定性調査とは、数値では表せない対象者の心理や行動背景、価値観などを詳細に把握するための調査手法のことです。数値化されたデータを収集する定量調査と比べて対象者のインサイト(内面)を深く分析できる一方で、効果的に調査を実施するには専門的なノウハウを必要とします。定性調査を実施する際には外部の調査会社へ依頼するのが得策です。
この記事では、定性調査の依頼先を選ぶ際に着目しておきたいポイントをわかりやすくまとめています。おすすめの調査会社6選を強み別にまとめていますので、定性調査の依頼先を選定する際にぜひ役立ててください。
調査会社・リサーチ会社とは
調査会社(リサーチ会社)とは、マーケティングリサーチや市場調査に必要な各種調査に対応可能な事業者のことです。依頼できる調査の種類や業務の範囲、主な調査手法をはじめ、調査会社に依頼する主なメリットを整理しておきましょう。
依頼できる調査の種類
調査会社に依頼できる調査の種類には、大きく分けて「定量調査」と「定性調査」の2種類があります。
定量調査とは、数値化されたデータを収集するための調査手法のことです。回答数が多い/少ない、全体のうち回答の割合が高い/低いといったデータを元に、対象者全体の傾向を把握したい場合に役立ちます。
これに対して、定性調査は数値化できない対象者のインサイト(心理や行動背景、価値観などの内面)を深く知りたい場合に用いられる調査手法です。新商品の開発に向けたアイデア創出や商品・サービスの改善点の模索、消費者のリアルな意見や感想を得たい場合などに実施されます。
定量調査と定性調査は組み合わせて実施するケースも少なくありません。両者の違いや組み合わせ方については、次の記事で詳しく解説しています。こちらもあわせてご参照ください。
依頼できる業務の範囲
調査会社に依頼できる業務の範囲は、事業者によってまちまちです。主な業務内容の例として、次のものが挙げられます。
・調査企画立案
・調査設計
・調査企画
・調査実施
・結果分析
・レポート作成
・マーケティング支援 など
調査会社によっては、依頼企業側が自社で調査票を作成したり、調査を実施したりできるよう、セルフ型インタビューツールを提供している場合もあります。一般的には、依頼する業務の範囲が広くなるほど料金がかかると考えてよいでしょう。どの業務範囲を依頼したいのかによって、対応している調査会社を選ぶことが大切です。
主な調査手法
定量調査・定性調査の主な調査手法として、それぞれ次のものが挙げられます。
【定量調査の主な手法】
・ネットリサーチ:Webサイトに公開されている情報などを元に行う調査
・会場調査:対象者を会場に集めて実施する調査
・ホームユーステスト:自宅で商品を試用し、アンケートに回答してもらう手法
・郵送調査:調査票を対象者に郵送し、返送してもらう手法
【定性調査の主な手法】
・グループインタビュー:複数の対象者へ同時に行うインタビュー調査
・デプスインタビュー:1対1で実施するインタビュー調査
・オンラインインタビュー:ビデオ会議ツールを活用して実施するインタビュー調査
・エスノグラフィー(行動観察調査):対象者の行動を一定期間にわたり観察する手法
調査会社・リサーチ会社に依頼するメリット
1.調査の工数を削減できる
2.調査会社が保有するサンプルリストを活用できる
3.調査結果をまとめたレポート作成を依頼できる
調査目的を達成するには、相応の手間と時間がかかります。適切な調査対象者を集め、協力してもらわなければなりません。さらに調査結果を分析し、見やすくまとめるには専門的な知識やスキルが必要です。こうしたリソースを自社で確保するのが容易でない場合は、調査会社に依頼するのが得策でしょう。
とくに定性調査に関しては、調査担当者に大きな負担がかかりがちです。定性調査に対応している調査会社に依頼し、調査目的の達成を実現する確度を高めることをおすすめします。
定性調査の依頼先を選ぶ際の5つのポイント

ここからは、定性調査の依頼先を選ぶ際に着目しておきたいポイントを紹介していきます。自社の調査目的を着実に達成するには、次の5点を確認しておくことが大切です。
