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戦略PRで大切な5つのこと

ライター:高橋 拓己

公開日:2021年06月16日 | 更新日:2024年10月25日

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自社の商品やサービス、ブランドについての情報を取り上げてもらうよう、メディアと関係を築いていくのが、PRの仕事です。
メディアというと、テレビや新聞、雑誌などをイメージするかもしれませんが、SNSの普及によって個人がメディアになる時代になりました。生活者がもの買うきっかけや意識が大きく変化しているいま、従来通りのPRではなく、「戦略PR」が必要になっています。
戦略PRは、生活者が求めている価値を踏まえ、価値ある情報をメディアと共有しながら、マーケットを創っていくというものです。今回は戦略PRで大切な5つのポイントをまとめました。

その1.ブランドポジショニングの把握

戦略PRのスタートは、“生活者に自社のブランドがどう把握されているのか”、ブランドのポジショニングを確認することからはじまります。
企業が考えているブランドイメージと生活者が抱いているブランドイメージは、必ずしも一致しません。企業側が「安い」ことがPRポイントだと考えていたとしても、生活者は「高い」という認識をしていたり、認知度が課題だと思っていたら、ある層には実は深く知られていたといったことがあります。

ブランドイメージは、その時々の社会的な出来事、トレンドなどにも左右されます。生活者が商品カテゴリーに求めていることや購買のきっかけなど、その声を調査分析し、うつろいやすいブランドイメージの“いま”を把握しておくことが重要です。
すると、いまの生活者にハマるいまPRすべきポイント(PRのバリューポイント)や、その内容に価値を見出すターゲットの属性が見えてきます。

ヒット商品を生んだ企業の社長やマーケティング・PR担当者、高視聴率を誇るテレビ番組のプロデューサーや、読者人気の高い雑誌の編集長は、必ずこう言います。

「ユーザーや視聴者または読者に一人でも多く会うことに答えがある」

まずは、ターゲット層をよく知ることからはじまるのです。PRの仕事は、商品発売のスケジュールや在庫削減など企業側の要因を中心に計画され、進められがちです。そこに待ったをかけて生活者起点で考え直し、戦略的なPRプランの立案と実行を行うことで、企業価値を高めファンを増やすことができます。

その2.成功に導くKGI KPIの設定

営業は売上が数字にはっきりと表れますし、広告は出稿枠や広告量、広告内容を確認して購入するので目標や成果を数値化することが可能です。
一方、PRは可視化された具体的・数値的目標を立てづらい部門です。そのため、従来のPRでは、最終目標KGI(経営目標達成指標)を「PR対象案件のリーチ数」に設定し、プレスリリースの配信数や雑誌やテレビでの露出を広告換算して、目標達成のための中間目標KPI(重要業績評価指標)を定めたりします。

しかし、これでは定量的な結果検証のみで、どんな生活者にどんな心理変容を与えたのかわかりません。また、ネガティブに受けとめられたり、異なったかたちで届いたメッセージも成果に含まれてしまいます。

PRはメディアとの関係がベースにあります。戦略PRはさらにその先の生活者とも良好な関係を創っていくことを目指します。戦略PRを成功させるためには、KGI・KPIの設定も変えていかなくてはなりません。
戦略PRのKGIは「ファン・ロイヤルカスタマーの創出」です。この目標を達成するためのKPIは、「生活者の心理変容」「ブランドイメージ」「社会への影響」など、調査によって指数を設定します。

戦略PRがもたらす生活者の心理変容は、長く続けることで結果に表れます。「心理的満足度の高まり」「ファン=ロイヤルカスタマーの増加」など、売上への貢献度は長期的スパンで検証すべきでしょう。

企業体である以上、期ごとの数値的な目標から逃れられません。しかし、企業のリソースや商品カレンダーに縛られる内向きの要素を見直し、生活者のニーズや心理的要素を調査したうえで目標を定めるという視点が必要なのです。

その3.シンプルで具体性のあるキーメッセージと世界観

メディアで伝えられる情報枠は限られていますが、情報はあふれています。お金を出して枠を買う広告と異なり、たくさんの情報の中からタダでメディアに掲載されるには、メディアとその先にいる生活者にとって“価値ある内容”でなければなりません。

まずはメディアの目に留まることです。どのようなメッセージがメディアの目に留まりやすいかというと、それはメッセージが強く短くてシンプルであること、そして、生活者にとって具体性があり、わかりやすいことです。

