「ネオマーケティング」ライターチームです。
CPAとは、「Cost Per Acquisition」の略語であり、顧客獲得単価を指します。つまり1人の顧客を獲得するために、どれくらいのコストがかかったのかを表す指標です。
「顧客の獲得」というと漠然としていますが、具体的な例を挙げれば、購入や会員登録などの成果(コンバージョン)です。今回の記事では、CPAについて解説します。
CPAとは?
冒頭でも解説したように、CPAとは1件の顧客を得るためにどれくらいのコストがかかったのかを指します。Web広告では1件のコンバージョンにかけたコストを指します。ここではその具体例や注目される背景など、CPAに関する基礎知識を解説します。
●CPAの具体例
たとえばAというキャンペーンで、100万円のコストをかけて、50人の新規顧客を獲得したとします。かなり極端な例ではありますが、「1人の新規顧客を獲得するために2万円のコストをかけている」計算になるため、このケースでのCPAは2万円です。
一方で、Bというキャンペーンで50万円のコストで50人の新規顧客を獲得した場合、CPAは1万円になります。1万円で1人の新規顧客を獲得している計算になるため、CPAの単純比較であれば、Bのキャンペーンの方が顧客獲得の効率が優れているといえるでしょう。
●CPAはKPIに設定されることも多い
CPAはその性質から、KPIとして設定されることも多い指標です。KPIとは、「Key Performance Indicator」の略語であり、重要業績評価指標と訳されます。目標を達成するために、その達成度合いを計測するための指標です。
たとえばWeb広告のキャンペーンにおいて売り上げをあげるためには、訪問件数やCVRを向上させなければなりません。この「訪問件数」や「CVR」がKPIとして設定されます。いわゆる「中間目標」として理解しておくと分かりやすいでしょう。
CPAは、「どれだけ効率的に広告を運用できているか」を表す指標のため、KPIとして設定しやすい要素となっています。
●広告の分野でCPAが必要とされる背景
CPAが必要とされる背景としては、Web広告の浸透や、それに伴って費用対効果測定の重要性が増したことなどが挙げられます。CPAの値が低ければ低いほど、「少ないコストで顧客を獲得できている」状態のため、効率的に広告を運用できています。
一方、CPAの値が高ければ高いほど、「顧客を獲得するために大きなコストをかけている」ことになります。当然広告を効率良く運用できておらず、マーケティング戦略を練り直す必要があるでしょう。マーケティングの見通しを立てるためにも、CPAのような指標が大きく役立ちます。
上限CPAを算出し、その数値を超える広告は停止する、という判断を行うことにも活用できます。
●CTR・CPC・CVRとの違い
CPAとともにWeb広告の分野でよく使われる単語として、CTR・CPC・CVRがあります。まずおさらいですが、CPAはコストを獲得顧客数で除して求められる顧客獲得単価です。
CTRは、「Click-Through-Rate」の略語であり、広告がクリックされた率のことです。クリック数を広告表示回数で割ります。
CPCは、「Cost-Per-Click」の略語であり、1回のクリックでかかった広告費の平均単価です。コストをクリック数で割ります。
CVR「Conversion-Rate」は、コンバージョンの率のことです。コンバージョンの数をクリック数で割ります。
ニッチャーのメリット
ニッチャーは、特定の市場で地位を確立できるため、その分野に限ってはリーダーと同質の戦略を取ることもできます。さらに、競争の少ない市場だからこそトップを狙いやすい点もメリットです。
●自社の土壌で勝てる環境を作れる
大手でもカバーすることが難しい市場で、得意とする技術力や独自性などを発揮できるのがニッチャーの強みです。
マーケット規模こそ狭くても、その市場をけん引できるリーダーになれます。経営資源が乏しくても、まさに「自社の土壌で勝つ」ための環境を作れるのです。
●市場が狭いからこそ競争率が低い
あえてニッチな隙間市場を選ぶことは、少ない経営資源をそこに集中化させ他社との直接的な競合を避けるという、戦略の一環でもあります。
だからこそ、競争率の低い隙間市場においてけん引役になれるわけですし、高収益化も夢ではありません。
ニッチャーとしてのリスクもある
ニッチな隙間市場においてトップを取れれば高収益化への可能性も広がりますし、成功事例として企業のノウハウを蓄積していくこともできます。
しかしその反面、ニッチャーならではのリスクが伴うこともまた知っておかなければなりません。
●市場の変化によって消滅するリスク
ニッチとは文字どおり「隙間」を意味します。つまり、市場の変化によってはその隙間がなくなってしまう可能性もあるのです。
隙間がなくなるとは、つまりはその市場が消滅してしまうことです。隙間市場がなくなれば競合企業も次々と現れますので、激しい競争に巻き込まれてしまうリスクもあります。
これまで他の追随を許さないほどの技術力や独自性があったとしても、技術革新によって他社からそのハンディを埋められてしまえば、せっかくけん引役として引っ張ってきた市場を席巻されてしまう恐れも十分にあるのです。
●ニッチ市場の消滅によって大手が参入するリスク
そして、ニッチ市場がニッチな存在でなくなって市場が拡大してしまえば、今度は大手の参入リスクも待ち受けています。
技術革新によって参入の障壁が下がれば、高い資本力とブランド力を武器に大手企業が難なく参入できてしまうでしょうし、これまで後塵を拝してきた他のニッチャーが続々と参入してくることも大いに予測できることです。
