧客に成功体験をもたらすことができれば、顧客は自社を信頼し、長期的な取引や契約を望むようになるでしょう。自社の商品・サービスを継続して利用したいと思ってもらえるような関係性を作ることが、LTV向上につながるわけです。
カスタマーサクセスが重要となるサブスクリプション型ビジネス
近年、カスタマーサクセスのビジネスモデルに注目が集まっている要因の一つに、サブスクリプション型ビジネスの普及があります。
サブスクリプションとは、顧客が商品・サービスを逐一購入するのではなく、契約のもとで定期購入や継続購入するビジネスモデルのことです。かつては書籍類の定期購読などが代表例でしたが、ネット社会となった現在では、「SaaS」「PaaS」「IaaS」などが主流となっています。SaaS(Software as a Service)はクラウド上のソフトウェアをネット経由で利用できるサービス、PaaS(Platform as a Service)はネットワークやサーバーシステム、OSなどをネット経由で利用できるサービス、IaaS(Infrastructure as a Service)は情報システムのインフラをネット経由で利用できるサービスのことです。
SaaS、PaaS、IaaSはサブスクリプション型の契約により利用するのが基本であり、特にBtoB(Business to Business)においては、定期購入するソフトウェアやシステムが事業活動にとって不可欠となっているケースが多いです。この場合、カスタマーサクセスとは顧客である企業の事業活動が成功することを意味し、いわば顧客企業が倒産せずに事業を続けることが、サービス提供企業にとってのLTV増につながるわけです。LTVを最大化するには、顧客である企業が自社のソフトウェアや情報システムを正確に利用し、取り組んでいるビジネスが成功するよう支援する必要があります。
●サブスクリプションで重要な指標となる解約率、アップセル率、クロスセル率
サブスクリプションで顧客と継続的に取引を続ける上でポイントとなる指標として、解約率、アップセル率、クロスセル率などがあります。
解約率とは、定期購入の商品・サービスが顧客によって解約される割合です。サブスクリプションの利用で顧客が成功体験を十分に得ていれば、契約解約には至らないでしょう。解約率が高いことは、顧客が成功体験を得ておらず、カスタマーサクセスの実現に失敗していることを意味します。解約率の高低は、カスタマーサクセスの成否を端的に表す指標であるわけです。
また、アップセル率とは、それまで契約していたサービスから上位モデルのサービスに契約変更する顧客の割合、クロスセル率とはそれまで契約していたサービスに加えて、別のサービスを新たに追加契約する顧客の割合を指します。
アップセル率、クロスセル率の高低は、顧客がそれまで利用してきた商品・サービスにどのくらい満足しているのか、商品・サービス提供企業との関係性はどのくらい良好なのかを表します。アップセル率、クロスセル率が高ければ、商品・サービスに対する満足度が高く、商品・サービス提供企業との関係も良好で、高いLTVが期待できる状況にあるといえます。しかし、アップセル率、クロスセル率が低い場合、将来的に顧客は自社のサブスクリプション型のサービスから離れる恐れがあり、高いLTVを得られない可能性が高いです。
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