ビジネスパーソンが知っておきたい市場分析のフレームワークの全体像
ライター:株式会社ネオマーケティング
公開日:2022年07月27日
| 更新日:2024年10月17日
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マーケティングリサーチ
「ネオマーケティング」ライターチームです。
企業が経営戦略立案、事業計画策定、販促活動策定、事業改革などを行う際、真っ先に必要になるのが市場分析です。この市場分析においてはさまざまなフレームワークが用いられます。ここではオフィス業務に携わっているビジネスパーソンが基礎知識として知っておきたい、フレームワークの全体像を解説します。
市場分析の目的と役割
市場分析の目的は、自社と市場とユーザーの関係性を客観的に把握し、その事実にもとづいて適切な経営戦略立案、事業計画策定、販促計画策定などを行うことで収益を確保し、安定的な事業成長を図るところにあります。
同時に市場分析はこの目的達成において、主に次の役割を担っています。
●経営戦略立案・事業計画策定・販促計画策定における一次資料提供
企業が経営戦略立案、事業計画策定、販促計画策定などをする際の拠り所になるのが、市場動向の的確な把握による将来展望です。
そのためには客観的で信憑性が高く、ブレがない市場分析にもとづく一次資料が不可欠になります。
●適正なマーケティングを行うための一次資料
企業が経営戦略、事業計画、販促計画などにおいて所期の目標を達成するためには、適正なマーケティングが必要になります。ところが最新のマーケティング手法を駆使している企業でも、初期の目標達成に失敗しているケースが少なくありません。
その原因は、自社のありたい姿の願望にもとづいた市場分析にあります。客観的で信憑性が高く、ブレがない市場分析は自社の願望ではなく事実を明らかにし、精度が高い適正なマーケティングを可能にします。
なお市場分析においては各種のフレームワークが用いられます。市場分析におけるフレームワークとは、「事業場の課題を論理的に解決するため、すでに体系が確立されている枠組み」のことです。フレームワークを用いることで「事象を漏れなく、ダブリなく、迅速かつ的確に」に把握できるといわれています。
市場と自社の現状を把握するための市場分析フレームワーク
新事業を展開し、そのための新商品を開発する場合や、市場に新規参入するなどのシーンにおいては、一般に次の市場分析フレームワークが用いられます。
●外的要因から市場の現状把握ができるPEST分析
PEST分析は、
・Politics:法律、条令、規制、カントリーリスクなどの政治的要因
・Economy:経済成長率、景気、物価、為替レートなどの経済的要因
・Society:ライフスタイル、流行、失業率、少子高齢化をはじめとする人口動態などの社会的要因
・Technology:市場環境の激変をもたらす技術革新、X-Tech(クロステック)などの技術的要因
の4つの外的要因を分析することで、市場の現状を把握できるフレームワークです。
市場の外的要因は自社の努力で取り除くことができません。しかしPEST分析を行えば外的リスクが明確になり、それを回避するための有効なリスク対策が可能になると言われています。
●ユーザー視点で市場の現状を把握できる4C分析
4C分析は次の4要素により、ユーザー視点で市場の現状を把握できるフレームワークです。
・Customer Value(顧客が感じる価値)
自社商品に対してユーザーが感じる「価値」を示す要素です。この要素には自社商品の付加価値、機能性、ブランド力、企業好感度などが含まれます。
・Cost(商品の価格)
ユーザーが自社商品購入にどれだけの金額を費やしてくれるのかの要素です。ユーザーが自社商品にどれだけの価値や魅力を感じてくれるかにより、価格設定が変わってきます。
・Convenience(商品購入の利便性)
Convenienceは、ユーザーが自社商品を購入するまでのプロセスや決済に不便がないかを示す要素です。購入場所の立地条件、決済方法、実店舗・ECサイトなどがその要素になります。
・Communication(ユーザーとのコミニケションの接点)
ユーザーが自社の商品情報を収集する中で、ユーザーとどのような接点でどのようなコミュニケーションを取れば購入に結びつくのかを示す要素です。
ユーザーとコミュニケーションを取る接点として展示会、セミナー、見本市、オウンドメディアによる商品情報やホワイトペーパー提供、インターネット広告出稿、SNSへの広告投稿などが用いられています。
4C分析は、成熟市場での販促企画・実行において効果の高いフレームワークと言われています。
●自社視点で市場の現状把握をする4P分析
4P分析はProduct(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(販促活動)の4要素により、市場の現状を把握できるフレームワークです。
前述の4C分析がユーザー視点の分析であるのに対し、4P分析は自社視点の分析になります。4C分析と4P分析を同時に行い、両者の結果を突き合わせることにより、より高精度な市場の現状把握が可能と言われています
●競争優位の条件を探り出すSTP分析
STP分析は、
・Segmentation:市場を細分化して捉える
・Targeting:自社が狙いとする市場を定める
・Positioning:ターゲット市場において競合との違いが明確な商品訴求をする
この3要素により、自社が競争優位に立てる条件を探り出すためのフレームワークです。
新事業の展開に際しては、自社商品の価値や魅力を明確化し、競合との差別化を図れる市場での立ち位置を決める必要があります。新事業を取り巻く市場環境を的確に把握し、どのような立ち位置を取るかにより、その後の事業戦略と事業の収益性が大きく変わってきます。
このためSTP分析では、まずSegmentationで市場の全体像を把握し、次にTargetingでその中から自社が狙うべき市場を決定し、最後にPositioningで自社が競争優位に立つための競合との差別化要素を決定します。
●自社の事業課題を把握できるSWOT分析
市場へ新規参入する際、その前に解決すべき自社の事業課題を把握するためのフレームワークです。
具体的には社内要因であるStrength(自社の強み)とWeakness(自社の弱み)、社外要因であるOpportunity(機会)とThreat(脅威)を漏れなく洗い出し、この4つの要因を照らし合わせてその関係性を分析することで、解決すべき自社の事業課題が明確化します。
●競争優位の戦略樹立を可能にする5Forces分析
5Forces分析は、市場で自社のForces(脅威)となる競争要因を競合他社、売り手(自社)の交渉力、買い手(ユーザー)の交渉力、代替品、市場新規参入者の5つに分類し、それぞれを分析することにより自社の競争優位性を探るためのフレームワークです。
市場での競合の力が弱く、市場新規参入者や代替品の脅威も低い場合、ユーザーは自社商品を選ぶ以外の選択肢がほとんどなくなるので、市場での交渉力が強まり、適正価格での販売により収益性が高まります。逆の場合は交渉力が弱まり、収益性が低下します。
この5つの競争要因は市場動向そのものであり、5つの競争要因のうちどの要因で自社が強みを発揮できるかで、取るべき事業戦略が変わってきます。
的確な5Forces分析をすることで、競争優位の戦略樹立が可能になります。
まとめ
市場分析のフレームワークは、ともすればマーケティング部門や販促部門のみが利用するツールと誤解されがちです。しかしフレームワークは自社の事業展開におけるあらゆるシーンで有用なツールです。
したがってプロフィットセンターを支えているバックオフィスのビジネスパーソンも、「このフレームワークはどのようなもので、どのような時に使うのか」の基礎知識を持っておくと、自分の業務遂行に大きく役立つでしょう。
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