オウンドメディアの運営を成功させるには、どのような点を意識しておく必要があるのでしょうか。成功に必要な5つのコツを見ていきましょう。
コツ1:経営課題に直結する運営目的を定める
オウンドメディアの運用方針は企業によってさまざまですが、成功するメディアに共通しているのは「経営課題に直結する運営目的を定めていること」です。オウンドメディアありきではなく、企業として解決したい課題が先にあり、課題を解決するための手段としてメディアを運営していくという共通認識を形成する必要があります。
ここでいう経営課題とは、直近の業務で直面している課題とは限りません。中長期の事業計画や経営方針に鑑みて、現状とのギャップを埋めるための課題を抽出しておく必要があります。「どのようなメディアをつくるべきか」を検討するための前提として、「どのような経営課題を解決すべきか」を明確にしておくことが非常に重要です。
コツ2:定量的かつ検証可能な成果指標を設定する
オウンドメディア運営の目的達成を着実に目指すには、定量的かつ検証可能な成果指標を掲げることが大切です。端的に表現するなら「いつまでに」「何を」「どれだけ」実行するのか、それによって目指す効果をそれぞれ具体的な数値で設定する必要があります。
たとえば「1年以内に問い合わせ件数を現状の2倍に増加させる」という目標(KGI:重要目標達成指標)を掲げたとします。KGIを達成するには月あたり平均どれだけの問い合わせ件数が必要になるのか算出できるでしょう。月ごとの目標を達成するために必要なコンテンツ数やアクセス数を試算し、それぞれにKPI(重要業績評価指標)を設定します。検証可能な成果指標を定めておくことにより、改善が必要な施策が可視化されるのです。
コツ3:ユーザーインテントを意識してコンテンツを制作する
ユーザーインテントとは、各ユーザーの検索意図のことです。あるテーマについてユーザーが検索する際、背景にはさまざまな心理が潜んでいます。多くの潜在顧客に訪問してもらい、オウンドメディアに信頼を寄せてもらうには、ユーザーインテントを意識することが大切です。
たとえば、経理担当者が「入金 消し込み 効率化」というキーワードで検索した場合、現状の入金確認と未入金一覧の消し込み作業を負担に感じていることが想定されます。この担当者が知りたい情報は表面的には「効率化するための作業方法」ですが、入金情報と連動した消し込み作業自体の自動化が可能なツールの存在を知ることができれば、そのほうがニーズに合致しているでしょう。このように、ユーザーが真に求めている情報は何か、深層心理を探っていくのがポイントです。
コツ4:サイト構造を最適化する
オウンドメディアの成果を左右するのはコンテンツの質だけではありません。サイト全体の構造を最適化し、ユーザーが知りたい情報にアクセスしやすい作りにしておくことも非常に重要です。
オウンドメディアが扱うテーマを大カテゴリに分け、大カテゴリ内で共通するトピックを小カテゴリにまとめます。さらに各コンテンツ内に関連するトピックを閲覧できる内部リンクを設置することにより、ユーザーは知りたい情報をより深く理解しやすくなるのです。サイト構造の最適化はユーザーの利便性を向上させるだけでなく、検索エンジンの評価を高める上でも重要な考え方といえます。
コツ5:運用に必要なリソース・体制を整備する
オウンドメディアの運用を維持・継続させていくには、必要なリソースや体制を整備しておく必要があります。コンスタントにコンテンツ制作を進め、サイトを更新し続けられるだけの人員や予算、業務時間を割り出し、担当者の人数や分担を決めましょう。
現実的には、運用担当者が各自の担当業務と兼務せざるを得ない場合もあるはずです。本業が忙しい時期にもオウンドメディアの運用がなおざりにならないよう、業務量の調整や人員の補充も視野に入れて検討しておくことをおすすめします。中長期の施策となるオウンドメディア運用を成功させるためにも、必要なリソース確保と体制整備に取り組んでおくことが大切です。
オウンドメディア運用でよくある悩みと解決策

オウンドメディアを運用していく中で、担当者が抱えやすい悩みとその解決策をまとめました。よくある悩みの解決方法を知り、安定的な運用を継続していきましょう。
よくある悩み1:コンテンツのテーマがネタ切れになってしまう
長期間にわたってメディアを運用していく中で、コンテンツのテーマが尽きてしまうケースは決して少なくありません。当初予定していたキーワードを使い切ってしまい、新たに制作すべきコンテンツが思い浮かばなくなることもあるでしょう。
BtoBオウンドメディアで陥りやすい状況として、「自社にとっての当たり前」と「世の中における一般的な当たり前」の間にギャップが生じることが挙げられます。オウンドメディア担当者自身には業務知識がすでに備わっているため、潜在顧客が知りたがっている重要な情報を見過ごしやすくなるのです。
ユーザー目線に立ったコンテンツ制作を維持するには、既存顧客から寄せられた質問事項や問い合わせ内容を参照したり、営業担当者に商談の様子をヒアリングしたりするとよいでしょう。潜在顧客が疑問に感じるポイントを把握しやすくなり、コンテンツのテーマを設定するためのヒントを得られるはずです。
よくある悩み2:コンテンツを制作するための時間・余力を確保できない
オウンドメディアの運用には相応の時間や労力を要します。コンテンツを継続的に制作し、メディアを更新していくための時間や余力を確保できなくなってしまうことも、よくある運用上の悩みの1つです。担当者が他業務と兼務している場合には、この傾向がいっそう顕著に表れやすくなります。
リソース不足の悩みを解消するには、オウンドメディアの運用全般を外部委託することも視野に入れておくとよいでしょう。コンテンツの制作だけでなく、テーマ発案や構成案作成、公開後の効果測定、改善策の提案・実行、既存コンテンツのアップデートなど、一連の流れで発生する作業を一括で委託するのも1つの方法です。
マーケティング会社や制作会社へ委託することにより、良質なコンテンツを継続的に無理なく制作できる点が大きなメリットです。一方で、自社のニーズや課題を共有するには綿密な打ち合わせが必要となります。オウンドメディア運用の豊富な実績があり、かつヒアリングを丁寧に実施している委託先を見つけることが大切です。
よくある悩み3:社内の関係部署や上層部の理解を得られない
オウンドメディアは短期的な成果につながる施策ではないことから、社内の関係部署や上層部の理解を得られないケースは少なくありません。売上に直結する事業が優先されてしまうことも多く、十分な予算が確保できないなど、施策の存続そのものが危うくなる可能性も否定できないのです。
社内の理解を得るには。そもそもオウンドメディアがどういった目的で運用されるものか、中長期的に取り組むことでどのようなメリットを得られるのかといった点を、事前にしっかりと伝えておく必要があります。社内プレゼンを実施する際には、中長期的な取り組みが前提となる施策であることを強調しておくべきでしょう。
また、運営上のKGI・KPIを明確に定め、進捗状況について定期的に報告・共有することも大切です。そのためには、オウンドメディア運営に関わる担当者間で目標やゴールをしっかりと共有し、目的意識を持って運用していくことが求められます。