Facebook広告のやり方は「自社運用」と「外部委託」の2つ
まず、Facebook広告のやり方を大きく2つに区分すると、「自社運用」と「外部委託」とがあります。この点から解説していきましょう。
ケース1:Facebook広告を自社で運用する場合
一つ目のやり方は、Facebook広告を完全に自社で運用するケースです。
Facebook広告アカウントの開設、Facebook広告マネージャーの設定、広告戦略の策定、予算と成果のシミュレーション、広告クリエイティブの作成、マーケティング調査、競合調査など、多岐にわたる専門的な業務を担える人材が社内にいる場合、自社運用でも一定の成果は期待できるでしょう。
<Facebook広告を自社運用するメリット>
Facebook広告を自社運用するメリットは、外部委託費が発生しない点にあります。また、失敗を重ねて経験を積むことで、自社内にFacebook広告運用のノウハウが蓄積できる点も、メリットと捉えて良いかもしれません。
<Facebook広告を自社運用するデメリット>
一方、Facebook広告の自社運用には、いくつか見過ごせないデメリットもあります。
必要十分なスキルを持った人材が社内にいない場合、1年~2年程度は"手探り"で運用することになります。その間、成果らしき成果は期待できず、広告費で月あたり数十万円の赤字を出し続けてしまうことも珍しくありません。
また、ノウハウを身に着けるための研修などにも、相当な時間と予算が掛かります。その間、担当者が他の業務を進めることは難しくなるため、人手不足に陥ってしまう懸念もあるでしょう。
ケース2:Facebook広告運用を外部委託する場合
もう一つのやり方として、Facebook広告の運用を外部委託する方法があります。
Facebook広告の運用に高い専門性と実績を持った、信頼できるマーケティング会社などが委託先の候補になります。
<Facebook広告の運用を外部委託するメリット>
第一に、専門家にFacebook広告運用を任せられる点が最大のメリットと言えるでしょう。
Facebook広告の運用は、専門的な知識だけでなく、実際の運用経験も非常に重要な要素になります。ゼロから自社だけで運用を始める場合、経験的な判断が適切に行えるようになるまでの期間、かなりの赤字を覚悟する必要があります。しかし、既に豊富な経験と実績を持っているマーケティング会社に委託すれば、より効率良くスムーズに広告プロジェクトを推進することが可能です。
また、マーケティング会社のコンサルを受けながら運用することで、自社内にFacebook広告運用のノウハウが効果的に蓄積されていきます。知識・経験・技術といった、容易に代替できない貴重な価値を獲得できる、良い機会にもなるでしょう。
<Facebook広告の運用を外部委託するデメリット>
Facebook広告運用を外部委託する場合のデメリットは、外部委託費など費用が発生することです。ただし、「外部委託費が掛かるから、自社運用のほうがコストが低くなる」と考えてしまうのは早急です。
Facebook広告運用のノウハウが自社内に蓄積されていない場合、少なくとも最初の1年は”手探り”になってしまうため、月々数十万円ほどの赤字は覚悟する必要があります。そうしたコストと外部委託の費用とを比較すると、信頼できる専門家に委託する方が費用対効果の面でも良い結果につながりやすくなります。
※SNS広告の基礎については、こちらのショートウェビナ―動画をご覧ください。
本当に成果につなげるための「Facebook広告のやり方」
「Facebookに広告を出稿する」ことと、「Facebook広告で成果を出す・目的を達成する」ことの違いについて、ここで簡単にご説明しましょう。
新聞広告や雑誌広告、テレビCMなど、従来の広告は”効果測定”に大きな課題を抱えています。たとえば新聞や雑誌であれば発行部数、テレビCMであれば視聴率から概算することは可能ですが、
「実際に何人のユーザーがその広告を見たのか」
「実際に広告を見て、購入などの行動を起こした人は何人いるか」
「その広告経由で、いくらの売上が上がったのか」
といった具体的な数値を把握することは、従来の広告では困難です。
しかしFacebook広告の場合、「Facebook広告マネージャー」や、他のアクセス解析ツール等との連携により、こうした具体的な成果を数値で正確に把握できます。
また広告の料金についても、「何人に表示されたか(インプレッション課金)」「広告が何回クリックされたか(クリック課金)」といった、成果報酬制の従量課金システムになっています。
このためFacebook広告は、適切に運用すれば、効率的・効果的に大きな成果を期待できます。ですが一方で、適切に運用しなければ、広告費の赤字ばかり積み重なってしまい、一向に成果が生じないことも意味します。
従って、ただ手順通りにFacebook広告のアカウントを開設し、画面の指示に従って広告を出稿するだけでは、事業を成長させるどころか、莫大な広告費が赤字となって経営を圧迫してしまいかねません。
Facebook広告は、単に広告を出稿するだけなら簡単で、誰にでも可能です。しかし、広告を通して成果を上げることや、事業目的を達成することは、簡単ではありません。
そこで、本当に成果につなげるための「Facebook広告のやり方」について、ここで簡単にご紹介したいと思います。
<本当に成果につなげるための「Facebook広告のやり方」全体像>
【1】:自社の事業段階や施策の実施状況などを総合的に分析し、Facebook広告の運用目的を明確化する。
【2】:マーケティング調査を行い、顧客の顕在需要・潜在需要・競合の施策などを整理する。
