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純粋想起とは?助成想起との違い、マーケティング事例や活用法を紹介

ライター:加藤 賢大

公開日:2023年03月14日 | 更新日:2024年10月23日

カテゴリー:
目次

純粋想起は、自社のブランディングを考える上で重要な指標とされていますが、何故重要なのでしょうか。。そもそも純粋想起とはどのようなものなのでしょうか。
この記事では、純粋想起と助成想起との違いを説明した上で、純粋想起がマーケティングにおいてどのように活用することができるのか、という点について詳しく紹介します。
ブランディング活動に課題を抱えている方は、ぜひ最後までご覧ください。

 

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純粋想起とは

純粋想起とは、企業やブランド、商品の認知度・浸透度を調査する際に、画像や看板といった、そのブランド・商品に紐づくヒントがなくても、特定の商品やブランドを思い出すことをいいます。アンケート調査において純粋想起を知りたい場合は、自由回答形式で聴取します。
例えば「ビールといえばどんな商品・ブランドを思い浮かべますか?」という問に対して、選択肢の提示がなくても回答者が特定のビールを思い浮かべられるのであれば、それは「純粋想起が高い商品・ブランド」といえます。

純粋想起とは

また、対象者に選択肢を提示した上で回答してもらう「助成想起」(詳細は後述)に比べ、純粋想起の方が回答者にとって「深い」認知であることが特徴です。そのため、純粋想起の高い商品やブランドは、より購買につながりやすいとされており、ブランディングを行う際の重要な指標となっています。
なお、純粋想起の中で一番はじめに想起された商品・ブランドを「第一想起(トップ・オブ・マインド)」とし、その次以降に想起された「第二想起」「第三想起」とは区別して分析する場合があります。

 

●純粋想起の高め方

純粋想起を高めていくためには、その商品・ブランドが当該市場においてトップレベルに高い認知度を保持している必要があります。そもそも、自社商品・ブランドを純粋想起してもらうためには、自社商品・ブランドが「知られている」ことが前提です。
つまり、純粋想起を高めることは、消費者とのタッチポイント(接点)を増やす必要があるため、認知度を高める施策と切っても切り離せないものであるということです。

 

●タッチポイントを増やす方法

消費者とのタッチポイントを増やす方法としてまず考えられるのは、広告出稿でしょう。テレビ・ラジオ・新聞・雑誌といったマスメディアの他、web広告への出稿も非常に有効です。スマートフォンの普及により、web広告を目にする頻度が以前に比べて格段に高くなっていることももちろんですが、ブランド・商品のターゲットに合わせた出稿ができることもweb広告の魅力です。その他にも低予算から始めやすい、広告媒体が豊富であるなど多様なメリットがあります。


また、SNSを活用して認知度を高める方法も考えられます。SNSで自社商品・ブランドを発信することにより、広告出稿の費用をかけずに認知度を高めることができます。さらにSNSの特徴として、第三者からの二次発信が期待できることも挙げられます。近年では企業側からの一方的な発信よりも、信頼できる第三者(インフルエンサーなど)の口コミやレコメンドの方が消費者の購買行動につながりやすい面があるため、そういった点でもSNSを効果的に活用していくのは有効な手段であるといえます。


とはいえ、タッチポイントを増やしたからといって、一朝一夕に純粋想起を高められるわけではありません。アプローチの方法や訴求内容がそもそも適切でなければ、消費者に見向きもされないからです。
特に大きな市場における純粋想起が高い商品・ブランドというのは、一般的に大企業が占有しています。自社商品・ブランドの純粋想起を高めたい場合は、まずは自社のポジションを明確にした上で、より細分化した市場においてブランド認知度を高めていく戦略が必要です。
自社の市場におけるポジションを明確にする手法は、後述する「トップ・オブ・マインド分析」で詳細に説明します。また、ポジションを明確にした後の、「どのようなカテゴリーで想起してもらうか」といった、訴求内容に繋がる点を見つける方法もご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。


助成想起とは

助成想起とは、商品・ブランドの認知度・浸透度を調査する際、選択肢の提示やパッケージ写真など、何かしらのヒントを提示した上で、特定の商品やブランドを想起してもらうことをいいます。
先程例に挙げたビールの場合、純粋想起では「ビールといえばどんな商品・ブランドを思い浮かべますか?」という自由回答形式の設問になりますが、助成想起の場合はビールの商品またはブランド名を複数提示した上で、「以下の選択肢の中で知っているものを選択してください」という選択形式の設問になります。

