自社の商品/サービスで利益の拡大を目指すのであれば、顧客がどれくらい満足しているのかを図る顧客満足度を正確に計測する必要があります。
顧客満足度を計測することで、現在の顧客の状況を把握し、新商品の開発や既存商品の改善を適切に行うことができ、企業のブランディング活動にもつながります。
この記事では、顧客満足度の重要性について解説し、顧客満足度を向上させる方法や、アンケート調査などの具体的な測定方法についてわかりやすく解説していきます。
また、ネオマーケティングでは、顧客満足度を調査するご支援をしています。
顧客満足度(CS)とは?
顧客満足度とは、顧客がどれくらい満足しているのかを数値化し、客観的に評価できる指標として可視化されたものを指します。英語では Customer Satisfaction で、その略語として「CSAT(CS)」が用いられることもあります。
そもそも顧客満足とは、自社の商品/サービスについて顧客が満足している状態を表します。満足している状態とは、言い換えると、「商品/サービスが顧客の期待水準を超えていること」を指します。
●顧客満足度の重要性
顧客満足度は、自社の取り組みが顧客にどのくらい受け入れられているかどうかを正確かつ客観的に把握できる基準として非常に重要です。
顧客満足度が高い場合、以下のメリットがあります。
・顧客ロイヤルティの改善
顧客が感動体験を周囲に拡散することで、顧客ロイヤルティが改善され、顧客維持率や顧客生涯価値を上げることが期待されます。その結果、ブランドに対する評価も向上することに繋がります。
・カスタマーサービスのパフォーマンスの質を向上する機会を得られる
顧客の満足度を正確に測定することは、カスタマーサービスのパフォーマンスを把握することにもつながります。応答や回答までのスピード、顧客対応の質、問題解決の質やスピードなど、顧客満足度を下げている要因を排除することで、カスタマーサービスの質を向上させることができます。
・リピート購入率が上がる
顧客満足度が上がり顧客ロイヤルティが向上されれば、その顧客は離れることなく、何年もその商品やサービスを利用し続けてくれるでしょう。リピーターの獲得は、ブランドの評価を高めるためにも、欠かせない要素の一つです。
・顧客生涯価値(LTV)が向上する
顧客満足度が高ければ高いほど、リピート購入率が上がり、解約率も下がる傾向にあります。カスタマーエクスペリエンスを向上させて顧客満足度を上げることは、顧客生涯価値(LTV)を向上する傾向にあるのです。
・新規顧客の獲得につながる
顧客満足度の高い顧客が周囲に感動体験を伝えることで、新規顧客を引き込むことが可能です。また、カスタマーサービスの質を向上させることで、見込み客を自社製品やサービスに引き込むこともできるでしょう。
しかし一方で、仮に顧客満足度が低かったとしても、そのデータをもとに顧客の満足度を低くしている要因を明らかにし、商品やサービスの改善策を見つけることができるでしょう。
顧客満足度のスコアの高低にかかわらず、重要な指標になることは間違いないのです。
●顧客満足度(CS)と顧客ロイヤルティの違い
前段で、「顧客ロイヤルティ」という言葉がでてきましたが、この言葉はよく顧客満足度と混合しがちなので、それぞれの意味について整理します。
顧客満足度は、カスタマーサービスや商品そのものに対し、顧客がどれくらい満足したかを測るの指標で、
顧客ロイヤルティは商品/サービス、またはその企業に対して感じている信頼度や愛着を指す言葉です。言い換えると、顧客満足度(CS)は現時点での顧客の満足度を示すものであるのに対し、顧客ロイヤルティは現在も含めた長期的な顧客の満足度を示すものです。「顧客が今後も繰り返し取引をしてくれるのか」「サービスや商品を周囲に広めてくれるくらい満足しているのか」などを、長期的なスパンで見たときの数値になるのです。
顧客に感動体験を与えるサービスや商品を生み出すことで、顧客満足度を上げることを継続できれば、結果としてNPSも上がり、顧客は自然と自社のサービスを繰り返し利用してくれるようになります。
つまり、短期的な指標である顧客満足度と、長期的な指標である顧客ロイヤルティは密接に関連していて、延いてはは顧客ロイヤルティを向上させることが、業績の向上につながっていくのです。
顧客満足度を向上させるには
顧客満足度を向上させるには、現状把握が重要です。現在の顧客満足度レベルを把握することで、改善が必要な点を明確にし、具体的な対策を打つことができます。
現状把握には、アンケート調査やインタビュー調査などの手法を用いて、顧客からのフィードバックを収集することが一般的です。また、顧客からの苦情や問い合わせなどもに役立ちます。
●カスタマーサクセス
顧客満足度を上げる方法の一つとして、カスタマーサクセスというビジネスモデルがあげられます。
カスタマーサクセスとは、商品購入後のサポートなど、継続的に顧客と関わることで「顧客の成功」を実現させ、企業の売上にもつなげようという考え方です。つまり、製品やサービスの提供だけでなく、その後のサポートも含めて、顧客が成功するための支援を行うことです。
カスタマーサクセスを実施することで、顧客の問題や要望に対して迅速かつ効果的に対応することができ、顧客の満足度を高めることができます。また、製品やサービスの使い方を理解してもらうことで、製品やサービスの機能を最大限に活用してもらい、より多くの価値を提供することができます。
カスタマーサクセスの導入事例として、サブスクリプションサービスが挙げられます。顧客がサービス内容とサポートに満足し、解約せずに継続することで成立するビジネスです。「カスタマーサクセスの成否が顧客満足の向上に重要である」ということがよく分かります。
