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インサイドセールスには向き不向きがある!? 組織・人の両面から解説

ライター:荒池 和史

公開日:2024年12月02日

カテゴリー:
目次

非対面の営業手法であるインサイドセールスは、見込み顧客との関係性を効率よく築ける手法として近年注目を集めています。一方で、インサイドセールスはあらゆる状況において万能とは限りません。中にはインサイドセールスが適さない組織もあれば、向いていない人もいます。

今回は、インサイドセールスの導入に適した企業の条件や、インサイドセールスが向いている組織・人、反対にインサイドセールスがあまり向いていない組織・人の特徴について解説します。

インサイドセールスの導入に適した条件

インサイドセールスの導入効果を得やすい企業には、どのような特徴があるのでしょうか。企業規模、ターゲット市場、製品・サービスの特性の3点から解説します。

 

企業規模

インサイドセールスの大きなメリットとして、担当者間で見込み顧客の情報を共有することにより、複数名で顧客対応が可能になる点が挙げられます。裏を返せば、インサイドセールスの実務担当者を一定数確保できることが、そのメリットを存分に引き出すための条件にもなり得るのです。そのため、一般的にインサイドセールスの担当者数は620名程度が目安といわれることが多いです。しかし実際には、担当者1名から始めることも可能です。たとえ兼務でも、3名くらいから開始するのが理想ですが、成功事例の共有などノウハウの蓄積が属人化しないため複数名が必須ということではありません。よって、人的リソースに余裕がない企業でも導入することができます。

 

 

ターゲット市場

企業にとってメインターゲットとなる市場によっても、インサイドセールスの向き不向きは分かれます。インサイドセールスにはSDRSales Development Representative)と、BDRBusiness Development Representative)の2タイプの役割があり、それぞれ適したターゲット市場が異なる点に注意が必要です。

SDRは反響型のインバウンドセールスであり、薄利多売のビジネスモデルに適しています。中小企業や中堅企業といった、いわゆるSMB市場がターゲットの企業にとって導入メリットのある手法といえるでしょう。

一方、BDRは新規開拓型のインバウンドセールスであり、1件あたりの成約金額が大きいビジネスモデルに適しています。大手企業を中心としたエンタープライズ市場や官公庁などがターゲットの企業と親和性が高いでしょう。

 

 

製品・サービスの特性

取り扱う製品やサービスの特性も、インサイドセールスの導入条件として検討しておきたい要素の1つです。インサイドセールスと馴染みやすい製品・サービスの特徴として、次の3点が挙げられます。

 

・単価が低い商材

成約1件あたりの単価が低い商材の場合、できるだけ営業コストを抑えて利益率を高める必要があります。非対面の営業手法であるインサイドセールスであれば、営業担当者の移動時間や交通費・出張費をかけることなく複数の見込み顧客を担当可能です。取り扱う製品・サービスの単価は、インサイドセールスを導入すべきか判断する1つの目安となるでしょう。

 

SaaS(サブスクリプションモデル)

SaaSなどサブスクリプションモデルの製品・サービスは導入時にまとまった売上が立ちにくい反面、長期的に利用し続けてもらうことで利益確保につながる商材です。短期的な売上や利益の確保につながりにくく、対面営業では費用対効果が得られない可能性があります。インサイドセールスを導入することで営業コストを抑えつつ、既存顧客とも継続的に関係性を維持していくことで、着実に利益を確保しやすくなるでしょう。

 

・セルフサーブ商材

顧客自身が製品やサービスの購入・契約を検討し、意思決定するセルフサーブ商材の場合、いかに「広く浅く」営業活動を展開するかが鍵を握ります。一人の担当者が多くの見込み顧客にアプローチできる、インサイドセールスとの相性がいいビジネスモデルといえるでしょう。

 

インサイドセールスが向いている組織の特徴

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ここからは、インサイドセールスが向いている企業の特徴について解説していきます。インサイドセールスを導入するメリットを実感しやすい企業の特徴は次の5点です。

 

 

