Webアンケート(ネットリサーチ)は、顧客の声や市場動向を把握するための効果的な手段ですが、「予算を抑えたい」「気軽に試してみたい」と考える方も多いのではないでしょうか。アンケートを実施する場合、無料で使用できるツールがいくつかあります。
本記事では、Webアンケート(ネットリサーチ)を無料で実施する方法や、ツールの選び方、おすすめの無料ツールを詳しく解説します。実施する際の注意点もあわせて紹介します。
Webアンケート(ネットリサーチ)を無料で実施する方法
Webアンケート(ネットリサーチ)を無料で実施する代表的な方法をご紹介します。
自社の既存顧客などを対象にアンケートを実施する
まずは、自社の既存顧客などを対象にアンケートを実施する方法です。
自社が保有する顧客リストやメルマガ登録者を活用するため、新たな費用が発生しません。すでに自社のサービスや商品に関わりのある顧客に調査できるため、的確な意見を得やすいのも大きな利点です。
ただし既存顧客だけでは、十分な数のデータを回収できず、結果が偏る可能性があります。回答数が限られるため、インセンティブやフォローアップが必要になる場合もあるでしょう。
SNSのアンケート機能を活用する
Webアンケートを無料で実施する方法として、SNSのアンケート機能を活用するのもおすすめです。アンケートが使える主要なSNSとしては、XやInstagram、Facebookなどがあります。
作成が簡単で、すぐに公開できるため、スピーディーな調査が可能です。一方で回答者がSNS利用者に限定されるため、対象者の属性が偏る可能性があります。また、フォロワーが少ない場合は、自社のSNSアカウントを育てなければなりません。
無料のWebアンケート作成ツールを使う
無料で利用可能なWebアンケート作成ツールを活用する方法もあります。GoogleフォームやSurveyMonkey(無料プラン)など、費用をかけずに利用できるツールが豊富にあるため、自社の目的に合ったものを使うとよいでしょう。
多くのツールは直感的な操作で設問を作成できるため、手間をかけずに調査を実施できます。ただし無料プランでは、設問数や回答者数が制限されるケースがほとんどで、大規模調査には不向きな場合があります。
Webアンケート(ネットリサーチ)を無料で実施できる範囲
Webアンケート(ネットリサーチ)は、無料でも実施できますが、本格的な調査に比べればその範囲は限定的です。ツールやプランによって設問数や回答数などに制限がある場合もあるため、基本的には簡単な調査に向いています。
小規模なアンケート調査
無料のWebアンケートは、規模が小さく、特定のターゲットに対して実施する調査に適しています。たとえば以下のようなケースです。
〇顧客満足度調査:サービス・商品の評価を収集する
〇イベント参加者のフィードバック:イベント後に感想や改善点を聞き取る
〇簡易的な意識調査:特定のテーマについての意見を収集する
想定される回答件数は、10〜100件程度です。
簡単な市場リサーチ
市場リサーチも、規模を限定すれば無料で実施可能です。既存の顧客やSNSのフォロワーを対象に調査を行えば、コストをかけずにさまざまな情報が得られます。トレンド調査や新商品の評価の調査、競合の動向分析など多方面で活用できます。
たとえば「ハッシュタグ分析」では、特定のハッシュタグを調べれば、話題のトピックや商品についての意見を収集可能です。自社の投稿の「いいね」や「シェア」「コメント」数を確認し、エンゲージメントデータの分析を行うのもよいでしょう。
無料で使えるおすすめWebアンケート(ネットリサーチ)ツール12選
無料で使えるおすすめWebアンケート(ネットリサーチ)ツールの中から厳選した12サービスの、概要、無料でできる範囲、有料プランにした場合の費用をご紹介します。
Googleフォーム
Googleフォームは、オンラインフォームやアンケートを作成できるツールです。Googleアカウントがあれば、すべての機能を無料で使えます。直感的なインターフェースで、誰でも簡単にアンケートの作成が可能です。
コーディング不要で、クリック操作だけで質問やデザインを設定できます。アンケートフォームのテンプレートも用意されているため、初めての人でも問題なく使いこなせるでしょう。
Microsoft Forms(無料プラン)
Microsoft Formsは、Microsoft 365に統合されており、直感的な操作で簡単にフォームやアンケートを作成できるツールです。「フォームの作成」「集計・分析」「Microsoft Office 365との連携」など、無料版でも有料版とほとんど同じ機能が利用できます。
ただし受け取れる応答数にBasicプランで最大200件など制限がある ため、大規模な調査を実施する場合は有料プランがおすすめです。費用は、以下の通りです(年払いの場合)。
〇Microsoft 365 Business Basic:月額899円/ユーザー
