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今後のビジネス環境に訪れる変化と、それを先どりするパーパスブランディングとは?

ライター:株式会社ネオマーケティング

公開日:2022年07月25日 | 更新日:2024年10月15日

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ネオマーケティング」ライターチームです。

 

「パーパス(purpose)」という英語は、まだ日本人にはなじみのある言葉ではないでしょう。「我が社のビジョンは、」と表現することはあっても、「我が社のパーパスは、」と始められると、一部の人にしか言いたいことが伝わりません。

ところが最近では日本でも、ビジネスシーンで「パーパス」を耳にする機会が増えてきました。ビジョンと同じように、企業の経営理念を語る時に使われることが多いようです。

さらに単独で使われるパーパスのほかに、パーパスブランディングという言葉もメディアなどで目にします。ただし、ブランディングに関する知識はあっても、パーパスブランディングについては知らない人が多いでしょう。
この記事では、欧米で使用されるパーパスブランディングという概念をもとに、今後日本のビジネス界でそれがどのように活用されるのか、最新のブランディング手法について検証してみます。

まずは「パーパス」を正しく理解する

ビジネスに関するメディア記事では、企業にとっての「パーパス」を「存在意義」と表現しています。しかし本来この言葉が表す意味は、「何かを得たり実行するために信念として持っているもの」です。そのため和訳する場合には、「目的」「意図」「決意」などの日本語に置き換えられます。

おそらく、企業が存在する根本的な目的や信念という意味から、存在意義を表す概念としてパーパスという言葉を使っているのでしょう。この点では欧米のメディア記事の中でも同様に、目的や意図などを総括した、もっと大きな枠組みで使われているようです。

パーパスが注目される背景とは?

日本でも企業のパーパス=存在意義が注目されるようになったのは、社会全体で価値観の変化が起きていることが大きな要因だと考えられます。

現在、消費者や投資家(株主)など企業を取り巻く人々は、企業が何を作って売り出すかということよりも、その企業が社会に対して何をするのかということに興味を持っています。安い商品を大量に提供するだけでは、魅力を感じてもらえないのです。

世界的な成功を収めている企業は、ほぼ例外なく揺るがないパーパスを持っています。それを明文化して公開している企業もあります。こうした流れに日本の企業も同調して、パーパスを重視するようになったのでしょう。

パーパスとパーパスブランディング

さて、今回の記事のテーマはパーパスブランディングですが、これはコーポレートブランディング(企業ブランディング)に関わる一つのブランディング戦略だと言えるでしょう。
ところで、ビジネス関連の話題の中では、パーパスとパーパスブランディングを同じように使っている場合がありますが、この二つに明確な違いはあるのでしょうか。

まずパーパスに関しては、企業が備えるべきミッション(使命)、ビジョン(未来像)などと同様に、企業の理念を構成する要素の一つだと考えられます。

そしてパーパスブランディングとは、企業の存在意義を表すパーパスを軸に、その企業が社会のために何をするのか、どのような理念を持って企業を運営してゆくのかなど、パーパスを実現するためのブランディング戦略の一つと考えればよいでしょう。

パーパスブランディングで得られる効果

企業理念を前面に掲げて経営を続けることにより、さまざまなメリットや効果を生み出すことができます。その中から特に重要なポイントを3つ挙げてみます。

①売り上げアップと利益の増加
明確なパーパスブランディングを実践している企業は、現代社会の価値観に合致する可能性が高いため、消費者からの共感を得やすくなります。
これは商品やサービスの認知度が上がり、付加価値も高まるためです。企業の経営目標の1つは当然利益の追及ですから、企業経営にとっては大きなプラスになるでしょう。

②株主や取引先からの信用強化
社会に対して積極的に貢献する企業は、ステークホルダーからの信用を高めることができます。例えば投資する株主が増加したり、金融機関からの融資が受けやすくなったりするほか、取引先に名乗りをあげる企業が増える可能性があります。