ポイント1:パネル(回答者)の質と量
調査パネル(回答者)の質と量は、必ず確認しておきたいポイントのひとつです。パネルの特徴や保有数は、調査会社ごとに異なります。調査目的に適した質・量が確保されているか、十分に確認しておきましょう。
パネルの質については、自社が想定する属性に合致しているか、きちんと考えて回答してもらえるか、といった点を重視する必要があります。質が良くない場合、よく考えずいい加減に答えてしまう回答者が続出したり、無回答や「わからない」といった無効な回答が増えたりするおそれがあるからです。
パネルの量に関しても、調査方法や調査目的に適した回答者数を確保できるかどうかが重要です。量が不十分だった場合、回答が偏ったり分析に必要なデータが集まらなかったりするおそれがあります。反対に量が多すぎると重複した回答が目立つようになり、費用対効果が悪化しかねません。
ポイント2:対応可能な調査手法
どの調査手法に対応しているかについても、事前によく確認しておく必要があります。定量調査・定性調査のどちらを得意としているのか、主要な調査方法は何か、といった点を明確にしておくことが大切です。各社のホームページで示されている過去の実績や調査事例を参考にするほか、不明点に関しては事前に問い合わせておくことをおすすめします。
なお、調査会社によってはネットリサーチ専門の場合もあります。オフラインでの調査を想定している場合には、対面による調査にも対応できるか確認しておくとよいでしょう。
ポイント3:料金の妥当性
料金設定は必ず確認しておきたいポイントのひとつですが、安ければよいというものではない点に注意してください。価格だけで比べるのではなく、具体的な調査内容や対応している業務範囲を確認した上で、料金とのバランスが妥当かどうかを慎重に検討することが大切です。
格安で調査を実施できたとしても、調査結果の分析を実質的に自社で行わなければならないとすれば、収集した情報を十分に活用できない可能性があります。自社が必要とするサポートを受けられるか、あらかじめ確認しておく必要があるでしょう。
ポイント4:希望の納期に対応可能か
自社が希望する納期への対応可否も、必ずチェックしておきたいポイントのひとつです。調査内容や手法によって調査期間は異なりますが、同じ調査を実施した場合も調査会社によって納期に差が生じるケースは少なくありません。
複数の調査会社に見積もりを依頼することで、所要期間を比較検討しやすくなります。納期はできるだけ早いほうが望ましいものの、あまりにも早すぎる場合は業務範囲や得られるサポートの内容を確認しておくべきでしょう。
ポイント5:納品物の種類
調査結果がどのような形で納品されるのかについても、事前に確認しておく必要があります。例えば、調査結果を文書化したレポートや、グラフや図などで視覚的に示したインフォグラフィック、処理前のローデータなど、どの範囲までが納品物として提供されるのかを明確にしておくことが大切です。
必要な納品物を見極めるには、調査の依頼者がどういった観点のデータを求めているのか、調査結果を何に活用したいのかを把握しておかなくてはなりません。納品物の体裁やデータの形式などを具体的に指定するのが難しい場合は、「〇〇がわかるデータが必要」「データを〇〇に活用したい」といった情報を調査会社に共有しておくことをおすすめします。
多彩な調査対象・調査手法に対応可能な調査会社3選
定性調査において幅広い調査対象・調査手法に対応している調査会社3社を厳選して紹介します。
株式会社ネオマーケティング
ネオマーケティングは日本国内にアンケート会員2,889万人(提携含む)を保有し、グループインタビューやデプスインタビュー、オンラインインタビュー、訪問観察調査といった各種定性調査に対応しています。優れたリクルーティング力による対象者の招集に加え、調査専用ルームを完備するなど、定性調査を一気通貫で実施するための知見やノウハウを備えている点が大きな特長です。
定性調査を効果的に実施する上で、回答の品質は非常に重要なポイントです。
