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エボークトセットとは? 選ばれるブランドとなるための必須戦略

ライター:加藤 賢大

公開日:2020年11月05日 | 更新日:2024年10月15日

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目次

昨今、マーケティング業界において「想起」というワードが注目され始めました。その「想起」を考える際に用いられる言葉として「エボークトセット」があります。

このコラムでは、エボークトセットとは何か、なぜ重要なのか、どのようにしてブランディング活動に活かせるのか、について詳しく紹介します。

 

また、ネオマーケティングでは、エボークトセットを活用したリサーチサービスを提供しています。

ブランディング活動における新しい手法に興味のある方は、下記ページをぜひご覧ください。

サービスページ「エボークトセット調査」を見る

エボークトセットとは?

「ビールが飲みたい」「洗剤を買おう」と思った時に、頭の中でイメージされるブランドの集合体。
例えば缶ビールと聞いて「スーパードライ」「一番搾り」「プレミアムモルツ」「サッポロ黒ラベル」が思い浮かぶ、洗濯洗剤と聞いて「アタック」「アリエール」「トップ」が想起されるというのがそれに当たります。
つまり、何かを「買おう」と思った時、生活者は自分の頭の中にすでにあるエボークトセットの中から選ぶことがほとんどで、エボークトセットに入らないブランドは購入されにくいとも言われています。このエボークトセットの中身は固定というわけではなく、ブランドの順位が変動したり、入れ替えが発生したりします。

市場には多くのブランドが存在しており そのすべてが生活者の選択候補になるわけではありません。消費者は段階的にブランドを絞り込んでおり、このプロセスは、5Aブランド・カテゴライゼーションとして表すことができます。

※図1:5Aブランド・カテゴライゼーションにおける絞り込みプロセス

画像1

商品の購買にあたり、まずは認知率を上げることが一番に考えられますが、認知されていても購買検討の対象にならないブランドや、購買対象から除外されてしまうブランドは多くあります。
つまり「ブランド認知→ブランドの理解→エボークトセットに入り、第一想起(Top of mind)されるブランドになる」という一連の流れが生活者にブランドを選んでもらう上で重要になります。

エボークトセットの重要性

仮に売上がカテゴリーで№1のブランドがあったとしてもチャネルのカバレッジによって売上が確保されている可能性もあり、エボークトセットでは1位になるとは限りません。今後販売チャネルが複雑化していく中で、自社のブランドが競合ブランドと比較してエボークトセットの何番目に入っているかを継続的に測定することは、マーケティング上の課題を発見し改善していく上でこれまで以上に重要な指標になると考えられます。

特に、昨今ではEコマースでの購買チャネルが増えており、トレンドとしてD2Cによる直販も増えていくことが予想されます。
リアル店舗において、商品棚を眺めながら値札やパッケージを吟味して行う買い物のプロセスにおいては、エボークトセットに入っていない商品が購買される可能性もありました。
しかしながらオンライン上で購買が完結される場合、WEBの指名検索から商品の購買につながることも多いため、検索される段階で想起されないブランドは今まで以上に購買されにくくなることも想定されます。

独自指標 レコメンドセット

ネオマーケティングと早稲田大学恩蔵教授との「Evoked Set共同研究プロジェクト」ではコトラーの提唱する5Aを組み合わせ、独自指標であるレコメンドセット(Recommend Set、,推奨集合)も含めて測定することが重要と考えています。
家族や友人、知人等、自分以外の誰かに商品やサービスを奨める行為は、SNS時代の現在においては“ネット上で繋がった不特定多数の誰か”も対象になり得るとの考えから、以前よりも影響力が増し重要なマーケティング指標になるという考えからレコメンドセットも測定しています。

※5Aイメージ【蝶ネクタイ型モデル】

画像2

サブカテゴリーの重要性

各事業会社の努力により商品・サービス自体の品質、機能は大きく向上しており、良い商品・サービスが市場に溢れています。そのため、商品・サービスそのものの品質、機能だけで差別化することは難しくなってきていることは、皆さんも感じていることだろうと思います。
多額の開発コストをかけて作り上げたにもかかわらず、品質・機能の差を生活者に正しく理解してもらうことすら難しいケースも多々あるでしょう。

そこで鍵となるのが、「サブカテゴリー」でエボークトセットの上位に入るかを考えることです。

同一カテゴリー内での競合が多い場合、そのカテゴリーで想起されるブランドに入ることの難易度は非常に高くなります。そのため、カテゴリーを細分化しターゲット・シーン・価値などのサブカテゴリーをつけることでカテゴリー内での差別化を図る戦略が今後益々重要になります。

