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インサイドセールスvsテレアポ あなたのビジネスに最適なのはどっち?

ライター:荒池 和史

公開日:2024年12月04日 | 更新日:2024年12月10日

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目次

非対面の営業手法にはインサイドセールスのほか、長年活用されているテレアポという手法もあります。ビジネスの規模や効率・コストなどの観点から、適切なセールス手法は企業によって大きく異なるため、自社に合ったセールス手法を選択することが非常に重要です。

 

今回は、インサイドセールスとテレアポの違いを要素別に比較した上で、それぞれの手法が適したビジネスの特徴についてわかりやすく解説します。貴社に適したセールス手法を見極める上でぜひ役立ててください。

インサイドセールスとは

まずはインサイドセールスとはどのような手法なのか、あらためて整理しましょう。インサイドセールスを実施する目的や具体的なメリットを押さえておくことが大切です。

 

 

インサイドセールの概要

インサイドセールスとは、電話やメール・Web会議ツールなどを用いて、非対面で見込み顧客にアプローチする営業手法のことです。購買や契約に至るまでのリードタイム(検討期間)が長い商材において、とくに有効な手法とされています。

たとえば企業が高額なシステムを導入する場合、初めから特定の企業の特定の製品に白羽の矢を立てるのはレアケースです。大半のケースでは、複数の企業の製品を比較し、じっくりと検討する期間を確保するものです。また、業務の状況や予算の関係で即決できないこともあるでしょう。こうした実態を踏まえて、じっくりと時間をかけて見込み顧客との関係性を築いていくのがインサイドセールスです。

 

 

インサイドセールスを実施する目的

インサイドセールスを実施する主な目的は、見込み顧客と継続的な関係構築を実現することにあります。今すぐに購入する意思がない見込み顧客とも良好な関係を築き、継続的に接点を保ち続けていくことにより、購買意欲を徐々に高めていくチャンスを得られるからです。

このように見込み顧客(リード)を育成していくことをリードナーチャリングといいます。国内人口が減少へと転じ、新規顧客の獲得が難化していく中、リードナーチャリングの重要性がいっそう高まっているのです。

 

 

インサイドセールスのメリット

見込み顧客の購買意欲が高まったタイミングで商談を設定することにより、商談の成功確度を高める効果が期待できます。結果として商談の精度を高め、営業活動の効率化を実現できるのです。

また、インサイドセールスはフィールドセールスと比べて担当者一人あたりが担当できる顧客数が多いのが特徴です。限られた人員で営業活動を推進できる環境が整うことにより、人手不足の解消に寄与する点も大きなメリットといえます。

 

テレアポとは

次に、テレアポの特徴について振り替えておきましょう。テレアポはインサイドセールスが広く知られるようになる前から多方面の業界で活用されてきた営業手法です。その目的とメリットをあらためて押さえておくことが、インサイドセールスとの違いを理解する上で役立ちます。

 

 

テレアポの概要

テレアポとは、見込み顧客に電話でアプローチし、商談の約束(アポイント)を取りつける営業手法です。見込み顧客の電話番号リストさえ用意すれば即座に始められるため、機動的に導入しやすい営業手法として、メールやチャットがビジネスシーンに広く浸透した現代においても活用され続けています。

テレアポを実施する目的

テレアポを実施する主な目的は、アポイント獲得による新規顧客の発掘です。電話口で成約を目指すのではなく、あくまでも商談設定をゴールに据えてアプローチしていく点が大きな特徴といえます。
このように見込み顧客を獲得するための活動をリードジェネレーションといいます。顧客ターゲットが明確になっている場合や、対象となる顧客数が限られている場合には、とくに有効な営業手法といえるでしょう。

 

 

テレアポのメリット

テレアポを実施する最大のメリットは、1日に多くの見込み顧客にアプローチできる点です。たとえば飛び込み営業で新規開拓を試みた場合、営業担当者の移動時間を考慮すると1日にアタックできる件数には限度があります。一方、電話1本でアプローチ可能なテレアポであれば、一人の担当者が1日に100件以上の架電をこなすことも決して不可能ではありません。
アプローチ件数が増えれば、必然的に自社商品に興味のある見込み顧客が見つかる確率も高まります。このように、新規顧客の発掘をより効率的に進められる点がテレアポの大きなメリットといえるでしょう。

