メディアを使った広告宣伝とは異なり、投下金額が少なくても自社サイトへの流入数を上げられる可能性が高いのがSEO対策です。ただし以前のSEO対策とは違って、現在のSEO対策は単にキーワードをサイト内に散りばめればいいというものではありません。また、間違ったSEO対策を行えば検索エンジンから違反とみなされ、検索順位に上がらないこともあり得ます。
SEO対策をするのであれば、検索エンジンの評価基準を意識して、上位検索に表示されるための正しいやり方を理解しておくことが大切です。今回はSEO対策の概要から知っておくべき評価基準、上位検索に表示されるための「5つのポイント」などを解説していきます。
SEO対策の基礎知識
SEO(Search Engine Optimization:サーチエンジン最適化)対策とは、自社のウェブサイトを検索エンジンの検索結果で上位に表示させるための対策です。最適なSEO対策を行うことで、オーガニック検索(広告費用を使わない自然検索)からの流入数を増やし、ウェブサイト経由の集客や売上を向上させる効果があります。SEO対策は検索エンジンが普及しはじめた当初から行われ、一般的には以下のような対策が実施されてきました。
キーワード検索への対策
ターゲットとするユーザーが検索エンジンで入力するであろう検索キーワードを調査し、それらをウェブサイトのコンテンツ内に配置することで、検索エンジンでの上位検索を狙う対策です。各検索エンジンは、クローラー(もしくはボット)と呼ばれる独自のインターネットの探索エージェント(プログラム)をもっており、これらが情報を集めやすく、また認識しやすいコンテンツであることが重要です。
ウェブサイトの最適化
ウェブサイト(ページ)のタイトルやメタ情報、ヘッダー、コンテンツの構造などを最適化することで、クローラーはコンテンツの内容を理解しやすくなります。検索エンジンは、クローラーが集めた情報の内容を精査・評価して検索順位を決めています。
ユーザーの利益となるコンテンツの掲載
検索エンジンは、対象とするウェブサイトの内容がユーザーにとって価値があるか否かを重視して評価します。たとえば、人気のある検索キーワードが意味もなく羅列されているウェブサイトでは、評価が低くなり検索上位には表示されません。ユーザーにとって有益な情報やオリジナルのコンテンツを提供することで、ウェブサイトの評価は上がるのです。
モバイルデバイスへの対応
近年は、モバイルデバイスからウェブサイトを見るユーザーが増えているので、ウェブサイトがモバイルでの表示に最適化されているか否かも評価の対象になります。ウェブサイトが、モバイルデバイスで適切に表示されるように設計することをレスポンシブデザインといいます。
被リンク数の向上対策
自社ウェブサイト以外からのリンク(被リンク)は、 他のウェブサイトからの信頼があるという評価につながります。被リンクの多さはウェブサイトの権威性を高め、検索エンジンからの評価が上がります。 。
SEO対策のメリット・デメリット
では上記のようなSEO対策をすることには、どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか?
メリット
広告費をかけずにウェブサイトへの流入数を増やすことができる
メディアを使った広告宣伝には多額な投資が必要になりますが、SEO対策であれば広告宣伝ほどの投資は必要なく、またその効果も一定期間持続します。またウェブサイトへの流入数やPVが増えることにより、売上の向上が期待できます。
広告宣伝費を抑制できる
ユーザーが情報を求める場合、まず検索エンジンで欲しい情報を検索することが一般的となっています。検索エンジンからの流入数を増やすSEO対策は、ターゲットとなるユーザーに直接訴えかける広告ととらえることもできるでしょう。SEO対策は適切に運用することで、広告宣伝費を抑制することにもつながるのです。
SEO対策で作成したコンテンツは資産となる
検索エンジンの評価は、ウェブサイトにユーザーに利益のある優良なコンテンツがあることで上がります。このようなコンテンツを作成、掲載することは被リンク数を上げ、長期にわたるウェブサイトの資産にもなります。
上位表示にはブランディングの効果もある
自社のウェブサイトが常に検索上位に表示されていれば、ユーザーからの信頼度が上がり、自社や自社商品のブランド価値も上がることになります。著名な検索エンジンの上位表示には、ブランディング効果もあるのです。また、ウェブサイトやオウンドメディアに掲載されたコンテンツは、そのものが企業や商品、サービスの姿を反映しています。これらのコンテンツは削除しない限りすべて資産(アセット)となるので、高いブランディング効果を発揮します。
デメリット
検索エンジンの動向に左右される
検索順位の決定は、検索エンジンの動向に影響されます。検索エンジンでウェブサイトを評価する基準を変えれば、検索上位に表示されていたウェブサイトが順位低下となってしまうことも考えられるのです。このような事態を防ぐためには、常に検索エンジンの評価基準変更について注視しておく必要があります。
※検索エンジンの評価基準の詳細は公開されていません。
効果が出るまでに時間がかかる
インターネットを巡回してウェブサイトの情報を集めるクローラーが新しい情報を検知するまでには、通常1カ月ほどかかるといわれています。ですからSEO対策を行ったとしても、効果が出るまでには1〜2カ月ほどかかると考えておく必要があります。
