商品価値を上げるには?そのために必要な方法と注意点
ライター:株式会社ネオマーケティング
公開日:2021年06月04日
| 更新日:2024年10月15日
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マーケティングリサーチ
商品価値は、他社との差別化を図るだけでは上げられません。商品価値をうまく上げられない場合、まずは差別化と価値の違いを知ることから始める必要があります。
ここでは、商品価値を上げるためのポイントや注意点について、具体例を交えながら解説していきます。
商品価値を高めるために必要なこととは
商品価値を高めることは、すなわち売り上げ向上を図ることと同義です。しかしここで間違えてはいけないのは、競合商品と差別化することでは商品価値を高められないという点です。
売り上げ向上を目指すのであれば、差別化にこだわるのではなく商品価値そのものを高める努力が求められます。
●差別化と価値の違いを理解する
差別化戦略は、他商品との競争に打ち勝つための定番手法として古くから用いられてきました。競合商品にはない特徴や長所を打ち出すための手法として、今や定番の手法としても有名です。
しかし差別化は、顧客に提供する選択肢の一つでしかなく、差別化そのものが商品価値を表しているわけではありません。ただ単にライバル商品と差別化だけでは戦えない時代になっています。
家電メーカーのバルミューダが、その最たる例として挙げられます。ご存じのとおり、もともと扇風機を中心とした空調家電を取り扱うメーカーであったバルミューダは、トースターでヒット商品を飛ばし一躍その名を広げ、現在では炊飯器や掃除機、空気清浄機にワイヤレススピーカーなどを手掛ける家電メーカーとしても有名です。
このバルミューダの商品は、高いデザイン性や機能が特徴です。一見すると、こうした他社との差別化によって人気があるように見えるかもしれませんが、バルミューダのトースターを選ぶユーザーは、他メーカーのトースターよりおいしく焼けるからとか、デザインがオシャレだからといった理由だけで選んでいるわけではありません。「バルミューダだから使いたい!」といったような、バルミューダを使う生活そのものが価値になっているのです。
これこそが商品価値の本質であり、それが結果として差別化につながっているのです。決して差別化によって商品価値が上がったのではなく、高い商品価値を提供できたからこそ、それが他社との差別化という相乗効果も生んだのです。これはメリットとベネフィットの関係性に、非常によく似ています。
見た目や機能で差別化できたとしても、それをユーザーが求めていないのであれば価値は生まれません。開発者は満足できたとしても、ひょっとしたらユーザーにとってはあまり意味のない差かもしれないのです。
差別化を追求することも必要ですが、それ以上にユーザーにとってのベネフィットを追求することで商品価値を高められます。つまり、その商品から生まれるであろうベネフィットから逆算して着想を得ることもまた必要なのです。
多様な価値観がひしめく現代ですから、ユーザーの求めていることを知ろうとするのは開発する側にとって非常に悩ましい問題です。ネオマーケティングは「誰の何を解決したいのか?」が商品開発の起点だと考えています。
●誰のために何を解決したいのか明確にする
しかし実際問題、そもそも「誰の何を解決したいのか?」を明確に見い出すことが難しいと頭を抱えてしまう方も少なくないでしょう。そこで参考となる具体的な例として、サプリメントの広告が挙げられます。
新聞の折り込み広告やテレビCMなどで見かけるサプリメントの広告では、サプリメントの開発に至った経緯などが物語風に語られたりしています。それがどこまで事実なのかはわかりませんが、明確に商品価値を伝えているという点では秀逸です。そして、配合したオリジナル成分の紹介などが続き、差別化を後から上手にアピールしています。
こうしたサプリメントや健康食品の広告からもわかるとおり、「新商品のアイデアを出さなくてはならないけれど、何から手をつけたらいいのかわからない」というときは、まずは身近なところから着想を得てみてはいかがでしょうか。
自分のパートナー、親、友人が喜ぶものは何か? 日常生活で困りごとはないか? それを解決するためにできることは何か? などを考えていくのです。ターゲットが具体的になればなるほど、その人にどうなってもらいたいのかの解決策もイメージしやすくなります。
