PB(プライベートブランド)とは?導入によるメリットや注意点を解説
ライター:株式会社ネオマーケティング
公開日:2022年07月22日
| 更新日:2024年09月30日
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マーケティングリサーチ
「ネオマーケティング」ライターチームです。
小売店などがPB商品を開発、販売するのは一般的になりつつあります。商品開発にあたってはメーカーと共同で行うケースも多く、品質の面でメーカーが販売するものに引けを取ることは基本的にないといってよいでしょう。
今回は、そもそもPBとは何か、PBのメリットや導入にあたっての注意点について詳しく解説します。
PB(プライベートブランド)とは?
PBとは、メーカーではない小売業・流通業・卸売業などに属する非メーカー企業が、独自に商品の開発、生産を行っている商品のことです。PBの典型例の一つが、コンビニで販売されている商品です。商品が並べられている陳列棚を見ると、コンビニの名前を冠した食品類が多数目に入るでしょう。それらはメーカーではなく、コンビニ各社が独自に開発して販売しているPB商品に該当します。
PBの最大の特徴は、商品の企画段階から消費者に近い視点を取り入れられる点です。メーカーは商品の開発と生産に関する専門的な知識を十分に保有していますが、実際に流通・販売のプロセスに携わるわけではないため、実購買データを活用した商品の企画がしにくい面もあります。
一方、小売店などより消費者に近い立場から商品開発を行うPBの場合、消費者のニーズに敏感に反応し、市場が求めるものを迅速に提供することも可能です。
またPBの場合、自分たちで開発したものをそのまま店頭に並べたり、オウンドメディア上で販売したりすればよいため、メーカーのような広告宣伝費や販売促進費がかけなくても売り場を取れる強みがあります。それらの費用がかからない分、メーカーの商品よりも価格を下げられるため、高品質のものを安く手に入れたい消費者の欲求に合致しやすくなります。
PB(プライベートブランド)とNB(ナショナルブランド)、OEMとの違い
PBのことを理解する上で、合わせて覚えておきたいのが「NB(ナショナルブランド)」と「OEM」です。
NBとはメーカーが自社商品に対して付けているブランド名を指し、いわばPBの対義語です。お菓子類であれば「かっぱえびせん」や「ハッピーターン」、清涼飲料水であれば「コカ・コーラ」などがその例として挙げられるでしょう。
また、PBは小売・流通・卸売りなど非メーカーによるその会社の商品ブランドですが、メーカー側が製造から販売まで行なう「SPA」と呼ばれる企業態もあり、衣料品の原料調達、生産から販売までのすべてを行っている「ユニクロ」一例にあります。
一方、OEMとは「Original Equipment Manufacturing」の頭文字を取った言葉で、他社から依頼を受けて、他者の商品を製造する企業態のことをいいます。
PB商品を製造する小売・流通・卸売業者には生産設備がないため、商品の企画は行ったとしても生産までは行えません。大手企業であれば自社のグループ企業に製造部門を担ってもらうことできるかもしれませんが、そこまでの資本力がない企業がPBを展開する場合、外部のOEM会社に生産を委託します。製造工場・生産技術のない企業がPBを展開しようとするなら、OEM会社を探す必要があります。
PB(プライベートブランド)を展開するメリット
企業がPBを展開することには、実際にPBを展開する小売・流通・卸売業者だけでなく、そのPB商品を製造するOEM企業、さらには消費者にとってもメリットがあります。
●PBを展開する企業にとってのメリット
通常、小売店・流通業・卸売業が扱うのはメーカーが製造したNB商品です。この場合、商品を他社から仕入れる必要があります。しかしPB商品であれば、元から保有している実際の販売データから市場のニーズを把握し、商品企画に反映することができます。その結果、消費者のニーズをとらえた商品開発が行いやすく、リピート客を得やすくなり、売上増を狙いやすくなります。
●OEM企業のメリット
メーカーにとっても、自社製のNB商品ではなくPB商品を製造することによる大きなメリットがあります。
OEMの場合、メーカー側は発注量に応じた製造を行うだけでよく、市場調査・消費者ニーズの把握などを行う必要がありません。仮に製造した商品が売れずに在庫の山を築いたとしても、その損失を負うのは製造を依頼したPB商品の開発企業です。売上不振でも在庫を引き取らずに済むという点は、メーカーにとっては大きなメリットといえるでしょう。
更に、もしPB商品がヒットすれば自社への生産注文はそれだけ増加し、売上増を見込めます。つまり、売上不振に対する大きなリスクを取らずに済む一方で、ヒット商品になれば生産増となりその恩恵を十分に享受できるわけです。
●消費者にとってのメリット
消費者にとってPBという選択肢があることは、価格の安い商品が購入できること、よりニーズにマッチした商品を入手しやすくなること、などのメリットがあります。メーカーによる広告費、各種中間業者を挟むことがないため、一般的にPB商品はNB商品よりも価格が安いです。
また、メーカーではなく小売・流通・卸売業者といったより消費者に近い企業が開発に携わるため、ニーズに合致した商品が開発されやすい傾向にあります。基本的に消費者は、日々の暮らしの中で発生する生活課題を解決するために購買行動を取るわけですが、PBであればその解決につながりやすい商品を見つけやすいわけです。
PB(プライベートブランド)を展開する上で注意すべき点
小売・流通・卸売業がPBを展開しようとする場合、いくつか注意すべきポイントがあります。
一つは、生産したPB商品の在庫管理の必要性です。自社で企画・開発したPB商品の製造はOEM企業が受け持つわけですが、そこで生産された製品は在庫として自社で引き取る必要があります。
製品を保管するためのスペースや管理するための人員を、自社で用意しなければなりません。この場合、とくに問題が起こるのはPB商品が売れ残り、大量の在庫を抱えるケースであり、過剰在庫を保管するために多額の費用が発生する恐れがあります。問題なく売上が見込めるように、慎重に市場戦略を立てることが不可欠です。
また、顧客対応も必要になってきます。NB商品であれば、商品に対するクレームはメーカーが直接対応します。しかし、PB商品に対するクレームは、開発者である小売・流通・卸売業者が引き受けなければなりません。クレーム対応の部署を設けるのはもちろん、製品開発に対する責任を負う意識を、社内全体で醸成していく必要もあるでしょう。
さらに、NBに比べるとPBはブランド力を高めにくい傾向もあります。NBであれば、消費者の間で古くから親しまれている商品・ブランドがあり、それが商品のクオリティに対する信頼につながっていることが多いです。
一方、PBにはそのような蓄積がないため、顧客獲得のため一からブランド構築に取り組まないと、安定した売上増は望めません。売り場における優位性はあるものの、価格と品質のバランスが重要なのは言うまでもありません。
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