以下はネオマーケティングが実施した、カテゴリーとサブカテゴリー別に生活者のエボークトセットを調査した結果です。ここでは、自動車メーカーをテーマとして設定しています。カテゴリーとサブカテゴリーのエボークトセットにどのような違いがあるのか、見ていきます。

 

■調査概要

調査実施期間:2020/10/9~2020/10/12
調査対象:全国 20歳~79歳 男女
     1か月に1回以上自動車を運転する人(自動車運転者の9割以上網羅)
サンプルサイズ:1,000
サンプル回収構成:事前調査で月1回以上自動車を運転する人の中で性年代ごとの
         自動車運転状況をもとに回収割付
設問:知名集合、想起集合+第一想起の理由、推奨集合+第一推奨の理由 計5問 いずれもFA形式

 

カテゴリーでのエボークトセット結果 

■エボークトセットランキング(Q:購入を検討する自動車メーカー)

【第一想起のみ】

グラフ①

【想起累計】

グラフ②

 

■レコメンドセットランキング(Q:誰かに推奨する自動車メーカー)

【第一推奨のみ】

グラフ③

【推奨累計】

グラフ④

サブカテゴリーでのエボークトセット結果    

■エボークトセットランキング(Q:購入を検討する電気自動車メーカー)

【第一想起のみ】

グラフ⑤

【想起累計】

グラフ⑥

■レコメンドセットランキング(Q:推奨する電気自動車メーカー)

【第一推奨のみ】

グラフ⑦

【推奨累計】

グラフ⑧

カテゴリーでの結果ではエボークトセットとレコメンドセットの順位は変わらず、1位のトヨタは2位のホンダとも大きく差があることがわかります。

一方でサブカテゴリーでの結果では、電気自動車メーカーのエボークトセットで日産自動車が2位となり1位のトヨタとも差がほとんどありません。また、テスラが5位以内に入ってきています。
レコメンドセットでは、日産自動車が1位となりテスラが4位と順位を上げる結果となりました。
5Aにもあるように、購入検討していない消費者も推奨ではテスラを奨める結果が出ています。

カテゴリーの№1ブランドでない限り、各ブランドはターゲット・シーン・価値などのサブカテゴリーでのエボークトセットに入ることやレコメンドセットを獲得することが重要なマーケティング活動の目的になります。

エボークトセットの活用について

ここまで、エボークトセットとは何か、なぜ重要なのかということを見てきました。生活者に選ばれるブランドとなるためには、このエボークトセットの上位に入ること、上位に入れるサブカテゴリーを狙ってマーケティング施策を実施していくことが必要だと述べました。
エボークトセットで上位を獲得することを目的としたマーケティング活動は、テレビ広告の他にも様々なものがあります。従来であれば広告換算価値といった指標でしかその効果を測れなかったPRも、エボークトセットを指標に効果測定をすることができます。メディアに取り上げられ、生活者に選ばれる理由を創り出すPR施策は、レコメンドセットを視野に入れた活動の中でも必須の施策になるでしょう。
また、デジタルな購買行動がますます活発になっていく中で、デジタルマーケティング領域での活用も欠かせません。SNSやネット上でのプロモーション施策も、生活者にいかに想起されるブランドとなるか、いかに選ばれるように露出を高めていけるか、という視点が欠かせないでしょう。
業界標準のエボークトセット指標が重要なKPIとして提供されることで、ブランドを基準にしたマーケティングがよりリアリティを持って語られるようになっていくのではないかと思います。

終わりに

生活者がどのブランドを購買するかは、商品・サービスの品質だけではなく、いかに購買時にエボークトセットの上位に入っているかが重要だと述べてきました。
但し、エボークトセットの上位を獲得することが難しい場合もあります。そのような場合は、自社のブランドがどのように生活者に認識してもらいたいかを定義し、その定義に従ってターゲット・シーン・価値などで細分化したサブカテゴリーにおいて上位を獲得していく戦略が有効です。エボークトセットを鍵に、マーケティング施策の選択や効果測定に一貫性を持たせることができると考えています。

ネオマーケティングは国内約2889万人のアンケート会員を保有するパネルネットワークを構築、ご希望の調査対象者にリサーチを実施することが可能です。
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加藤 賢大
WRITER
加藤 賢大
マーケティング業界歴10年超。2011年よりネオマーケティングに入社。リサーチのみならず、WebマーケティングやPR、ニューロ・IoTなど、各種ソリューションを駆使して顧客の課題解決に尽力。 武蔵野美術大学と共同で新サービス開発及び論文発表、日本マーケティング協会主催のマーケティングAI研究会に参加するなど研究活動にも従事し、幅広い業務に携わる。

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