FacebookやInstagramでの広告運用に当たり集客効果が高いと考えられているのが「類似オーディエンス」です。有効に利用することで既存顧客とよく似た属性の新規顧客にアプローチできるため、活用方法を理解できればFacebookおよびInstagramの広告効果はグッと上がることでしょう。この記事ではFacebookやInstagram広告における類似オーディエンスの特徴やメリット、設定方法、注意点などについて解説します。「類似オーディエンスって聞いたことあるけど、利用するかどうか悩んでいる」というWeb広告関係者の方はぜひご覧ください。
類似オーディエンスとは?
そもそも「類似オーディエンス」とはどういう意味なのでしょうか?
オーディエンスとは「観客」や「観衆」という意味で使われることが多いのですが、FacebookやInstagramでの広告では「お客さん」や「顧客」などと言い換えてもよいでしょう。
「類似」とはそのまま「似ている」という意味ですが、ここででは「既存顧客と似た興味や関心、行動傾向など」を指します。
つまり類似オーディエンスとは、「既存顧客とよく似た属性をもつFacebookやInstagram上の新規顧客候補にリーチするための広告手法」といえるのです。
対象を絞って広告を配信することで、不特定多数のユーザーに向けて広告を配信するよりも費用対効果を上げやすくなります。
類似オーディエンスを効果的に活用するための情報は本記事の「類似オーディエンスの進め方」以降でご紹介しているので、ぜひご覧ください。
カスタムオーディエンスとの違いは?
Facebook広告などを運用していると、「類似オーディエンス」とよく似た言葉として「カスタムオーディエンス」というものを見聞きしたことがある人もいるかもしれません。
カスタムオーディエンスとはSNS利用者の中からすでに自分たちのビジネスを知っているあるいは興味がある人を探し出すシステムです。一方で類似オーディエンスとはカスタムオーディエンスと似た特徴をもつ、「新規」顧客候補を見つけてくれるという違いがあります。
Facebook・Instagram広告の類似オーディエンスで得られる効果
新規顧客にリーチできる類似オーディエンスですが、実際にはどのような効果があるのでしょうか?
一般的には「ターゲティング」と「手間の削減」の効果があるといわれています。それぞれ詳しく解説するのでご確認ください。
ターゲティングができていない商品でも効果的に広告が配信できる
通常、広告配信やマーケティングを行う際はターゲットを詳細にしてから施策を考えることがほとんどです。しかし、中にはまだターゲットが明確でないケースや、ターゲット設定と商品がミスマッチという事例も少なくはないでしょう。
類似オーディエンスでは既存顧客の属性や興味を元にアプローチするユーザーを選定するので、担当者がターゲティングに悩む必要はない上に、ミスマッチの可能性も低くなります。
そのためターゲットが定まっていない商品や新しいターゲットを開拓したい商品などは類似オーディエンスが効果的だといえるでしょう。
広告管理の手間を削減できる
類似オーディエンスではユーザーの抽出も、リストの更新もほぼ自動で行ってくれます。そのため、最初の設定さえしてしまえば運用の手間はさほどかかりません。
類似オーディエンスはほかの媒体の広告運用などで忙しい担当者の方にも実践してほしい手法です。
※SNS広告の基礎については、こちらのショートウェビナ―動画をご覧ください。
類似オーディエンスが有効なシーンとは?
FacebookやInstagram広告における類似オーディエンスは多くのシーンで効果的なのですが、「とくにこんな場面で有効」というケースがあります。
類似オーディエンスが効果的な例を紹介するのでぜひご参考にしてください。
例1「ターゲットが不明瞭な商品の広告」
先ほども説明したように、類似オーディエンス活用の際にこちらは詳細なターゲットを設定する必要はなく、既存顧客の属性から自動で対象者を抽出してくれます。
そのため、ターゲット設定が難しい商品やターゲットが不明瞭なままリリースしてしまった商品などの広告手法として有効といえるでしょう。
ただし、あまりに顧客情報が少ない段階で類似オーディエンスを活用しても大きな効果は期待できません。少なくとも100人、できれば500人以上のリストがある状態で類似オーディエンスを活用するとよいといわれています。
例2「すでに顧客やファンが大勢いる企業の新商品」
多くのファンを持つ企業は既存顧客だけを対象にしたビジネスモデルでもある程度の利益が見込めるかもしれません。一方で、多大なリストを広告配信に生かさない手はありません。
リストが多ければそれだけ、類似オーディエンスの精度も向上します。新商品の発売をきっかけに新規顧客を開拓したいというケースでは類似オーディエンスが非常に優位にはたらくでしょう。
類似オーディエンスを活用した広告のメリット
SNSではインフルエンサーマーケティングを含め、さまざまな広告手法が活用されています。その中で類似オーディエンスのメリットはどこにあるのでしょうか?
