Instagram運用とは、新商品のPRやブランディングなどの目的を達成するために、Instagramを活用することです。とくに写真や動画など、ビジュアルコンテンツを重視する場合に、Instagramがよく使われます。
ターゲット・ペルソナに合ったコンテンツの作成・投稿をし、Instagram内の機能を使ってパフォーマンス分析をするのが基本的な流れです。
Instagram運用に向いている商材
Instagram運用に向いている商材は、セグメントが明確な商材です。しかし幅広い層に対してリーチするマス向けの商材も、場合によってはInstagram運用に適しています。セグメントが明確な商材とマス向けの商材を、それぞれ詳しく解説します。
セグメントが明確な商材
どちらかといえば、セグメントが明確な商材のほうが、Instagram運用とは相性がよいといえるでしょう。「好きな人には好きなもの」や、「必要としている人には、本当に必要なもの」のほうが、相性はよくなります。
たとえば、「アパレルブランド」よりも「女性向けアパレルブランド」のほうが相性がよく、さらに「低身長の女性向けアパレルブランド」のほうが、よりセグメントを絞り込めるのです。
この背景には、先ほど触れたように、価値観の多様化があります。多くのユーザーは、より「自分にピッタリのもの」を探しています。しかし、何が「自分にピッタリ」となるかは、人によって異なります。価値観が多様化しているため、人それぞれの「自分にピッタリ」も、より細分化され具体化されているのです。
これをユーザー目線で考えれば、「自分にピッタリくるものを探すのが困難になっている」ともいえるでしょう。しかし、だからこそ、「この商品は私にピッタリだ」と感じるものに出会った時、ユーザーはその商品やブランドのファンになり、同じ価値観をInstagram上で共有しているコミュニティーにも積極的に広めていきます。
従って、「誰にでもそれなりに好かれるもの」よりも、「好きな人には好きなもの」のほうが、セグメントが明確であり、Instagram運用には相性がよいといえます。
マス向けの商材
「セグメントが明確なほうが、Instagram運用には相性がよい」と解説しましたが、だからといってマス向けの商材が不向きなわけではありません。著名な例を挙げれば、大手自動車メーカー各社もInstagramアカウントを運用し、数多くのフォロワーを獲得しています。
- トヨタ自動車(Toyota_jp) … フォロワー数46.5万人
- ホンダ自動車(hondajp) … フォロワー数14.3万人
- 日産自動車(nissanjapan)… フォロワー数20.8万人
商材自体がマス向けであっても、「こういった人に、この商品の、この使い方をアピールしたい」など、投稿の目的をより具体的に絞り込むことで、Instagramと相性のよい投稿を計画的に行うことが可能になります。
たとえば自動車の場合、大きな分野で捉えればマス向けですが、「子育て中の世帯に対して、新しい軽自動車の荷物を多く積める点をアピールしたい」と考えれば、セグメントをしっかりと絞り込めます。
このように、マス向けの商材でも、投稿単位で目的や戦略を変えて、柔軟に運用することも重要です。
Instagram運用のメリット
Instagram運用のメリットは、以下の5点です。
- 広告費をほとんどかけずに顧客にリーチできる
- ブランディング戦略の一環になる
- 視覚的なPRができる
- ECとの相性に優れている
- マーケティング施策の分析・改善に役立てられる
それぞれのメリットを詳しく解説します。
広告費をほとんどかけずに顧客にリーチできる
Instagram運用のメリットは、広告費をほとんどかけずに顧客にリーチできるポテンシャルを秘めているところです。Instagramは、アカウント開設や運用に費用がかかりません。
ある程度フォロワーを獲得できれば、無料でInstagramを使いながら、ターゲット顧客とコミュニケーションが交わせます。広告費に換算すれば、数百万円や数千万円以上の成果が期待できます。
たとえば新商品の情報を投稿すると、広告費をかけずに宣伝が可能です。
ブランディング戦略の一環になる
ブランディング戦略の一環になるのも、Instagram運用のメリットです。Instagram運用に成功すれば、自社の製品やサービス、ブランドのファンを増やせます。
企業にとって「ファン」とは、従来の「顧客」とは異なる存在です。製品やサービス、ブランドを自分の一部のように愛好し、購入だけでなく、口コミなどの情報発信にも積極的に取り組んでくれます。また、他社の類似製品に乗り換える「ブランドスイッチ」も発生しにくく、長期的・安定的で良好な関係を維持できます。
企業にとってファンとは、エバーグリーンな収益をもたらす存在だといえるでしょう。
そうしたファンを獲得できることが、Instagram運用の成功によってもたらされる、大きな成果になります。
視覚的なPRができる
視覚的なPRができるのも、Instagram運用のメリットです。前述のように、Instagramは写真や動画を共有することに特化しているため、視覚的なインパクトを通じてブランドの魅力や商品の特徴を伝えられます。
「インスタ映え」などの言葉に代表されるように、Instagramは「おしゃれさ」「きれいさ」を重視するプラットフォームです。限定商品のプレビューや、特別なイベントの様子など、さまざまな視覚的PRの戦略が考えられます。