【3】:自社の強みや特徴と、マーケティング調査とを勘案し、広告戦略を立案する。
【4】:広告クリエイティブ、遷移先ページなど、必要な素材を制作する。
【5】:制作と並行して、Facebook広告の出稿に必要な各種アカウントを取得する。
【6】:「Facebook広告マネージャー」にて、ターゲット、予算、入札戦略などの必要情報を設定し、広告クリエイティブを入稿する。
【7】:広告の審査状況を確認する。審査落ちの場合、Facebook広告ガイドラインと照らし合わせつつ、広告クリエイティブ等を修正する。
【8】:AIによる最適化の状況を勘案しつつ、各種指標を見ながら改善を行い、PDCAサイクルを転回させる。
実際には他にもさまざまな手法があります。上記はあくまで一つの例として受け止めて頂ければと思います。
一般的に「Facebook広告のやり方」と言われるものは、上記の流れのうち、「6」と「7」の部分だけを切り取ったものになります。実際には、アカウントを取得して広告を出稿する前後のほうが、より多くのプロセスが必要になり、広告の成果にも大きな影響を与える要素となります。
以下、それぞれの手順について、もう少し詳しく解説していきます。
【1】:自社の事業段階や施策の実施状況などを総合的に分析し、Facebook広告の運用目的を明確化する。
まず最初に行うことは、運用目的を明確化することです。「何のために」Facebook広告を運用するのか、その目的をしっかりと把握し、社内で目的意識を共有しましょう。たとえば、ブランドの認知拡大や、新規顧客の獲得など、さまざまな目標の捉え方があります。
【2】:マーケティング調査を行い、顧客の顕在需要・潜在需要・競合の施策などを整理する。
Facebook広告は、一人一人のユーザーの個性や興味関心に合わせて、自動的に最適化されて配信が行われます。従って、
「どんなユーザーが、自社の製品やサービスを必要としているか」
「どんなユーザーが、自社の広告を歓迎してくれそうか」
といった顧客の需要に関する情報は、Facebook広告の成果を大きく左右する重要な要素になります。
【3】:自社の強みや特徴と、マーケティング調査とを勘案し、広告戦略を立案する。
顧客の需要に合わせることも大切ですが、同時に、自社の強みや特徴を活かすことも重要になります。とくにFacebook広告は、数多くの競合他社が出稿しているため、自社ならではの強みを活かした広告による差別化戦略が実現できるかどうかは、非常に重要なポイントの一つです。
【4】:広告クリエイティブ、遷移先ページなど、必要な素材を制作する。
立案した広告戦略に基づき、実際に広告として表示される「広告クリエイティブ」や、広告からの遷移先ページなどを制作します。これらは広告の出稿段階で揃っている必要があるため、戦略が見え次第、早めに制作に着手しておくほうがスムーズでしょう。
広告クリエイティブは、画像や動画、短い文章といった、広告の表示内容になります。遷移先のページは、「詳しくはこちら」ボタンをクリックした際に遷移するWEBページになります。自社の特設サイトやランディングページなど、広告の内容と統一感を持って制作できると良いでしょう。
【5】:制作と並行して、Facebook広告の出稿に必要な各種アカウントを取得する。
広告クリエイティブや遷移先ページの制作と並行して、Facebook広告の出稿に必要な各種アカウントの取得も進めておきます。
最低限必要となるのは、次の3つのアカウントです。
・Facebookビジネスマネージャー
・広告アカウント
・Facebook広告マネージャー
これらに加えて、例えば遷移先ページでのアクセスや成果発生を計測するため、「Googleアナリティクス」「Googleサーチコンソール」等、Facebook以外のツールに関しても取得を進めておきます。
【6】:「Facebook広告マネージャー」にて、ターゲット、予算、入札戦略などの必要情報を設定し、広告クリエイティブを入稿する。
必要なアカウントの取得が済み、広告の素材や遷移先ページが整ったら、広告出稿まではあと一歩です。「Facebook広告マネージャー」を利用して、広告戦略や予算など必要情報を入力し、広告クリエイティブを作成、配信を設定します。
【7】:広告の審査状況を確認する。審査落ちの場合、Facebook広告ガイドラインと照らし合わせつつ、広告クリエイティブ等を修正する。
Facebook広告には、広告出稿の審査があります。広告ガイドライン等に基づき、AIによって審査が行われます。無事に審査に通過した場合、広告の配信がスタートします。
審査落ちになってしまった場合、なぜ審査に落ちてしまったのか、広告ガイドラインと照らし合わせながら確認し、広告クリエイティブ等を修正します。また、AIの誤認識による審査落ちの可能性が考えられる場合、再審査のリクエストを送るなど対応を行います。
【8】:AIによる最適化の状況を勘案しつつ、各種指標を見ながら改善を行い、PDCAサイクルを転回させる。
Facebook広告は、一人一人のユーザーに合わせてAIが機械学習を行い、広告配信を最適化する仕組みになっています。機械学習の特性上、広告配信を行ってすぐの段階では最適化が完了しておらず、成果が上がりにくい状態になっています。公式のアナウンスによると、この機械学習には、「1週間あたり50件の成果発生(最適化イベント)」が必要 だとされています。
こうした最適化の状況も勘案しつつ、「Facebook広告マネージャー」等を利用して、インプレッション数、クリック数、クリック率、消化金額などの各種指標を見ながら、広告クリエイティブや遷移先ページの改善を行っていきます。