〇Microsoft 365 Business Standard:月額2,249円/ユーザー
〇Microsoft 365 Business Premium:月額3,298円/ユーザー
〇Microsoft 365 Apps for business:月額1,236円/ユーザー
formrun(無料プラン)
formrunは、問い合わせフォームやアンケート作成に特化し、CRM機能も兼ね備えた便利なツールです。無料プランの場合、1フォームあたりの月間フォーム回答数が30件、フォーム作成数が1個となります。チームメンバー数は1人(保存容量100MB)です。
有料プランの場合は、以下から選択します。
〇BEGINNER:月額3,880円
〇STARTER:月額1万2,980円
〇PROFESSIONAL:月額2万5,800円
SurveyMonkey(無料プラン)
SurveyMonkeyは、シンプルなアンケート設計が魅力で、基本的なデータ収集や分析を無料で試せるツールです。無料プランでは、アンケート(それぞれ10問以内)を作成でき、収集できる回答数の上限が25件となっています。
有料の場合、チームプランもしくは個人プランを選択し、それぞれ「アドバンテージ」「プレミア」の2つから選びます。チームプランの場合、費用は以下の通りです。
〇アドバンテージ:月額4,600円/ユーザー
〇プレミア:月額1万1,050円/ユーザー
Typeform(無料プラン)
Typeformは、スペインのTypeform社によって開発されたツールです。無料プランでは、質問数10個まで、フォーム作成数3つまでという上限があります。有料プランの場合は、以下から選択します。
〇Basic:25USD(米ドル)
〇Plus:50USD(米ドル)
〇Business:83USD(米ドル)
企業に合わせたカスタマイズも可能です。
SELECTTYPE(無料プラン)
SELECTTYPEは、予約システムを作成するツールとして知られていますが、アンケートにも対応しています。無料プランでは、質問数10個まで、フォーム作成数3つまでという上限があります。有料プランは、以下の通りです。
〇ベーシック:月額1500円
〇プロフェッショナル:月額3000円
〇プレミアム:月額1万円
中規模以上の企業でなければ、基本的にはプロフェッショナルで十分に対応できます。
MOMONGA(無料プラン)
MOMONGAは、iPadアンケートで強みを持っているツール・サービスです。Webアンケートとあわせて、オフライン利用を検討している場合に適しています。無料プランは、利用期間無制限ですが、回答件数の上限が1万件となっています。
有料プランは、以下の3つです。
〇オープン:月額3万3000円
〇クローズド:月額16万5000円
〇イベントパック:月額22万円
CustomForm(無料プラン)
CustomFormは、自由度の高いフォームデザインが可能で、簡単なアンケートや応募フォームに最適なツールです。無料プランは、以下の機能を利用できます。
〇フォームの作成・編集・公開
〇集計結果の公開
〇回答結果の閲覧
〇回答ダウンロード
〇メール通知
一方で、HTMLタグの利用や自動返信などの機能は制限されています。有料プランは、以下の通りです。
〇Advanced:月額3300円(税込)または年額2万2000円(税込)
〇Pro:年額11万円(税込)
〇Enterprise:初期費用110万円(税込)~、月額費用11万円(税込)~
SECURE FORM(無料プラン)
SECURE FORMは、SSL通信などさまざまなセキュリティ要件を備えたツールです。CSVダウンロード対応など、フォーム作成ツールに欲しい基本的な機能もあります。無料プランでは、最大3つのフォームを作成でき、SSL暗号化通信にも対応しています。
有料プランは、以下の通りです。
〇ベーシック:月額990円(税込)
〇ビジネス月額1,980円(税込)
ビジネスプランになると、フォーム作成数最大50個、1フォームあたり最大100項目の設定ができます。
Questant(無料プラン)
Questantは、27万以上の利用者数を誇るセルフアンケートツールです。マクロミルによって提供されており、同社のノウハウが詰まっています。無料プランでは、質問数最大10問までのアンケートを作成可能です。
有料プランは、以下の通りです。
〇通常:年額5万円(税抜)
〇ビジネス:年額15万円(税抜)
〇プレミアム:年額30万円(税抜)
また、単発利用向けの「アドホック」「パネル調査」サービスもあります。
Asklayer(無料プラン)
Asklayerは、Webアンケートを通じて市場調査や顧客フィードバックの収集、見込み客の開拓、顧客セグメンテーションを支援するツールです。Shopifyアプリ、もしくはその他のプラットフォームに導入するかで、料金が変わります。