 

 ビジネス規模と商材による違い

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ここからは、インサイドセールスとテレアポの違いを要素別に見ていきます。はじめに取り上げるのは、ビジネス規模と扱う商材の性質による違いです。各手法が適しているビジネス規模・商材の特徴を押さえておきましょう。

 

 

インサイドセールスに適したビジネス規模・商材

前述のとおり、インサイドセールスは時間をかけて見込み顧客と良好な関係を築き、徐々に購買意欲を高めていくセールス手法です。したがって、中〜大規模のビジネスで、かつリードタイムが長い商材を扱っている事業者の方に適しています。

たとえば、膨大な数のターゲット層が見込まれるビジネスであれば、見込み顧客によって現状の認知度や検討段階はまちまちであることが想定されます。見込み顧客ごとの状況に合わせて関係を構築し、接点をもち続けることで購買意欲が高まったタイミングを見極める必要があります。こうしたケースでは、営業手法としてインサイドセールスが適している可能性が高いでしょう。

 

 

テレアポに適したビジネス規模・商材

テレアポは限られた範囲の見込み顧客に対して集中的にアプローチするのに適した営業手法です。したがって、小〜中規模のビジネスで、短期の成約が可能な商材を扱っている事業者の方に適しています。
たとえば、ターゲット層が明確に絞られており、かつターゲットとなる見込み顧客の件数が限られているビジネスであれば、テレアポで一気にアプローチをかけていくほうが効率的です。アプローチ先ごとにやり取りの感触を記録しておき、時期を見て再アプローチをかけることにより、アポイント獲得を実現できる可能性があります。

 

効率とコストの比較

次に、効率とコストの面からインサイドセールスとテレアポを比較してみましょう。新規顧客の獲得に必要な工数や時間・コストについても、両者の違いを押さえておくことが大切です。

 

 

インサイドセールスとテレアポにおける効率の比較

インサイドセールスは短期的な成果を求める施策ではなく、時間をかけて見込み顧客との関係性を構築していくための施策です。したがって、中長期的な取り組みとなることが前提となります。
一方、テレアポは電話1本でアポイントの獲得を目指すため、短期間で成果を得やすい営業手法です。シンプルに新規顧客獲得に要する工数や時間といった点で比較した場合、テレアポのほうが効率の良い営業手法といえるでしょう。
ただし、テレアポはその特性上、一件一件の見込み顧客に電話をかける必要があります。一定期間内にアプローチ可能な件数には限りがあるため、対象となるアプローチ先があまりにも多い場合には非効率な営業手法となりかねません。テレアポの効率の良さを最大限に活かすには、対象となるターゲット層の数を慎重に見極めることが大切です。

 

 

インサイドセールスとテレアポにおけるコストの比較

インサイドセールスにおいては、多くの見込み顧客を並行して管理していく必要があります。そのため、CRMMASFAといった各種ツールを活用して顧客管理や情報共有を図る必要があります。こうしたツールを導入・維持するための費用がかかるのは避けられません。

 

これに対して、テレアポは見込み顧客リストと電話さえあれば即座に実行できます。複雑なシステムやツールを導入することなく、すぐに始められる点が大きなメリットです。もちろん外部のコールセンターなどに業務を委託する場合には委託料が発生しますが、自社内でテレアポを実施する場合にかかるコストはリスト収集のための費用と電話代のみに抑えられます。低コストで実践できるという点では、テレアポに軍配が上がるでしょう。

 

クオリティとリード獲得プロセスの比較

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インサイドセールスとテレアポでは、リード獲得のプロセスや得られるリードの質にも違いがあります。それぞれの特徴を押さえておきましょう。

 

 

インサイドセールスのリード獲得プロセス

インサイドセールスのリード獲得プロセスには、大きく分けてSDRBDR2種類があります。

 

SDRSales Development Representative):顧客からの問い合わせに対応する反響型営業

BDRBusiness Development Representative):自社からアプローチする新規開拓型営業

 

