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マーケティングリサーチャーという仕事の魅力とあるべき姿を言語化してみた─リサーチャーという人はいない、みんな違ってみんないい─

ライター:吉原慶

公開日:2025年02月10日

カテゴリー:
目次

この記事は、私自身がマーケティングリサーチの現場で感じ、学んできたことを綴ったものです。
データの裏に隠された「意味」を探り、未来の意思決定へとつなげる――そのプロセスの中で、私が出会った多様な視点や挑戦、そして気づきの数々を書きました。


マーケティングリサーチャーとして、私なりに感じた「リサーチの本質」や「みんな違ってみんないい」というメッセージを、どうか共感していただければ幸いです。

私の思う「マーケティングリサーチャーという仕事の本質」

 

「マーケティングリサーチャーは、単なる情報収集者ではない」。これは、私がリサーチという仕事に携わり続ける中で、最も強く感じることです。
リサーチの本質は「データを集める」ことではなく、その背景にある「意味」を探り、未来の意思決定を支える点にあります。
仮説をたしかめ、インサイトを探索する。そこにこそリサーチの価値があり、私たちはクライアントや事業に深く関与する“パートナー”として機能しなければなりません。
リサーチのゴールが曖昧なままデータだけ集めても、それは「So what?(だから何?)」という疑問を投げかけられてしまうでしょう。

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マーケティング課題を出発点とし、その課題解決のために必要なデータと洞察を得る――これこそがリサーチャーの本質的な役割だと考えます。

 

出会いが教えてくれたマーケティングリサーチの本質

 

私自身、数々のスペシャリストとの出会いを通じて、リサーチの価値を再認識してきました。
ストラテジックプランナーはリサーチが戦略にどのように活きるかを示し、
クリエイティブディレクターはリサーチがアイデアを形作る力を持つと教えてくれ、
コピーライターはリサーチから生まれた言葉が人々の心を動かす威力を示してくれました。
事業会社のマーケターはリサーチが意思決定に果たす大きな役割を体現していました。

 

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これらの学びを通して、リサーチは単に「調査」を行うだけでなく、成功や失敗を大きく左右するプロセスなのだと強く感じています。
このような自然と学べる環境は、マーケティングリサーチャーにとってこの上ない幸せではないでしょうか。リサーチ機能に特化したマーケティングリサーチ会社出身の身としてはこの環境は贅沢そのものだと思っています。

 

リサーチの品質にちゃんと向き合い、“性善説”からの脱却を図りたい

 
ずっと見て見ぬふりをしていた部分があります。というより諦めていたという方が正解かもしれません。それは「リサーチの品質」です。
こんなものだろう、そういうものだ、ある程度は仕方ない、ずっとそうだったから・・・理由にも言い訳にもなってないですが、あまりにも自分本位の言い分で、無責任だなと思い改めるようになりました。それは、マーケティングリサーチが活かされる様を見聞きできる今の環境に身を置いたからでしょう。
いくら優れた戦略やクリエイティブを生み出そうと頑張っても、その根拠となる「データの確からしさ」が揺らいでいては意味がありないと。そんな背景もあり、真摯に向き合うべく、リサーチにおける品質を、以下の“三層構造”で捉え直し定義しました。
 
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下段:データの確からしさ(ここが最重要)
「このデータは正しいのか?」という疑問を常に持つことが、すべての土台です。性善説で「デ
ータは正しいだろう」と思い込むのではなく、きちんと不正やノイズを排除し、正確な回答を得
る仕組みづくりが不可欠です。

中段:与件整理
背景や課題を整理し、調査目的を明確にするとともに、クライアントの期待値と実際のリサー
チ可能性を擦り合わせるフェーズです。ここが曖昧だと、調査結果が得られても「だから何?」
となってしまいます。

上段:設計
調査手法や設問構成、分析方法など、具体的なリサーチ枠組みを考える段階です。ここでど
れだけ素晴らしい設計をしても、下段・中段が甘ければ意味を成しません。

つまり、マーケティングリサーチの品質とは「データの確からしさがあり、与件整理が適切に行われ、きちんと設計されたリサーチ」であると定義しました。言い換えれば、ここが担保できていなければリサーチャーの役目は果たせません。
ぜひ、こちらもご覧いただければ幸いです。
 

マーケティングリサーチャーは「みんな違ってみんないい」

 
マーケティングリサーチの品質に真摯に向き合うことを約束しましたが、リサーチャーはどうあるべきなのか?についても真剣に考えてみました。


AI時代におけるリサーチャーの役割も考えてみた


AIの進化により、データ収集や定量分析はますます自動化が進む中で、リサーチャーの役割が問われる時代になっています。しかし、リサーチャーが不要になるということは決してないでしょう。むしろ、AIが苦手とする、言葉の微妙なニュアンスや意図を読み取る感性、言行不一致の中から新たな洞察を引き出す力、そして経験や直感に基づいた創造性は、依然として人間にしか発揮できない重要なスキルだと考えます。加えて、社内での調整や説得、合意形成といったプロセスも、単なるデータ分析だけでは補えない人間特有のスキルといえるでしょう。
 
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AIを「敵」と捉えるのではなく、「AIという新たな職種の仲間」として協働する意識が求められます。自動化できる部分はAIに任せ、人間にしかできない創造的な部分に注力する—まさに、AIが土台を築き、人間がその上に仕上げるという役割分担が、リサーチの質と価値をさらに高めると確信しています。
またAIに完璧を求めないこと。不誠実な指示をしないこと。御礼をいうこと。失敗を責めないこと。こういった姿勢も必要でしょう。
 
 

