標本調査はなぜ必要?メリット・デメリットや全数調査との違いを解説
ライター:株式会社ネオマーケティング
公開日:2023年09月15日
| 更新日:2024年10月15日
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マーケティングリサーチ
統計調査において、しばしば用いられる標本調査。他の調査方法と比べてどのようなメリット・デメリットがあるのか気になったことはありませんか?
今回は、標本調査の特徴やメリット・デメリット、標本を抽出する方法についてわかりやすく解説します。標本抽出でよく活用されているネットリサーチにも触れていますので、ぜひ参考にしてください。
全数調査と標本調査
標本調査と対をなす調査方法として全数調査が挙げられます。それぞれ調査方法の概要と特徴を整理しておきましょう。
全数調査(悉皆調査)とは
全数調査とは、対象となる母集団をすべて隈なく調べる調査方法のことです。悉皆(しっかい)調査とも呼ばれ、全国民を対象に国が実施している国勢調査などが代表例として挙げられます。
たとえば、ある学校に在籍する生徒の平均身長を全数調査によって割り出す場合、全校生徒の身長データをすべて収集する必要があります。全生徒が調査対象となっているため、学年別や性別ごと、クラスごとの平均身長なども正確に算出できるのが特徴です。
標本調査(サンプル調査)とは
標本調査とは、対象となる母集団から一定数の標本を抽出する調査方法のことです。サンプル調査とも呼ばれ、対象者が多数存在する場合によく活用されています。
ある学校に在籍する生徒の平均身長を標本調査によって割り出す場合、全校生徒の中から選出された生徒の身長を元に全体の平均を算出します。全数調査とは異なり、対象者をすべて調査する必要がないことから、より簡便な調査方法として広く用いられている調査の手法です。
全数調査・標本調査のメリット・デメリット
全数調査と標本調査には、それぞれメリット・デメリットがあります。調査の目的や収集したいデータに応じて、適した調査方法を選択することが大切です。
全数調査のメリット
全数調査では母集団に含まれるすべての対象者に調査を実施するため、標本誤差が生じません。標本誤差とは、選出した対象者によって調査結果と実態との間に生じる食い違いのことを指します。対象者全員に調査を実施すれば、こうした食い違いが生じるのを防げるのです。
従って、全数調査によって得られた調査結果は信頼性が高く、母集団の構造特性がつかみやすいというメリットがあります。詳細かつ正確な調査結果を得たい場合に適した調査方法といえるでしょう。
全数調査のデメリット
全数調査では母集団に含まれるすべての対象者に調査を行うことを前提としているため、調査には相応の労力・時間・コストがかかります。全校生徒の身長データを収集するには、一人ひとりのデータを抜け漏れなく回収する必要があるでしょう。対象者が増えるほど、調査に要する労力や時間、コストが増していくことになります。
よって、全数調査を実施するのは「すべてのデータがそろっていること」が重要な条件であると捉えてください。必ずしも全データをそろえなくてもよい場合は、標本調査によって統計調査を実施するケースがほとんどです。
標本調査のメリット
標本調査では母集団から一定数の標本を抽出するため、調査に要する労力・時間・コストを削減できます。母集団の規模が大きい場合や、全データを調査対象とする必要がない場合は合理的な調査方法といえるでしょう。
たとえば、ある商品を購入した顧客を対象に調査を実施する場合、購入経験がある顧客全員に対して調査を実施するのは現実的ではないと考えられます。購入有無を参考にして対象者を抽出し、限られた人数の顧客に対して調査を実施するほうが得策です。このように、標本調査は一部のデータから母集団全体の傾向を推測するため、統計調査を効率よく進めることができます。
標本調査のデメリット
標本調査では母集団から標本を抽出するため、抽出された標本が母集団全体を代表しているかどうかが不透明になりがちです。偶然にも偏った標本が抽出された場合、調査結果の信頼性が疑わしいものとなる可能性も否定できません。ある学校の生徒を対象とした平均身長の調査であれば、たまたま高身長または低身長の生徒が多く抽出されてしまう可能性もゼロではないでしょう。
こうした標本調査特有のデメリットをできるだけ回避するには、標本を抽出する際の実施方法に留意する必要があります。つまり、標本調査の結果が信頼できるかどうかは標本の抽出方法にかかっているのです。
標本調査の標本を抽出する方法
標本調査においてよく用いられている代表的な抽出方法を紹介します。どの抽出方法がより優れているというものではなく、調査の目的や母集団の性質に合わせて活用することが大切です。
無作為抽出