ターゲット顧客が多い企業

ターゲット企業が他業種にわたっているケースや、ターゲット層に含まれる企業数が多いケースにおいては、営業活動の効率化が求められます。アプローチ先の裾野をできるだけ広く確保しつつ、確度の高いリードに対して優先的にアプローチしていくことが重要です。

 

インサイドセールスを導入することで、担当者一人あたりが対応できるリード数を対面営業と比べて多く確保できます。購買意欲が高まったリードに対して集中的にアプローチできるため、膨大な数のターゲット顧客の中から成約確度の高い商談を設定しやすくなるでしょう。

 

 

リードタイムが長い製品・サービスを扱う企業 

顧客の検討期間(リードタイム)が長くなりやすい高額商材の場合、見込み顧客との関係を継続的に築き、購買意欲を高めていくことが求められます。しかしながら、すぐに成約に至る確率が低い見込み顧客を営業担当者が毎日のように訪問するのは、あまり効率的とはいえません。

 

インサイドセールスは見込み顧客ごとの購買意欲に応じて適したコミュニケーションを図り、徐々に購買意欲を高めていくのに適した手法です。じっくりと関係を構築し、信頼を勝ち取ることで成約を目指したい企業は、インサイドセールス向きといえるでしょう。

 

 

既存顧客との接点を強化したい企業

契約後・購入後も顧客と継続的に接点をもちたい企業にとって、インサイドセールスは親和性の高い営業手法といえます。たとえば、リピート購入を促したい場合や、解約防止を強化したい場合などは、契約・購入後も引き続き良好な関係性を維持していくことが重要です。インサイドセールスを導入することで、顧客数が増えても効率よく接点を保ち、信頼関係を醸成できます。

とくにサブスクリプションモデルの場合は、いかに解約を防ぎ長期的に利用してもらえるかが売上を大きく左右します。既存顧客のニーズに対してきめ細かく応えていく上で、インサイドセールスは適した手法といえるでしょう。

 

 

営業コストを節減したい企業

少人数で多くの顧客を担当できるインサイドセールスは、営業コストを節減したい企業にもおすすめです。対面営業では1日に訪問できる顧客数は限られていますが、非対面営業のインサイドセールスであれば1日に多くの顧客とコミュニケーションを取り、商談を設定すべきタイミングを効率よく見極められます。

 

たとえば、成約までの検討期間が長期化しやすく、営業担当者の負担が大きいようなら、成約確度の高い見込み顧客に絞って商談を設定できるインサイドセールスのメリットを実感しやすいでしょう。新規1件あたりの売上が限られている場合も、営業コストを削減することで利益率を高められます。

 

 

人的リソースを確保できる企業

インサイドセールスを導入する場合、フィールドセールスやマーケティング部門と分業化するパターンが少なくありません。営業プロセスを細分化し、分業化できるだけの人員が確保できるようなら、インサイドセールスを無理なく導入できるでしょう。

 

実際、インサイドセールス部門を立ち上げるにあたり、既存の営業担当者やマーケティング担当者をインサイドセールス部門に配置するケースは多く見られます。従業員一人ひとりの適性も踏まえつつ、必要な人的リソースを確保できるかどうかを見極めることが大切です。

 

 インサイドセールスが不向きな組織の特徴

取り扱う商材や事業フェーズによっては、インサイドセールスの導入が適さないケースもあります。次に挙げる特徴に当てはまる企業の場合、インサイドセールスを導入すべきか慎重に判断する必要があるでしょう。

 

 

ターゲット層が限られている企業

ターゲット層が限られており、アプローチすべき対象が多くない企業の場合、広範囲の見込み顧客をカバーできるインサイドセールスのメリットを実感しにくい可能性があります。むしろ、11件の見込み顧客に深く入り込み、満足度や信頼度を高めていくフィールドセールス施策のほうが適しているでしょう。ニッチな商材を扱うビジネスや、特定の業種のみを対象とした事業が中心の企業にとって、インサイドセールスの導入は必ずしも得策ではないと考えられます。

 

 

