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インタビュー調査を成功に導くデブリーフィング

ライター:中島 孝介

公開日:2022年01月13日 | 更新日:2024年10月25日

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目次

前回コラム「インタビュー調査成功のコツとは?分析から活用方法など本当のところをお話します」で、インタビュー調査を活用するうえで、調査後の「デブリーフィング」や「ワークショップ」が非常に重要だという話を紹介しました。今回は、デブリーフィングについて深堀りして、どのようなデブリーフィングを行うべきか、お話します。

正しいインタビュー調査とはどういうものか?

インタビュー調査は言葉のとおり、マーケティング課題に対しその解決のために生活者にインタビューを実施します。インタビュー対象者に対し、司会(以下モデレーター)がテーマに沿って質問し回答を得ることが外観ですが、そこから得られる情報は言語以外にも話している時の表情や声のトーン、話し方、身体の動作まで受け手の主観にゆだねられる情報が多岐にわたります。


また、インタビューの内容は必ずしも論理的・合理的な回答とはならないため、人間の非合理な生活風景が描写されています。その非合理について確認していくことで、本人が自分の意識していない感情に気付いたりします。モデレーターには、そういった矛盾点をネガティブに捉えるのではなく、ソフトに問いかけることによって、本人に考えてもらうような会話のキャッチボールが求められます。特にインタビュー調査をよく実施している企業の場合は、この部分に価値・醍醐味が集約されているといても過言ではありません。


このようにインタビューは質的情報だからといって、当たり障りない回答を引き出しているだけでは、もともと理解していたことの域を越えられず、有意義な調査とはなりにくいでしょう。回答が予想できるような1問1答だけでは、そのインタビュー調査から新しい発見を導き出すのは難しいのです。調査で得られる情報量と質を担保するという意味で、数人数にインタビューを実施する価値はここにあります。

 

インタビュー調査にあたっては、事前にインタビューフロー(インタビューの流れ)を整理して臨むことが一般的です。一言4

はされておりますが、実際にインタビュー内容を整理・まとめていくとなると、アンケート調査の集計データのようにきれいに分類するには非常に扱いにくい情報となっています。5年前、10年前はリサーチャーがこれらの情報を処理しレポートにまとめていくことが主流でした。つまり、まとめていくには、分析者(主にリサーチャー)の主観が少なからず入ることになります。これはやむを得ない部分と捉えることも出来ますが、本来は出来るだけ客観性を保ったまま、まとめていったほうがいいでしょう。そのために重要な工程をしっかりと組み込むことが必要となってきます。

この工程をデブリーフィングと呼んでいます。インタビューを聞いていた関係者それぞれがインタビュー内容から感じたこと・印象が違っていた場合、それらがなぜ、メンバーごとに違いが生じたのか、をより掘り下って考えていく場・時間が必要になります。このデブリーフィングはインタビュー直後に時間をとって行うことが通常です。このデブリーフィングについて詳しく説明していきます。

デブリーフィングとは何か?

デブリーフィングとは、インタビュー終了後に関係者で集まり各自がインタビューから感じた気づき・所感を共有し、全体として整理・まとめていく時間のことをいいます。所要時間は1時間程度を想定しておくのが一般的です。もともとは軍隊用語として使われており状況報告や事実を確認するといった意味のようです。


デブリーフィングを実施する際に必要なことは、当然ながらそのインタビュー調査の“関係者”になります。関係者とは、プロジェクトの関係者(クライアント)、モデレーター、リサーチャーや調査会社のスタッフ、等、インタビューを聞いていた人は基本的に対象として含めてかまいません。続いて“その場の発言を記録できるもの”としてホワイトボードとポストイットがよく使用されています。基本的にこれで実施は成立します。


次に進め方ですが、進行役が必要です。これはリサーチ会社の人間がファシリテート役をすることが多いように思います。客観的な立ち位置であることからも向いていると言えるでしょう。


まず、最初は自由に各自が印象に残ったこと・気づきについて発言してもらいます。この時は出席した方で比較的自由に順番を決めて話していきますが、プロジェクトのリーダーは後半に意図的にずらすことが賢明です。リーダーの感じたことと違うことを言いにくい空気にするのはもったいないからです。発言の影響を気にするなら、各々がまずはポストイットに記入してもらうことも効果的です。ポストイットに記入することで本人の頭が整理される時間にもなるからです。


デブリーフィングでも重要なことはインタビューを実施した目的(調査目的)を共有し、この時間でどういったアウトプット/ゴールを得る必要があるのか、全体で認識を合わせます。これは目的によって様々ですが、おおむね共通していることといえば、生活者の潜在的な意識や人物像についての認識合わせや自社商品の購入について生活者の行動プロセスを構造的にしてみることです。

デブリーフィングはしっかりと参加者同士が立場を尊重し、他の人の発言に“意識的”に耳を傾けることが重要です。理由は2つあり、1つ目はインタビューのような質的情報の場合、何が正解かを言い切ることが難しいといった点、2つ目は自分の考えをブラッシュアップさせるための刺激材料になるからです。


デブリーフィングにおいてファシリテーターの役割は、ゴールに向かってどのような意見をこの場でだすことが必要なのか、常に忘れないようにすることがあげられます。そのためにホワイトボードにゴールを書き出しておくことは有効です。あとは、開始前に問いとなるフレームをホワイトボードに書いておくと時間を効率的に使うことができます。例えば人物像であれば、ペルソナのフレームを書き出しておくことがそれにあたります。


細かいところでいえば、発言が特定の人に偏らない目くばせなどの工夫や、控えめな人でも発言がしやすいよう、少し変わった意見を自ら発言したりと、意見を自由に発言できる環境づくりは心がけておきたいところです。

参加者の気づきをしっかりと全体で共有し、目的に対する解としてその場で合意することが出来ればデブリーフィングは成功と言えるでしょう。


正解が難しい現在のビジネス現場において、このように関係者で一丸となる時間を創ることは非常に意義があると考えていいと思います。インタビュー調査では、インタビューのみに重きを置くのではなく、同じくらいデブリーフィングも重要と考え、しっかり実施することが結果としてインタビュー調査をやってよかった、となるでしょう。

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中島 孝介
WRITER
中島 孝介
リサーチ歴20年。主にメーカー、サービス事業会社向けにマーケティング課題から一緒に解決プランをつくるリサーチを実施。 2013年からデザイン思考を取り入れ、商品・サービス開発のサポートに携わる。2019年よりネオマーケティングに加入。デザイン思考セミナー講師/行動観察セミナー講師

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