ブラックハットSEOは企業の評価も下げてしまう
ブラックハットSEOとは、検索エンジンで禁止されているいわゆる「インチキ」のことです。たとえば表示されているリンクとは別の場所にユーザーを飛ばしてしまう行為(不正リダイレクト)や、他社サイトのコメント欄に自社サイトのURLを大量に書き込み誘導する行為(ユーザー生成スパム)、他社のサイトにお金を払って自社のサイトにリンクを張ってもらい、被リンク数を上げる行為(ペイドリンク)などがブラックハットSEOと呼ばれます。
これらは検索エンジンが決めている規定に違反しているだけでなく、企業としての評判と信頼性を落としてしまう行為です。このようなブラックハットSEOに相当するSEO対策は絶対にやめておきましょう。
記事作成前におさえておくべき評価基準
検索エンジンが定めている評価基準は通常公表されていませんが、いくつかの基準は意図的にあきらかにされています。たとえば検索エンジン大手のGoogleであれば、以下のような指標を重視すると公表しています。
E-A-T(専門性・権威性・信頼性)
そのウェブサイトの専門性(Expertise)や権威性(Authoritativeness)、信頼性(Trustworthiness)を高く評価する、という基準です。とくに健康や医療、金融、法律などの分野でE-A-Tは重視されます。これらの分野では、誤った情報が人々の生活に深刻な影響を与える可能性があるためです。また一般のサイトでも、コンテンツの専門性が高い場合などは評価が高くなります。
YMYL(Your Money or Your Life)
「Your Money or Your Life」も、とくに医療や健康、財務などの分野で重視される評価基準です。Your Money or Your Lifeは「お金、もしくは命」と訳されますが、これらに影響を及ぼすコンテンツはユーザーの命や資産に大きな影響を与える可能性があるため、その内容が重視されるのです。たとえば健康上の問題に対して誤った情報を提供しているウェブサイトだと判断されれば、そのサイトは検索順位が下がるか、場合によっては検索結果に表示されなくなってしまいます。
検索上位を獲得できる有効なSEO対策とは?
検索時にサイトが表示される順位は、先述のように検索エンジン側が定めた条件に従って決められるため、ウェブサイトの運営側はその条件を予測し、対策を立てるしか方法がありません。つまり、必ず上位検索を獲得できるSEO対策はないのです。また検索エンジンの条件も不定期に変更されるため、ウェブサイトの運営側は常に自社サイトの検索順位を監視し、有効だと思われる対策を実行していく必要があります。
検索上位を獲得するための施策
ただし検索エンジンが必ず見ているであろう、というポイントはあります。このポイントを意識してSEO対策を行うことで、一定の効果はあるといわれています。検索上位を獲得するためのポイントは、大きく5つです。
(ポイント1)コンテンツの構成
先述のように、検索エンジンは独自のクローラー(探索エージェント)を使ってサイトの情報を集めています。ウェブサイトを構築する際には、このクローラーに理解されやすいサイト構造にしておくことが大切です。
近年ではピラーコンテンツ(中心となるコンテンツ)の周りに、放射状に関連するコンテンツを配置する「トピッククラスター」という構築手法も用いられています。トピッククラスターはコンテンツの重複を防ぐと共に、相互にリンクし、被リンク数が上がるという効果も得られます。また、ユーザーの検索意図と違うコンテンツはブラックハットSEOと判断されてしまう可能性もあるので、できるだけ削除しておきましょう。
(ポイント2)評価の高いコンテンツの掲載
サイトの評価は、ユーザーの役に立つコンテンツを多く掲載していることで上がります。オウンドメディアを活用するなどして、更新しやすく、ユーザーに読まれやすいコンテンツを多く掲載することもサイトの評価を上げる方法といえるでしょう。
(ポイント3)Googleのガイドラインに則した対策
タイトルタグや見出しタグ、メタ情報、ヘッダー情報などがしっかり設定されているかも確認しておきましょう。Googleのガイドラインには、これらの情報が良質なウェブサイトには必要だと明記されています。
SEOツールで効果を確認
(ポイント4)SEOツールで効果をチェック
SEOツールとは、SEO対策の結果(アクセス数やPV数、検索キーワードなど)を分析し、サイト内のどこに問題があるのかを可視化してくれるツールです。無料のツールや有料のツールが各社からリリースされているので、必要に応じて利用し対策の結果をチェックしましょう。
(ポイント5)常に改善を行う
SEOツールを使って対策の結果をチェックしたら、問題点を把握して再対策を行います。SEO対策には正解がないので、継続的にチェックと改善を繰り返していくことが大切です。
まとめ:SEOに強い記事を維持するにはPDCAサイクルを回すことが大切
自社のウェブサイトは、作ったら終わりではありません。また事業に必要なコンテンツを無計画に増やすこともSEOにとってよいことではありません。検索エンジンは、評価条件を更新しながら常に変化しています。
SEO対策もこの変化に追随しなければ、やがて検索順位が下がり流入数も減ってしまうでしょう。SEO対策で重要なことは、常にPDCA(Plan-Do-Check-Action)サイクルを回してサイトを改善していくことなのです。