くじ引きのようにランダムな方法により、標本を無作為に抽出します。どの標本が抽出されるかは確率論にもとづくため、標本数が多くなるにつれて精度が高くなるのが特徴です。母集団のリストを用意し、通し番号を付加した上で乱数表などを活用して調査対象を選出します。
注意点として、無作為に抽出しているようでも実際には何らかの条件に当てはまる対象者を選んでしまうケースがあります。そもそも母集団に偏りがないか、特定の条件に該当する対象者に絞られていないか、十分に注意することが大切です。
系統抽出
電話番号のリストから10番目ごとに標本を抽出するなど、一定のルールに従って対象者を選ぶ方法です。ルールさえ決めてしまえばルール通りに標本を抽出すればよいため、対象者を簡単に選び出すことができます。
ただし、使用するリスト自体が何らかの規則に従って羅列されているなど、データに偏りがある場合は抽出結果にも偏りが生じがちです。非確率的抽出となるリスクを孕んでいる点を理解しておく必要があるでしょう。
機械的抽出
一定の規則に従って動作する機械や器具を用いて標本を抽出する方法です。人の判断が入り込む余地がないことから、先入観を排して抽出するには適した方法といえます。
一方で、機械や器具の設計意図や動作条件によっては、完全に無作為な抽出にはならない可能性も否定できません。標本が母集団の特徴を表しているかどうか、抽出後に検証する必要があるでしょう。
便宜的抽出
収集しやすい対象者から便宜的に標本を抽出する方法です。直近で取引のあった顧客など、標本として選びやすい相手を対象者とすることから、実用的な調査方法として広く用いられています。
ただし、あくまでも対象者の選びやすさを重視している抽出方法のため、標本誤差が大きくなりやすい点に注意が必要です。本調査に先立って実施する予備調査など、調査の簡易性や迅速性を重視する場合に適しています。
ネオマーケティングのネットリサーチの特長
近年では、標本抽出を用いた代表的な調査手法として、ネットリサーチが活用されています。
ネオマーケティングでは、市場実態の調査や商品・ブランド認知度調査、商品・サービスコンセプトの評価などに活用できるネットリサーチのパッケージサービスを提供しています。主な特長は次の通りです。
リサーチ結果を活かした施策実行までを支援
ネットリサーチによる調査結果の収集だけでなく、リサーチ結果を活かしたマーケティング施策の実行までを一気通貫で実施しています。リサーチの分析結果を施策にどうつなげるかが課題となるケースは少なくありません。マーケティング支援活動において豊富な実績をもつネオマーケティングだからこそ、施策実行も含めた総合的な支援が可能です。
丁寧なヒアリングと提案
ネットリサーチと一口に言っても、質問項目や聞き方、サンプルサイズ、分析手法によって結果は大きく変わります。お客様の調査目的や調査の先にあるミッションを丁寧にヒアリングし、今後お考えのアクション等をトータルで考慮したプランを提案できる点が大きな特長です。
スピーディで柔軟な対応
予算やスケジュール、希望の仕様に合わせて柔軟な企画提案を行います。調査実施から調査結果の納品まで、最短スケジュールでの対応が可能です。
また、ネオマーケティングでは世界52ヶ国を対象とした海外調査にも対応しています。アジア、ヨーロッパ、米国といったさまざまな国の生活者を対象としたネットリサーチが可能です。10年以上にわたり海外リサーチを実施してきた豊富な経験にもとづき、最適な調査エリアの選定や国ごとの特徴を押さえた調査設計を提案いたします。
回答の品質管理を徹底
回答の品質管理は、調査結果の信頼性を担保する上で非常に重要なポイントです。矛盾回答や精度の粗いデータ取得を避ける設問設計により、回答の品質管理を徹底しています。システムによるチェックと人の目検による確認を経た調査結果が納品されるため、品質管理の行き届いたデータを取得可能です。
まとめ
標本調査は全数調査と比べて労力・時間・コストを抑えて調査を進めるのに適した方法です。一方で、抽出された標本が母集団を代表しているかどうか、十分に注意を払うことで調査の信頼性を確保する必要があります。標本の抽出方法次第で、調査結果の精度が大きく左右される点に注意してください。
標本調査の実施を予定している企業様は、ネットリサーチを活用してみてはいかがでしょうか。ネオマーケティングでは、調査の実施方法から施策への活用方法まで、トータルでご相談に応じます。調査の進め方や具体的な手法にお悩みの際には、ぜひネオマーケティングにご相談ください。
ネオマーケティングは国内約2889万人のアンケート会員を保有するパネルネットワークを構築、ご希望の調査対象者にリサーチを実施することが可能です。
マーケティング課題を解決し、必要なデータを取得するための調査設計から、調査結果の活用まで、伴走してご支援しています。リサーチを起点に、デジタルマーケティング、PR、ブランディング支援も行っています。
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