助成想起とは

 

純粋想起・助成想起を用いたブランド認知度調査

自社の商品・ブランドが純粋想起及び助成想起を獲得できているのかを調べる手段として、「ブランド認知度調査」があります。ここではブランド認知度調査の手法を説明していきます。

 

●ブランド認知度調査とは

ブランド認知度調査とは、その名の通り、自社の商品・ブランドが消費者に「どの程度」「どのように」認知されているかを測るマーケティングリサーチ方法の1つです。
「どの程度知られているか」を問うことで、ブランドの認知度を数値的に把握することはもちろん、「どのように知られているか」を問うことで、市場における自社のポジションや強みを明確にすることができます。前述したように、純粋想起を知りたい場合は自由回答形式で、助成想起を知りたい場合は選択式で聴取します。
また、自社商品・ブランドのポジショニングの確認方法として、純粋想起、助成想起の両方を聴取して分析する「トップ・オブ・マインド分析」という方法があります。

 

●分析方法「トップ・オブ・マインド分析」

市場における自社商品・ブランドのポジションを明確にするための分析手法に「トップ・オブ・マインド分析」があります。「トップ・オブ・マインド」とは前述した通り、純粋想起の中でも一番はじめに思い起こされる「第一想起」のことです。
トップ・オブ・マインド分析では、「第一想起率」を横軸に、「助成想起率」を縦軸に取った4象限の中で、自社商品・ブランドがどこに属するのかを視覚的に把握できます。

トップ・オブ・マインド分析

  • リーダー:第一想起も助成想起も高い、「勝ち組」といわれるグループ
  • レガシー:第一想起は低いが、助成想起は高い。市場に多く出回っているが、消費者の印象にはそれほど残っていないグループ。
  • ニッチ:第一想起が高く、助成想起は低い。市場に多く出回っているわけではないが、コアな顧客の獲得に成功しているグループ。
  • マイノリティ:第一想起も助成想起も低い。市場であまり知られておらず消費者の印象にも残っていないグループ。

多くの場合、「リーダー」グループは大手企業に占有されているため、まずは市場での存在感の拡大を目指すのがよいでしょう。もしくは、「お風呂上りに飲みたくなるビール」「好きな人に渡したいチョコレート」などのように、大カテゴリーを細分化して、消費者に想起してもらうことを目的とするなど、商品・ブランドの性質に応じた戦略を立案することが肝要です。
また、トップ・オブ・マインド分析は自社のみで行ってもあまり意味がないので、競合他社と合わせて分析するようにしましょう。さらには市場の状況が変わることも踏まえ、定期的に行うことが重要です。

アンケート作成時における注意点

次に、純粋想起、助成想起の両方を1つのアンケートで聴取する際の注意点を紹介します。
純粋想起は自由回答方式のため、バイアスのかかっていない純粋な回答が得られますが、表記揺れや誤表記などにより集計に手間と時間がかかります。
助成想起は選択式のため結果の分析はしやすいものの、選択肢以外の項目が聴取しづらくなるため、選択肢の内容を吟味することが重要になります。

 

●設問の順番

設問の順番は、助成想起よりも自由回答形式の純粋想起を聴取する設問を先に設けましょう。先に助成想起を聴取したあとで純粋想起を聴取した場合、助成想起の設問で提示された選択肢が影響して、商品やブランドの純粋な認知度を聴取できない可能性があるからです。「〇〇と聞いて思い浮かぶ商品・ブランドをお答えください」と純粋想起の設問を設定した後に、「以下の選択肢の中から、知っている〇〇のブランドをお選びください」と助成想起の設問を設定するように注意しましょう。

 

●質問文の表現

純粋想起の場合は自由記述での回答となるため、選択式のものより煩雑に感じられ、「特になし」などのように、適切な回答を得られない可能性があります。なるべく簡潔に回答ができるよう質問文にも配慮しましょう。

 

・純粋想起の質問文の例①

Q:「自動車」と聞いてあなたが思い浮かべるメーカーを、思いつく順に5つまでお答えください。

この場合、複数回答としているため自社商品・ブランドが第一想起ではなかった場合でも、どの程度の位置にいるのかを把握することができます。

 