一般的に、SDRのターゲットは中小企業が中心になりやすいのに対して、BDRは中堅から大手企業がターゲットとなるケースが多く見られます。実際にはどちらか片方の手法を採用するのではなく、両方の手法を併用しながらリード獲得を目指すケースがほとんどです。

いずれのプロセスにおいてもリードとの初回コンタクトで商談を設定するというよりは、リードとの長期的な関係性の構築を重視します。リードの「量より質」に重きを置く手法といえるでしょう。

 

 

テレアポのリード獲得プロセス

テレアポは初回購入者の増加を目指すことに主眼を置いた施策のため、リードの「質よりも量」が重視されるのが一般的です。一定の条件にもとづいてピックアップした見込み顧客リストを元に電話でアプローチし、アポイントを獲得することを目指します。実際に案件化するかどうか、商談として成り立つかどうかは、営業担当者が訪問してみなければわからないのが実情です。

見込み顧客の立場から見ると、テレアポは突然かかってくるセールス電話といえます。したがって、電話の受け手によっては不快感を抱くなど、かえって企業イメージの低下を招く場合もある点に注意が必要です。見込み顧客のペースに合わせてアプローチしたい場合には、インサイドセールスのほうが適しているでしょう。

 

成果指標の違い

インサイドセールスとテレアポでは、掲げる成果指標も異なります。各手法の主な成果指標は次のとおりです。

 

 

インサイドセールスの主な成果指標

インサイドセールスには、見込み客と深い信頼関係を築き、商談化すべきタイミングを見極め、提案活動を行うフィールドセールス(外勤営業)につなげる役割が期待されます。そのため、成果指標には以下のような項目を設定するのが一般的です。

 

・コネクト数:アプローチしたい相手と直接会話ができた回数

・商談化件数:提案機会のアポイントが新たな商談につながった回数

・商談への貢献率:インサイドセールスが全体の商談に対してどれだけの金額や件数を創出しているのか、貢献率を算出

 

また、成果指標の設定をする際には、フィールドセールスの成果指標との連携を考慮することも重要なポイントの一つです。インサイドセールスとフィールドセールスでそれぞれ独自の成果指標を設定するのではなく、営業プロセス全体で一貫した成果指標を設定してください。

成果指標の設定方法に迷った際には、他社の事例を参考にするのもおすすめの方法です。ただし、他社の成果指標をそのまま取り入れるのではなく、項目設定や数値目標の基準値を参考にしつつ、自社が目指す最終目標値から現実的な数値に落とし込んでいくのがよいでしょう。

設定した成果指標を着実に達成していくには、アポイント取得の基準を設定しておく必要があります。購買意欲のスコアリングが一定基準に達したら商談を設定するなど、統一した基準を設けましょう。また、人員配置を適切に行うことや、社内での情報共有を徹底することも大切なポイントです。短期的な成果を求めず、見込み顧客とのコミュニケーションを丁寧に深められるタイプの人材を配置します。その上でインサイドセールス部門内での顧客情報の共有や、フィールドセールス部門への情報の受け渡し方法を決め、情報の行き違いが生じにくい仕組みを構築しましょう。

 

 

テレアポの主な成果指標

一方、テレアポでは主に次のような成果指標を掲げるケースが多く見られます。

 

・架電数

・アポイント獲得数

・アポイント獲得率

 

上記に共通する点として、定量的な成果を重視する傾向が見られます。どれほど質の高いテレアポトークを展開していたとしても、架電数そのものが不足していれば成果につながる見込みは薄くなりがちです。すでに自社やその商品に対して興味をもっている相手に電話をかけるわけではないため、量をこなさなければ成果が上がらないという考え方が根底にあります。

また、成果地点を商談化や受注に設定するのではなく、アポイント獲得に集中させている点も大きな特徴です。商談機会につながる「母数」の増加を重視する考え方が、成果指標にも表れているといえるでしょう。

 

ツールと技術の活用の違い

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インサイドセールスとテレアポでは、活用するツールや技術も大きく異なります。両者の具体的な違いを見ていきましょう。

