D2C事業に欠かせないブランドブックとは
ライター:株式会社ネオマーケティング
公開日:2021年03月25日
| 更新日:2024年10月25日
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PR・プロモーション
ブランドブックはインナーブランディングのために活用されることが多いですが、企業の理念やブランドイメージなどを社内に浸透させるため以外にも、商品やサービスの魅力を社外へ発信するためのツールとしても有効です。
ここではブランドブックの意味と役割を中心に、作成方法やD2C事業で見込める効果などについて解説していきます。
ブランドブックとは?
ブランドブックはコンセプトブックとも呼ばれ、企業が社員に対し、ブランドの価値や将来的な方向性を理解させるために、インナーブランディングを目的として作成される社員向けの小冊子です。
目指すべきブランドの方向性を社内に正しく浸透させることでブランドの価値や社員の意識を向上させ、ひいては企業価値そのものの向上を目指す――それがブランドブックのもつ役割です。
これまでのブランドブックの概念は、社員に企業ブランドの目指す姿を正しく理解させることが主な目的でした。インナーブランディングとしての効果はあまりなく、社員の意識付けや啓蒙だけを目的とした、ただの配布物のようなものだったのです。
しかし現在、ブランドブックは「社員に理念やビジョンを浸透させるためのツール」から「成果実現に向けたアクションを起こすためのツール」へと位置付けが大きく変わってきています。なぜなら、ブランドブックを活用したインナーブランディング活動によって、日常業務を通したブランド価値向上が期待できるほどにその意味が進化したからです。また近年では、社内だけではなく、顧客など社外向けに作られるブランドブックも増えています。
ブランドブックの目的
ではブランドブックの目的とは何なのでしょうか?
それは単に企業ブランドを理解するためだけのものではなく、「日常的にブランドの目指すべき方向性を実践していくための手段のひとつとして活用し、同時に企業の魅力を伝える」ことです。
インターネットの普及で商品やサービスの購入機会が劇的に増えたことにより、それぞれがもつ機能や質だけでは差別化が難しくなってきた現代にあって、新たな付加価値として情緒的な価値が注目されるようになってきました。
それだけに、ブランドのコンセプトやビジョンは今まで以上に重要視されるようになっています。そこで、ブランドブックを活用してブランドの方向性を浸透させることが必要なのです。
ブランドブックの内容と作り方
ブランドブックの内容は構成が大切です。もちろん、作成するからには意図や魅力が伝わらなければ意味がありませんので、いかに伝わりやすさを重視した構成を作成できるかが求められます。
●項目別に構成する
そこでポイントとなってくるのが、ミッション・ビジョン・バリュー・ブランドコンセプト・ブランドメッセージ・デザインの意味など、六つの要素です。
ミッション |
企業として社会で果たす役割 |
ビジョン |
将来的に企業の目指す方向性や会社としてのあり方 |
バリュー |
商品やサービスを提供する価値 |
ブランドコンセプト |
ブランドの世界観やブランドとしての位置付け |
ブランドメッセージ |
企業として伝えるべきブランドのイメージ |
デザインの意味 |
ロゴやシンボルなどに込められた意味 |
これらの詳細が掲載されていると、伝わりやすく、わかりやすいブランドブックになります。
●作成時の注意点
ブランドブックを作成するにあたって大事なのは、多くの人に理解してもらえるような内容にすることです。シンプルでわかりやすい表現を心掛けることはもちろん、聞き慣れない専門用語や見慣れない横文字などは極力使用しないよう、読み手への配慮を意識しましょう。
インナーブランディングを目的としてブランドブックを作成するなら、その目的は企業の理念やブランド価値を社内に浸透させ、社員のモチベーションアップに役立てるような内容で組み立てましょう。決して、理念を達成するためのルールなどを押し付けないようにすることも必要な要素です。
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ブランドブックの活用事例
ブランド価値や企業の理念を社内に浸透させることが、インナーブランディングとしてのブランドブックの役割です。
そのためには、末端に至るまですべての社員の共感を得ることが必要であり、それを実現できれば、社員一人ひとりの自信につながり、かつ皆が同じ方向を目指すことによって企業として目指すべき成果を得やすくなります。
また、ブランドブックの果たす役割は、インナーブランディングに限らず社外に向けた活動においても大きな意味をもちます。
たとえば、D2C事業やEC事業でも商品には必ずといっていいほど同梱物があります。
お礼状
商品パンフレット
説明書
引き上げツール
クロスセルツール
など、その企業によって同梱するものは変わりますが、基本的にはこういったものを商品と一緒に同梱するケースが多いです。そこにブランドブックを加えることで、さらなる訴求効果アップを狙えます。
ではなぜ、本来はインナーブランディング向けであるはずのブランドブックを、顧客向けに同梱する必要があるのでしょうか。ただ企業としての姿勢やブランドの魅力を伝えるだけならば、お礼状やパンフレット、商品サンプルなどを同梱するだけでも十分でしょう。
しかし、企業の理念や方向性を顧客に知ってもらうことによって生まれるベネフィットもまた、企業ブランディングに欠かせない要素なのです。そのための強力なツールとして、ブランドブックが有効になります。
●企業コンセプトを社員に浸透させる
ブランドブックの主な活用事例としては、
社訓などでは伝わらない詳細なビジョンを伝え、社内の意思統一を図りたい
社員のモチベーションを上げるため、企業の将来的なビジョンを共有したい
合併や統合などに伴って、より社内の結束を高めるための対策が必要
などのようなケースが該当します。先述しましたが、ブランドブックは企業の方向性やブランドのコンセプトを社員に浸透させることが目的です。
しかし、それはあくまでも皆が同じ方向を向いて成果を達成するために用いるものであって、ルールで縛るものではありません。業務に対するモチベーションを上げるために企業としてのビジョンを明確にし、社内全体で意思統一を図ることにブランドブックを活用する意味があります。
●D2C事業などを通した訴求効果のアップ
「ブランドの世界観」をしっかり伝えていくという点では、ブランドブックを同梱することはD2C事業にとって非常に効果的です。ブランドブックは購入商品や他の商品を紹介するだけでなく、商品やブランドの思いを訴求できる重要なツールです。
単に商品やサービスの紹介、売り込みのためだけに利用するのではなく、顧客の疑問や悩みに応え、商品開発エピソードや企業理念などを通じて、商品やサービスへ込めた思いを訴求するとより効果的です。
ブランドブックでこのような訴求をすることで、購入した顧客に「あなたのための商品」であることをより深く理解してもらえます。欲しい商品に同梱されているブランドブックなら、読んでもらえる確率も決して低くはありません。訴求効果を高める方法としても十分に効果を期待できます。
そのためにも、
デザイン性にこだわる
英語でも表記する
付録を添付する
PDFファイルでも見られるようにする
などの、オリジナリティーをもたせるのもおすすめです。
まとめ
これまでインナーブランディングとして社内で使われていたブランドブックですが、これを社外――つまり商品やサービスを利用している顧客に提供することで、ブランドの世界観を伝えつつ、そこに込められた意味や思いも理解してもらうことができます。
ブランドブックを通じて、商品やサービスだけでなく企業そのもののファンになってもらえるのが、ブランドブックのもつ魅力ではないでしょうか。
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