その他のプラットフォームに導入する場合、無料プランであれば月間の上限回答数が25件という制限があります。有料プラン(年額払いの場合)は、以下の通りです。
〇ベーシック:月額3400円
〇スタンダード:月額6700円
〇プロ:月額1万7100円
Zoho Survey(無料プラン)
Zoho Surveyは、ユーザーフレンドリーなインターフェースを備えたオンラインアンケート作成ツールです。短時間でアンケートの作成、配信、分析ができます。無料プランには、以下のような制限があります。
〇アンケート作成数:最大3件
〇質問数:各アンケートにつき最大10問
〇回答収集数:各アンケートにつき最大100件
有料プラン(年額払いの場合)は、以下の通りです。
〇ベーシック:月額890円
〇プラス:月額3,000円
〇プロ:月額4,200円
〇エンタープライズ:月額9,000円
無料Webアンケート(ネットリサーチ)ツールを選ぶ3つのポイント
回答件数や質問数の制限を確認する
ツール選定時は、回答件数や質問数の制限を確認しましょう。無料プランを利用する場合、さまざまな制限が設けられています。
たとえば多くのサービスの無料プランでは、1つのアンケートで収集可能な「回答数」に上限が設定されています。1つのアンケート内で設定できる「質問数」にも制限があり、複雑な調査には不向きな場合があるため注意が必要です。
直感的な操作性を重視する
直感的な操作性を重視するのも、ツール選定時の重要なポイントです。ユーザーインターフェースがわかりやすく、質問の作成や設定がスムーズに行えるツールを選びましょう。たとえば一部のツールでは、ドラッグ&ドロップで質問を簡単に配置できます。
テンプレートが充実しているかどうかを基準にするのもおすすめです。豊富な質問テンプレートがあれば、アンケート設計の時間を短縮できます。業種や目的に応じたテンプレートがあると便利です。
データ集計機能などをチェックする
アンケートツールを選ぶ際は、機能性を確認することが重要です。たとえばリアルタイム集計機能は、回答データがリアルタイムで集計・可視化され、調査状況を逐一確認しやすくなるものです。必要に応じて、早期に分析作業へと移行できます。
ほかにも、回答データをスプレッドシートやエクセル形式でエクスポートできる機能など、外部ツールとどのように連携しているかも重要です。すでに使用しているものがあれば、それに合ったツールを選びましょう。
無料でWebアンケート(ネットリサーチ)を実施する際の注意したいポイント
無料で行うとはいえ、Webアンケート(ネットリサーチ)を実施する際は、無料で行うからこそ注意が必要な点があります。
回答者属性の偏り
無料でWebアンケート(ネットリサーチ)を実施する際に注意したいのは、回答者属性の偏りです。SNSを通じて回答者を募ると、多くの人にリーチできる反面、高齢者などの層を取りこぼしてしまう可能性があります。複数のチャネルを利用したり、ターゲットの絞り込みを徹底したりと、偏りを軽減するための工夫が必要です。
質問数や内容
質問数や内容も、Webアンケートを実施する際に注意したいポイントです。前述のように、ツールの無料プランには、回答件数や質問数、分析機能に制限があります。制限にかからないようにするためには、質問の数などを絞り、簡潔なWebアンケートにするのが重要です。シンプルな設定は、回答者の途中離脱を防ぐなど、回答率の向上にもつながります。
回答率の確保
回答率の確保も、Webアンケートを実施する際に注意したいポイントです。無料で実施する場合、基本的には質問設計などを自社で行うため、ノウハウが蓄積していない場合は回答率が低くなるケースがあります。
たとえばインセンティブを用意する、リマインダーを送信して回答を促進するなどの工夫が必要です。回答率の高め方について詳しくは、以下の記事を参照してください。
個人情報の取り扱い
Webアンケートの実施時には、個人情報の取り扱いにも注意しましょう。
まずはアンケートでどのようなデータを収集し、それをどのように利用するかを明確に示します。アンケートを実施する企業または個人が、「収集データの管理責任を負う」旨を明記してください。
アンケートフォーム内、またはリンクとしてプライバシーポリシーを明記します。プライバシーポリシーに関しては、設定できるツールと、その部分があいまいになっているツールがあります。ツールを使う場合は、無記載で公開しないように注意してください。
まとめ
無料でWebアンケート(ネットリサーチ)を実施する方法は、自社の既存顧客やSNSのアンケート機能を活用した方法から、無料ツールを利用する方法まで多種多様です。
ツールを選定する際は、ツールの機能や回答件数の制限、データ集計のしやすさを確認し、自社のニーズに合ったものを選びましょう。回答者の属性の偏りや個人情報の取り扱いなど、調査時の注意点も押さえておくのが重要です。