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リサーチャーがマーケティングリサーチの品質を見つめ直した話ーマーケティングリサーチの品質にこだわる宣言ー

ライター:吉原慶

公開日:2025年01月23日

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目次

マーケティングリサーチの品質について考えるとき、真っ先に思い浮かぶのは「設計」や「与件整理」の重要性でしょう。確かにこれらは欠かせない要素です。しかし、その前にもっと重要な基盤があると私は考えています。それは「マーケティングリサーチから得られた結果が確からしいということ」です。
この前提がなければ、どれだけ緻密に設計や与件整理を行っても、その上に積み上がる結論や施策は意味を持ちません。そして、この前提を性善説に頼る形で捉えるのは非常に危険と考えます。

リサーチ品質の三層構造

 

私はリサーチの品質を次のように定義しました。
・上段:設計
 リサーチの具体的な枠組みや調査手法の選定。
 調査目的に合致した設問構成や分析方法の決定。

・中段:与件整理
 背景(マーケティング課題)、調査目的、調査課題の整理とゴール設定。
 特に、クライアントの期待値と現実的なリサーチの可能性を一致させることが求められる。

・下段:データの確からしさ
 この基盤が整わなければ、上段・中段の精度がいかに高くても全体の信頼性は崩れます。

 

img-01マーケティングリサーチの品質とは、「データの確からしさがあり、与件整理が適切に行われ、きちんと設計されたリサーチ」であると定義できます。

 

性善説からの脱却-データの確からしさを担保するために

 
多くのリサーチでは、「データは正しいだろう」という性善説に基づいて進められることが少なくありません。しかし、この前提を疑い、データの正確性を担保するための具体策が必要と考えました。
この問題に対して真摯に向き合い対策を講じていくことをここに宣言します。

 

1. 適切な対象者の選定

リサーチでは一定数、不適切な回答が混ざることが避けられないため、自然に排除できる仕組みが必要です。
特に定性調査では、話を聞く相手として適性があるか(例:意見を的確に伝える能力や会話のトーンなど)を見極めることで、リサーチの成功率を高めます。

・回答精度チェック設問の導入(定量調査、定性調査)
不正回答が疑われる回答者を約5%排除することが可能であり、この仕組みをリサーチ案件に導入し始めています。 

 

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[11月~12月に実施した案件を無作為に100件抽出]

 

【プレスリリース:アンケート回答精度チェック設問の正式導入開始】
https://corp.neo-m.jp/news/neo-news_018/

 

 

・オーディションリクルート(定性調査)
内容に齟齬がないだけでなく、会話のトーンやテンポが良い人で、自分の考えや意見を言語化できそうな人であることを見極めることがインタビュー成功の確率を高めます 。

 

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【プレスリリース:適切な調査対象者をリクルートするサービス「オーディションリクルート」】
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000332.000003149.html

 

 

2. 直感的かつ深く考えずに回答できるユーザーインターフェース

設問文や回答形式を直感的に設計することで、迷わずにスムーズに回答できる環境を提供します。

・ちゃんと設問の意味を分かった上で回答してもらえるUI
例えば、長い設問文があったとして、きちんと読んで理解をした上で回答してもらえるでしょうか?・・・恐らく大体の人は「きっとこういう設問」という予測のもと回答するでしょう。
長い設問は読まれないと考えた方がよいというのが、私の所感です。
しかし、どうしても前提や注釈を入れて正確に理解した上で回答してもらいたいケースもあります。
その場合、設問文を固定で表示するのではなく、タイプライターのように一文字ずつ表示させるUIを採用することで、強制的に読ませるようにすることが有効です。 

 

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設問文を「タイプライティング式表示」で回答したグループの方が、誤回答者の割合が低いことが確認されました。

 

【プレスリリース:設問文の「タイプライティング式表示」でリサーチ品質向上へ】
https://corp.neo-m.jp/news/neo-news_019/

 

 

 

・チャットアンケート
チャット形式を用いた自由回答は、従来の自由回答記述欄に回答する場合と比べて、不正回答や回答の薄さを大幅に減らし、自由回答の質を向上させる効果があります。 

 

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チャット形式の自由回答が優れている理由は、回答者の心理的負担を軽減し、自然な回答行動を促す設計にある点です。特に、「慣れ親しんだ形式」「段階的な質問」「深掘りの誘導」が不正回答を防ぎ、質の高い回答を引き出す鍵となっています。この仕組みは、回答者に「自分の意見をしっかり伝えたい」という意欲を喚起し、従来の自由回答形式よりも回答の質を大きく向上させます。

 

【プレスリリース:「チャットアンケート」でリサーチ品質向上へ】
https://corp.neo-m.jp/news/press-release_001/

 

 

・感覚で回答できるような仕様
感覚尺度
いわゆる調査上の5件法(5段階尺度)は、日常の感覚とは異なる場合が多く、「とても魅力的」という表現を普段の会話で使うことはあまりないですよね。こうした日常生活で使わない表現や尺度は、回答しにくさや考え込む原因となることがあります。
そのため、日常の感覚に近い尺度を導入することで、回答者が「自然な気持ち」で回答できる環境を整えることが重要です。このアプローチにより、回答者の堅苦しさやプレッシャーを軽減し、回答内容の質と信頼性を向上させることが可能です。この手法は、回答者の主観を捉える調査や感覚的な評価が求められるリサーチにおいて特に有効です。 

 

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まとめ

マーケティングリサーチにおいて最も重要なのは「結果の信頼性」です。どれほど優れた設計や与件整理を行っても、データが正確でなければ、そこから導かれる結論や施策は意味を成しません。

 

リサーチ品質向上の具体策
1.適切な対象者の選定
リサーチにふさわしい対象者を厳選し、不正確な回答を排除する。
2.内容を正しく理解できるUI設計
設問が明確に伝わるインターフェースを構築し、回答の正確性を確保する。
3.直感的に答えられる仕様
回答者の負担を軽減し、自然な感覚で答えやすい仕組みを採用する。

これらを徹底することで、「データの確からしさ」を高め、リサーチ全体の品質を向上させます。リサーチ品質を守ることは、クライアントへの責任であると同時に、リサーチャーの使命です。今後も「品質にこだわる宣言」を掲げ、より信頼されるリサーチを提供してまいります。

 

 

今回は品質の基礎(ベース)となる、データの確からしさの担保について解説しましたが、
その上段の与件整理、調査設計に関しては下記をご参照ください。

 

【与件整理】

【設計】

 

ネオマーケティングは国内約2889万人のアンケート会員を保有するパネルネットワークを構築、ご希望の調査対象者にリサーチを実施することが可能です。
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吉原慶
WRITER
吉原慶
マーケティング会社を経て、上場企業のマーケティングリサーチ会社に移籍。 リサーチャーのチームを立ち上げ、マネージャーとして後進の育成や社内外での勉強会やセミナーの開催、新サービスの開発を担当。 2022年ネオマーケティング(エキスパートグループ)に合流し、現在はストラテジックリサーチャーとして「リサーチを起点に、デジタルマーケティング・PRグループとのシナジーを生み出す」ことをミッションにしている。

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