Cookieレス時代に備え取り組むべきマーケティング施策
ライター:佐藤 隼人
公開日:2021年09月22日
| 更新日:2024年10月22日
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カテゴリー:
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デジタルマーケティング
PR・プロモーション
これまで、WebマーケティングではCookieの存在が一つの鍵となっていました。Cookieには様々な個人情報が記載されていることから、それらの情報から、それぞれの閲覧者・訪問者のデータを読み取り、マーケティングに活用されていました。今後Cookieレスが加速し、大きな方向転換を迫られる中、これからのマーケティング施策で考えるべきことを紹介します。
Cookieとは
Cookieとは
そもそもCookieとは、Webサイトを閲覧する際にユーザーのブラウザに保存される情報のことです。Cookieを保存することによって、すでにログインしてことがあるサイトへの再ログイン時のIDとパスワード入力を不要にしたり、ECサイトを閉じた後でも以前カートに入れた商品がそのまま入っていてすぐアクセスすることができたりします。Cookieは、そもそもユーザーがWebサイトを回遊するうえで、より便利に情報を閲覧することができるように、ユーザーの行動情報を活用するための仕組みでした。
Cookieの種類
Cookieには2つあります。1つは1st party Cookie(ファーストパーティークッキー)、そしてもう1つは3rd party Cookie(サードパーティークッキー)と呼ばれるものです。
・1st party Cookie(ファーストパーティークッキー)とは
ユーザーがアクセスしているWebサイトのドメインが発行するCookieのことで、そのWebサイト・ドメインの中だけで有効です。つまり、ことなるドメインのWebサイトに対しては活用できないものです。
・3rd party Cookie(サードパーティークッキー)
対してこちらは、Webサイトのドメインによらず活用できるCookieで、ユーザーが訪問しているWebサイト以外から発行されるCookieです。異なるドメインのWebサイトを横断しての活用が可能なことから、ユーザーの行動を分析して配信される「行動ターゲティング広告」で活用されています。
例えば「行動ターゲティング広告」の中で最も一般的な「リターゲティング広告」の仕組みは以下です。
①ユーザーがあるWebサイトA(広告主の自社サイト)を訪問
②その訪問を検知したWebサイトA側が、アドサーバーにユーザーへの3rd party Cookie付与を依頼
③アドサーバーからユーザーのブラウザにCookieが付与される
④ユーザーが別のWebサイトBを訪問した時に、アドサーバーにそのユーザーに付与したCookie情報が送付される
⑤WebサイトBの広告枠で、先ほどのWebサイトAに関連した広告を配信する
Cookieの問題点とは
焦点は3rd party Cookieの利活用
昨今問題になっているのは、この3rd party Cookieの利用についてです。3rd party Cookieによって、ユーザー個人の行動を追い続けることができるため、個人の趣味志向や関心事などを特定し、いわば個人情報の利用に近しい捉え方ができます。そして、重要なのは、Webサイト上の行動がトラッキングされていることをユーザー自身が把握していないことがあるということです。
自分の過去の行動が企業にウォッチされており、いつの間にかその企業からのメッセージで周囲があふれている。そういう状態がユーザー本人も自覚していないうちにできている。1ユーザーとして、この状況に気持ち悪さ、不快感を覚える人が多くなっているということも、個人情報の取り扱いが問題視され、守ろうとする取り組みが世界的に進んでいる理由の1つでもあります。
Cookie問題の本質とは
Cookie問題の本質はCookieの技術自体にはありません。問題はその技術の活用にあります。自分の知らないところで、自分の行動がトラッキングされ、それが企業の営利目的の販促活動に使われている。最近よく広告が表示されるが、今見たくもない広告ばかりで、面白みもなく、しきりに購入を促してくる。そのような広告に触れ続けたユーザーが、広告を迷惑なモノ、だと認識するのは当然です。
常に顧客視点で考えること。Cookie問題の本質は、今の企業にそのマーケティング姿勢が不足していたことにあります。
Cookieレスとは
Cookieレスとは、まさにこの3rd party Cookieの取得が制限される状態のことを指しています。
Cookieによる情報取得規制が進んでいる
Googleは2022年初頭までにChromeブラウザでの3rd party Cookie利用の廃止を掲げていましたが、広告業界との調整により、廃止を2023年後半まで延期すると先日発表しました。
この動きはGoogleだけでありません。AppleのブラウザSafariでは、一足早く3rd party Cookieの完全ブロックを行っており、MicrosoftのEdgeでも3rd party Cookieのサポートを廃止する予定であると発表されています。
EUでは一足早く、GDPRという個人情報保護のルールやデータの取り扱いに関する厳格なルール設定が2018年に施行されており、Cookieに関する規制も強化されています。
Cookieレスによる現在のWebマーケティングの課題
Cookieレスによって、特に今のWebマーケティングは大きく影響を受けます。これまで3rd party Cookie を活用していたWebマーケティング施策、特に広告施策は使えなくなってしまいます。
広告メニューを扱う広告代理店はもちろん、クライアントサイドも大きな方向転換を求められることになります。
今後もこのような個人情報の保護を強化していく動きは止まらないでしょう。これからはいかに顧客から直接データを得られる仕組みを考えるか、またデータを預けてもいいと思われるブランドとなるかが問われています。
まとめ
個人情報の取り扱いを巡るこの動きは、決して一時的なものではありません。今後どのような技術が出ようとも、また同じように突然その技術に規制がかかることも考えられます。
考えるべきは、マーケティングの基本である「誰に何をいつ伝えるか」「それらを考えるために必要な顧客理解をどのように行うのか」ということです。また、時には最新のデジタル技術の情報、スキル、ノウハウを提供し伴走してくれるパートナーが必要な時もあるでしょう。
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