
成果が挙がるコンテンツマーケティングを実現するには、どのような手順でオウンドメディアを構築・運用すればよいのでしょうか。具体的な手順を7つのステップに分けて見ていきましょう。
ステップ1:ターゲットの理解とペルソナ設定
第一に取り組んでおきたいのは、ターゲットへの理解を深めることです。見込み顧客はどのような課題を抱えているのか、課題の本質はどこにあるのか、深く掘り下げていきましょう。
たとえば、最終的に「会計ソフト」を訴求することが目的のコンテンツマーケティング施策であれば、見込み顧客はどのような場面で「会計ソフトを導入したほうがよいかもしれない」と考えるのかを想定しておく必要があります。経理を限られた人員で担当しているため業務過多になりがちであったり、人的ミスが立て続けに起きたりしたことが一因であれば、本質的なニーズは「業務効率化」や「業務の属人化防止」であるかもしれません。表面的なニーズではなく、見込み顧客の本音を探ることが重要です。
ターゲット理解が深まったら、情報を届ける具体的な人物像を想定し、ペルソナ設定を行いましょう。「メーカー勤務・30代男性」といった大まかな設定ではなく、経歴やライフスタイル、パーソナリティーを詳細かつ具体的に想定し、実在する人物としてペルソナを設定することが大切です。
ステップ2:サイトコンセプトの検討
次に、ペルソナに向けて情報を届けるためのサイトコンセプトを検討しましょう。サイトコンセプトといっても、自社が発信したい情報を起点に考えてしまうと失敗する可能性が高いため注意してください。あくまでも見込み顧客が知りたい情報・興味がある情報を届けることが最優先です。
見込み顧客のニーズに合ったサイトコンセプトにするには、インテント(検索意図)を深く考える必要があります。知りたいこと・調べたいことを検索してたどり着いたコンテンツにおいて、求めている情報が得られるかどうかが重要です。サイトコンセプトづくりに迷いが生じた際には、「読者は何が知りたいのだろう?」「どのような状況で検索するのだろう?」と検索意図に立ち返って考えてみましょう。
ステップ3:カスタマージャーニーの設計
オウンドメディア施策の前提として、見込み顧客が接する情報は自社メディアだけではない、という視点をもっておくことが大切です。他社のWebサイトやメルマガ、SNSといった複数の情報に触れた後、自社メディアを訪れているかもしれません。あるいは、自社メディアで情報を得たことがきっかけになり、さらに別メディアで情報収集を行う可能性もあるのです。
こうした見込み顧客の行動をカスタマージャーニーといい、それらを可視化したものをカスタマージャーニーマップといいます。見込み顧客はどのような経路をたどって資料請求や問い合わせに至るのか、具体的に想定しておきましょう。ここでカスタマージャーニーマップを作成しておくことにより、目的を達成するまでの導線を設計しやすくなるはずです。
ステップ4:KPI・KGIの設定
オウンドメディアとしての目的を達成するために必要な指標を具体的に定めておくことも重要なポイントの1つです。オウンドメディア施策によって達成したい最終的な目標(KGI:重要目標達成指標)を定めた上で、KGIを達成するために必要な各指標(KPI:重要業績評価指標)を設定していきます。
オウンドメディアの成長に合わせて、設定するKPIを見直していくことも大切です。たとえば、オウンドメディアの立ち上げ期においては、制作・公開するコンテンツの本数などタスク寄りのKPIが適しているでしょう。徐々にアクセスが集まるようになってきたら、PVやUUといった指標を重視します。一定数のPVやUUが確保できるようになったら、CVへとKPIの軸足を移していく、といった考え方で進めていくのがおすすめです。
ステップ5:サイト制作・コンテンツ制作
ペルソナ設定・サイトコンセプト・カスタマージャーニーマップを元に、オウンドメディアのサイト制作とコンテンツ制作を進めていきましょう。サイトコンセプトにもとづく構成・デザインのサイトにするのはもちろんのこと、サイトを訪れた見込み顧客にとってどこを見れば必要な情報が収集できるのか、より深く知るには次にどのページに遷移すればいいのか、わかりやすいサイト設計にすることが重要です。
コンテンツ制作を進める際には、まず基点となるキーワードを決めます。キーワードの検索ボリュームを元に検索ニーズをリサーチし、基点キーワードと関わりの深いサブキーワードを決めていくのが基本的な進め方です。キーワードが決まったら、キーワードを軸に記事のタイトル・構成を考え、本文の執筆に取りかかります。