 

 

インサイドセールスで活用されるツール・技術

インサイドセールスで活用される主なツールは次のとおりです。

 

CRM:顧客情報や対話の履歴など、顧客関係管理を行うツール

MA:購買意欲のスコアリングやシナリオ作成・実行などアプローチを支援するツール

SFA:フィールドセールスにリードを引き渡す際の情報共有や案件管理を支援するツール

 

インサイドセールスにおいては、複数の担当者が情報を共有しながら業務を進めることが前提となります。したがって、ツールを活用した情報の一元管理は必須と捉えてください。こうした技術を活用することで業務の属人化を防ぎ、どの担当者でも高均一な対応が可能な体制を構築可能となるのです。

 

 

テレアポで活用されるツール・技術

テレアポ施策では、いかにターゲットを絞って効率的に架電するかが鍵を握ります。よって、リスト作成ツールやテレアポシステム(CTI)を活用するケースが少なくありません。

ただし、こうしたツールは必須ではなく、あくまでも効率的な架電を支援するための技術と捉えてください。実際には、リストを販売している事業者からテレアポリストを購入するだけで即座に架電をスタートできます。大規模なコールセンターや専用のツールを整備することなく、手軽に始められる点はテレアポの強みといえるでしょう。

 

あなたのビジネスに最適なのはインサイドセールス?テレアポ?

ここまで、インサイドセールスとテレアポの違いについて複数の観点から解説してきました。では、セールス手法として貴社に適しているのはどちらの手法でしょうか。インサイドセールスが向いている企業、テレアポが向いている企業の特徴をそれぞれ紹介します。

 

 

インサイドセールスが向いている企業

リードタイムが長期にわたる商材を扱っている企業には、インサイドセールスが適しています。短期的な成果を求めるのではなく、じっくりと時間をかけてリードナーチャリングに取り組むことにより、潜在顧客も含めた商談化・顧客化が実現できる可能性があるからです。

また、すでにリードを一定数保有しているものの、それらの活用方法に課題を抱えている企業にもインサイドセールスによる営業活動の推進をおすすめします。たとえば、過去に問い合わせのあった企業の情報が数多く蓄積されていたり、定期的に開催する展示会やセミナーなどで収集した名刺情報が名刺ファイルに保管されていたりするようなら、潜在顧客を掘り起こすことで商談機会の創出につながるでしょう。

 

 

テレアポが向いている企業

顧客ターゲットが明確な企業や、市場におけるターゲット層が限られている企業には、テレアポが適しています。特定の顧客層に対して集中的にアプローチするのであれば、テレアポのほうが効率良く接点を創出できる可能性が高いからです。

 

また、扱っている商材の知名度が低いフェーズにあるケースや、中小企業が主なアプローチ先となるケースに関しても、テレアポ施策がおすすめです。商材の知名度が低い段階でインサイドセールスを実施しても、商品の魅力やメリットが伝わりにくく苦戦することが予想されます。さらに、中小企業は大企業と比べて意思決定のプロセスがシンプルなケースが多く、キーパーソンさえ把握すれば商談がスムーズに進むこともめずらしくありません。スピード感のある対応を実現し、競合他社に先を越されるリスクを抑えたいのであれば、より短期的な成果を見込めるテレアポのほうが適しているでしょう。

 

まとめ

 

インサイドセールスとテレアポにはそれぞれ異なる強みやメリットがあるため、セールス手法として優劣をつけるのは困難です。複数の視点から両者の特性や得られるメリットの違いを押さえた上で、自社に合ったセールス手法を選択する必要があるでしょう。今回紹介したインサイドセールスとテレアポの要素ごとの違いを参考に、ぜひ自社に最適なセールス手法を取り入れてください。

 

 

 

※このコラムは「マーケのカチスジ」で2024月1月15日に公開された記事を移行したものです。

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荒池 和史
WRITER
荒池 和史
新卒でセブン‐イレブン・ジャパンに入社、イー・ガーディアン株式会社で取締役や子会社の代表を経験後、現在はネオマーケティングで事業全体の管掌と新規事業開発に取り組んでいます。

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