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インサイドセールスのKPI項目と効果的な設定方法とは?

ライター:荒池 和史

公開日:2024年12月18日

カテゴリー:
目次

インサイドセールスを成功に導く上で欠かせないポイントの1つに「KPI設定」が挙げられます。具体的な指標を掲げて取り組む必要性を感じつつも、具体的にどのようなKPIを設定すればよいのか迷ってしまうケースも多いのではないでしょうか。

今回は、インサイドセールスでよく設定されるKPIの項目やKPIの設定手順、フェーズ別のKPI設定例を紹介します。効果的なKPIを設定するためのポイントもまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

インサイドセールスでKPIが必要とされる理由

 KPIKey Performance Indicator(重要業績評価指標)を表す言葉です。なぜインサイドセールスを成功に導く上でKPIが必要とされるのでしょうか。インサイドセールスが果たすべき役割に立ち返って確認しておきましょう。 

 

 

インサイドセールスとは

インサイドセールスとは、非対面で商談機会を創出する内勤営業のことです。マーケティング部門によるリード獲得と、フィールドセールスによる成約までの架け橋となる役割を果たします。

 

インサイドセールスには大きく分けてSDRBDR2種類があります。SDRSales Development Representative)は反響型の手法を表し、見込み顧客からの問い合わせに対してアプローチするのが主な役割です。一方、BDRBusiness Development Representative)は新規開拓型の手法であり、ターゲットとする企業に自社側からアプローチしていくことを表します。

 

 


インサイドセールスの役割

インサイドセールスが果たすべき役割として、主に下記の3点が挙げられます。

 

見込み顧客の後追いと育成

見込み顧客(リード)と定期的にコンタクトをとり、購買意欲を徐々に高めていくことはインサイドセールスの重要な役割の1つです。購買意欲が高まったタイミングで商談を設定し、商談が成立しやすい状況をつくります。このように見込み顧客を育成していくプロセスは「リードナーチャリング」と呼ばれ、商談の成功確度を高め効果的に営業活動を進める上で重要視されつつあります。

 

リサイクルリードの後追い

リサイクルリードとは、商談機会を設けたものの失注した見込み顧客のうち、いずれ受注につながる可能性のある見込み顧客のことです。リサイクルリードを後追いしていくことにより、成約につながるタイミングを見計らって再び商談を設定することが可能になります。

 

新規営業

BDR型のインサイドセールスにおいては、新規顧客の獲得も欠かせない役割の1つです。電話営業やメール営業などの手法を駆使して未知の相手と接点をつくり、見込み顧客化していく役割を担います。

 

 

インサイドセールスにおけるKPI設定の重要性

インサイドセールスが果たすべき役割を着実に全うしていくには、具体的な目標を掲げて取り組む必要があります。この目標となる指標がKPIです。

 

KPIを設定することによって、インサイドセールス施策の効果測定を適切に実施しやすくなります。現状の施策がどの程度功を奏しているのか、改善が必要だとすればどのポイントを改善すればよいのか、といったことを把握できることがKPIを設定するメリットです。

 

また、インサイドセールス施策の費用対効果を明確に把握する上でもKPIは重要な役割を果たします。事前に掲げた指標の達成状況が可視化されるからこそ、コストに見合った成果が得られているかが明確になるからです。このように、インサイドセールスを成功させるにはKPIを設定し、進捗状況を随時確認していくプロセスが欠かせません

 

インサイドセールスでよく設定されるKPIの例

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インサイドセールスにおいて設定するKPIに決まったルールやセオリーは存在しません。企業によって扱う商材やターゲットとの関係性の築き方は異なるため、自社の戦術に合ったKPIを模索していくしかないのが実情です。ここでは、インサイドセールスでよく設定されるKPIの例を紹介します。

 

 

獲得商談数

商談機会の創出はインサイドセールス部門が担う主要な役割であることから、獲得商談数は最も基本的かつ重要なKPIとなり得ます。獲得商談数とは、その名のとおりやり取りしている見込み顧客のうち、実際に商談化に成功した件数のことです。

 

獲得商談数が着実に達成されているようであれば、インサイドセールス施策が大きく間違っているわけではないことを確認できます。また、施策の費用対効果の面においても、コストに見合った成果がもたらされていることを確認できるでしょう。ネオマーケティングにおいても、インサイドセールスのKPIとして獲得商談数を採用しています。

 

 

受注数/受注率

受注数とは、インサイドセールス部門が関わった見込み顧客のうち、結果として成約に至った件数のことを指します。フィールドセールスとの連携を重視し、受注確度を意識して施策を講じていきたい場合によく用いられるKPIです。

