消費者が商品購入を決める大きな要素の一つにブランドが挙げられます。ブランドに対する信頼が、顧客に「この会社の製品なら安心して購入できる」と感じてもらう要因となるからです。
では、ブランドイメージを形成し、向上させていくにはどうすればいいのでしょうか。本コラムでは、ブランドイメージの概要と具体的な調査方法、ブランドイメージの形成方法について解説します。
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ブランドイメージとは
はじめに、ブランドイメージとは何を指すのか、定義について整理します。ブランドアイデンティティとの違いについても明確に理解しておきましょう。以下の手順で説明をします。
- ブランドイメージの定義
- ブランドイメージの例
- ブランドアイデンティティとの違い
●ブランドイメージの定義
ブランドイメージとは、消費者が企業や商品に対して抱くイメージのことをいいます。いわゆる「高級ブランド」は、商品やそれらを提供する企業が「高価格帯の商品を扱っている」というイメージが定着した好例です。反対に「手頃な価格で質の良い商品を提供している企業」といった印象も、ブランドイメージの一つといえます。
ブランドイメージを形成し、向上させていく一連の活動がブランディングです。ブランドイメージ形成はブランディング戦略の結果であり、目指すべきゴールともいえます。
●ブランドイメージの例
たとえば、スターバックスでは「サードプレイス」というブランドアイデンティティを掲げています。自宅(ファーストプレイス)・職場(セカンドプレイス)に対して、より自分らしさを取り戻せる第三の場所という意味が込められたブランドアイデンティティです。このブランドアイデンティティに基づいて各店舗が設計され、サービスが提供されることによって、「おしゃれな空間」「スタイリッシュ」といったブランドイメージが形成されています。ブランドイメージを確立するには、オーナー側が確固としたブランドアイデンティティを確立しておく必要があるのです。
●ブランドアイデンティティとの違い
ブランドイメージとよく似た概念として「ブランドアイデンティティ」が挙げられます。いずれもブランドがもつ独自の魅力を表す概念ですが、対象者が大きく異なります。ブランドイメージは消費者が抱く印象であるのに対して、ブランドアイデンティティはブランドのオーナー側が堅持していくべき概念です。
ブランドイメージ向上のメリット
次に、自社ブランドイメージが向上すると得られるメリットを紹介します。主なメリットとして、次の4つがあります。
- 顧客エンゲージメントが向上する
- LTV(ライフタイムバリュー)が向上する
- 人材確保に役立つ
- 差別化要因になる
●顧客エンゲージメントが向上する
ブランドイメージが向上することで、顧客エンゲージメントを高められます。シンプルで飽きのこないデザインを好む人が無印良品の商品を選ぶように、他社ではなくそのブランドを選ぶ強力な動機となるからです。ブランドのファンとなった顧客は、たとえ他社がより安い類似品を販売していても、好きなブランドを選びます。特定のブランドを長期的に愛用してくれる顧客が増えることで、安定的な売り上げにもつながるのです。
●LTVが向上する
ブランドイメージが確立されれば、そのブランドの商品をリピート購入し続ける顧客を増やせます。商品のLTV(顧客生涯価値)が向上し、商品あたりが生み出す利益を伸ばせるのです。新たな広告コストをかけなくても商品が継続的に売れるようになり、利益率が改善する効果も期待できます。
●人材確保に役立つ
企業としてのブランドイメージが向上することにより、そのブランドを担う一員になりたいと感じる人材が増えていきます。優秀な人材を確保しやすくなり、採用コストを削減できるというメリットもあるのです。企業としての知名度も向上し、人材を効率よく確保しやすくなるでしょう。
●購買に繋がりやすくなる
ブランドイメージの向上するにつれて、購買に繋がりやすくなります。例えば、コーラといえば「コカ・コーラ」を、ハンバーガーといえば「マクドナルド」を想起する人が多いように、消費者が購買する際の選択肢になり得るということです。
購入時に想起されるブランド群を、想起集合(エボークトセット)、その中でも最初に想起されるブランドを第一想起ブランドと言います。この想起集合は、ほぼ市場構成を表しており、ここに入ることが非常に重要です。
エボークトセットとは? 選ばれるブランドとなるための必須戦略
https://corp.neo-m.jp/column/researcher_001/
消費者は聞いたことのない企業よりも、馴染みのあるブランドの商品を優先的に選ぶ傾向があります。更に、ブランドイメージが良くて強いブランドから、購入の候補に入ります。ブランドの認知とイメージ向上によって、競合他社との差別化を強化し、容易に負けることのない独自の地位を確立できるのです。
ブランドイメージの調査方法
ブランドイメージを向上させるための戦略を立てるには、現在のブランドイメージを把握しておく必要があり、そのためにはブランドイメージ調査を行う必要があります。ブランドイメージ調査とは、そのブランドを認知している生活者が、ブランドに対して抱いているイメージを調査することを指します。
