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n=1はどれほどの共感を呼ぶのか ~自主調査第二弾 柔軟剤編~

ライター:加藤 賢大

公開日:2023年09月06日 | 更新日:2024年10月24日

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目次

アンケートやインタビューで「n=1」のキラリと光る原石を見つけたと思っても、それが本物の原石なのか、石ころなのか判断がつかず悩ましい経験をされたことはないでしょうか。

そこで、今回の記事では、「n=1」のポテンシャルをご理解いただくために、自主調査結果と考察を交えながら解説します。初めての方にもわかりやすいように丁寧に解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。 

・調査概要
調査は2つ行い、1つ目では「純粋想起(自由記述形式)」で意見を収集します。
その中から多数派の意見と少数派の意見を任意にピックアップし、2つ目の調査で「助成想起(複数選択形式)」で聴取しました。 

調査概要

 

柔軟剤の潜在的価値は、「着心地が良くなること」!?

柔軟剤のポジティブイメージについて、自由記述形式と複数選択式による回答を並べてみたところ、自由記述形式では1%にも満たない少数意見であったものの、複数選択形式では多くの人が選択しているイメージがあります。

例えば、「着心地が良くなる」「香りが長続きする」「除菌・抗菌・殺菌してくれる」は、自由記述形式では極僅かな意見ですが、複数選択形式では20%~40%の人が選択しています。

これは、「誰も言っていないけど、言われてみれば、確かに!あるある!わかる!」といった状態を指していると思われます。そういった意味で、これらは「潜在的なアタリマエ(潜在的価値)」だと捉えることができそうです。

Q.「柔軟剤」に対してどのようなイメージがありますか。ご自由にお答えください。(お答えは具体的に)
Q.「柔軟剤」に対してどのような良いイメージがありますか。(お答えはいくつでも)
※自由記述形式の回答は、アフターコーディング(AC)という選択肢化の処理をしています(以降同様)。
  

柔軟剤の潜在的価値は、「着心地が良くなること」

柔軟剤の潜在的”不”は、「香り選びの難しさ」!?

同様に、柔軟剤のネガティブイメージについて確認すると、「香り選びが難しい」「すぐになくなる」「コストパフォーマンスが悪い」「適量がわからない」が、言われてみれば不便・不満に思われている、潜在的な”不”であると捉えることができそうです。

Q.「柔軟剤」に対してどのようなイメージがありますか。ご自由にお答えください。(お答えは具体的に)
Q.「柔軟剤」に対してどのような悪いイメージがありますか。(お答えはいくつでも)
 

柔軟剤の潜在的”不”は、「香り選びの難しさ」

柔軟剤の潜在的な利用シーンは、「部屋干しするとき」?

同様に、柔軟剤の利用シーン・場面について確認すると、「部屋干しするとき」「汗をかきやすい衣類」「肌に直接触れるもの」「パジャマ」が、言われてみればそういうときに使っている、潜在的な利用シーンであると捉えることができそうです。

Q.「柔軟剤」をどのようなシーン・場面で利用しますか。ご自由にお答えください。(お答えは具体的に)
Q.「柔軟剤」をどのようなシーン・場面で利用しますか。あてはまるものをすべてお選びください。(お答えはいくつでも)
 

柔軟剤の潜在的な利用シーンは、「部屋干しするとき」?

n=1は80倍の共感を呼ぶ

最後に、n=1含む少数意見はどれほどの共感を呼ぶのか確認してみました。

まず、自由記述形式(n=1000)の回答比率に対し、複数選択形式の回答比率が何倍かを算出します。
次に、自由記述形式(n=1000)において、n=10以上(1%以上)とn=10未満(1%未満)に分類した上で、それらの倍数の平均値を算出して比べてみました。

結果、自由記述形式(FA)で
「n=10以上(1%以上)」の意見は、複数選択形式では10倍程度にとどまったが、
「n=10未満(1%未満)」の意見は、複数選択形式では80倍にも跳ね上がった。

もちろん、「n=10未満(1%未満)」の意見は、元々が少ないため倍数は大きくなりがちではありますし、今回の調査では数問での検証のためすべてにあてはまるというわけではないと思われますが、「n=1は80倍の共感を呼ぶ」可能性があるという示唆を得ることができました。
n=1は80倍の共感を呼ぶ

まとめ

今回は、以下の点についてお話しさせていただきました。

 

1.柔軟剤の潜在的価値は、「着心地が良くなること」!?
2.柔軟剤の潜在的”不”は、「香り選びの難しさ」!?
3.柔軟剤の潜在的な利用シーンは、「部屋干しするとき」!?
4.n=1は80倍の共感を呼ぶ

マーケティングリサーチの現場では、純粋想起やインタビューにおいて、たった一人の意見だからと採用することに迷われるケースは多いと思いますが、しっかりと定量的に検証することで、それが多くの共感を呼ぶトレジャーデータになりえると、自信を持っていただくきっかけになれば幸いです。

本コラムの第一弾は「冷凍食品」をテーマにしています。
よろしければ以下のURLからご覧ください。
https://corp.neo-m.jp/column/researcher_018/

 

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加藤 賢大
WRITER
加藤 賢大
マーケティング業界歴10年超。2011年よりネオマーケティングに入社。リサーチのみならず、WebマーケティングやPR、ニューロ・IoTなど、各種ソリューションを駆使して顧客の課題解決に尽力。 武蔵野美術大学と共同で新サービス開発及び論文発表、日本マーケティング協会主催のマーケティングAI研究会に参加するなど研究活動にも従事し、幅広い業務に携わる。

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