まず挙げられるのが「費用対効果の向上」です。類似オーディエンスは既存顧客の情報を元に配信対象を抽出するので、自社商品に興味をもってくれる可能性が非常に高くなります。そのため、広告の費用対効果は高くなる傾向にあるのです。
またFacebookでは実名登録が原則となっているため、ほかのSNSと比較して類似オーディエンスの選定精度が高いと考えられています。
費用対効果が上がればそれだけ広告コストが削減できるので、自然と利益も上がっていくでしょう。
類似オーディエンスの進め方
いざ類似オーディエンスを開始しようと考えた際、むやみに条件を設定したり、抽出の参考となるカスタムオーディエンスの数をやみくもに増やしたりするのはオススメできません。
リーチの対象者が多くなってしまうと、不特定多数の対象相手に広告を配信するのとあまり変わらない結果になる可能性が高いからです。前提として最初は現定的な類似オーディエンスから始め、徐々に母数を増やしていくのがよいでしょう。
また、最初の類似オーディエンスについてはリピーターやLTV(Life Time Value)の高い顧客などの情報を参照にすると、より効果的とされています。
類似オーディエンスの設定方法
実際に類似オーディエンスを設定する際には「元となるデータ(ソースオーディエンス)」、「国」、「サイズ(濃度)」の3条件を適切に設定することがポイントとなります。
これらの条件の設定を間違えてしまうと、せっかくの精度の高い類似オーディエンスを活用する意味がなくなってしまいます。
Facebookの例を中心に各条件を詳細に説明するので、ぜひ参考にしてください。
ソースオーディエンス
基本的には、自社の顧客リストなどからカスタムオーディエンスを元にしたソースオーディエンスを作成します。効果的な広告配信のために、ソースオーディエンスは一般的に1,000~50,000人、最低でも100人はリストが必要とされています。またFacebookとしては500以上のリスト数を推奨しています。
・商品購入者
・メルマガ登録者
・自社顧客リスト
・自社SNSフォロワー
・コメントをくれるユーザー
などを参照に、自社への興味が強いユーザーを中心にソースオーディエンスを作成するのがよいでしょう。
国
類似オーディエンスは指定した国を居住地としているオーディエンスから作成されます。また、ソースオーディエンスの中に指定した国の居住者が100人以上いなければ類似オーディエンスを作成できないので、注意しましょう。海外に住んでいる人を対象にする場合を除き、国の設定は「日本(JP)」を指定すれば大丈夫です。
サイズ(濃度)
ソースオーディエンスと国の情報を元に、類似が高い上位1〜10%を範囲指定し、類似オーディエンスのリストを作成します。この際に設定するパーセンテージのことをサイズもしくは濃度といいます。
濃度を1%に設定すると、ソースオーディエンスにかなり類似したリストを抽出できます。また数値が高くなるにつれて、類似性が下がる一方で拡張性が向上し、リーチ数も増えるのが一般的です。
数値を上げた際の拡張精度はソースオーディエンスによって変動するので、適切な値は状況によって異なるでしょう。そのため、1%から始めて、反応を見ながら調整するのがよいとされています。
類似オーディエンスを活用するときの注意点
これまで類似オーディエンスの有用性や設定のポイントなどを説明してきましたが、運用の際に注意すべき点も存在します。
留意したいポイントをまとめたので、チェックの際にご活用ください。
・ソースオーディエンスを作成するには100人以上のリストが必要。
・最初から高いサイズで類似オーディエンスを作成しない。
・ソースオーディエンスは自動に作成されないので、自分たちで用意する必要がある。
・ソースオーディエンスに含まれる人は類似オーディエンスから除外される。
以上のような点に注意して類似オーディエンスを活用しましょう。大切なのは長期的な目線で徐々にリーチ母数を増やしていくことです。
まとめ
FacebookやInstagramでは類似オーディエンスの精度が高く、うまく活用することで広告配信の効率アップやコスト削減が期待できます。とくにターゲットが定まっていない商品には効果的です。
既存顧客のリストが揃っている企業の方は、ぜひ類似オーディエンスをご活用ください。