ブランドイメージ調査について、「ブランド認知度調査」との違いを交えて解説します。
●ブランド認知度調査との違い
ブランドイメージ調査では、ブランドを認知している生活者を中心に、ニーズや満足度を量るための質問を投げかけます。一方、ブランド認知度調査では「そもそもブランドを知っているか」といった、認知度を知るための質問が中心です。しかしながら、ブランドイメージとブランド認知度を合わせて一つの調査で取得するのが一般的です。以下は、2つの違いを図にまとめたものになります。
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調査内容
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主な調査対象
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ブランドイメージ調査
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ブランドに抱くイメージ
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ブランドを認知している生活者
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ブランド認知度調査
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ブランドを知っているか
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生活者全般
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ブランド認知には、2つの段階があります。
・純粋想起(ブランド名を出さずに、知っているブランドとして想起できる)
・助成想起(ブランド名を見れば、想起できる)
当然、純粋想起に入る方が、認知程としては強いブランドということができます。
この「知っているブランド」のことを知名集合と言いますが、ネオマーケティングでは、「購入されるブランド」として想起集合に入ることこそ、価値があると考えています。
●ブランドイメージ調査の主な質問項目
ブランドイメージ調査は、インタビューなどの定性調査でブランドのイメージを調査することもありますが、インターネットリサーチを活用することが一般的です。
ブランドイメージ調査の主な質問項目は以下の通りです。ここでは、ブランド認知度を測る質問も合わせて紹介します。
- ブランドの認知度(純粋想起、助成想起)
- エボークトセット
- ブランドに対するイメージ
- ブランドへの関与度合
- 購入時に重視する点
ブランドイメージを形成し、ブランドを育成するには
ブランドを育成するために重要なことは、そのブランドがおかれている状況によって異なります。
ブランドがエボークトセットの上位にあるほど、また第一想起ブランドであれば、そのブランドが属するカテゴリーそのもののパイを拡大する施策を取ります。
ブランドがまだ強くなければ、自ブランドが想起される「きっかけ」を見つけ、あらゆるリソースと情報発信をそこにフォーカスさせる施策が有効です。
その「きっかけ」をカテゴリーエントリーポイント(CEP)と言います。ネオマーケティングでは、この最適なCEPを見つけ、ブランドが目指すべき方向性を決めるための調査、CEP調査を提供しています。
CEP調査を活用したブランディング事例はコチラ
https://corp.neo-m.jp/result/interview/healthcare_003/
ブランドイメージ調査、ブランド認知度調査の活用方法
ブランドイメージ調査の結果をどのように活用すればよいのか、解説します。
●ブランド認知と購入検討を掛け合わせて分析する
純粋想起で取得した「ブランド認知」と、エボークトセットで取得した「購入検討されるブランド」の程度を掛け合わせることで、例えば以下のことがわかります。
・ブランド認知に問題がある
・ブランド認知はあるが、購入時想起に問題がある
・ブランド認知にも、購入時想起にも問題がある
ブランド認知はあるにも関わらず、購入時に想起されていないとしたら、その要因は何か、どうやったら購入時想起されるブランドとなるか、更に課題解決を進めるための、より深堀した追加調査を実施することができます。
●認知から購入に至るまでのボトルネックを明らかにする
調査の中で、認知、購入経験、購入頻度、今後の購入意向なども取得することで、生活者の購買行動のどこに問題があるか、明らかにすることができます。
ボトルネックを特定することで、例えば再購入をいかに促すか、というネクストアクションの検討ができるようになります。
まとめ
ブランドイメージと認知度を測る調査は、その調査の設計によって、間違いなく企業のブランディングの問題を特定し、その解決策までを検討するに至る、非常に有益な調査になります。
ブランドに関する調査をご検討の方は、是非ネオマーケティングにご連絡ください。このコラムでは書ききれなかったノウハウを、余すことなくお伝えいたします。
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