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よいクリエイティブにはインサイトがある。

ライター:土田 琢磨

公開日:2023年11月01日 | 更新日:2024年10月10日

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目次

サイトやLPを制作したり、SNSを活用したり、さまざまな施策を展開しているものの、効果を実感するにまで至らない。なんとなく生活者に届いていない気がする——。そんな課題を感じていませんか? 本コラムではプロモーション施策で欠くことができない「インサイト」と「クリエイティブ」について解説していきます。

クリエイティブ視点に立つからこそ生じる悩み

たとえば、こんな経験はないでしょうか?
優秀なスタッフを起用して制作したクオリティの高いブランドムービーや、SNSの文脈に合わせて作ったお役立ちのtips動画など、トレンドやニーズなどを考えた施策で、決して悪いわけではない。

でも、「確かによくできてはいるけれど、もっとできることがあるのでは?」

あるいは、こんなケースはいかがでしょうか? 
ランディングページ(LP)の制作にあたって、王道の構成を採用。冒頭、「問題提起」で読者をひきつけ、「課題解決」を提示し興味を抱いてもらい、「利点(選ばれる理由)」や「特長(信じられる理由)」でエビデンスを補足し、「実績」と「ユーザーからの声」で安心感を与える……コンバージョンをとりやすいセオリーに従った構成に間違いはない。

でも、「とりたてて問題点があるわけではないけれど、何かが足りない気がする」

こうした、“物足りなさ”を感じてしまうのは、クリエイティブの視点に立っているからこそだと思います。獲得や認知を増やすためマーケティング活動に真摯に取り組めば取り組むほど、陥りがちな悩みです。

足りないのは、生活者の気持ちに「ズドン」と来るようなアイデアの核・芯。
それが欲しいけど見つけ方がわからず、悪くはないけど満足感もない施策を繰り返してしまっているPR担当者は少なくないのかもしれません。

結果を生み出す施策には「インサイト」がある

ブランドイメージ向上に寄与したり、売上アップに貢献したり、SNS上の数字に影響が出たり、なにかしら結果に結びつく施策には、必ず「共感」があります。

商品やサービス、プロモーションの内容に対して「共感」が生まれると、生活者とブランドの間に新しい結びつきが生まれます。共感は偶然発生するものではなく、生み出すものです。

その方法の一つが「インサイト」の創出です。

インサイトとは英単語の意味では「洞察」ですが、ビジネスの世界では、「消費者自身も意識していない、気づいていない意識や行動・動機全般」と捉えられています。

また、インサイトを軸としたマーケティングの第一人者・桶谷功さんはその著書『インサイト』( ダイヤモンド社)でこう定義しています。

「ひと言でいえば、消費者の『ホンネ』」
「消費者に購買行動を起こさせる『心のホット・ボタン』 」
「ここを押されると、消費者は思わず行動を起こす」

つまり、生活者がうすうす思っていたけれど、意識の下に隠れていた「ホンネ」がインサイトであり、そこを刺激することで生活者の行動を促すことができるわけです。
何が刺激されるのかといえば、「共感」なのだと思います。

「インサイト」を創出するためには?

インサイトから得た発見や気づき——プロポジションを、生活者に「ズドン」と響く新たな価値に変換できると、いい企画やいいプロモーション施策につながります。

そこにいたるプロセスは一つではありません。

たとえば、次の3つのインサイトを掛け合わせて考えていく方法があります。
・生活者インサイト:生活者の深層心理にある意識や行動・動機
・ソーシャルインサイト:世の流れやトレンドに隠れている社会の意識
・ブランドインサイト:ブランドに対して抱かれているホントのイメージ

それらを考察して抽出したのが、「キーインサイト」です。
キーインサイトとは、生活者の深層心理のさらにその奥にある「核」のようなもの。既成概念の裏側にある社会矛盾への不安や願望のことです。それを顕在化させて、現状、満たされていない欲求に応えるような提案ができれば、生活者の心に響くものになります。

こうしたインサイトの創出が、プロモーションにいきた事例を見ていきましょう。

事例1)4℃「匿名宝飾店」

「匿名宝飾店」は2023年9月、原宿のキャットストリートに現れた “ブランド非公開”の体験型ジュエリーショップです。ブランドの情報は一切明かさず、お客様が「デザインと品質」のみでジュエリーを選択するというコンセプトで展開されました。

会期も残すところあと数日というタイミングで、正体が明かされ大きな話題となりました。
ジュエリーブランド「4℃」が手がけたプロモーションだったのです。

「4℃」は以前から、SNS界隈で「ダサい」「もらってもうれしくない」など、ネガティブな文脈で取り上げられることが少なくありませんでした。

ブランドを毀損するような社会のイメージ(ソーシャルインサイト)から、「結局、人は周囲の評判やイメージに左右されてものを選んでいる」というインサイト(生活者インサイト)を見出してプロモーションを展開。
同時に、「4℃のデザインや品質は素晴らしい」ということも併せてPRし、ブランドインサイトをアップデートした。秀逸な企画だったと言えます。