主婦が発明した便利グッズなどが大ヒットとなることがありますが、それは自分を含め、誰かの具体的な何かを解決するために作ったものだからなのです。
「たった一人の悩みや個人的な意見でいいの?」と、思うかもしれません。しかし実際、市場に目を向けてみれば同じように悩んでいる人がいっぱいいます。「そんなサービスが売れちゃうの?」と思えてしまうようなものでも、求めている人からしてみたら「待ってました!」と熱をもって歓迎されるケースはたくさんあります。
もちろん、認知度アップやユーザーの購買意欲アップのためにもプロモーションの力は必要ですが、プロモーションに頭を悩ませるのはまだまだ先の段階でいいのです。商品開発の一歩目の段階からプロモーションに頭を悩ませる必要はありません。
ニーズが多いところを狙いたいあまりに、たくさんの人の意見を聞いて商品開発に挑みたいと思いがちですが、どれだけ多くの人の話を聞いたところで、この国に住むすべての人に買ってもらうものを作ることはほぼ不可能です。
だとしたら、まずは一人の悩みに寄り添って、解決へと導く答えにこだわり、そこから価値を創造していくことの方が今の時代に合っているはずです。
商品価値の意味を理解し戦略を立てる際の注意点
た商品価値は自己満足から生まれるわけではありません。それは商品に価値を与えるものではなく、自分たちの技術などによって得たものを価値と勘違いして自慢しているにすぎません。先述しましたように、消費者の求める価値を提供できてこそ、初めて商品に価値が生まれるのです。
では、消費者が求める商品価値とはどのようなものなのでしょうか。それを知るためには、商品開発で押さえておくべき大事な四つの価値を理解しておかなければいけません。
●見るべきは競争相手ではなく顧客
大抵のものを作れる高い技術力があると、よりニーズの高い商品を作りたいと考えてしまいがちです。もちろん、高い技術力があることは素晴らしいことですが、こうしたケースは往々にしてうまくいきません。
ある食品メーカーが、「洗剤を作れるので作ってみました」といっても、消費者がそれを買う明確な理由付けにはなりません。しかしその洗剤を作るにあたって、"食品メーカーだからこそできた何か"を付加できれば、それが価値になります。
他社と代わり映えのない普通の洗剤ではなく、食品メーカーだからこその視点で開発された洗剤であれば、そこには物語があるはずです。サプリメントの例と同じで、それこそが消費者の価値を満足させるものになる可能性を秘めています。
現在ヒットしている商品、そのジャンルを代表する商品は、消費者の要望や悩みと、提供している商品やサービスの価値がイコールになっているものがほとんどです。
運動後の水分補給といえば、多くの人がポカリスエットやアクエリアスなどのスポーツドリンクを思い浮かべるでしょう。しかしポカリスエットやアクエリアスに、それぞれ他と違う何が配合されているのか把握している消費者は少ないはずです。
それでも消費者は、お店でポカリスエットやアクエリアスを手に取って、運動時や運動後の水分補給のために購入します。これこそが、消費者の要望と商品の価値がイコールになっている顕著な例といえるでしょう。
繰り返しになりますが、商品開発のスタートは「誰の何を解決したいのか?」にあります。これさえぶれなければ価値を明確に打ち出していくことができ、その結果として差別化ができるのです。差別化はあくまでも副産物でしかありません。もしそれでも売れないのであれば、それは売り方に問題があると考えていいでしょう。
●商品やサービスに必要なのは四つの価値
最後に、商品価値を構成している四つの要素についてご紹介します。これを理解しておくと、商品価値の向上に活かせます。
基本価値、便宜価値、感覚価値、観念価値の四つのうち、感覚価値と観念価値を満たす商品はいわゆる「ブランドもの」と呼ばれる商品が該当します。そして、消費者にとっての重要性は、感覚価値や観念価値を満たしていればいるほど高くなります。(上図参照)。
まとめ
他社よりも優れたもの・安いもの・早いもの・小さいもの――。それらを追い求め、日本企業は長い間、差別化を強く意識して戦ってきました。
そうした面は大手の、それも老舗と呼ばれる企業ほど顕著です。しかし、その成功体験に囚われすぎてしまっていてはもはや生き残れません。
冒頭でも触れたように、ライバルだけを見ているだけでは勝てない時代なのです。見るべきは戦う相手ではなく、商品やサービスを提供する相手=顧客であることを、あらためて認識し直す必要があります。
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