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グループインタビュー不要論~顧客の真の理解と深の理解は量ではない~

ライター:吉原慶

公開日:2022年06月22日 | 更新日:2024年10月09日

カテゴリー:
目次

本コラムではインタビュー調査の目的に立ち返り、グループインタビューの問題点を考えていきます。

グループインタビューのメリット、果たして本当か?

グループインタビューのメリットと(いわれているもの)しては、次の4つが挙げられます。


1)生活者の本音を引き出すことができる
直接、対話をすることで、定量的なアンケート調査では知ることができない生活者の意見や
態度を知ることができ、その裏にある背景や本音を引き出すことができる。


2)グループダイナミクスが起こる
他者の意見によって、本人も気づいていなかったことに気づくことができる。場が盛り上がり、
意見を交換することで相乗的に発見が生まれる。


3)短い時間で調査ができる
一度に5〜6人の話を聞くことができるので、効率よく生の声を集めることができる。


4)グループ間での違いを確認できる
属性の違う人たちでいくつかのグループを構成し、インタビュー調査をすることで、属性による意見の違いを比較することができる。

こう言われると、確かにグループインタビューは生活者のインサイトを探るよい手段だと感じるかもしれません。しかし、本当にそうでしょうか?

グループインタビューの問題点:グループダイナミクスなんて起きない

「グループダイナミクスが起こる」ことで、参加者の本音を引き出せる、と言われていますが、多くの場合、インタビューに参加する人は互いにそのとき初めて会った人たちばかりです。
女子高生グループやママ友同士など、すでに関係性があれば別ですが、全員が「はじめまして」の状態で、人はどこまで自分のことを遠慮なく、素直に話すでしょうか。

参加者にはさまざまな人がいます。ことさら自己主張をする人もいて、そうなると、他の人たちは萎縮してしまいます。言葉を選びはじめ、場の空気が微妙なものになることも珍しくはありません。マウントを取るとまではいかなくても、どこか見栄を張ってしまう心理だって働きます。

一見、「そうそう!」とグループダイナミクスが生まれたように見えても、ただ単に他の人の意見に影響されたか、同調したというケースがほとんど。他者の意見によって自分の深層心理に気づく、といった場面は正直、見たことがありません。極めて日本人的なのかもしれませんが、グループダイナミクスはそうそう起きないのです。

 

グループインタビューよりデプスインタビュー、インタビューは量ではない

調査時間についても、グループインタビューは短い時間で調査ができるというよりも、時間が足りないというのが実際です。
グループインタビューは通常90分から120分程度行います。たとえば、6人で120分のグループインタビューであれば、単純計算で1人に話を聞ける時間は最大20分です。
しかし途中、1人の話が長引けば、そのぶん、他の人の時間は削られていきます。ある人がしゃべり続け、終わってみたら他の人は10分程度しか話が聞けなかったということはよくあることです。たった10分でその人の何がわかるのでしょうか。

また、メリット4の「グループ間での違いを確認できる」という点に関しては、属性の違う人の意見を比較すればいいのですから、グループインタビューである必要性はありません。

「深層心理や行動背景を理解する」のがインタビュー調査の目的です。ある人のことを理解しようとするのなら、1対1で、「なぜですか?」「どうしてでしょう?」「これについてはどう思いますか?」とていねいに探索していく必要があります。1対1のデプスインタビューでなければ、その目的を適えることはできないのです。

デプスインタビューのメリット

5〜6人のグループインタビューで「量的にたくさんの意見を聞きたい」と、グループインタビューを希望されるケースは少なからずあります。しかし、1人が5〜6人になったところで量を確保できたとはとても言えません。「量」を目的にするのであれば、定量的にアンケート調査を行えばいい。

あくまでインタビュー調査の目的は、質的に「生活者の生の声からその深層心理や行動背景を理解すること」にあります。その目的に合うベストな方法はデプスインタビューです。実際、気づいている人は気づいていて、ネオマーケティングで支援するインタビュー調査の割合は年々、デプスインタビューの比率が高まっています。

デプスインタビューはコスト面で負担が大きいというイメージがある方もいるようですが、これは一概に言えるものではありません。
デプスインタビューはモデレーターの拘束時間が長くなる傾向があり、その分の負担は増えます。一方で、複数人を集めるグループインタビューは参加者へのモニター謝礼が多くかかる。コストはグループかデプスかではなく、全体の調査設計次第です。

デプスインタビューの応用でアイデアやインサイトの探索ができる

インサイトの発見には、デプスインタビューを掛け合わせたエスノグラフィー調査をお勧めしています。

それは以下の2つの理由からです。

 

1. 訪問観察調査で自宅の様子をみながら話を聞くコトで気づきに深みがでる
2. 日々の日記を書いてもらってから話しを聞くコトで気づきに深みがでる

新商品のアイデア探索も、既存商品の課題探索も、顧客起点でマーケティングを行おうとする場合は、デプスインタビューによるn1分析(n=1,1人を徹底的に深堀り分析する)を実施します。


いかなる調査であろうと、「意図」と「目的」を明確にして実施することが重要です。
グループインタビューを実施したけれどこれといった発見はなかった、あるいはグループインタビューを慣習的に行ってきたという方は、一度、1対1のデプスインタビューの実施を検討してみてはいかがでしょうか。
(※どうしてもダイナミクスを起こして、アイデアを探索したいのであれば友達、仲間同士でグループを構成することを推奨します。



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吉原慶
WRITER
吉原慶
マーケティング会社を経て、上場企業のマーケティングリサーチ会社に移籍。 リサーチャーのチームを立ち上げ、マネージャーとして後進の育成や社内外での勉強会やセミナーの開催、新サービスの開発を担当。 2022年ネオマーケティング(エキスパートグループ)に合流し、現在はストラテジックリサーチャーとして「リサーチを起点に、デジタルマーケティング・PRグループとのシナジーを生み出す」ことをミッションにしている。

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