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2022年11月にChatGPTがリリースされて以来、生成AI（ジェネレーティブAI）による文章作成がさまざまな分野・領域で活用されはじめています。Webメディアや企業ブログを運営している事業者様は、「記事制作をAIで自動化できないだろうか？」と考えたことはないでしょうか。
今回は、記事制作はAIで自動化できるのか、メリットと注意点の両面から解説します。記事制作にAIを活用する際に押さえておきたいコツとあわせて見ていきましょう。
【結論】AIによる記事制作の「完全自動化」は現時点ではおすすめできない
結論からお伝えすると、2024年3月時点でのテクノロジーでは記事制作をAIによって完全に自動化するのは、現実的ではありません。主な理由として挙げられるのは次の2点です。
文章生成AIの仕組み上、内容が薄くなりやすい
文章生成AIが記述した文章は内容が薄くなりがちです。文章生成AIの仕組みを実現している大規模言語モデル（LLM）は、膨大な量のテキストデータから単語の出現パターンや単語同士のつながりを解析し、「もっともらしい回答文」を生成しています。たとえるなら「実際には知識がないものの、話していることがもっともらしく聞こえる人」とよく似ているのです。
そのため、制作する記事に正確性や専門性を求めるのであれば、現状の生成AIでは不十分といわざるを得ません。生成AIが記述した文章は「一応読めるものの、内容が薄い」といったものになりやすいのが実情です。
SEOでは記事の独自性も評価対象となる
Googleは「AI生成コンテンツに関するGoogle検索のガイダンス」において、「記事の制作方法を問わず高品質のコンテンツを評価」する、と公表しています。つまり、AIを活用して記事を制作したことを理由に評価を下げることはないという立場を取っているのです。
一方でGoogleは、「E-E-A-Tの品質を満たす、オリジナルで高品質な、ユーザー第一のコンテンツの制作」が必要とも述べています。要するに、記事の制作方法を問わず独自性や質の高さが重視されることに変わりはないのです。前述のとおり、現状の生成AIには記事の正確性や専門性の高さはあまり期待できません。以上の点を踏まえると、AIによる記事制作の「完全自動化」は現状では得策とはいえないでしょう。
記事制作をAIで自動化するメリット
AIによる記事制作の自動化にはメリットといえる面もあります。主なメリットは次の3点です。
短時間で大量の記事を制作できる
AIによる文章作成の最大のメリットは、ごく短時間で大量の文章を生成できる点にあります。出力できる文字数には制限が設けられており、たとえばChatGPTの有料版で使用可能なGPT-4の場合は730〜750字程度が出力の最大文字数です。一方で、文字数の多い記事であっても分割して制作すれば、数千文字の記事を短時間で制作するのは決して不可能ではありません。
Webメディアや企業ブログを運営する上で、記事の執筆は時間がかかる工程の1つです。この工程を時間短縮できる点は、AIによる記事制作のメリットといえます。
制作コストの削減につながる
記事制作を社内・社外のいずれで行う場合にも、人間が文章を書く以上は相応の制作コストがかかるのは避けられません。従業員の労務時間や外部ライターに支払う原稿料は、いずれも制作コストとなります。質の高い記事を短いスパンで公開していくには、一定の予算を確保しておかなくてはなりません。
一方、生成AIを活用すれば、追加料金を支払う必要なく記事を何本でも制作できます。制作コストの大幅な削減につなげることも可能でしょう。
記事制作をAIで自動化する際の注意点
記事制作にAIを活用する際には、注意しておきたい点もあります。AIによる文章生成の弱点を把握した上で有効に活用していくことが大切です。
記事内容の正確性は保証されていない
生成AIが制作した記事の正確性に懸念が残ることはよく知られています。学習データにもとづいて文章を生成するAIの特性上、元の学習データが不正確であれば生成される文章にも誤りが含まれている可能性が高いからです。
また、学習データが最新のものではないことにも注意が必要です。2024年3月時点では、GTP-4の学習データは2023年4月までのものとなっています。つまり、これより後に起きた出来事や更新された情報に関しては学習データに反映されていません。法律や税制の改正など、最新の情報が求められる記事を制作する際にはとくに注意してください。
著作権を侵害するリスクがある
AIの学習データは公開されている情報がソースとなっているため、著作権を侵害するリスクを抱えています。学習データに著作権で保護されたコンテンツが混入していた場合、出力結果にも著作権法上問題のある内容が含まれている可能性があるからです。
生成AIが出力した文章に著作権を侵害するおそれがある内容が含まれていないか、人の目でチェックする工程が欠かせません。AIが出力した記事をそのまま公開するのは避ける必要があります。
独自性や創造性は期待できない
AIによって生成された文章は学習データにもとづいているため、人間のように独自性や創造性のある記事を制作するのは困難です。読者の感情を揺さぶる文章や、文化的背景などを深く理解した文章にするには、人が手を加える必要があります。
前述のとおり、記事の独自性はSEOの観点から見た場合にも重要なポイントの1つです。記事制作にAIを活用するとしても、
必ず人が読み込んだ上で独自の解釈や視点を加えることが求められるでしょう。
記事制作にAIを活用するコツ
記事制作にAIを活用するコツを紹介します。生成AIの長所を最大限に引き出すためにも、次の3点を意識しましょう。
記事制作のルールを漏れなく指示する
生成AIに意図通りの文章を生成してもらうには、記事制作のルールを漏れなく指示することが大切です。文末表現（常体・敬体など）をはじめとするトンマナ、必ず使用するべきキーワード、参照する資料やデータなどを詳細に指示することによって、意図した文章が生成されやすくなります。
生成AIの特性上、指示が抜けていたり曖昧だったりする箇所については推測で記述されてしまう可能性があります。こうした事態を防ぐためにも「指示のない内容は含めないでください」といった指示を追加しておくのが得策です。
生成された文章の正確性を確認する
AIが生成した文章は必ず人が熟読し、記述内容の正確性を確認してください。とくに事実関係やデータの出典確認は必須です。生成AIは誤った情報をもっともらしく記述するケースがあることを前提に、「必ず間違いがある」という目でチェックしましょう。
記事制作にAIを活用したとしても、校正・校閲のプロセスは省略できません。むしろ、生成AIの特性を踏まえて記事をチェックする必要があるため、校正・校閲の難易度が高まるという見方もできるでしょう。
人の手で独自性・創造性を強化する
AIが生成した文章はあくまでも一般的な情報にもとづいているため、独自性・創造性の要素が弱いといわざるを得ません。人の手で独自の視点を追記したり、創造性を高めるためにリライトしたりする必要があるでしょう。
いいかえれば、記事を通して伝えたいメッセージの趣旨を作り手側が明確に理解し、AIが生成する文章に欠けている要素を見抜かなくてはなりません。読者ニーズの把握や検索意図の深掘りの重要性がいっそう増していくはずです。
AI活用は現状、記事制作の「補助ツール」として捉えよう
生成AIは、少なくとも2024年3月時点においては記事制作を完全に委ねられるツールとはいいがたいのが実情です。一方で、記事構成のアイデア出しをしたり、記事の素案を試作したりするための「補助ツール」として取り入れるのであれば、効果的な活用方法となり得ます。今回紹介したメリットや注意点を参考に、記事制作へのAI活用を試してみてください。
※このコラムは「マーケのカチスジ」で2024月3月13日に公開された記事を移行したものです。
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