次に、オウンドメディアを構築後、運用していく際に講じておきたいSEO対策について解説します。継続的な取り組みとなる運用においては、次の5点を意識していくことが大切です。
▼検索意図(インテント)の分析
ユーザーがどのような考えで検索しているのか、検索意図(インテント)を十分に分析することが重要です。検索ボリュームが大きいキーワードを機械的にピックアップしただけでは、ユーザーがどのような目的・意図でそれらのキーワードに関心を寄せているのか判断できません。インテントのタイプ(検索クエリ)には、大きく分けて次の4種類があります。
【検索クエリの種類】
・Go:行きたい
・Do:したい
・Know:知りたい
・Buy:購入したい
検索クエリに合った情報提供やCTA(Call To Action:行動喚起)を行うことは、オウンドメディア施策の効果を高めるための重要なポイントです。検索意図を分析した上でキーワードを選定しましょう。
▼読みやすくニーズに合ったタイトルの設定
次に、コンテンツごとのタイトルを設定していきます。コンテンツの主眼となるキーワードをタイトルの先頭付近に配置する・サブ(関連)キーワードや共起語(キーワードと一緒に使われやすい言葉)を組み合わせるといったテクニックはあるものの、最も重要なことはユーザーにとっての読みやすさ・内容の判別のしやすさにあると捉えてください。競合サイトよりも上位表示させようとキーワードを詰め込んだ結果、意味が通じないタイトルになってしまうようでは本末転倒です。
タイトルを設定する際のポイントは、ユーザーにとって「この記事を読めば必要な情報を得られそうだ」と思ってもらえるよう意識することです。ユーザーの視点に立ち、読みやすくニーズに合ったタイトルを設定しましょう。
▼ユーザーにとって役立つ情報の提供
設定したタイトルごとにコンテンツを制作していきます。ユーザーが知りたい情報が網羅されるよう、上位サイトのコンテンツを参考にしつつオリジナリティのあるコンテンツを制作しましょう。
ここでも必ず意識しておきたいポイントとして、ユーザーにとって役立つ情報かどうかという点が挙げられます。たとえば、タイトルと文章の内容が一致していない場合、ユーザーから見ると「知りたい情報がどこにも書かれていない」ことになります。こうしたコンテンツはユーザーの信頼を損なうだけでなく、検索エンジンの評価も下げる要因となるため注意してください。
▼内部リンクの設置
コンテンツが一定数ストックされてきたら、関連性の高いコンテンツの内部リンクを設置しましょう。内部リンクとは、同一サイト内の別ページに遷移するためのリンクのことです。関連性の高いコンテンツの内部リンクを設置することで、より多くの情報を得たいというユーザーのニーズに応えられます。
また、検索エンジンのクローラーも内部リンクを辿って巡回することから、適切な内部リンクを設置すれば素早くインデックスがされやすくなります。一方で、関連性の低いページの内部リンクを設置するとユーザーを混乱させるだけでなく、検索エンジンの評価も低下させる原因となるため注意しましょう。
▼効果測定とリライト
コンテンツを公開後は、必ず効果測定を行いましょう。後述するキーワード順位やCTR(クリック率)、CVR(コンバージョン率)などの動向をチェックし、効果が得られているコンテンツとそうではないコンテンツを見極めていくことが大切です。
効果が出ていないコンテンツに関しては、必要に応じてリライトすることをおすすめします。検索意図とのずれがないか、競合サイトと比べて情報の偏りや不足がないか、最新の情報が反映されているかといった点を検証し、ブラッシュアップしていくことが重要です。効果測定とリライト、さらにリライト後の効果測定を繰り返し、PDCAサイクルを回していきましょう。
5.SEO対策の効果測定に役立つ主な指標
SEO対策の効果を測定する際、よく使われる指標を紹介します。複数の指標を組み合わせて活用することで、SEO対策の効果を多面的に評価することが大切です。
▼キーワード順位
選定したキーワードで検索結果の上位表示を獲得できているかを表す指標です。Googleサーチコンソールの「平均掲載順位」や、「BULL」「AZC」「GRC」といった専用ツールを活用することにより、検索順位を調べられます。
キーワード順位は日々変動するため、順位の上昇・下落を注視していく必要があります。キーワード順位が変動する要因は複数ありますが、検索エンジンのアルゴリズムがアップデータされた時はとくに注意が必要です。また、検索意図の変化やコンテンツの情報が古くなっていることなどもキーワード順位が下落する原因となります。上位表示されているからといって安心せず、効果測定とリライトのPDCAサイクルを回し続けることが大切です。
▼セッション数