 

インサイドセールスの主な役割はあくまでも商談機会の創出ですが、リードがどのような状況であっても闇雲に商談化すればよいというものではありません。リードの購買意欲が高まっていることを十分に確認できているか、商談時に必要な情報をフィールドセールス担当者へ適切に渡せているか、といった点を重視するのであれば、受注数や受注率は効果的なKPIとして機能するでしょう。

 

 

架電数/通話時間

架電数とは電話をかけた件数、通話時間とは担当者が電話で見込み顧客と話した総時間数のことです。担当者ごとの行動量や対応品質、効率化といった内部的な分析に役立つKPIといえます。

 

たとえば、架電数が多くても通話時間が極端に短いようであれば、中身のある話がほとんどできていない可能性があります。反対に、通話時間が長すぎて架電数が稼げていないようなら、インサイドセールス施策の効率があまり良くない状態といえるでしょう。このように、架電数や通話時間は施策の中身を評価し改善につなげていく上で参考になるKPIです。

 

 

メール開封率

メルマガやメールDMなどをインサイドセールス施策に取り入れている場合には、効果測定の指標としてメール開封率を用いることもあります。数多くのメールを送信していたとしても、実際に受信者が開封していなければ施策が効果を発揮していないことになるからです。

 

メール開封率を改善するには、メールの件名や配信する曜日・時間帯、送信先のターゲット選定などを見直していく必要があります。ABテストを繰り返すことで開封率が高まる要因を特定し、施策を改善へとつなげていくことが大切です。

 

 

受注金額

インサイドセールス部門の事業全体への貢献度を確認する際には、受注金額をKPIとして設定する場合もあります。具体的には、インサイドセールス部門が関わったことによって成約へとつながったと認められる案件について、受注額を積算していく方法が一般的です。

 

受注金額ベースで効果を確認していくことによって、インサイドセールス施策をさらに拡大すべきか、拡大する前になんらかの改善を図っておく必要があるのかを判断しやすくなります。組織のリソース配分や人材戦略を検討する際にも参考になる指標の1つです。

 

 インサイドセールスにおけるKPIの設定手順

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インサイドセールスにおけるKPIの設定手順について解説します。効果的な指標を掲げるためにも、基本的な手順に則ってKPIを設定していくことが大切です。

 

 

1. KPI項目の設定条件と定義を決める

KPIは表層的な目標値として定めるのではなく、背景となる条件や定義がきちんと共有されていることが非常に重要です。フィールドセールス部門やマーケティング部門など、隣接部門と合意しておくことが欠かせません。

 

たとえば獲得商談数をKPIとする場合、有効な「商談」の定義についてフィールドセールス部門との間で共通認識を形成しておく必要があります。インサイドセールス部門にとっては「商談を設定した」という認識であっても、フィールドセールス部門にとって商談とは呼べない段階だったとすれば、認識に大きな溝が生じかねないからです。この場合、有効商談としてカウントできる定義や条件について合意を形成しておく必要があるでしょう。

 

 

2. KGIから逆算して成果目標を設定する

KPIは現状を起点に決めていくのではなく、最終的に達成したい目標(KGI)から逆算して設定していくのがポイントです。売上目標など全社の事業目標を踏まえて、インサイドセールスに求められている成果を割り出し、必要なKPIを設定していくことをおすすめします。

 

ただし、最終的に達成すべきKGIと現状との間には少なからずギャップがあることも想定されます。過去の実績も考慮した上で、現実的なKPIを設定することも大切なポイントの1つです。理想とする成果を意識するあまり、非現実的なKPIを設定することのないよう注意してください。

 

 

3. 成果目標を元に行動指標を設定する

KGIから逆算したKPIは、あくまでも成果目標としての指標です。現場に下ろす際の目標値は、マネジメントの視点から部門のフェーズに合った数値に調整したものを共有することをおすすめします。

 

とくにインサイドセールス部門を立ち上げてから日が浅い場合、当初から高すぎる目標値を掲げてしまうと担当者が疲弊しやすくなります。このようなケースでは、まずは行動量に重きを置いた指標を設定し、徐々に成果目標へと軸足を移していくことが大切です。

 

インサイドセールス部門のフェーズ別KPI設定例

KPIの設定は、インサイドセールス部門のフェーズに合わせて検討する必要があります。インサイドセールス部門の立ち上げ期・安定期・成熟期の各フェーズに適したKPI設定例を見ていきましょう。

 

 