こうしたPRメッセージを打ち出すためには、ターゲットの属性をできるだけ絞り、そのコンタクトメディアに的を絞ることが大切です。いくら多くのメディアの目に留まり掲載されても、そのメディアの先にターゲットユーザー(ポテンシャルカスタマー)がいなければ意味がありません。

精査してキーメッセージを定め、その世界観の価値がメディアに届くと、メディアはその情報が信頼できるものか、客観的に見て価値があるものかという点から掲載を判断します。
「この企業は業界トップになり、注目されそうだ!」「面白い取り組みをしている、ぜひ取材したい!」と思わせることがポイントです。

キーメッセージを裏付ける数値や開発ストーリー、第三者からのお墨付きや実体験など、可視化した情報を提供するのが効果的です。テキストに加え、写真や動画など、メディアが簡単で即座に使いやすいPRツールやコンテンツを用意することも有効です(簡素化された軽く短いデータと精度の高い高画質なものを合わせて用意しておきます)。

その4.長期継続的であること

強力なパートナーであるメディアとの関係性は、すぐに築けるものではありません。メディアの先にいる生活者が欲しい情報を、長期かつ継続的に提供し続けることが重要です。これを続けていると、メディアのほうから取材依頼が入るようになります。また、メディアを通じてファン・ロイヤルカスタマー化した生活者は、自ら企業のサイトやSNS、店頭にリーチするようになります。

そこに至るまでには、継続的なメディアリレーションが欠かせません。リリース配信やプレス発表会、PRイベント、タイアップPR施策など、具体的な方法はいろいろありますが、これらをトータル的に管理するために、「戦略的PRカレンダー」を作ることをおすすめします。

商品発売日やサービスローンチ日、企業活動日など自社活動のスケジュールに従って、プレスリリースの配信日やプレス発表会の日程などを組みます。こうしたマーケティングカレンダーを作成している企業は多いでしょう。
戦略的PRカレンダーは、このマーケティングカレンダーに生活者調査やメディアの特集、時事・季節ネタまたはトレンドなども加えていきます。情報ソースを整理することで、PRバリューを高めることができますし、情報を提供する頻度を高めることができます。

メディアに継続して情報を届け、商品やサービスが認識されると、どういった内容に掲載価値を見出しているのかメディアから教えてもらえるようになります。その繰り返しにより、掲載率を高め、記事化への道が広がっていきます。

繰り返しになりますが、一朝一夕にこうした関係を築くことはできません。長期的かつ継続していくことで戦略PRは結果をもたらします。

その5.ステークホルダーとの目線合わせ

PRはPublic Relations――関係性の構築のことであり、内外のステークホルダーとの関係を構築し、維持の仕方をマネジメントするのが仕事です。
PRを取り巻くステークホルダーは、メディアや生活者に限りません。株主・投資家や金融機関、取引先や関連会社、さらには地域住民や行政機関、自社の従業員も重要なステークホルダーです。

企業がどういったイメージで見られているのか?安全で信頼できる企業なのか?商品やサービスがどの程度どのように認知されるのか?
これらは、さまざまなステークホルダーと双方向のコミュニケーションをおこなうPRの仕事によって左右されます。

PR担当者は各ステークホルダーと関係を築きながら、企業やブランドのメッセージを伝え、商品やサービスの情報提供をするだけでなく、従業員に向けて情報をフィードバックします。戦略PRで打ち出しているメッセージを社内で共有することで、生活者に対しても首尾一貫したブレのないメッセージを届けることができます。

また、IRやCSRと連携して、株主・投資家を意識した情報の伝達や開示の策定を行い、場合によっては、不祥事などの危機管理への対応も行います。その業務は多岐にわたり、複合的な関係性のなかで情報をマネジメントしていく必要があります。

以上が、戦略的PRで大切な5つのポイントとなります。通常のPR業務だけでも忙しく、戦略PRまで踏み込めないという担当者もいることでしょう。ネオマーケティングでは、調査会社としてのリソースを活かし、PRの課題発見やKPIの設定、届けるべきキーメッセージと世界観の提案など、結果を含め様々な段階において個別にまたはトータルでサポートいたします。

ネオマーケティングは国内約2889万人のアンケート会員を保有するパネルネットワークを構築、ご希望の調査対象者にリサーチを実施することが可能です。
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高橋 拓己
WRITER
高橋 拓己
マーケティング業界歴13年。2011年よりネオマーケティングに入社。マーケティングリサーチに留まらず、次なるPR施策まで含めた提案も多く実施。 日用品・調味料メーカー、広告代理店、PR会社など多様な業界でのプロジェクトに携わり、数々のプロモーションを手掛ける。

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