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戦略的なマーケティングに必要なたった2つの指標

ライター:今泉 陽介

公開日:2022年01月13日 | 更新日:2024年10月23日

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目次

認知度や顧客満足度、NPS(Net Promoter Score)にブランド好感度など、マーケティングで重要視される指標はたくさんあります。それぞれ意味があり大切ではありますが、数ある指標を気にするあまり、マーケティング活動の目的&目標からブレてしまっていないでしょうか? じつは、本当に注目すべき指標はたった2つでいいのです! 本コラムでは、売上拡大に必要な2つの軸について解説します。

戦略的なマーケティングに必要な指標とは

マーケティングの役割は、自社商品(ブランド)を知ってもらい、継続して購入してもらう仕組みづくりです。言い換えるなら、売上拡大&サービスの利用者増加。その最終目標から紐解くと、重要視すべき指標はたった二つだと言えます。
それは「購入時における想起率(エボークトセット)」と「販売チャネルのカバー率」です。販売チャンネルのカバー率が高く、エボークトセットが高ければ、間違いなく売上は上がります。
ネオマーケティングでは極論、この2つの指標のみに注目すれば十分だと考えています。

●購入時における想起率(エボークトセット)
 エボークトセットとは、購入時に「検討してもよい」と考えるブランドの集合体
 エボークトセットに入ることで、購買される確率を上げることができる
●販売チャネルのカバー率
 販売するための経路・生活者が実際に商品を購入するルート。店舗での直接販売の
ほか、ECサイトなども重要な販売チャンネルとなる


ではなぜ、たった2つの指標でいいのか? その説明の前に少し、現状の整理をしていきましょう。

市場を巡る状況

よく言われることですが、情報過多の時代になっています。それは思っている以上のスピードで進んでいて、この先も止まることはないでしょう。
アメリカの調査会社IDCによると、2020年の国際的なデジタルデータ量は40ゼタバイトだそうです。2011年は1.8ゼタバイトですから、10年かからずに20倍以上に膨れ上がっています。
1ゼタバイトは地球上にあるすべての砂浜の砂粒の総数とも言われています。40ゼタバイトはその40倍。途方もない数のデジタルデータが行き交う時代になっているわけです。そんな中、自社の商品やブランドの情報を生活者に届けることは、容易ではありません。
また、生活者の購買行動においても、次のような特徴が明らかになっています。

・買い物はいつも決まったところでする:73.6%
・なじみのあるブランドで購入する:65.9%
・買い物は計画を立ててから行う:65.9%
2021年11月実施 ネオマーケティグ「生活者意識調査」より

つまり、情報が溢れ、CMやキャンペーンを行なっても生活者にはなかなか届かず、購買行動は限定的で、ブランドのスイッチングがされにくくなっているのです。そのような中で、より戦略的なマーケティングが求められてます。

認知度の高さは売上に貢献しない?

認知度やブランド好感度などが重要でないとは言いません。しかし、どれだけその名が知られていようとも、購入してもらえなくては意味がありません。
例えば、SONYの認知度や好感度はかなり高く、それはApple社に引けを取るものではないはずです。しかし、スマートフォンを買うとき…Xperiaを思い浮かべる人はどれだけいるでしょうか? 多くの人がApple社のiPhoneを思い出し、そして実際にiPhoneを選んでいる。どれだけ好感度が高かったとしても、購入時に思い浮かべ、最終的に選んでもらえなければ、売上にはつながりません。
もう1つ、自動車を例に出してみましょう。
「自動車メーカーといえば?」という質問から導かれる知名集合は、トヨタ・日産自動車・ホンダと続き、三菱自動車もBMWやレクサスを抑え、健闘しています。

自動車メーカーランキング①


しかし、「自動車を買うとしたら、どこのブランドにしますか?」と問う想起集合になると、三菱自動車は32ポイントと10社中最下位です。
電気自動車のカテゴリーで行った同様の調査を見てみましょう。
日産自動車は100%電気自動車のLEAFについて、「ボタンひとつで自動運転」「起きたら100%」など、大々的に展開したCMが奏功してか知名集合ではトップ。しかし、「電気自動車を買うとしたら、どこのブランドにしますか?」という想起集合になると、トヨタに一位の座を奪われています。

