ヤマハ株式会社 B&O事業部 B&Oマーケティング&セールスグループ 玉井 洋行様
設立:1887年
事業内容:楽器事業、音響機器事業、その他事業(部品・装置事業、ゴルフ用品など)
従業員数:19,895名
業界を盛り上げるために。自社モノづくりの発信をSNS運用でサポート
1887年に創業し、楽器や、音響機器などの製造販売を手がけるヤマハ株式会社。ネオマーケティングは、TikTokのPR活動とInstagramのアカウント運用を支援させていただきました。
今回は、バンドやオーケストラに関連する事業部で、デジタルマーケティングなど幅広い業務を担っている玉井様に、「TikTok運用」「Instagram運用」について伺いました。
コロナの影響でデジタルマーケティング担当にアサイン
――御社の概要と事業内容について教えてください。
ヤマハ株式会社は、オルガンピアノといった鍵盤楽器の製造販売からスタートしました。現在では、弦楽器や、スピーカーやミキサー、家庭用オーディオといった音響機器など幅広く取り扱っています。
その他に部品や装置、ゴルフクラブの製造なども行っていまして、「楽器事業」「音響機器事業」「その他の事業」の三つの主要事業に分かれています。
──玉井様の所属部署と業務内容を教えてください。
B&O事業部※1といいまして、管楽器、弦楽器、打楽器といったバンドやオーケストラに関連する楽器を網羅的に取り扱う部署に所属しています。
業務内容は、世界各地の販売会社の窓口として管・弦・打楽器のあらゆる対応をしています。その傍らで、私は2020年からデジタルマーケティング分野を主に担当しています。
※1バンドとオーケストラの頭文字をとった名称(バンド & オーケストラ)
──どのような経緯でデジタルマーケティング担当になったのでしょうか。
2020年からのコロナの影響で、これまでの動きがとれなくなってしまったことが背景にあります。管楽器のマーケティング活動はちょっと特殊で、指導者から商品価値が間接的に広まる傾向が強い世界です。そのため私たちは、普段接している指導者の方に、楽器の魅力を直接伝えることを主としていました。指導者のお弟子さんは、指導者の勧める楽器を購入することが多いですからね。なので、SNSで発信するより直接会って伝えるのが我々にとってはよかったのです。
でもコロナ禍になってから、直接人と会う機会が減ってしまったうえ、オーケストラは軒並み公演が中止されました。8割近くのチャネルが切断されたような感覚でしたね。
──デジタルマーケティング業務で苦労したことはありますか?
デジタルマーケティングを行うための社内整備が大変でした。私自身は以前ギターの分野にいたことがあって、アンプをつないだりPCとギターを接続したりと、そこまでデジタル分野に対して抵抗感はなかったのですが、B&O事業部内にはデジタル領域のノウハウがあまりありませんでした。管楽器は、演奏するのにデジタルは不要ですから。
そのため、世界各国の販売会社から「これってどうやるの?」といった問い合わせが尽きませんでした。お付き合いのあるプレイヤーさんからも同様の問い合わせがありまして、本来は販売会社が対応するのですが、そこも分からないので私のところにきてましたね(笑)。
吹奏楽を盛り上げるために。インフルエンサーを起用したTikTokのPR施策
――TikTokに取り組むに至った背景を教えてください。
コロナ禍になってから、吹奏楽の元気がなくなってしまったのが背景にあります。
吹奏楽は主に中高生の活動が盛んなのですが、コロナによって合奏ができなくなってしまいました。それはすなわち、これから部活を選択する子ども達が吹奏楽部に出会うきっかけが無くなってしまったということです。吹奏楽部に入部するきっかけとして一番多いのは、お祭りや学校行事などで合奏を聞いた経験ですからね。
2022年になってからは部活動に限らず様々な活動が回復しつつありますが、吹奏楽だけはどうも元気がないように感じました。
吹奏楽の市場は我々にとっては大切なので、これは無視できないと思い、吹奏楽を盛り上げる施策が急務でした。
──そこで、TikTokの施策をされたわけですね。
「吹奏楽をやりたい」と思うきっかけに代わる何かをやりたいと思いで始めました。
ネオマーケティングさんに提案いただいた施策は、中高生時代に吹奏楽部に所属していたインフルエンサーの方を起用してPR活動を行うというものでした。彼ら・彼女らの吹奏楽部時代の写真をスライドショーにした1本のPR動画を作成し、ご自身のアカウントから発信をしてもらうという内容で、実際にそれを実行しました。
──インフルエンサーを起用した施策の提案を受けた時は、どのような印象を持ちましたか?