検索経由でどれだけのユーザーがWebサイトを訪問しているかを示す指標です。Googleサーチコンソールの場合、検索パフォーマンス>検索結果>合計クリック数を閲覧することでGoogle経由での流入数が確認できます。
全体のセッション数とともに確認しておきたいのが「オーガニック検索数」です。オーガニック検索数が上昇傾向にあれば、現状のSEO対策がおおむね正しい方向で講じられていると判断できます。後述するクリック率やコンバージョン数も重要ですが、まずはWebサイトを訪れるユーザー数を確保しなければ成果も見込めません。キーワード順位・セッション数は常に確認しておくべき指標と捉えてください。
▼クリック率
クリック率(CTR)とは、検索結果に表示された中でどれだけのユーザーがサイトを訪問しているかを表す指標です。Googleサーチコンソールでは検索パフォーマンス>検索結果>平均CTRでクリック率を確認できます。
上位表示されているコンテンツのクリック率が低い場合には、検索結果に表示されるタイトルやメタディスクリプション(記事の概要)を見直す必要があります。ユーザーが得られるベネフィットが十分に伝わるタイトルになっているか、メタディスクリプションにキーワードが効果的に盛り込まれているか、といった点を確認してみましょう。
▼コンバージョン数
コンバージョン(CV)とは、コンテンツが意図する最終的な成果のことを指します。たとえば、資料をダウンロードしてもらうことが目的であれば、ダウンロード回数=コンバージョン数です。
セッション数やクリック率の状況が良好であるにもかかわらず、コンバージョン数が低いということは、ページを訪れたユーザーの満足度が低かったり、それ以上詳しい情報を求めていなかったりする可能性があります。あるいは、ユーザーの行動を促すCTAの設置場所が適切でなかったり、CTAの表示方法がわかりにくかったりすることもコンバージョン数が低迷する原因となりがちです。集客したユーザーをしっかりと取り込めるよう、CTAへの誘導方法やCTAの設置方法を見直しましょう。
6.オウンドメディアを成長させるSEO対策の考え方

これまで紹介してきたSEO対策に関する基本を踏まえて、オウンドメディアの成長に必要な考え方をまとめました。次の3点を押さえて運営していくことで、オウンドメディアの着実な成長を目指せるでしょう。
▼SEO以外の集客方法を同時並行で実践する
冒頭でお伝えした通り、SEO対策は数ある集客方法のうちの1つです。SEO対策を適切に講じていくことはオウンドメディアを構築・運営する上で重要なポイントではあるものの、さまざまなリスクも孕んでいることを念頭に置いて取り組む必要があります。
【SEO対策のみに依存するリスク】
・検索エンジンのアップデートに伴い検索順位が大きく変動することがある
・良質なコンテンツを継続的に制作する必要があるため、多くのリソースが必要
・効果が現れるまでに時間を要する
上記のリスクを回避するためにも、SEO対策のみで集客成功を目指すのではなく、さまざまな施策を同時並行で進めていくことが重要です。SNSやWeb広告、メルマガなどの施策もあわせて講じていくことをおすすめします。
▼セッション数とコンバージョン数の改善をバランスよく講じる
SEO対策はバランスが重要です。多くのユーザーを集めるには興味を引くコンテンツを公開していく必要があるものの、集客するだけでは成果につながりません。コンテンツに信頼を寄せ、意図するアクション(資料請求・問い合わせなど)につなげる必要があります。ただし、ユーザーごとに購買意欲の段階はまちまちです。
【想定されるユーザーニーズの例】
・当面は情報を収集しておきたい
・社内で抱えている課題を解決するためのヒントを得たい
・複数の製品やサービスを比較・検討したい
・導入済みの製品・サービスに対する不満を解消したい
さまざまなニーズに応えられるよう、ユーザーのパターンごとに導線を設計しておくことが重要です。「取りこぼしているユーザー層が存在するかもしれない」という視点でCTAの改善を重ねていくことが求められます。
▼オウンドメディアの成長段階に応じてKPIを変える
SEO対策におけるKPIは、オウンドメディアの成長とともに変化していきます。下記は主なKPIの一例です。
【KPI設定の例】
・コンテンツを公開する件数・頻度
・同ジャンルにおける検索順位
・セッション数
・UU(ユニークユーザー)数
・クリック率
・CTAクリック率
・製品・サービスLPへの遷移数
・コンバージョン数
一般的にオウンドメディアを立ち上げたばかりの頃はセッション数が少ないことから、まずはコンテンツの制作数や公開頻度をKPIに設定するのが望ましいでしょう。集客の効果が現れ始めたらセッション数やUU数へとKPIの軸足を移し、徐々にCTAやコンバージョンも気に掛けていくと効果的です。