自動車メーカーランキング②

また、三菱自動車はアウトランダーやエクリプス クロスなど4WDハイブリッド車に注力し頑張ってはいるけれど、想起集合は39ポイントしかありません。この知名集合と想起集合の解離率は、解決すべき大きな課題でしょう。
そもそも存在を知らなければ話になりませんので、入り口として認知度が高いことは重要です。しかし、名前が知られているだけでは十分ではありません。購入するときに思い出してもらえるブランドとなること。マーケティング活動はこれを指標において展開すべきです。
テレビCMやイベント・キャンペーンを行うときも、認知や好感度ではなく、購入時想起率が上がっているのかどうか、そこまで総合的に評価する必要があるのです。

目指すべきは「買うときに想起される商品」

生活者はある課題(テーマ)に対し、カテゴリーにおける解決策を選びます。そのカテゴリー内で購入想起が起こってブランドを選考して買う。これが、購買行動の流れです。
ここを意識して、購入時に思い浮かべてもらえるブランドにならなくてはいけません。購入時に思い起こされるブランドになるためには、カテゴリーエントリーポイント(ブランドを想起するヒント)とブランドイメージのリンクが非常に重要となります。
例えば、「ひと仕事終えて爽快な気持ちになりたい!」といったとき、消費者にはさまざまな選択肢があります。
高級アイスを食べる、サウナで整える、カラオケでシャウトする…といったいくつかの選択肢から、まず「ビールを飲む」という行為が選ばれ、ビールの中からさらに「爽快な気持ちになりたい!」という希望を叶えるbブランドが選ばれるわけです。
そのとき、もっとも強いのは「キレ」「爽快」といったコミュニケーションを展開しているアサヒのスーパードライでしょう。爽快=スーパードライと強く紐づいているので、購入時にスーパードライが思い出され、選ばれるわけです。
ブランド論で有名なデビット・アーカー氏は、「ブランドは資産であり、その要素の1つが連想である」と表現し、ブランドから連想されるキーワードの重要性を説いています。
ただし、「スーパードライを買おう!」と思っても、買える環境になかったとしたら、別のブランドに代替されてしまいます。買い物先にスーパードライが売っていなかったとしたら、「じゃあ、今日はキリン一番搾りでいいか」となってしまうかもしれません。販売チャネルのカバー率も重要なのはそのためです。
販売チャネルのカバー率はマーケットシェアと比例します。生活者に選ばれたとしても、「遠くて買いに行けない」「購入する手段がない」となったら、シェアを取っていくことはできません。
この解決法の1つがEC構築です。自社の直販サイトを構築する。あるいは、Amazon などのECサイトへ出品する。これらはすでに多くのメーカーが行っています。
スーパーやデパートなどの小売店に置いてもらうのも常道でしょう。ただ、これについては営業力が大きく関わる部分であり、販売促進の継続的な施策が必要です。販売チャネルを広げていくには、営業のセクションと連携が不可欠です。

マーケティングの力で購入想起率は上がる

販売チャネルの拡大は正直、マーケティングだけでコントロールすることはできません。一方、購入想起率を上げるのは、マーケティングの力です。容易ではありませんが、一度、生活者の記憶構造にインプットされたら、それは、簡単に揺らぐことことはなく、高いアドバンテージを維持し続けることができます。(コカ・コーラは徹底したブランド戦略を行っており、「炭酸飲料=コカ・コーラ」という記憶が生活者の中に定着しています。)
逆にいえば、購入時の想起に対して真剣に向き合っていかないと、40ゼタバイトの情報が溢れる中、一瞬、認知が上がったとしてもすぐに違う情報に塗り替えられてしまいます。
エボークトセット調査を行い、購入想起が低いとなれば、自分たちの優位性をキチンと訴求するメッセージに変えたり、ターゲットを見直したり、必要な施策を行う、という具合で目的が明確になります。
一方、購入想起率が高ければ、市場のカテゴリー自体の拡大に力を入れる。それぞれの状況に応じて戦略は決まります。そして同時に、生活者が商品やサービスにアクセスできる環境を整えていく。
戦略自体は綿密に立てていく必要がありますが、数ある指標に惑わされることなく、シンプルに「買うときに想起される商品」「買いたいときに買える商品」を目指していくべきです。

ネオマーケティングは国内約2889万人のアンケート会員を保有するパネルネットワークを構築、ご希望の調査対象者にリサーチを実施することが可能です。
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今泉 陽介
WRITER
今泉 陽介
メディアインタラクティブ(現:ネオマーケティング)入社後、家電・食品・飲料・日用品・外食・小売等のマーケティングリサーチ企画・設計・実査管理を担当。 2017年にマーケティングソリューションディビジョンにてリサーチからマーケティング施策提案や新サービス開発を行う。社会課題を解決する活動をPRするサービス「Social Impact Survey PR」の企画開発からリリースを手掛ける。

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