立ち上げ期:架電数・メール開封率

インサイドセールス部門の立ち上げ期には、架電数やメール開封率といった行動量・行動の結果に重きを置いたKPIを設定するのがおすすめです。まずは行動ベースでインサイドセールスの実務を軌道に乗せ、一定量の業務をこなすことを最優先していくとよいでしょう。

 

KPIは一つひとつ着実に達成していくことが重要です。複数のKPIを並行して設定した場合、どのKPIも達成できずPDCAを回せなくなるおそれがあります。部門の立ち上げ当初は行動量と行動の直接的な結果を重視したKPIを設定するのであれば、設定したKPIが達成できたことを確認してから次のフェーズへと移るようにしてください。

 

 

安定期:商談獲得数

インサイドセールス部門が軌道に乗る時期に入ったら、商談獲得数をKPIの軸とすることをおすすめします。成功パターンが蓄積されていくにつれて、商談獲得につながるノウハウも確立しやすくなっていくでしょう。闇雲に商談件数を追い求めるのではなく、ノウハウに裏打ちされた商談獲得が可能になっていく時期です。

 

商談設定の目標数を着実に達成できるようになれば、インサイドセールス部門に求められる基本的な機能は満たしているといえます。フィールドセールスによるフィードバックも参考にしつつ、商談獲得の精度を高めていきましょう。

 

 

成熟期:受注数/率・受注金額

インサイドセールス部門の成熟期においては、受注数/率や受注金額といった事業全体への貢献度を表す指標を重視していくことをおすすめします。これにより、商談獲得件数だけでなく成約につながるアポイントの質を重視する方向へとシフトしていくからです。

 

最終的な成果を見越して業務に携わっていくことは、インサイドセールス担当者のスキルアップを図る意味でも重要なポイントになります。部門としての質の向上を図り、事業全体への貢献度を高めていくことによって、インサイドセールス部門が組織にとって欠かせない存在になっていくはずです。

 

効果的なKPIを設定するためのポイント

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インサイドセールスのKPIを効果的に設定するには、どのような点を意識する必要があるのでしょうか。とくに重要度の高いポイント3点を紹介します。

 

 

短期的なKPIの達成を目的化しない

KPIの設定はあくまでも目標達成の手段であり、KPIを達成すること自体が目的ではありません。KPIの達成そのものが目的化してしまうと、成果を急ぐあまりニーズの把握やリードとの関係構築が疎かになり、インサイドセールス部門として果たすべき役割が曖昧になってしまうおそれがあります。

 

そもそもリードの育成には時間がかかるものであり、短期的な成果を求めるのは得策ではありません。KPIを設定する際にも、長い時間軸で施策を捉えて指標を決めていくことが大切です。

 

 

定量的な成果だけでなく定性的な側面も重視する

KPIを着実に達成していくには振り返りを随時行い、PDCAを回していく必要があります。その際、定量的な成果だけでは具体的な改善点が見えにくくなりかねません。定性的な側面も重視することによって、施策の質を高めていく視点も重視してください。

 

たとえば獲得商談件数が伸び悩んでいる場合、リードへの対応方法やリードの流入経路といった定性情報に改善のヒントが隠れている可能性があります。こうした定性情報も記録・蓄積していくことで、施策の改善策に役立てていくことが大切です。

 

 

適切な時期にKPIの設定を見直す

インサイドセールスのKPIは一度設定すれば永続的に変えないものではなく、定期的に見直していく必要があります。前述のとおり、インサイドセールス部門としてのフェーズによって重視しておきたい指標は異なるからです。また、目標と実績に乖離が見られた場合にも、原因を見極めた上で適宜KPIを再設定する必要があるでしょう。

 

KPIを見直す時期を見極める方法として、設定したKPIが無理なく達成できているかどうかを重視することをおすすめします。設定したKPIを着実に達成した上で、次の段階へと進んでいくのが得策です。

 

まとめ

 

インサイドセールスを成功させるには、適切なKPIを設定した上で一つひとつのKPIを着実に達成していくことが重要です。そのためには、インサイドセールス部門が果たすべき役割に立ち返り、優先すべき達成目標を明確にするプロセスが欠かせません。今回紹介したKPIの設定例や設定手順を参考に、ぜひ効果的なKPI設定を実現してください。

 

 

 

※このコラムは「マーケのカチスジ」で2024月4月18日に公開された記事を移行したものです。

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荒池 和史
WRITER
荒池 和史
新卒でセブン‐イレブン・ジャパンに入社、イー・ガーディアン株式会社で取締役や子会社の代表を経験後、現在はネオマーケティングで事業全体の管掌と新規事業開発に取り組んでいます。

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