・純粋想起の質問文の例②

Q:「高級自動車」と聞いてあなたが思い浮かべるブランドを、思いつく順に3つまでお答えください。

この場合は「高級」という属性をプラスしているため、より回答が限定されます。自社商品・ブランドのブランディングの方向性に応じた属性をプラスすることで、消費者の認識との間にズレがないか等を確認することができます。

対して助成想起では、競合ブランドも含めた選択肢の中に自社ブランドを位置づけることで、自社ブランドがどのように認識されているかを知ることができます。

 

・助成想起の質問文の例

Q:以下の自動車の車種のうち、ご存知のものはどれですか。当てはまるものすべてお選びください。

選択式の設問の場合、「当てはまるものすべて」とする場合と「〇個まで」と回答数に制限を設ける場合がありますが、助成想起の場合は制限を設けず「当てはまるものすべて」とする方が有効な結果が得られます。「〇個まで」と制限を設けると、その中に自社ブランドがない場合に、「知らないから選ばなかったのか」「知っていたが他のブランドを優先したのか」がわからなくなってしまいます。
また、選択肢の数にも配慮が必要です。適切な選択肢を設定しつつ、回答しやすくなるよう多くても15~20個程度にとどめるのが理想です。また、少数意見も拾えるよう、その他として自由回答欄を設けるようにしましょう。

純粋想起のマーケティング活用方法

最後に、前段で少しご紹介した「そもそも自社はどのように想起されているのか」「どのようなカテゴリーを狙っていけばよいのか」といった点を調査する方法をご紹介します。

 

●「どのように想起されているのか」を知る「エボークトセット調査」

まず、生活者が想起するブランドの集合体を「エボークトセット」と言い、ネオマーケティングでは、このエボークトセットを調査する独自の調査スキーム「エボークトセット調査」を提供しています。
例えば、「ビールを飲みたいと思ったときに、どんな商品を思い浮かべますか」といった質問をして、生活者が想起するブランドを自由回答形式で回答していただき、アフターコーディングをして自由記述をデータ化する手法です。
エボークトセットについて詳しく知りたい方は、下記記事をご覧ください。

>エボークトセットに詳しい記事を読む

 

●狙うべきカテゴリーを調べる「CEP(カテゴリーエントリーポイント)調査」

CEP(カテゴリーエントリーポイント)とは、何かを購入しようと思った時にブランドを想起するきっかけやヒントのことです。先程のビールを例に挙げると「ビールを飲みたい」がそれに該当します。
ですが、(繰り返しになりますが)商品カテゴリーによっては、既に大企業が上位を占有している場合があります。CEP調査は、そんな商品カテゴリーでも「お風呂上りに飲みたいビール」「高級感を感じるビール」などのように、カテゴリーを細分化して、狙える市場を見つける調査です。


また、CEP調査とエボークトセット調査を別々に実施することで、想起のきっかけと純粋想起の両方の側面からのデータを収集することができるため、調査の精度が上がります。
加えて、「これまで狙っていた市場が消費者に浸透しているか」といった、これまでのブランディング活動の指標としても活用することができます。
CEPとエボークトセットの関係について詳しく知りたい方は、下記記事をご覧ください。

>CEPとエボークトセットの関係について詳しい記事を読む

 

●エボークトセット調査、CEP調査の事例紹介

実際に、これらの調査を実施いただいた事例を紹介します。具体的な活用方法を知りたい方は、ぜひ下記事例をご覧ください。

 

まとめ

これまでで、純粋想起、助成想起のマーケティングにおける活用方法をご紹介しました。
自社のブランド状況に合わせて、純粋想起を確認するのか、助成想起を確認するのか、エボークトセットやCEPを確認するのか選択しましょう。
ネオマーケティングでは、ブランディング調査のプロフェッショナルが在籍しております。ブランディングにお悩みを抱えている方は、ぜひお気軽にご相談くださいませ。企業様の状況を伺い、最適な調査を選択・提案致します。

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加藤 賢大
WRITER
加藤 賢大
マーケティング業界歴10年超。2011年よりネオマーケティングに入社。リサーチのみならず、WebマーケティングやPR、ニューロ・IoTなど、各種ソリューションを駆使して顧客の課題解決に尽力。 武蔵野美術大学と共同で新サービス開発及び論文発表、日本マーケティング協会主催のマーケティングAI研究会に参加するなど研究活動にも従事し、幅広い業務に携わる。

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