新規性の高い製品・サービスを扱う企業

新規性の高い商品・サービスを扱う企業の場合、提供する商材の存在やその価値が市場に認知されていないケースも多いと考えられます。まずは自社の商材が「どのようなものであるか」「どういった価値を提供できるのか」を知ってもらう必要があることから、対面で直接説明するのが望ましいでしょう。

インサイドセールスは非対面でのアプローチを前提としているため、新規性の高い商材はそもそも理解されないおそれがあります。市場の反応を肌で感じるためにも、フィールドセールスによる対面型アプローチを活動の中心に据えるのが適切です。

 

 

事業開発の段階にある企業

これから事業をつくり育てていく段階においては、具体的なターゲット層や顧客ニーズが明確に把握できていないケースも少なくありません。非対面型のアプローチでは、適切な施策を講じられない可能性があります。見込み顧客の反応を直接観察し、フィードバックを得られるフィールドセールスのほうが適している可能性が高いでしょう。

事業がある程度軌道に乗り、顧客から得られたフィードバックが一定量蓄積されてきた段階で、インサイドセールスを取り入れるのも1つの考え方といえます。対面型営業で得られた情報やノウハウを元に、非対面型営業でも再現性の高い施策を講じやすくなるはずです。

 

 

需要が縮小傾向にある業界の企業

業界全体で需要が縮小傾向にある場合、アプローチの総量を増やすことよりも既存顧客を失わないための施策に注力する必要があります。11件の既存顧客との関係性を深め、ニーズにきめ細かく応えていくには、対面型営業のほうが適している可能性が高いのです。

インサイドセールスを導入する目的の1つとして、担当者一人あたりが応対可能な顧客数を増やすことが挙げられます。顧客の絶対数が減少傾向にあるようなら、新規顧客を獲得するための施策よりも、既存顧客とのエンゲージメントを高める施策に重きを置くことが大切です。

 

インサイドセールスが向いている人の特徴

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次に、インサイドセールスが向いている人の特徴について解説します。インサイドセールスを導入するにあたって、社内で担当者を選定したり、新たに人材を採用したりする場合もあるでしょう。次に挙げる特徴に当てはまる人は、インサイドセールスの担当者として適性を備えている可能性が高いと考えられます。

 

 

分析力に長けている

インサイドセールスでは顧客管理に役立つツールを活用し、データを元に購買意欲や顧客ニーズを分析することが求められます。対面で直接顧客と話せるフィールドセールスと比べると、分析力がいっそう重視される職種といえるでしょう。

一方で、ツールに頼り切ってしまうのではなく、データに表れている見込み顧客の深層心理を察知できるかどうかも重要なポイントの1つです。ツールを有効活用しつつ、自分の頭でデータを読み解ける人がインサイドセールスの担当者に向いています。

 

 

非対面でのコミュニケーション能力が高い

インサイドセールスは非対面の営業手法のため、テキストベースのやり取りや音声のみでのコミュニケーションが多く発生します。対面でコミュニケーションを取るのが得意な方でも、こうした非対面型のコミュニケーションに苦手意識を抱くケースは少なくありません。非対面でのコミュニケーション能力は、インサイドセールス担当者に求められる資質の1つといえるでしょう。

日頃からメールや電話での応対が安定している人や、レスポンスが速いタイプの人は、インサイドセールス担当者としての適性を備えている可能性があります。通常のコミュニケーション能力だけでなく、非対面でのコミュニケーション能力を考慮することが重要です。

 

 

結果を急がず、粘り強く対応できる

インサイドセールスでは、見込み顧客の購買意欲が高まるまでに長い期間を要することも想定されます。コミュニケーションを重ねても進展が見られず、現状のアプローチ方法が正しいのか不安に感じることもあるでしょう。こうした場面においても物事を長い目で捉え、焦らず粘り強く対応できる人に向いている業務といえます。

結果を急ぐことなく対応するには、インサイドセールスの趣旨や目的を十分に理解し、成約に至るまでのプロセスを把握しておくことが大切です。対面営業との違いを抵抗なく受け入れられるかどうかも、インサイドセールス担当者としての適性にかかわる重要なポイントとなるでしょう。

