現代のマーケティングや国内調査・海外調査において、Webアンケートは欠かせないツールとなっています。しかし初めて取り組む方にとっては、設計や運用方法がわかりにくいと感じるかもしれません。
このコラムではWebアンケートの設計や運用の基本的な方法を初心者にもわかりやすく解説。目的やターゲットの明確化から質問の作成、ツールの選定、さらにはデータ回収・分析のポイントまで、実践的なアプローチを網羅しているので、ぜひ参考にしてください。
3ステップでわかるWebアンケート(ネットアンケート)の設計方法

Webアンケート(ネットアンケート)の基本的な設計方法を、3ステップで説明します。
STEP1.実施の目的を明確にする
Webアンケート(ネットアンケート)の設計で最初にすることは、「実施目的の設定」です。下記のように調査をする理由を明確にすることで、適切な設計を行い、不要な質問を避けられます。
• 商品・サービスの改善点を見つけて、顧客体験の向上を目指すこと(顧客満足度調査)
• 商品・サービスの市場ニーズを調査し、ターゲット層の特性を理解すること(市場調査)
目的が明確化されていると、アンケート全体の方向性が定まり、回答者への負担も最小限に抑えられるでしょう。
STEP2.ターゲットの選定
次に、「ターゲットの選定」です。ターゲットを明確化しておくと、質問設計がしやすくなります。たとえば回答者が「特定の年齢層」「特定の職業」の人々である場合、それに応じた質問を作成すれば、より関連性の高いデータの収集が可能です。
ニッチな分野だとしても、回答者の人数が少なすぎるとデータの信頼性が低下します。そのためターゲットが小規模な場合でも、最低数十人の回答数を確保できるようにターゲットを設定しましょう。
STEP3.調査手法の選定
Webアンケートを成功させるには、調査の目的やターゲットに合った調査手法を選ぶのが重要です。収集したいデータの種類によって、適した質問形式を選びます。
定量的なデータを集めたい場合は、選択式(単一選択や複数選択)のアンケートを行うのが一般的です。一方、自由回答式のアンケートを活用すれば、定性的なデータを収集できます。
若年層をターゲットにするのであれば、SNSやスマホ対応のツールを活用するのもよいでしょう。
Webアンケート(ネットアンケート)の作り方・運用方法
Webアンケート(ネットアンケート)は次のような流れで作成していきます。
●ツールの選定
●質問の作成
●テスト
●実施
●回収・分析
それぞれの工程を詳しく解説します。
ツールの選定
Webアンケート(ネットアンケート)を作成・運用する際は、適切なツールを選定しておくのが重要です。ツールを選ぶ基準は、操作の簡単さや費用などさまざまです。
初めてアンケートを作成する場合や、社内で複数人が関与する場合は、直感的に使えるツールを選ぶとスムーズに進行します。Googleフォームなど無料で利用できるものもあるので、予算に合わせて検討しましょう。
質問の作成
Webアンケート(ネットアンケート)の作成・運用で使用するツールを選んだら、実際に質問を作ります。収集したい情報が具体的に得られるよう、「アンケートの目的」「ターゲット」を適宜参照しながら作成を行ってください。
質問形式の活用例としては、以下のようなものがあります。
●単一選択式(SA):回答者が1つの選択肢を選ぶ形式。「この商品の購入経験はありますか?」など
●複数選択式:複数の選択肢を選べる形式。「この商品の魅力はどれですか?(複数選択可)」など
●スケール評価。満足度や重要度などを数値で評価してもらう形式。「このサービスの満足度を1~5で評価してください」など
●自由記述式(FA):回答者の自由な意見やアイデアを収集する形式。「この商品の改善点についてご意見をお聞かせください」など
テスト
Webアンケートの質を向上させるためには、事前テストが不可欠です。まずは自分たちで回答し、「質問がスムーズに進むか」「回答時間がちょうどよいか」「誤字や脱字がないか」などをチェックします。
テスト後には、回答者やチームメンバーから得たフィードバックを反映させる形で、必要な修正を行います。
実施
テストとそれに伴う修正作業が終わったら、Webアンケート(ネットアンケート)の完成です。メールやSNS、Webサイトなどあらかじめ決められた方法で実際に配信し、アンケートに協力してもらいます。
実施に際して、回答率を高める工夫を忘れずに行うことも重要です。必要があればアンケートの再配信やターゲットの再定義などを行い、必要な回答数・回答率を確保します。回答率を高める工夫について詳しくは、以下の記事を参照してください。
回収・分析
Webアンケート(ネットアンケート)は、回答期間をあらかじめ明示し、適切なタイミングで締め切りましょう。その後、得られたデータを分析し、意思決定に役立てられる形にまとめます。
選択式の回答であれば、自動集計機能を活用して、データをグラフや表にまとめるのがよいでしょう。自由記述の回答は、回答をカテゴリーごとに分け、それぞれ分析を行います。たとえば「ネガティブな意見」を1つのカテゴリーとして設定し、回答をまとめておけば、改善点を導き出しやすくなります。
Webアンケート(ネットアンケート)の作り方4つの注意点

Webアンケート(ネットアンケート)を作る際は、下記の4つのポイントに注意しましょう。
質問数を最小限に抑える
Webアンケート(ネットアンケート)を作成する際は、質問数を最小限に抑えることを意識しましょう。
アンケートの基本的な目標は、信頼性の高いデータを多く回収し、意思決定などに役立てることです。質問が多すぎると途中離脱するユーザーが増え、思うように回答を得られなくなります。
質問数を最小限に抑えるなど、まずはとにかくシンプルな設計を考えます。
回答時間の目安を示す
回答時間の目安を示すのも、Webアンケート(ネットアンケート)を作成する際に重要です。アンケートの冒頭や案内文に「このアンケートは約5分で完了します」といった目安を記載します。使用するツールにもよりますが、アンケートの進行度が回答途中にもわかるようにすると親切です。
一般的に、回答時間が5〜10分以内だと回答率が高くなります。それを超える場合は、質問を減らすか、セクションを分けて回答者の負担を軽減しましょう。
専門用語は避ける
Webアンケート(ネットアンケート)の作成時、専門用語はなるべく使わないようにしましょう。アンケートの対象者が、全員その分野に詳しいとは限りません。特定の業界や職種で使われる言葉は、一般の人にはわかりにくい場合があります。
専門用語や難解な表現が多いと、回答者は「このアンケートは自分に向けたものではない」と感じてしまい、回答を途中でやめる可能性も出てきます。意外と回答率に影響しやすい部分なので注意が必要です。
公開前のテストを徹底する
Webアンケートを公開する前には、徹底したテストを行い、問題点を事前に解消するのが重要です。テストでとくに確認すべきポイントは、誤字脱字のチェックで、すべての質問と説明文が正確に書かれているかどうかを確かめます。「質問の意味が通じるか」「回答を進めやすいか」も主なチェック項目です。
システムによっては、正常に回答が回収されるかどうかの確認も必要です。細部までテストを怠らず、信頼性の高いアンケートを用意しましょう。
わからない場合は外注も検討
Webアンケート(ネットアンケート)の作成に不安がある場合や、専門的な知識・スキルが求められる場合は、外注を検討するのもおすすめです。「専門知識を活用できる」「時間と労力を削減できる」「最新ツールやノウハウを活用できる」などのメリットがあります。
外注で対応してもらえる範囲は、依頼先の専門会社次第です。一般的にはアンケートの設計からツールの選定・設定、対象者のリクルーティング、データ収集・分析など幅広い業務を代行してもらえます。