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使用実態調査(U&A調査)とは?調査や分析の方法を解説

ライター:加藤 賢大

公開日:2021年12月10日 | 更新日:2024年10月08日

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目次

今回は、マーケティングリサーチの中でも特に実施頻度が多い、「使用実態調査」についてです。商品やサービスを消費者がどのように利用しているのか、その実態を調査する内容で、マーケティング活動において必須と言えます。今回はその調査の方法についてご紹介します。

使用実態調査(U&A調査)とは

生活者の意識や特定のカテゴリーの使用実態を把握するための調査で、U&A調査(Usage and Attitudeの略)とも呼びます。

実施フェーズは市場参入前と後 の2つです。

 

市場参入前の調査目的:「新しい市場において、どういった人の、どういったニーズがあるかを知ること、市場参入の糸口を探っていけるデータを取得すること」

市場参入前の場合、自社が、誰の、どのようなニーズを満たす商品で参入するべきか戦略を描けていない状態です 。まだ商品サービスのアイデアがない状態で、どのような新しい価値を生みだしていこうか、という段階です。
例えば、今まで卸売業を営んでいた企業が、自社で商品サービスを企画開発し、ビジネス展開を行っていこうという場合、新規の市場参入を目論む場合などが該当します。新しい市場において、どういった人の、どういったニーズがあるかを知ること、市場参入の糸口を探っていけるデータを取得することを調査の目的とします。

 

市場参入後の調査目的:「既存市場において、自社商品や競合商品の買われ方、使われ方などの現状を知ること」
既存市場では、自社や競合商品を誰が、どういった理由で買い、どのように使っているのか、時間の経過とともに変わっていきます。新しいプレーヤーの参入により市場構造が変わることもあり、それによって自社の売上に影響することもあります。そこで、自社商品や競合商品の買われ方、使われ方などの現状を知り、自社の今後の商品やマーケティングの戦略に役立てます。

 

当然ながら、市場参入前と後の両方で、調査することが理想的になりますが、どちらか一方の調査も可能です。

 

使用実態調査の調査項目としては、「誰が、何を、いつ、どうやって、どこで」使用したのか、という「使用」に注目します。

どのような方が実施すべきか

使用実態調査では以下のような課題がある場合に実施することが有用です。

・参入する市場を探索したい
・参入する市場で自社のポジショニングを探りたい
・売上が伸び悩んでいる、減少傾向にある
・競合からのスイッチを促し市場シェアを拡大したい
・新たな使用シーンを開発したい
・生活者のデータが手元にないのでまずは現状を把握したい

このような課題と目的をお持ちの場合、まずは市場とターゲットについての理解を深める調査実施を検討してみてください。

使用実態調査の方法

生活者の使用実態を知る方法は以下の通りです。

・定量調査

インターネットリサーチ、ホームユーステスト等

・定性調査
グループインタビュー、デプスインタビュー


これらの中でも、インターネットリサーチは特定の市場における自社・競合商品の消費者の声を企業側が知りたいことに沿って訊けることから、利用されるケースが多い方法です。

 

意外と思う方も多いかもしれませんが、インターネットリサーチだけでなく、ホームユーステストや定性調査のグループインタビュー、デプスインタビューも使用実態調査に該当します。

使用実態調査の具体的な方法

 

調査対象者について

使用実態調査では、“使用”の実態を把握するため“使用者”のサンプル数を一定数以上確保することが必要です。

①世の中全体:市場全体の意見を聴取します

②商品・サービスを使用する可能性のある人:商品・サービスに興味のある人を含めて取得するため、認知以降のプロセスにおける課題発見に活かします

③商品・サービス使用経験者:リピート獲得施策やロイヤリティアップの要因を探ります

使用実態調査では、③が一定数以上出現するように、調査対象者を設定することが大切です。
調査対象者の考え方

調査項目について

インターネットリサーチで使用実態調査を実施する際には、前述した課題に対応した設計を心掛けることが重要です。例えば、すでに参入している市場において、使用実態調査を実施するとしたときの把握したい項目は以下のものが考えられます。