 

 

タスク処理能力が高い

タスク処理能力が高く、マルチタスクを無理なくこなせるタイプの人はインサイドセールスに向いています。インサイドセールスでは、一人の担当者が多くの見込み顧客を担当するケースがほとんどです。多方面の見込み顧客に同時並行で応対し、相手の状況に合わせてコミュニケーションを図ることが求められます。タスク処理能力は必須の資質の1つといえるでしょう。

対面型営業で優れた成果を収めている人であっても、マルチタスクが得意ではないことは十分に考えられます。1つのことに集中するほうが能力を発揮できるタイプなのか、マルチタスクに長けたタイプなのか、その人の適性を慎重に見極めることが大切です。

 

インサイドセールスが向いていない人の特徴

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どの職種にも人によって向き不向きがあるように、インサイドセールスに向いていないタイプの人もいます。配属後にミスマッチが発覚するのを防ぐためにも、次の特徴に当てはまる人をインサイドセールス部門に配属するのは避けたほうが無難でしょう。

 

 

ヒアリングが苦手

インサイドセールスにおいては、非対面型のコミュニケーションを通して見込み顧客のニーズを引き出す能力が求められます。的確な質問を投げかけ、見込み顧客のニーズを引き出していくヒアリング力は必須の能力といえるでしょう。

ヒアリングが苦手なタイプの人が担当した場合、メールなどの形式的なやり取りに終始してしまい、肝心なニーズを引き出せない可能性があります。非対面であっても相手の状況をイメージし、過不足なくヒアリングが実施できることは、インサイドセールス担当者として重要な能力の1つです。

 

 

丁寧に説明しすぎてしまう

見込み顧客との関係性を長期間にわたって築いていく必要があるインサイドセールスにおいては、1回あたりのコミュニケーションにかけられる時間が限られています。見込み顧客の興味関心が十分に高まっていない状況では、丁寧すぎる説明がかえって逆効果にもなりかねません。あまり興味のないことについて、長々と説明を聞きたい人はいないからです。 

丁寧にじっくりと説明するのが得意な人は、インサイドセールスよりもフィールドセールスやカスタマーサクセスに向いている可能性があります。見込み顧客との接し方や説明の仕方を観察し、インサイドセールスに求められる簡潔な説明が得意かどうかを見極めましょう。

 

 

あきらめが早い

短期的に成果が出ないとあきらめてしまうタイプの人も、フィールドセールスに向いていない可能性があります。現時点で購買意欲が低い相手へのアプローチを早期に断念してしまうと、購買意欲が高まったタイミングで適切なアプローチができません。結果として訴求すべきタイミングを逃してしまいがちです。

短期間で成果を出すことと、長い時間をかけてじっくりと積み上げていくことのどちらにやりがいを感じるかは人によって異なります。一人ひとりの志向性に合わせて適材適所を実現するためにも、仕事に求める成果のスパンに着目するとよいでしょう。

 

まとめ

 

インサイドセールスは近年多くの企業が導入を進めている手法ですが、あらゆる企業や従業員にとっての最適解になるとは限りません。インサイドセールスに適した企業規模、ターゲット市場、製品・サービスの特性を踏まえ、自社に合った手法かどうかを慎重に判断する必要があるでしょう。

 

今回紹介したインサイドセールスの向き不向きを参考に、自社でインサイドセールスを導入すべきか、導入する場合にはどのような人材を配置するべきか、ぜひ多角的な視点から検討してください。必要性を確認した上で導入に踏み切ることで、インサイドセールスの効果を引き出しやすくなるはずです。 

 

 

 

※このコラムは「マーケのカチスジ」で2024月2月1日に公開された記事を移行したものです。

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荒池 和史
WRITER
荒池 和史
新卒でセブン‐イレブン・ジャパンに入社、イー・ガーディアン株式会社で取締役や子会社の代表を経験後、現在はネオマーケティングで事業全体の管掌と新規事業開発に取り組んでいます。

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