自社のコールセンターの現状を確認し、さらなる応対品質の向上のために欠かせないのが「ミステリーコール」です。
ミステリーコールについて興味はあるけど、どれくらいの費用がかかるのかわからずに依頼に二の足を踏んでいるという企業も少なくないのではないでしょうか?
そこでこの記事では、ミステリーコールの費用について詳しくご紹介します。
ミステリーコールとは?
身分を隠してコールセンターに電話をかけ、オペレーターの話し方や聞き方、電話のつながりやすさなどを調べる覆面調査のことを「ミステリーコール」といいます。
似たような事例として、実際に飲食店などの店舗を訪れ、接客態度やサービス内容を抜き打ちで調査するミステリーショッパーが挙げられるでしょう。このコールセンター版がミステリーコールです。
ミステリーコールを行うことによって、「自社のコールセンターの品質を客観的に評価できる」「コールセンターの教育制度やマニュアルを見直すきっかけになる」「他社のコールセンターとの質を比較できる」などの効果が得られます。
上記のようなメリットを享受して自社のコールセンターの応対品質を高め、企業ブランドを向上させるために、各社がミステリーコールを活用しています。
ミステリーコールの費用の内訳
実際にミステリーコールを専門の会社に依頼するとなると、どれくらいの費用がかかるのでしょうか?
ミステリーコールでは電話による調査以外に、企画設計や報告書作成などにも費用が加算されます。また、各項目でどのようなサービスを選択するかによってトータル費用も変わってくるでしょう。
以下に、ミステリーコールにおける代表的な費用の内訳についてご紹介します。
企画設計費
ミステリーコールにおけるシナリオやトークスクリプトの作成、評価項目の設定などにかかる費用が「企画設計費」です。
オペレーターの知識量を知りたいのか、クレーム対応のクオリティを知りたいのか、総合的な応対品質を知りたいのかなど、調べたい内容によって適切な質問や評価項目は異なります。
調査を効率的に行うためには事前の企画が非常に重要というわけです。自社と調査会社でしっかりとした打ち合わせを行い、ミステリーコールをより実りあるものにしましょう。
依頼内容などによって多少は前後しますが、シナリオやトークスクリプトの作成を中心とした企画設計費の相場は15万円から20万円ほどといわれています。
ミステリーコール費
覆面調査員が実際にコールセンターに電話をかけ、事前に設定した質問案やシナリオに沿って調査を進める際にかかる費用が「ミステリーコール費」です。
ミステリーコールにおいてはシナリオやトークスクリプトが存在するものの、オペレーターの応対内容や受け応え、接続状況などによってアドリブでの質問が必要になるケースも少なくありません。
架電する調査員には高いスキルが要求されるので、通常の電話代行に比べて費用は高くなる傾向にあるでしょう。
調査員の経験やスキルによって前後しますが、ミステリーコール費の相場は1万円から1万5000円ほどだと考えられています。
報告書作成費(レポート費)
ミステリーコールは、電話を実施して終わりというわけではありません。調査項目を基準にしてコールセンターの評価やオペレーターのクオリティなどを集約・分析し、客観的なデータとしてまとめる必要があります。この際にかかる費用が「報告書作成費」または「レポート費」です。
レポートのまとめ方や報告の方法は調査会社によって異なります。一般的には「話し方や聞く態度、知識量などを点数化して定量的に評価」したり、「グラフや表を用いて課題を視覚化」したり、「調査員が感じた課題をコメントとして挿入」したりなどの評価方法を組み合わせて報告書を作成します。
報告書作成費(レポート費)の相場は15万円から30万円ほどです。
オプション費
調査会社によってはミステリーコールの実施後に、さまざまなオプションサービスを依頼できます。この追加サービスを受けるために必要なコストが「オプション費」です。
オプション内容は各社で異なります。一般的には次のようなものがあります。
・ミステリーコール時の音声データ提供
・音声データの文字起こし
・ミステリーコールで表面化した課題を解決するための研修
・コールセンター運営に関するコンサルティング
・応対品質向上のためのセミナー
以上のようなオプションを自由に組み合わせて依頼できる場合がほとんどです。
オプションを追加すればするほど費用がかさんでしまうので、予算に合わせて本当に必要なものだけを選ぶことが重要でしょう。
目的別ミステリーコール合計費用例
「ミステリーコールを実施した場合、最終的にどの程度の費用がかかるのか」について説明します。
総合費用を左右する要素は多くあり、その影響が大きい項目の1つが「最終的に何を求めてミステリーコールを行うか」というものです。
ミステリーコールの最終的な目的について、一般的には
・通常のミステリーコール
・詳細なレポートまでを求めるミステリー
・研修やコンサルティングを含むミステリーコール
の3段階に分けられるでしょう。
以下に、各目的の総合費用について解説します。
通常のミステリーコールのみ
通常のミステリーコールを詳しく説明すると、一般的質問を中心に構成されたテンプレートに近いシナリオを利用し、簡易的なレポート作成するというものです。
コールセンターの実態や現在の品質を把握するには十分ですが、浮かび上がった課題を解決するためにどのような施策を行うかについては、自社である程度考えなければなりません。
質問数や作成シナリオの難易度などによって金額の前後はありますが、通常のミステリーコールを依頼する際の合計費用は30万円ほどです。
詳細なレポートまでを求める場合
通常のミステリーコールよりも詳細なレポートや報告書の作成を依頼できます。たとえば「各評価項目を点数化したレポート」や「改善施策の提案」、「競合他社のオペレーターとの比較表」などが記載されます。
また、詳細なレポートを作成するためには相応のシナリオやトークスクリプトも必要なので、企画制作費も高くなるでしょう。
希望する報告内容にもよりますが、詳細なレポートを含めたミステリーコールの合計費用は30万円から45万円ほどです。
ミステリーコールと合わせて研修やコンサルティングを依頼する場合
コールセンターの応対品質改善や教育について、自社での対応が難しいと感じているなら、ミステリーコールと合わせて研修やコンサルティングを依頼するのも1つの手段です。
この場合、選択するオプションによって合計費用は大きく異なるので、最初に予算を決めておくことも重要でしょう。
ケースごとで必要な費用が変わるので相場の算出は難しいのですが、最低限なオプションだけを選んでも50万円を超えるケースも珍しくありません。
ミステリーコールの費用をおさえるポイント
これまでミステリーコールに関する費用を紹介してきました。総合費用は決して安いものではありません。「ミステリーコールは実施したいが、費用はできるだけ安くしたい…」とお思いの方も少なくないでしょう。
ミステリーコールの費用をおさえるためには「複数社から見積もりをとって安くて信頼できる企業を選ぶ」「あれもこれもではなく、本当に必要な項目のみを調査する」「自社でできる調査や教育は自社で行う」などの対策が効果的です。
まとめ
コールセンターの質を高め、自社のブランドイメージを向上させるために重要なミステリーコールですが、実施には30万円以上の費用がかかるケースも多くあります。
また、調査項目や調査の目的、オプションの有無によって金額が大きく変動するため、調査会社に勧められるままにプランを作成すると、思った以上の費用になってしまったという場合もあるでしょう。
ミステリーコールを実施する際には事前に「何が必要なのか」「自社でできることはないのか」などをしっかりと考え、必要な項目だけを選ぶことが重要です。