ネオマーケティングでは、定性調査を実施するにあたって回答品質向上のための対策を行っております。
オーディションリクルートサービスでは、より精度の高い情報を得られるインタビュー対象者を事前にオーディション形式で抽出することにより、有益で希望に沿ったインタビュー結果を得られるよう努めております。
信頼性の高い調査結果を得たい事業者様におすすめです。
また、セルフ型のオンラインインタビューツール「リサーチDEMO!」も提供しており、最短当日、3.3万円(税込)からインタビューを実施できます。定性調査には多くの時間と費用がかかるケースが少なくありません。できるだけスピーディーかつリーズナブルに定性調査を実施したい事業者様におすすめのツールです。
株式会社マクロミル
マクロミルは、インターネットリサーチからインタビュー調査まで、幅広い調査手法に対応している調査会社です。調査目的に応じたモデレータ(インタビュアー)を用意していることに加え、チームによる運用で調査目的の達成をサポートしています。一般的なテーマの調査から、学術調査など専門性の高いテーマまで対応可能です。また、セルフ型インタビューツール「Interview Zero」を活用することで、短期間でリーズナブルに調査を実施することもできます。
株式会社クロス・マーケティング
クロス・マーケティングは、日本国内ならびに世界10カ国20拠点以上でリサーチ事業を展開している調査会社です。ネットリサーチやオフライン調査、セルフ型リサーチまで幅広いサービスメニューを提供しています。事業担当者によるサポートを受けられるほか、コンサルタントによる事業戦略プランニングも含めた対応も可能。マーケティングに役立つ各種ツールを提供しているので、マーケティング施策を強化したい事業者様にも適しています。
得意とする手法を明確に打ち出している調査会社3選
続いて、得意とする手法を明確に打ち出している調査会社3社を紹介します。自社の調査目的に合った技術やノウハウを保有する調査会社を選ぶことで、効果的に調査を進められるでしょう。
トビー・テクノロジー株式会社
トビー・テクノロジーは、アイトラッキング(視線計測/眼球運動)技術を駆使した調査を得意としている調査会社です。対象者が「どこを見ているのか」「何に注目しているのか」をデータから分析できるため、科学的な調査からマーケティングまで幅広い分野で活用できます。競合比較や好感度調査、コンセプトテスト、広告評価、広告効果測定などが調査目的の場合におすすめです。
株式会社 MS&Consulting
MS&Consultingは、覆面調査を得意とする調査会社です。年間23万の覆面調査を実施しており、累計75万件の従業員満足度調査を実施してきた実績があります。調査結果はレポートのほか、オンライン動画でも提供可能。多忙な店長に代わり、動画をスタッフのレクチャーに活用できます。実店舗の顧客満足度調査や、従業員満足度調査を実施したい事業者様におすすめです。
リアルワン株式会社
リアルワンは、従業員満足度調査・エンゲージメント調査・360度評価を軸に、企業の現状や課題を調査・評価している調査会社です。仕事内容や企業風土、待遇といった基本項目だけでなく、依頼企業独自のオリジナル項目を加えた調査内容にも対応しています。調査結果を視覚的にまとめたレポートや、Web集計システムの提供も可能。定性調査を組織づくりに役立てたい事業者様におすすめです。
自社の調査目的・調査対象に合った調査会社を選ぼう
調査会社と一口にいっても、対応可能な調査手法や得意とする分野は事業者によって異なります。依頼先を選ぶ際のポイントを押さえた上で、自社の調査目的・調査対象に合った調査会社を選ぶことが大切です。今回紹介した6社をはじめ、自社の課題解決につながるサービスを提供可能な調査会社を探してみてはいかがでしょうか。
ネオマーケティングでは、幅広い調査手法に対応しているほか、調査の実施から事後の分析、結果レポートの作成まで一貫したサービスを提供しています。定性調査を通じて自社の課題解決を図りたいとお考えの事業者様は、ぜひネオマーケティングにご相談ください。