それによる競争激化によってこれまでの地位が脅かされ、ついにはトップシェアの座を奪われてしまう可能性すらあります。
CPAの設定方法
CPAを適切に設定するためには、上限CPAと目標CPAのステップに分けて考える必要があります。ここではそれぞれの特徴を解説します。
●上限CPA
上限CPAとは、1件のコンバージョンを得るためにかけられるコストの上限額です。一般的に「売上単価-原価-経費」で求められます。たとえば売上単価が10万円であり、原価が3万円、経費が2万円であれば、上限CPAは5万円です。
つまり上記の例で考えると、「1件のコンバージョンを獲得するためにかけられる広告コストの上限は5万円」となります。しかしこの5万円はあくまでも上限額なので、広告コストとして5万円を使ってしまうと利益が発生しません。
また利益が出るかどうかの分岐点になるため、損益分岐点と呼ばれることもあります。定期的に購入が発生する商材の場合、LTVで上限CPAを算出することも重要です。
●目標CPA
次に確認したいのが目標CPAです。損益の分岐点となる上限CPAとは異なり、1件のコンバージョンを獲得するためにかけられるコストの目標額を表します。計算方法としては、「上限CPAから確保したい利益を引く」ことによって得られます。
先ほどの例でいえば、売上単価10万円の商品で、2割(2万円)の利益を得たいとします。上限CPAは5万円なので、そこから2万円を引いた数値、つまり3万円が目標CPAです。上記の例で考えると、売上単価10万円の商品に対して、その30%にあたる3万円が広告コストとなります。
上記のステップを経ることで、目標CPAの設定は完了です。後は実際のパフォーマンスを確認し、CPAの改善を行います。
CPAを改善する方法
広告を出している際に、CPAが上がってきてしまうケースも珍しくありません。ここではCPAを改善するために、どのような方法が必要なのかを解説します。
●コンバージョン数を上げる
CPAは、広告コスト÷コンバージョン数で求められる数値です。CPAを改善するためには、コ
ンバージョン数を上げる必要があります。よりテクニカルな話になると、コンバージョン数はクリック数とCVRによって左右され、クリック数は表示回数とクリック率に左右されます。これらを改善することで、最終的なCPAも改善されます。
テクニカルな部分での課題に加えて、そもそものターゲットの課題把握、クリエイティブ訴求がずれているというマーケティングの上流部分で躓いている可能性もあります。
その場合、広告ターゲット理解を深め、広告の訴求がターゲットのインサイトを捉えた訴求であるか、を検証することが非常に重要です。その根本的なターゲット理解に基づいたうえで、キャッチコピーの見直しなど、アピールの改善を実施し、自社のメッセージがターゲットに届くよう修正していきます。
ターゲットを理解し、そのターゲットインサイトを捉えた広告運用を行う。Webマーケティングであっても、そのマーケティングの本質は変わりません。
●広告のクリック単価を下げる
広告コストは、広告のクリック数×クリック単価によって算出されます。クリック単価が高ければ高いほど、同じクリック数であっても、広告コストが高くなるといった構造です。つまりコンバージョン率を上げるだけでなく、クリック単価を下げることによって、CPAが抑えられます。
クリック単価を減らすためには、入札単価を下げたり、Google広告の品質スコアを上げたりなどの対策をしましょう。
もちろん高い広告コストが大きな利益を上げる可能性もあるため、CPAが高いと良くないと一概に決めつけるのではなく、売上と利益の最大化を目的にCPAを管理する必要があります。CPAが目標よりも高騰している場合は、その考え方を念頭に、改善を行いましょう。
CPAに関する注意点
ここではCPAに関する注意点を二つ解説します。
●CPAは業界や業種、商品・サービス内容で大きく異なる
まず商品・サービスの単価や原価のような構造は、業界や業種によって大きく異なります。当然設定できるCPAも商品やサービスによって変わるため、注意が必要です。
たとえば、まったく業態の異なるA社を例に取り、「A社がCPAをここまで下げているのだから、我が社にもできるはずだ」と考えるのは大きな間違いです。企業によって下げられる金額に限度があることを覚えておきましょう。
●CPAの数値にこだわりすぎない
CPAを下げることだけにこだわらないようにしましょう。CPAを下げるために広告コストを削減すれば、当然広告のクリック率が下がってしまい、コンバージョンも減少してしまいます。
CPAはあくまでもコンバージョンを獲得するための指標です。CPAという指標だけにとらわれ、コンバージョンをおろそかにしてしまっては、効率的な広告運用はできないでしょう。
まとめ
今回の記事ではCPAの概要や設定方法を解説しました。CPAはあくまでもコンバージョンを重視する指標であり、CPAの値にとらわれすぎてはいけません。
たとえばCPAが高い状態は、短期的に見れば「効率的に広告を運用できていない状態」です。しかし高額な広告コストは、後に大きな利益を獲得するための「投資」でもあります。つまり短期的には広告コストをかけすぎているものの、中長期的に見れば大きく成長するモデルともいえます。
このように、広告を打つ目的が明確になっていれば、CPAに一喜一憂する必要もありません。ただ闇雲にマーケティングをするのではなく、「自社はなぜ広告を必要としているのか」を明確化するようにしましょう。