覆面調査とは?企業にもたらす六つのメリットと注意点をわかりやすく解説
ライター:株式会社ネオマーケティング
公開日:2022年07月13日
| 更新日:2024年10月24日
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カテゴリー:
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マーケティングリサーチ
「ネオマーケティング」ライターチームです。
覆面調査とは、マーケティングリサーチの手法のひとつです。企業にとって、現場状況の悪化は業績に直結する大問題。幹部が抜き打ちで店舗などを訪問して改善・改革することもできますが、頻度が高いと従業員からの信頼を失いかねません。かといって事前に告知してしまうと普段の様子が見られません。
本コラムでは「覆面調査」の概要や目的、メリット・デメリットなどを解説します。導入時の注意点などもわかりやすく紹介するので、ぜひご活用ください。
覆面調査の目的と特徴
●覆面調査とは
覆面調査とは、消費者目線を持った調査員が、実際に店舗などに足を運んで調査することをいいます。
調査員であることを隠し、あたかも消費者のフリをしてサービスなどを体験し、リアルな運営状況を調査することから、「覆面」の冠がついています。「ミステリーショッピング」、調査員を「ミステリーショッパー」と呼ぶこともあります。
主に、飲食店や小売店、医療施設など接客を要するサービス業で活用されていますが、行政内部の改革に活用される場合もみられます。
店舗や施設など民間企業における調査では、提供する商品・サービスなどの質、接客の態度、店内状況などの調査項目を打ち出してから実施します。
●覆面調査の目的
覆面調査は、現状を把握して企業の課題解決をすることが目的です。調査員から提出された調査結果をもとに、「顧客満足度の向上」や「売上・利益の向上」に活用されています。
この2点を達成するには、商品・サービスの見直し、従業員の意識改革、接客指導、店内衛生の向上や動線の見直しなど、様々な角度からの改善・改革が必要です。
●覆面調査の特徴
覆面調査の特徴は、調査であることを悟られないように実施する、ということでしょう。通常のマーケティングリサーチは、調査対象となる消費者から直接情報を取得します。しかし覆面調査の場合は、調査であることを現場のスタッフの方に知られることなく、できるだけ普段と同じ環境下で調査を実施する必要があります。
覆面調査を導入する六つのメリット&デメリット
覆面調査を導入すると、企業にはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
●調査のメリット
覆面調査によってあぶり出された課題を積極的に見直し・改善することで、下記のようなメリットがあります。
・顧客サービスの向上
・顧客満足度の向上
・リピート率の向上
・従業員の意識向上
・組織全体の質の向上
・利益向上
消費者目線ならではの調査により、お客様が真に求めているサービスを具体的に提供できるようになります。それにより顧客ロイヤリティが高まり、顧客満足度やリピート率の向上につながるでしょう。また、お客様から見た従業員に対する客観的な評価がわかるため、人材教育・意識改革にも直結します。得られた結果を活用することによって、組織全体の質の向上や利益向上につなげることが可能です。
●調査のデメリット
当然ながら、覆面調査にはデメリットもあります。
・覆面調査員の質
・従業員側の捉え方
まずは覆面調査員がどこまで実態を客観的に把握できるか、企業からの意図を明確に理解して調査にあたっているかが問題です。また、評価内容を従業員に伝えて指導しますが、捉え方によってはデメリットにもなり得ます。店舗全体の評価であれば逃げ道がありますが、個人への評価の場合は逆にやる気が低下したり、会社への信頼を失って離職したりする可能性もあるでしょう。覆面調査員による評価を従業員に伝える際は、前向きな行動が取れるよう、細心の注意を払うことが必要です。
覆面調査を導入・活用する際の注意点三つ
実際に、覆面調査を導入して調査結果を活用する際は、以下の3点に注意してください。
●綿密な準備
覆面調査は街頭調査や単発アンケートのような調査手法とは異なり、調査員を募集する段階から、綿密に準備をすることが重要です。準備を怠れば、欲しかった調査結果を得られず、完全に失敗に終わってしまいます。具体的には「いつ」「どの時間帯に」「誰に(年代・性別ほか)」「何名で調査してもらうのか」「どのような調査項目が必要か」「調査結果をどのように現場に伝えるのか」ということを中心に計画しておきましょう。
●費用対効果
覆面調査でより高い精度を求めるなら、単発ではなく複数回行ったほうがよい場合もあります。アルバイトが多い店舗などは、シフトによって接客対応が変わる場合もあるためです。課題や目的に応じて一般の方を募集するのか、プロの調査員に依頼するのかを決定するとよいでしょう。
●従業員への情報漏洩
覆面調査の目的や手法上、調査日などが決して従業員に漏れてはいけません。一般の方を募集して調査員として活動いただく場合は、あらかじめ確実に従業員との関係性がないことを確認しておきましょう。
覆面調査はどこに依頼する?
覆面調査を依頼するにあたり、一般の方を募集する方法と民間の調査会社に依頼する方法とがあります。
一般の方を募集する場合は求人サイトに募集を出すのが一般的で、多数応募により抽選が必要なケースもみられます。募集内容に性別・年代などを明確に示すことで、より違和感のない覆面調査を行えるでしょう。また、一般客としての自然な振る舞い方やレポート作成方法など、必要に応じて研修会を実施するのもおすすめです。Webミーティングツールなどを活用すれば、地方の店舗調査員にも簡単に研修を行えます。
もう一つの依頼先としては、覆面調査を実施する調査会社です。全国に多数存在し、各会社によって理念や具体的な手法、覆面調査に対する捉え方が異なります。複数会社から情報を集め、自社にマッチした調査会社を選択しましょう。プロの調査員なので研修は不要ですが、一般の方に依頼する場合と費用感が異なるため、費用対効果も検討したうえで依頼する必要があります。
まとめ
覆面調査とは、調査員が自らの身分を隠し一消費者として店舗などを訪れ、実際にサービスを受ける調査のことです。マーケティングリサーチのひとつの手段として、現状把握やサービス品質の向上を目的としています。実施するにあたり、まずは社内で「課題」「目的」「調査項目」などを明確に打ち出すことが大切です。調査の準備が整ったら、調査員の依頼先を決めましょう。相応のコストもかかるため、費用対効果や調査員の選定などにも注力します。
また、調査結果が出てから早急に品質・利益向上などに結びつけたいあまり、現場で働く従業員への配慮を欠くような言動には注意が必要です。課題によっては別の調査手法が向いていることもあります。目的に応じた調査方法を検討し、企業の課題解決や業績向上などに役立てましょう。
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