ロゴマークは顔
ライター:与安 紀之
公開日:2023年07月11日
| 更新日:2024年10月09日
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クリエイティブ
企業やブランド、商品やサービスのイメージを視覚的に印象づけるのが「ロゴマーク」。商品パッケージやポスター、Webサイトなど、あらゆるものに展開され、広告媒体のキービジュアルもロゴマークの世界観を前提に制作されます。
ブランディングにおいて極めて重要な要素となる「ロゴマーク」について、その定義や役割、制作について解説します。
「ロゴマーク」と「ロゴタイプ」と「シンボルマーク」
「ロゴマーク」とは何か? 改めて、問われると答えに困ってしまう人も多いのではないでしょうか。「ロゴマーク」は和製英語で、英訳をすると「logo」になります。
「ロゴマーク」と似たものに、「ロゴタイプ」と「シンボルマーク」があります。
ロゴタイプは、企業名やブランド、商品名を図案・装飾化した文字書体です。たとえば、「SONY」のロゴタイプは力強く美しい大文字の4文字が印象的ですし、「Calbee」のロゴタイプは丸みを帯びた文字の流れが軽やかで明るいイメージです。
一方、シンボルマークは、企業やブランド・商品などを象徴する図案です。代表的なのはスターバックスの「人魚」やApple社の「かじられたりんご」でしょう。一目見た瞬間、「スタバだ」「Apple製品だ」と認識することができます。
すでに浸透している企業やブランドであれば、このシンボルマークだけでコミュニケーションが成立します。ただし、そこまでの認知を獲得するのは容易ではなく、どんな企業でもできるというものではありません。
そして、ロゴタイプとシンボルマークを組み合わせたものが「ロゴマーク」です。
たとえば、三菱電機のロゴマークは、シンボルマークである「スリーダイヤ」の横に「MITSUBISHI ELECTRIC」の文字が添えられています。また、Amazonのロゴマークは社名のロゴタイプの下に、笑顔の口元にも見える矢印がデザインされています。
厳密に区別することなく、「ロゴマーク」や「ロゴ」と呼んで、まとめて考えてしまいがちですが、ロゴマークとロゴタイプ、シンボルマークにはこうした区別があるのです。
ロゴマークは「顔」
ロゴマークは、その企業やブランド・商品の価値観、メッセージや特徴といったイメージを表現しています。
たとえば、先に紹介したAmazonのロゴマークは、笑顔の口元に見える矢印に「顧客の満足」という意味が込められ、その矢印が「a」から「z」を結んでいるのは「すべての商品が揃っている」というメッセージなのだそうです。
ロゴマークにはこうしたメッセージが込められ、社会に向けて、その企業やブランド・商品を「認知」「想起」させるための 非常に重要な役割を担っています。いわば、「これが私です」と名乗るもの。名刺代わりでもありますし、冠でもありますし、顔そのもの、と言ってもいいでしょう。
その意味では戦国時代、武将たちが用いた旗印もいわばロゴマークだと言えます。徳川家康は「三葉葵」や「厭離穢土欣求浄土(おんりえどごんぐじょうど)」を掲げましたし、上杉謙信は毘沙門天の一字「毘」を、武田信玄は「風林火山(疾如風 徐如林 侵掠如火 不動如山)」を旗印としました。
自らの思いを込め、自軍と敵軍を分ける目印となり、同時に、仲間の結束力を高め、士気を上げるー。ロゴマークの果たす役割の大きさは、今も昔も変わらないのです。
ロゴマーク制作
よくできた上質なロゴマークは、形や色を工夫し、 伝えたいイメージやメッセージを端的に伝わりやすく表現されています。
ネオマーケティングでもブランディングサポートの一環でロゴマークの制作を承っています。ロゴマークの制作には何が必要なのか、実例から見ていきましょう。
ネオマーケティングでは、2023年春に「セルフ薬機法チェックβ版」をリリースしました。
医療や美容に関する記事や広告は、薬機法(医薬品、医療機器の品質、有効性及び安全性の確保等による法律)のルールを守らなくてはなりません。違反をすると、場合によっては業務停止や行政指導などの重いペナルティが課せられることもあり、表現に問題ないか入念な確認が必要です。
しかし、「セルフ薬機法チェックβ版」を使えば、テキストを入力するだけで、AIが薬機法のNG表現をチェックし、すぐさま判定することができます。
こうしたサービスをローンチするにあたり、次のようなロゴマークを作成しました。
このロゴマークで大切にしたのは、「親しみやすさ」です。操作が簡単であることと、気軽に使ってほしいという思いから、親近感のあるデザインを意識しました。
具体的には書体の内角を丸く加工することで、書体に柔らかい印象を与えています。そして、「チェック」という機能を端的に表現するため、アンダーバーやチェックマークの「レ」点をモチーフとして組み込み、ロゴマーク全体に一体感を出しています。
「書体の丸い加工」についてはもう一つ、意図があります。じつはネオマーケティングの企業ロゴマークも同じような加工が施されているのです。企業のロゴマークと、サービスロゴマークの機能は別物ですが、「ネオマーケティングが発信するサービス」ということで、トータルの整合性も意識しました。
誰にどんなイメージを持ってもらうのか。
企業のロゴマークなのか、商品やサービスのロゴマークなのかでもデザインの考え方は変わりますから、ロゴマークの制作において重要な要素は一概に言えません。
ただ、商品やサービスのブランドのロゴマークに限って言えば、もっとも重要となるのは、「生活者にどういうイメージを抱いてもらいたいのか」です。
「セルフ薬機法チェックβ版」では「親しみやすさ」をいちばんに考えましたが、それは商品やサービスの特徴によって変わるはずです。
機能を訴求したいのであれば、真面目・信頼性などがキーワードになるでしょうし、高品質を訴えたいのであれば、ラグジュアリー感を想起させる書体やマークをデザインしていくことになります。
ただ、あまりに先鋭的になると「自分には関係ない」あるいは「自分の美意識に反する」と感じる人を増やしてしまう可能性がありバランスも大切です。
とはいえ、今の時代、万人に好かれることは難しくなっています。ロゴマークの制作にあたっても、「もっとも大事にしたいお客様は誰か」が、やはり大事なのだと思います。
ターゲットを明確にし、その層に対していかに「想起」してもらう存在になるか? それを行うのがマーケティングです。
商品やサービスの「顔」であり、ブランドの一角を構成する要素であるロゴマークの制作もまた、まさに“誰に”対して、何を“どのように”訴えていきたいのか、それを突き詰めていく作業になります。
気軽にコンパクトにロゴマークを作ることもできます。しかし、ロゴマークは企業やブランド、サービスの大事な「顔」です。どんな“自分”を見せていきたいのかしっかり考えていただき、長く大切に扱っていただきたいと思います。
参考サイト:
https://www.sony.com/ja/SonyInfo/CorporateInfo/History/SonyHistory/2-23.html
https://note.calbee.jp/n/n2860a6d20635
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