正直に言いますと、提案を聞いた時は何を言っているのかさっぱり理解できませんでした(笑)。部署内で提案に対する意見を聞いた時も「私たちが分かるわけがない」と言われまして。
──それは驚きです、、、(笑)。それなのに何故、提案を受けていただけたのでしょうか。
私たちが理解できなかったからこそ「これしかない」と思ったからです。
逆に、我々の知らないデジタルの領域で、我々が想像できるような提案内容であれば「それはきっと違うんだろう」と思いますね。
例えば、インフルエンサー候補のリストをいただいた時も、私は誰一人として存じ上げなかったのですが、20代の若手社員はリストの方全員を知っていました。「この方はいいかもしれない」「この人は最近炎上した」とか(笑)。
私たちが想像できないからこそ、この施策には意味があると感じたわけです。
──施策の反響はいかがでしたか?
3名のインフルエンサーの方に発信をしていただいたのですが、発信してからの再生回数やコメントの増え方がものすごく早くてびっくりしました。
コメントの中には「私も吹奏楽をやってみたい」などあったので、効果はあったと思っています。また、楽器店の方からも「さすがヤマハさんだ」と感謝されました。
コメント数をKPIとしていたのですが、おかげさまで発信してからわずか2週間足らずで達成することができました。
参考:実際に配信したTikTok動画
・永ennのアリス 様(現在非稼働)
・ロイ 様
・関戸かのん 様
Instagramを通して、自社の高い技術の「モノづくり」を発信する手段を
――Instagram運用のお手伝いもさせていただいておりますが、こちらはいかがですか。
我々の会社には「ヤマハ吹奏楽団」という楽団がありまして、楽団の活動を発信するアカウントを運用していただいています。楽団員は、楽器の製造工場で働いている社員などで組織されていて、楽団の活動を通して、ヤマハの高い技術のモノづくりをアピールするのが目的です。
参考:ヤマハ吹奏楽団公式アカウント
──実施する前はどのような課題がありましたか。
Instagramの運用開始前から活動を発信してはいたのですが、チャネルが自社公式ページのみで、ほとんど閲覧されていませんでした。
「自身で製造した楽器を自身で演奏する」という自社のモノづくりの活動を、アピールしたいけど出来ていないということが、かねてからの課題でした。
私がデジタルマーケティング担当にアサインされる以前に、社内でSNSをやろうと話があったようなのですが、結局「で、どうやるの?」で終わってしまったなんてこともあったみたいでして。
ネオマーケティングさんにTikTokをお願いしていたのと、以前から色々な提案をしていただいていたことがあって、この件に関しても相談させていただきました。
──具体的にはどのような運用をお任せいただいていますか。
主に月5本の投稿とコメント返信、そして定期的にフォロワー獲得キャンペーンをお願いしてます。こちらからは、工場の様子や製造途中の楽器、演奏の様子などの画像を提供していますが、コンテンツの製作やチェックはほとんどネオマーケティングさんにやっていただいています。
──現在のアカウントの状況はいかがでしょうか。
「今年度までにフォロワー数2,500名」をKPIにして今年の10月から運用開始していますが、おかげさまでわずか1ヶ月ちょっとで達成しました。それと同時に「自分たちで無理してやらないで良かった」と思いました(笑)。業界内外の方からの反響は大きく、今は様々な方からフォローをいただいています。
フラットな目線に立った提案だからこそ、提案を受け入れることができる。
――これまでのご依頼を通して、ネオマーケティングに持った印象がありましたらお聞かせください。
良い意味で「一般的な感覚」を持っている会社だと感じました。他にお付き合いのあるパートナー様の提案を聞く機会があるのですが、「それは一般的な意見なのだろうか」と疑問に感じることが多々あります。
しかしネオマーケティングさんは、どの提案をとっても「腑に落ちる」印象があります。それはきっと、我々が知りたい人たちの情報や伝えたい人たちの感覚を常に意識されていて、常にフラットな目線に立っているからだと思います。
だからこそ、理解ができなかったTikTokの提案も受け入れることができたのだと思っています(笑)。
まさに「生活者起点のマーケティング」ですね。
──ありがとうございます。最後に、ネオマーケティングに今後期待することをお聞かせください。
今後も、私たちが思いつきもしないような新しい提案をいただけることを楽しみにしています。
TikTokやInstagramの例でも分かるように、私たちが知らない手法は数多くあります。特に吹奏楽というニッチなカテゴリーでは、その分野ならではの伝え方というか、戦略があると思うんですね。
ネオマーケティング担当者から
私は学生時代に吹奏楽部に所属しており、当時はヤマハ様の楽器に大変お世話になっておりました。
今回ご一緒させていただいていた施策は、吹奏楽業界を盛り上げるというもので、ご縁を感じております。
ご相談いただいた時は、コロナの影響で吹奏楽業界の活気が失われつつある状況であることを知り、胸が痛む思いでしたが、TikTokのPR動画において、「吹奏楽をやってみたいという」というコメントを見つけた時は本当に嬉しかったです。
今後も、フラットな目線に立ったご提案を意識して、ヤマハ様と楽器業界の架け橋になれるように精進して参ります。
カスタマードリブンディビジョン
A.W