>カスタマーサクセスのサービスページを見る
顧客満足度を上げるためには、いい商品や質のいいサービスの存在が大前提になります。
革新的な商品を生み出したり、質の高いサービスを提供するためには、提供する側である従業員にも気を配る必要があるでしょう。
従業員のモチベーションを上げることで、業務の質も上がり、生産性も向上します。その結果、顧客が満足するような商品やサービスを顧客に提供することが可能となり、結果として顧客満足度も上がることになるのです。
顧客満足度を上げようとするとどうしても顧客の方に目が行きがちですが、それらを生み出す従業員の方にも目を向けるようにしましょう。
●CRM、SFAの活用
CRM(顧客関係管理)とSFA(営業支援システム)のは似ていますが、少し異なる機能をもっています。CRMは顧客情報を収集・分析し、顧客との関係を強化するための戦略を立てるためのツールです。一方SFAは、営業チームが顧客とのやりとりを管理し、効率的に営業活動を行うためのツールです。
このようなツールを活用することで、顧客満足度の向上に役立てることができます。
顧客に商品やサービスに関する質問をして、その回答から顧客満足度を測ることができます。商品やサービスに対する事前期待値や不満、良かった点など、顧客の認識を確認します。商品の総合的な満足度を測定するだけでなく、その商品への満足度を高めるために改善すべき要素を把握することにも役立ちます。
また、購入の理由や経緯、利用頻度や利用方法など、さまざまな観点から購入者に質問することで、顧客満足へとつながる商品やサービスの本質を理解することができます。売上からの情報では判断できなかった、次なるアクションを設定するのに役立つでしょう。
インタビュー調査は、アンケート調査と同様に顧客のフィードバックを収集するために用いられる手法の一つです。顧客に対して直接質問をするため、アンケート調査よりも深い情報が得られることがメリットです。その回答をもとに顧客満足度を測ることができます。
対面や電話、ツールを用いてオンライン上でインタビューを行うなど、さまざまな方法があります。
しかし、インタビューする時間やインタビュアーを確保する必要があるため、アンケート調査よりもコストがかかる可能性があり、直接対面では言いづらい、商品やサービスのマイナスな部分については、本当の意見を聞きづらくなってしまう可能性があることも否定できません。アンケート調査と並行して、必要な部分に対してインタビュー調査をするようにすると、両調査のマイナス面を補うことができるでしょう。
●統計データの活用
統計分析は、膨大なデータを扱い、それらから意味のある情報を引き出すための有力な手段として広く用いられています。統計分析で得られたデータを活用し、顧客満足度を定量的に測定することができます。
アンケート調査を行って質問項目の回答を数値化することで、統計的に分析をします。その際に、平均値や標準偏差、中央値などの統計指標を算出し、質問項目間の相関関係についても調べます。そういった分析の結果から、顧客満足度を測定することが可能になるのです。
顧客満足度の測定方法
前段で、顧客満足度の測定方法の1つとしてアンケート調査を紹介しました。
ここでは、定量調査を例に、顧客満足度の測定方法を3つ紹介します。
ロイヤルティ マーケティングの第一人者であるフレッド・ライクヘルドが提唱した手法で、顧客満足度調査において頻繁に採用されています。
この手法は、顧客満足度の他に、顧客ロイヤリティを示す指標でもあるため事業の売上成長率との相関性が期待されています。
0~10点の11段階でで回答し、9〜10点と回答した顧客(推奨者)の割合から、0〜6点と回答した顧客(批判者)の割合を差し引いて、スコアを計算します。
●5段階による満足度評価
こちらもNPS同様、顧客満足度調査に頻繁に採用される手法で、不満~満足を5段階で評価してもらいます。
場合によって項目は「不満~満足」の限りではありません。また、「非常に満足~非常に不満」といった選択肢も見受けられますが、「非常に」といった表現を用いると回答者が「そこまで思っていない」と考えて回答結果にバイアスが発生する場合があります。そのためネオマーケティングでは、上図のような表現を推奨しています。
●NRS(ネットリピータースコア)
NPSが「友人・知人に紹介したいと思いますか?」という質問で顧客満足度、顧客ロイヤリティを計測するのに対して、NRSは「あなたはこの商品/サービスを継続して利用したいと思いますか?」のように、回答者自身の意向を参考にする指標です。
NPS同様、回答項目によって回答者を分類します。
また、NRSはNPSと比べて比較的マイナーな指標ではありますが、ネオマーケティングではNPSとNRSをかけあわせることで、より精度の高い「顧客満足度調査」が可能であると考えます。
この「NPS×NRS」について詳しく知りたい方は、下記コラムをご覧ください。
まとめ
顧客満足度を高めることは、自社の利益を拡大することにつながります。商品やサービスに対してなんとなく不快感や違和感をもっていても、顧客自身はそれを認識していません。
こうした不満を取り除くことこそが顧客のニーズに応えることであり、顧客満足につながっていくのです。
顧客満足度は全ての事業において重要な指標です。顧客満足度を測定することによって、企業は顧客ニーズに合わせた戦略を立て、顧客獲得やリピート率の向上につなげることが可能となります。
また、顧客満足度と従業員満足度が密接に関係していることも紹介しました。