③人材管理機能の向上
若い世代は、働き方に対する価値観も以前とは違います。就職先を決める場合でも、やはりパーパスブランディングが明確な企業を選びます。まさに企業の存在意義に魅力を感じて職場を選ぶわけです。
こうしてみずから選んだ企業に入社した人材は、仕事にやりがいを感じることで業務能力が向上し、離職を考える可能性も低いと言えるでしょう。

本場アメリカのパーパスブランディング

アメリカのビジネス記事では、パーパスブランディングと同時に、「ブランディングのパーパス」という表現も多く使われています。厳密に区別せず、ほぼ同じ概念を表す言葉として用いられているようです。

パーパスブランディングのポイントについては、戦略的ターゲティングとポジショニングを重視して、経営理念にもとづいて事業を推進することと、社会に対しても利益をもたらすことなどが重要だと紹介されています。
その中でも特筆すべき、以下の二つの見方について解説しておきます。

●パーパスポジショニング
ポジショニングとは企業の社会的な位置づけや、まさに存在意義を確立することです。揺るぎないポジショニングにより、企業は消費者を含めた社会から信頼され、結果的にはその企業と社会全体に利益をもたらします。

●パーパスレピュテーションマネジメント
レピュテーションとは評判のことで、パーパスレピュテーションマネジメントは、企業側から積極的にパーパスをアピールする活動と言えるでしょう。簡単に言うと、各種キャンペーンやプロモーション活動を通して、企業のパーパスを社会に認知してもらうことです。

また、自社のパーパスを構築する上では、主に以下に挙げるテーマについて、社内で十分に検討することが重要だとしています。

・自社が社会に対して表現したいことは何か?
・自社の核となる価値は何か?
・理念や信念は何か?
・ターゲットとなる顧客は誰か?
・なぜ社会が自社を必要としているのか?
・社会にどのようなイメージを持ってほしいか?

こうした疑問に自答しながら、マネジメントという積極性を持ってブランディングを行うことが、アメリカやヨーロッパで広まっているパーパスブランディングだと言えるでしょう。

日本で実践されるパーパスブランディング

日本ではパーパスとパーパスブランディングとを、明確に区別するべきだという意見もありますが、やはり多くの場合ほぼ同じ概念として使っているようです。その目的とは、すでに述べたように企業の存在意義を問うことです。

企業は自社の存在意義を確立し、それを社会に認知してもらうためにさまざまな活動を行います。それがコーポレートブランディングであったり、パーパスブランディングであったりするわけです。
その中に最近注目すべき重要な要素が関わるようになってきました。それは「共感」です。

消費者からの共感を得るためには、質の良い商品やサービスを提供するだけでなく、その企業の理念が分かりやすいことと、顧客を大切にする姿勢が見えることが必要です。現在各分野で成功を収めているか、もしくは目立った成長を見せている企業は、社会的な共感を得ている点で共通しています。

今後はますます企業と消費者、企業とステークホルダーとの結びつきが強まると考えられており、パーパスブランディングを怠る企業は存続の危機を迎える可能性があります。
これは大企業だけに課されたテーマではありません。中小企業にとっても、自社の存在意義を示すべき時代が来ているのです。

まとめ

パーパスブランディングとは感覚的につかみづらい言葉かもしれませんが、現代のさまざまな企業活動を見てみると、国内外で成功している企業は、いずれも明確なパーパスを経営の軸に置いていることが分かります。

反対の見方をすると、パーパスを持たずに利益だけを追及するような企業経営では、これからのビジネスでは通用しないと言えるでしょう。今後の経営戦略には、社会に認知されやすいパーパスが必要になるのです。

昔から日本人は、利益だけを追い求めて金儲けに走る風潮を好みませんでした。いわゆる老舗と呼ばれるお店は、社会に対する責任を意識しながら、顧客との強いつながりを持ち、お客様と呼んで大切にしてきました。
つまり、日本には伝統的にパーパスブランディングが存在していたのです。

今海外からの逆輸入のような形で、パーパスブランディングが注目されているのは皮肉な話です。しかし今だからこそ、日本人にとっては当たり前だったパーパスブランディングを見直して、改めて企業経営に活かすことが求められているのではないでしょうか。

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