事例2)味の素食品「冷凍餃子フライパンチャレンジ」プロジェクトサイト

2023年10月に味の素食品が立ち上げたのが、「冷凍餃子フライパンチャレンジ」プロジェクトです。
きっかけはSNSの投稿でした。「油いらないって!! 書いてたじゃん!!! 嘘つき!!」という文章とともにフライパンに餃子がはりついてしまった写真がアップされ、それに対し、味の素は「フライパンを提供いただき、研究・開発に活用したい」とリプライ。
これが大反響となり、同じように餃子がはりついてしまうフライパンを提供してほしいと呼び掛けたのです。

結果、わずか3日で3,500個以上のフライパンが届き、味の素は「ひとつでも多くのフライパンできれいに焼ける『ギョーザ』を目指す」「『ギョーザ』の“永久改良”に取り組みます」と宣言。プロジェクトを立ち上げ、特設サイトを制作して、検証結果の報告をはじめたのです。
ここでのインサイト(キーインサイト)は、「冷凍餃子がフライパンにはりつく」というものです。

忙しい日々、簡単で美味しい冷凍餃子はありがたい存在であるけれど、「フライパンにはりつく」という不満がうっすらありました。みんな、ずっとそう思っていたけれど、「うちのフライパンが古いから」「火加減を間違えたのかな」など、なんとなく自分を納得させて「仕方がない」と飲み込んでいたことを、メーカー自らが強く顕在化させたのです。

しかも、その不満が解消されるまで我々は頑張ります!と企業努力を見せた。多くの生活者が味の素の挑戦を応援する、という流れを生んだすばらしいプロモーションです。

「インサイト」をクリエイティブに落とし込む

「匿名宝飾店」や「フライパンチャレンジ」の事例から、インサイトの重要性はご理解いただけたことと思います。しかし、忘れてはいけないのは、インサイトさえ見つければ、効果的な施策を展開できるわけではない、ということです。

「人は周囲の評判やイメージに左右されてものを選んでいる」というインサイトを見出していたとしても、それを、「匿名宝飾店」というネーミングで原宿に実店舗をつくり、お客様に体感してもらうという仕掛けは、クリエイティブの力です。インサイトの発見に加え、高い企画力と柔軟なアイデアがあったからこそ実現したものです。

「フライパンチャレンジ」も同様です。「冷凍餃子はフライパンにはりつく」というインサイトの発見は、マーケティングリサーチなどを通じてもたどりつくことができたかもしれません。その結果から、「フライパンにくっつかない冷凍餃子のニーズは高く、開発すれば売上は伸びる」と発想することも難しくないでしょう。

しかし、SNS上での一消費者の投稿に反応して、「あなたの家のフライパンを送ってください」と呼びかけ、実際に集まった大量のフライパンで検証。それをプロジェクト化して特設サイトを制作して報告を続けるというのは、施策実施までのスピード感も含め、簡単にできることではありません。

インサイトが明らかになったあと、それをどうクリエイティブに落とし込んで施策を展開するのかは簡単ではありません。これを内製できる企業は少なく、クリエイティブディレクターなどのプロに介在してもらい、制作していくべきでしょう。

【まとめ】インサイトも大事。クリエイティブも大事

最近では、広告バナーもクリエイティブと呼ぶようになり、その範囲が広がっていて、「クリエイティブ」の指し示す範囲が広がっています。
定義が難しいのですが、あえて、簡単にクリエイティブについて説明するならば、「メッセージを生活者に『ズドン』と届ける装置・仕掛け」といったところでしょうか。

画像や動画の編集ツールの進化や、生成AIの登場などで、かっこいい、見栄えのいい画像やデザインを簡単に作れる時代になりました。
しかし、いかにもそれっぽいLPや、外面がいいムービーができたとしても、インサイトが不明瞭で共感ポイントがなければ、結局、「やっぱり何かが違う」というものになります。そして、効果にはつながらないでしょう。

「あぁ、おもしろいな!」「わかる! わかる!」「今度、買ってみよう!」と思わせるクリエイティブには、必ずインサイトが入っています。ただ、インサイトを重視してクリエイティブを作ったとしても、そのアウトプットが凡庸だとしたら、多くの情報に埋もれ、生活者に届けることができません。

4℃にしても、「人の話や噂に惑わされず、本質を見ましょう」とメッセージをストレートに打ち出したとしても、「まぁ、そりゃそうだけど」で終わってしまうのがオチ。
味の素だって、SNSの投稿に対し、「こびりつかないギョーザづくりのため、研究を続けていきます」と返答するだけであれば、これほどまでの盛り上がりにならなかったはずです。

インサイトを探り「共感」ポイントを見つけたら、クリエイティブで効果的にアウトプットしていく——それによって、生活者に「ズドン」と届く施策を展開することができます。

「インサイト」×「クリエイティブ」——みなさんが展開している施策に足りないものはどちらですか? 

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土田 琢磨
WRITER
土田 琢磨
コピーライターとしてキャリアをスタートし、国内広告会社にてクリエイティブ部門責任者・シニアクリエイティブディレクターを務めた。主に、広告クリエイティブのディレクション・コピーライティング・CMプランニングを担当。医薬品・新聞社・官公庁・教育・家電などのクライアントワークに携わる。

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