・自社を含む競合他社のブランド別の認知や認知経路、イメージ、購入きっかけや決め手など

・商品を誰が、いつ、どこで、どのようなときに使っているのか、満足点や不満点はどういったものかなど・家族構成や居住形態、年収などのセグメントの参考にする属性情報

これらの結果から、自社と競合のユーザー層や買われ方、使われ方の共通点や違いを整理して、どのターゲットのどのようなニーズにフォーカスするか見定め、商品開発・改良、コミュニケーション戦略に活用します。

市場参入前と参入後それぞれにおいて、調査する項目にそれほど大きな差はありません。市場参入後の場合は、既にその市場、競合、顧客のことについてある程度把握しているため、調査する「実態」もより詳細に、深くなるでしょう。

使用実態調査の具体的な分析方法

分析のフレームワークは、多種多様にあります。それぞれについてのコラムも用意しています。

 

・基礎分析:GT表・クロス集計等


・ファネル分析:一連の購買プロセスのどこにボトルネックが発生しているかを把握する分析手法

ファネル分析とは何か?

 

・GAP分析:自社商品やサービスが消費者の求めるニーズを満たせているのか、足りない要素は何か、等を明らかにできる分析手法

GAP分析とは~アンケート例、結果の分析方法~

 

コレスポンデンス分析:ブランドのイメージをマッピングするときなどによく使われる分析手法

コレスポンデンス分析とは何か、活用方法、メリット

使用実態調査とブランド調査の違い

使用実態調査では、使用に焦点を当て、自社商品・サービスの改善と課題発見を行う一方で、ブランド調査では、市場トレンド変化、自社商品・サービスの市場ポジションの把握といった市場環境分析をメインで実施します。


使用実態調査とブランド調査を組み合わせることで、総合的なデータに基づいた打ち手が見えてきます。
ただし、インターネットリサーチなどのパネル調査の実務の現場においては、ブランド調査の調査項目に、「使用シーン」「使用評価」を含めて、こちらの2調査をまとめて1本調査で実施するケースが多いと思います。

ブランド調査についてはコチラをご覧ください。

ブランド調査とは?方法と設計ノウハウ、結果の活用について

おわりに

インターネットリサーチは市場の概観を把握することには長けていますが、なぜそのような買い方をしているのか、使い方をしているのか、ブランドがそのように捉われているのか、といったアンケート回答の背景までは窺い知ることができません。

そこで、自社や競合商品のユーザーに対してインタビューなどの定性調査を実施することでインターネットリサーチで得たファクトの背景(Why)を知ることができます。

コモディティ化した市場において生活者の心の中に自社の存在を思い浮かべてもらうためには生活者のインサイトに沿った戦略が必要です。

そのためには、インターネットリサーチなどの定量データだけでなく、インタビューなどの定性調査で生活者のインサイトを明らかにして、それを踏まえた戦略を立案・実行することが望ましいと考えます。

実態を把握した後の調査結果の活用、顧客のインサイトを起点としたアイデア開発については、いかに定性情報を分析し処理するか、メンバー間で共通認識をもって進めることができるかが非常に重要です。

 

ネオマーケティングは国内約2889万人のアンケート会員を保有するパネルネットワークを構築、ご希望の調査対象者にリサーチを実施することが可能です。
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加藤 賢大
WRITER
加藤 賢大
マーケティング業界歴10年超。2011年よりネオマーケティングに入社。リサーチのみならず、WebマーケティングやPR、ニューロ・IoTなど、各種ソリューションを駆使して顧客の課題解決に尽力。 武蔵野美術大学と共同で新サービス開発及び論文発表、日本マーケティング協会主催のマーケティングAI研究会に参加するなど研究活動にも従事し、幅広い業務に携わる。

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