マーケティングリサーチャーからストラテジックリサーチャーへ

今後ますます、マーケティングリサーチャーに求められるスキルや要件は多様化し、拡大していくと考えています。
新たな価値を生み出すためには、正確なデータと深い洞察が不可欠です。そのために重要なのは、リサーチャー自身が「一消費者としての視点」を忘れず、常に自らを俯瞰し続ける姿勢を持つことだと考えます。

さらに、リサーチ結果をそのまま提示するだけではなく、戦略的に活用し、具体的なアクションプランに落とし込むスキルを備えた「ストラテジックリサーチャー」への進化も求められています。
データの収集・分析で終わらず、そこから導いた示唆を実際の施策や戦略へと結びつける力が、これからのリサーチャーにとって最大の武器となるのではないでしょうか。
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リサーチャーからマーケティングリサーチャーへ、マーケティングリサーチャーからストラテジックリサーチャーへ。そんなところでしょうか。
 
 

リサーチャーはみんな違ってみんないい

そして、組織に属するリサーチャーは多様でいい。というより、多様性こそ重要と考えます。「リサーチャーはみんな違ってみんないい」という言葉のとおり、各人が異なる強みや特性をもっていた方がよいです。全員横並び、全員が平均点ではなくてよいと思うのです。凸凹していても個々が特異な凸を持っている方がよいと思うのです。
たとえば、直感や感性を活かして洞察を導く右脳派のリサーチャーもいれば、論理的思考やデータ分析に秀でた左脳派のリサーチャーもいます。
クライアントやチームとの対話によって新たな価値を創出する共創型のリサーチャーがいれば、黙々と集中して精緻に掘り下げるタイプのリサーチャーもいます。

・右脳派は感性や直感を活かし、洞察力に優れる。
・左脳派はデータ分析やロジカルな思考に長ける。
・共創型のリサーチャーはチームでの対話を通じて新たな価値を生み出す。
・黙々と分析するタイプは細部を掘り下げ、徹底的に精度を高める。
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これら多様な強みが組み合わさることで、組織としてのリサーチ力は大きく高まります。一人ですべてを完璧にこなす必要はありません。
むしろ、いろいろな視点やアプローチがあってこそ、リサーチの奥行きが増し、本当の価値が生まれるのです。だから「リサーチャーはみんな違ってみんないい」と思うのです。
 
 

完璧主義から7割主義へ

リサーチャーには、常識を疑い、未知の地平を切り拓く姿勢が欠かせません。従来のやり方や発想に縛られていては、変化の激しい時代やニーズの移り変わりに対応できないからです。
ときには当たり前を壊し、新しい問いを立てる勇気が必要になります。
「できない理由」を並べるのではなく、「どうすればできるか」を模索する姿勢が大切です。
マーケティングのスピードが加速する今、完璧なプランを作ることよりも、「とりあえず試してみる」行動力が重要です。トライ&エラーを繰り返すことで、新しい可能性やインサイトが得られ、リサーチャーの価値も高まります。
例えば、提案を行う際、何日も時間をかけるのではなく、たたき台や草案の段階でも早めに共有することが重要です。また、レポートの納品も、2週間後を待つのではなく、大枠の傾向や示唆の方向性が見えた時点で、お客様とコミュニケーションをとるべきです。
完璧を求めるのではなく、「7割の完成度でまず試してみる」というスタンスが求められます。むしろ、自分の中で完璧だと思っていても、それが自己満足に終わる可能性もあるのです。
 
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リサーチの領域に「絶対的な正解」はありません。だからこそ、新たな視点の問いを立て、これまでの枠組みを超えた挑戦を繰り返すことが大切です。
その先にこそ、マーケティングリサーチャーとしての本当のやり甲斐と価値があると信じています。今後も、まずは「データの確からしさ」を最優先に考えながら、固定観念にとらわれず、新しい発見と価値創造を追求していくべきです。
 


マーケティングリサーチャーとしての信念

マーケティングリサーチは単なるデータ収集ではない。
マーケティングリサーチは、正確で信頼性の高いデータを基盤にしながら、その先にある意味や洞察を引き出し、具体的な戦略やアクションに結びつける、極めてクリエイティブかつ戦略的なプロセスです。
 
 

人間ならではの感性と創造性の重要性

AIがデータ収集や定量分析を担う時代になったとしても、微妙なニュアンスや直感、創造的な視点など、人間にしか発揮できないスキルがリサーチには不可欠であると信じています。
 
 

「みんな違ってみんないい」多様な視点と個々の強みの尊重

リサーチャーは皆一人ひとり異なる強みや特性を持っており、その多様性が集団としてのリサーチ力を高めると考えています。リサーチャーも個々の独自性が大切です。
 
 

実践とトライ&エラーを重んじる姿勢

完璧を求めるよりも、まずは「7割の完成度」で試してみる行動力が、新たな発見やインサイトを生む鍵であると信じています。失敗を恐れず、実践と経験から学びながら成長していく姿勢が不可欠です。
 
 

リサーチの品質と誠実な姿勢

リサーチの質を担保するためには、データの確からしさを最重要視し、与件整理や設計など、基本となるプロセスをしっかりと守ることが不可欠だと考えています。
――これらが、私の「リサーチャーとしての信念」です。
 
 

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吉原慶
WRITER
吉原慶
マーケティング会社を経て、上場企業のマーケティングリサーチ会社に移籍。 リサーチャーのチームを立ち上げ、マネージャーとして後進の育成や社内外での勉強会やセミナーの開催、新サービスの開発を担当。 2022年ネオマーケティング(エキスパートグループ)に合流し、現在はストラテジックリサーチャーとして「リサーチを起点に、デジタルマーケティング・PRグループとのシナジーを生み出す」ことをミッションにしている。

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