ECとの相性に優れている
ECとの相性に優れているのも、Instagram運用のメリットです。Instagramにはショッピング機能が備わっており、自社のECサイトと連携できます。
具体的には、投稿に「商品名」や「値段」などのタグをつけて、自社サイトへ誘導します。自社の魅力を発信するだけでなく、ショッピング機能や広告機能を使って、販売促進に使えるのが大きな利点です。とくにアカウントの影響力が大きい場合は、かなりの宣伝効果が期待できます。
マーケティング施策の分析・改善に役立てられる
マーケティング施策の分析・改善に役立てられるのも、Instagram運用のメリットです。Instagramには「インサイト機能」が備わっており、アカウント全体のパフォーマンスや投稿ごとの分析ができます。
たとえば、「フォロワーが最もアクティブになる時間帯をインサイト機能で確認し、最適な投稿時間を特定する」「どの投稿やストーリーが最も高いエンゲージメント(いいね、コメント・など)を獲得したかを分析し、コンテンツ戦略を考える」といった使い方です。
Instagram運用のデメリット・注意点
Instagram運用には多くのメリットがある一方で、以下のようなデメリット・注意点もあります。
- 運用の手間・コストがかかる
- 若い世代中心のPRになりがち
- 全業種で活用できるわけではない
それぞれのデメリット・注意点を詳しく解説します。
運用の手間・コストがかかる
Instagram運用のデメリット・注意点は、運用の手間・コストがかかる点です。Instagramの運用は、ただコンテンツを投稿するだけでなく、ユーザーとのコミュニケーションなど多くの手間がかかります。
とくに最初は、ある程度の規模までアカウントを育てなければなりません。自社のリソースだけで対応できず、一部の業務をアウトソーシングする可能性もあるため、大きくコストがかかってしまう可能性があります。
若い世代中心のPRになりがち
若い世代中心のPRになりがちなのも、Instagram運用のデメリット・注意点です。プラットフォームによって異なりますが、Instagramは、比較的若い世代が多く活用しているSNSに分類されます。
たとえばシニア層をターゲットにした商品を開発しており、その情報をコンテンツとしてまとめる場合、うまくリーチできない可能性があります。自社でやりたいことを明確化し、Instagramの性質がそれに合っているかどうかを確認しましょう。
全業種で活用できるわけではない
全業種で活用できるわけではないのも、Instagram運用のデメリット・注意点です。SNSによってさまざまなカラーがあり、業界・業種によってはアピールが難しい可能性があります。
Instagramはビジュアル方面を重視しており、前述のように、「おしゃれさ」「きれいさ」のある投稿が伸びやすい傾向にあります。アパレル業や観光業など適した業界・業種がある一方、そうではないところもあるため、注意が必要です。
Instagram運用を成功させるためのポイント
Instagram運用を成功させるためのポイントは、以下の3点です。
- 目標を明確にする
- データを活用してPDCAサイクルを回す
- フォロワー増加のための施策を考える
それぞれのポイントを詳しく解説します。
目標を明確にする
Instagram運用を成功させるためには、目標を明確にするのが重要です。たとえば「ブランド認知度の向上」を目指す場合、視覚的な魅力を活かしてブランドイメージを高め、フォロワー数の増加により広範な顧客基盤を構築します。
「ECサイトへの誘導」を目的とする場合、具体的な商品の魅力を伝える投稿を通じて、直接的な売上増加が期待できます。上記のように、設定する目標によってとるべきアクションが大きく異なるため、まずは担当者間で認識のすり合わせを行いましょう。
データを活用してPDCAサイクルを回す
データを活用してPDCAサイクルを回すのも重要なポイントです。Instagram運用をする際は、必ずインサイト機能を活用しましょう。定めた目標に合わせて、「目標を達成できているか」「足りない部分を補うためには何が必要か」を考えます。
データを活用しつつ、PDCAサイクルを回すことで、運用のノウハウが蓄積していきます。Instagramだけでなく、他のSNSを活用する際も大きく役立つでしょう。
フォロワー増加のための施策を考える
フォロワー増加のための施策を考えるのも、Instagram運用を成功させるためのポイントです。認知度向上やファン獲得、集客、販売促進などを目的とする場合、フォロワー数の増加は成果に直結します。
現代では無数のコンテンツが溢れており、その中でいかに「このアカウントのために時間を使いたい」と思わせるかが重要になります。フォローする価値のあるコンテンツ発信を軸に、戦略を考えましょう。
まとめ
Instagramは、大きなポテンシャルをもつプラットフォームです。アカウントの開設・運用ともに費用は発生せず、数百万円〜数千万円程度の広告効果を生み出す可能性があります。
とはいえ、ただアカウントを開設して無計画に運用するだけでは、成果は期待できないといった難しさもあります。まずは自社のビジネスモデルとInstagramの相性を確認し、目標を明確化してから、フォロワーを増やすための戦略を考えましょう。