ステップ6:他メディアとの連携
オウンドメディアと他メディアを連携させることにより、集客の相乗効果を得られます。自社のSNSアカウントがあるようなら、オウンドメディアで公開したコンテンツをSNSでも積極的に紹介しましょう。一定数の読者を確保できているメルマガ内に、オウンドメディアの紹介や記事リンクを掲載するのも有効な方法です。
検索経由でオウンドメディアを訪問するユーザーと、SNSやメルマガなどの他メディアを閲覧するユーザーは必ずしも一致していません。オウンドメディアを他メディアと連携させることで、新たな見込み顧客を取り込めるチャンスが広がるでしょう。
ステップ7:効果測定とリライト
オウンドメディアのコンテンツは公開して終わりではなく、むしろ公開した時点がスタートです。公開後は効果測定を行い、必要に応じてコンテンツをリライトしましょう。反応の良いコンテンツがなぜ良い反応を得られたのか、逆に反応が鈍いコンテンツはなぜあまり読まれないのか、原因を分析して対策を講じていくことが大切です。
効果測定にはアナリティクスやサーチコンソールの他、専用の分析ツールを活用する方法もあります。コンテンツのリライトは根気のいる作業ですが、新規コンテンツの制作と並行して計画的に進めることにより、掲載している情報が古くなったり、成果が挙がっていないコンテンツが放置されたりするのを防ぐ効果が期待できます。
オウンドメディアの成功率を高めるための注意点
オウンドメディアの成功率を高める上で、注意しておきたいポイントを紹介します。コンテンツマーケティングの目的を見失わないためにも、次の4点を意識してオウンドメディアを運営していくことが大切です。
短期的な成果を求めない
オウンドメディア施策はコンテンツが自社の資産となるため、長期にわたって成果を得られる施策です。一方で、オウンドメディアを立ち上げれば即座に効果が得られる施策ではないことから、焦らずじっくり取り組むことが求められます。
良質なコンテンツの制作・発信を積み上げ、見込み顧客の反応を見ながら改善を重ねていくためには、年単位で運営計画を立てておく必要があるでしょう。オウンドメディアの運営に携わる担当者自身が「時間がかかる施策」であることを十分に理解しておくのはもちろんのこと、短期間で顕著な成果が期待できる施策ではない点を社内に周知し、理解を得ておくことが大切です。
定期的に記事を更新する
オウンドメディアのコンテンツは公開後に放置するのではなく、効果測定を継続しつつ必要に応じて定期的に更新(リライト)することが重要です。PVやCVが伸びていないコンテンツについては、原因を検証した上で質を高めていく必要があります。また、掲載している情報が古くなっていないか、定期的にチェックしていくことも大切です。
定期的な記事の更新は、常に最新の情報を発信するという意味においても、検索エンジンの評価を高める意味においても重要な施策といえます。新規コンテンツの制作とあわせて、リライトについても運営計画にあらかじめ盛り込んでおくのが得策でしょう。
ユーザー体験の改善を図る
サイト全体の構成やデザインについても、見込み顧客の反応を見ながら適宜改善しましょう。たとえば、サイトの表示速度は高速か、関連記事の内部リンクは適切な位置・表示方法で設置されているか、記事カテゴリが見やすくまとまって表示されているか、どのデバイスでも支障なく表示できているか、といった点を随時確認し、ユーザー目線でオウンドメディア全体をチェックしていくことが大切です。
せっかく有益な情報を発信していても、ユーザー体験の面で重大な欠陥が見られると、オウンドメディアを再訪しないユーザーが一定数現れることも想定されます。コンテンツの品質と同様に、ユーザー体験の向上を常に意識していく必要があるでしょう。
運用体制を整えリソースを確保しておく
オウンドメディアの運営を継続するには、運用に必要な体制を整え、リソースを確保しておくことが大切です。コンテンツの企画から制作、公開までのプロセスだけでなく、効果測定やリライト、KPIに対する進捗管理なども含めると、相応のリソースの確保は必須といえます。可能な限りオウンドメディアの専任担当者を配置し、運営に専念できる環境を構築しておくのが望ましいでしょう。
必要なリソースを社内で確保するのが困難な場合には、外部委託も視野に入れて検討することをおすすめします。コンテンツ制作をはじめ、コンテンツ企画や効果測定、改善策の提案・実行も含めてトータルに委託できる運用代行サービスを活用することにより、最小限のリソースでオウンドメディアの運用が可能になるからです。