海外調査のレポートは、現地市場での消費者ニーズや競合状況を具体的に把握し、事業戦略を立てる際の重要な資料です。単なるデータの整理だけでなく、調査から得られた結果を適切に分析し、効果的なレポートを元に具体的なアクションにつなげることが求められます。
海外調査を考えてはいるものの、レポートの重要性がよくわかっていない方もいるかもしれません。本記事では、海外調査レポートのもつ役割や構成、そして活用事例について詳しく解説します。
海外調査のレポートとは
海外調査のレポートとは、海外市場で実施した調査結果を整理し、文書や資料としてまとめたものです。調査によって得られたデータをわかりやすい形式でまとめておくことで、経営やマーケティングなどの意思決定のための判断材料となります。
具体的な内容はレポートによっても異なりますが、一般的には市場規模や成長性、消費者のニーズ、競合他社の動向などが網羅されています。
海外調査を実施する場合、方法としては自社で対応するか専門会社に依頼するかのどちらかです。調査会社に外注する場合、調査の実施だけでなく、データ入力・集計・分析・レポート作成まで一括して対応してもらえる場合があります。
基本的なレポート内容
海外調査のレポートの基本的な構成は、調査の全体像を説明する「調査概要」、具体的なデータや事実を示す「調査結果」、そして得られた情報を深掘りした「各種分析」の3つです。
1.調査概要
調査概要は、レポートの全体像を把握するためのセクションです。調査を実施した背景や目的、さらには使用した手法や対象範囲など、調査全体の基本的な情報が整理されています。
たとえば、調査の目的であれば「現地市場の消費者ニーズを把握すること」「競合他社の戦略を分析すること」などが挙げられます。実施方法であれば、アンケートやインタビュー、観察調査などです。
概要があることで、調査全体の流れや目的が明確になり、その後の結果・分析に関してより納得感をもって読めるようになります。
2.調査結果
調査結果は、得られたデータや傾向を整理し、具体的な数値や視覚資料とともに提示するセクションです。
たとえば「現地の消費者の購買行動」を調査した場合、結果として「20代女性の約60%がオンラインショッピングを好む」といった具体的な数値を示すことで、対象となる市場の特徴が一目でわかります。
文章だけでは伝わりにくい情報をより直感的に理解できるようにするため、グラフなどの視覚資料を適宜活用するのも重要です。
3.各種分析
各種分析は、結果に基づき、データを深掘りしてさまざまな考察をするためのセクションです。単なる数値や傾向を示すだけでなく、その背景にある要因や、市場の可能性などを詳しく探ります。
外部の専門会社に調査を依頼する場合、取り入れる分析手法やフォーカスするポイントが異なるため、事前にどのような分析が可能かを確認するのがおすすめです。自社の目的や課題に合わせて、具体的な分析項目をすり合わせておくと、より実用的なレポートを作成してもらえます。
ネオマーケティングで実施した海外調査の事例4選
ネオマーケティングで実際に行った海外調査の事例を、費用面もあわせて紹介いたします。
■プロモーション施策効果測定調査の事例
外資系コンサルティング企業をクライアントにした、プロモーション施策効果測定調査の事例です。こちらの調査は「2020年東京オリンピック開催後のプロモーション施策の効果を測定すること」を目的として実施されました。
手法としてはWeb調査を採用し、スクリーニング調査で対象者を絞り込んだ後、本調査で詳細なデータを収集する形式となっています。設問数はスクリーニング調査が1問、本調査が7問程度という構成です。
アメリカと中国から選定され、日本に興味をもつ20代から60代の男性が調査対象となりました(訪日経験は不問)。アメリカでは500サンプル、中国では1500サンプルを収集し、それぞれの年齢層に均等に分布するよう調整されました。費用は約300万円です。
■国立公園に関する海外調査の事例
旅行総合代理店をクライアントとした、国立公園に関する海外調査の事例です。こちらの調査は「インバウンド需要の取り込みを目指し、日本の国立公園の認知度を把握しつつ、観光プロモーションに活用すること」を目的に実施されました。
手法はWeb調査を用い、スクリーニング調査+本調査の形式を採用しています。設問数はスクリーニング調査が2問、本調査が29問程度という構成です。
調査対象は中国、台湾、香港、韓国、アメリカ、イギリス、オーストラリア在住であり、20代から60代の男性です。各国のサンプル数は400ずつ収集し、合計2800サンプルに達する規模の調査となっています。費用は約530万円です。
■自動車乗り換えユーザーに対する調査の事例
自動車メーカーをクライアントとした、自動車乗り換えユーザーに関する調査の事例です。こちらの調査は「他社の車から自社の車に乗り換えたユーザーに対し、乗り換えた理由や購入の決定要因を把握し、今後のマーケティングや自社の優位性強化に役立てること」を目的に実施されました。
手法はWeb調査を用い、スクリーニング調査+本調査の形式を採用しています。設問数はスクリーニング調査が3問、本調査が15問程度です。
調査対象はアメリカ在住の18歳から70歳の男性で、現在自ら運転する車を所有し、過去に他社から自社の車へ乗り換えた経験をもつユーザーです。サンプル数は50名規模で実施され、特定の購買行動にフォーカスした調査となっています。調査規模が比較的小さいこともあり、費用は約50万円です。
■オムニチャネルスーパーに関するアンケート調査の事例
大学法人をクライアントとして実施された、オムニチャネルスーパーに関するアンケート調査の事例です。こちらの調査は「スーパーの利用頻度や使い方について、国ごとの違いを把握すること」を目的として行われました。
手法はWeb調査を用い、スクリーニング調査+本調査の形式を採用しています。設問数はスクリーニング調査が4問程度、本調査が15問程度です。
調査対象者は20歳以上の男性・女性で、直近1年以内に同じ系列のスーパー(実店舗・ネットスーパー)を複数回利用している方に限定されました。日本と中国からそれぞれ250名ずつ、合計500名のサンプルを収集しています。費用は約70万円です。
まとめ
海外調査レポートは、現地市場や消費者の実態を明確化し、事業戦略の基盤を作るための重要な資料です。目的に応じた調査手法やデータ分析を通じて、具体的かつ信頼性の高い情報がまとまっています。
自社で作成もできますが、専門会社に依頼することで、質の高いレポートを作成できます。海外調査に関するノウハウがない場合は、自社のニーズに合ったサービスを選定しつつ、依頼するのがおすすめです。