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答えがわからないから合意形成必須!他人事を自分事にできるワークショップとは?

ライター:土田 琢磨

公開日:2024年11月15日

カテゴリー:
目次

会社や事業の存在価値、行動指針を定めたMVVMissionVisionValue)。全員が同じ方向を向いて事業を進めるためには非常に重要なものですが、近年はこのMVVをワークショップで決める企業が増えています。従来、このような目標は経営層が決めてトップダウンで示されることが多かったように思いますが、どのような変化が起きているのでしょうか? 今回はワークショップで合意形成し、MVVやその他の重要事項を決めるとどのようなメリットがあるのかについて解説していきます。

MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)とは?

ワークショップで合意形成することのメリットをお話しする前に、MVVについて簡単に確認しておきましょう。このMVVという考え方は、著名な経営学者であったピーター・F・ドラッカーが著書「ネクスト・ソサエティ」の中で重要性を主張したことにより、経営における指針として多く取り上げられるようになりました。MVVが表すミッション(Mission)、ビジョン(Vision)、バリュー(Value)は、使われる場面ごとにさまざまな意味をもちますが、日本語では使命、理念、行動指針などと訳されることが多いようです。MVVは企業経営や事業展開、商品やサービスを企画していく上で、組織の構成員全員が意識すべき目標として示されます。

 

 

ミッション

ミッションは、企業もしくは事業や商品が社会に対して「なすべきこと(使命)」という意味で設定されます。ほとんどの場合、社会に対する宣言であったり高い目標であったりすることが多いため、抽象的になりやすいという特徴があります。前出のピーター・F・ドラッカーは、企業や組織のリーダーがはじめに行うべき仕事をこのミッションの制定だと述べています。

 

 

ビジョン

ビジョンは企業もしくは事業や商品が目指す「あるべき姿(理念・理想像)」を制定します。ビジョンはミッションより具体的で、長期計画や中期計画で実現可能な目標として設定されることもあります。ビジョンはミッションより具体的であるがゆえに、企業や事業を取り巻く状況が変化した場合には適宜変更されることもあります。

 

 

バリュー

バリューはビジョンよりさらに具体的で、企業や組織の構成員が「やるべきこと(行動指針・行動基準)」を表します。ミッションやビジョンを実現するために、組織の構成員が実際にどう行動するのかを設定するのです。このバリューとよく似た概念にはクレド(約束・信条)があります。構成員個々の行動目標ほど詳細ではありませんが、やはり構成員が心掛けるべき信条や行動指針を明文化したものです。

 

先述のように、これらの使命や理念、行動指針は経営層が決めた目標として社内規程などに明記され、トップダウンの目標として運用されてきました。近年では、これらをワークショップで組織の構成員が話し合うことが多くなっています。なぜそのような傾向が顕著になっているのでしょうか?

 

ワークショップは合意形成の場

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ワークショップとは、参加者全員が対話に加わって定められたテーマの回答を決めていく場、もしくは共創を指します。もともとは学校の授業やオリエンテーション、地域の会合などに用いられてきましたが、近年では企業における「合意形成」の場としても定着しつつあります。

 

 

合意形成なしにMVVは進められるのか?

歴史の長い企業や規模の大きい企業などでは、専門の部署が作ったMVVを経営層の承認を得て下達するという形式が比較的多いかもしれません。わざわざコストと時間をかけてMVVを策定するということは、使命や理念が企業運営にとって重要であると経営層が認知している証拠であり、全員の意識を1つにして目標を達成したいという強い意志の表れでもあります。しかしながら、密室で決められた、もしくは誰が決めたかわからない使命や理念を、下達された側は自分事として受け入れることはできるのでしょうか? もちろん会社が決めたことに高い意識をもって取り組み、目標を達成しようとする人もいるとは思われますが、一方、誰かが決めた目標やMVVを他人事と考えてしまう人も少なからずいることでしょう。他人事となってしまった目標や行動指針を、同じ組織の人間と積極的に進めることは非常に難しいことです。目標や行動指針というものは、同じ組織の人間と課題を共有し、自分事になってはじめて進められる(行動につながる)ものなのです。

 

 

寄せられるワークショップへの期待

株式会社ネオマーケティングが提供しているマーケティングリサーチのメニューには、ワークショップの開催が用意されています。自社のマーケティングを進めていく際に、コミュニケーション戦略やブランド戦略、PR戦略などをワークショップで検討の上、策定する場合があるためです。

ワークショップは上記のような戦略策定だけでなく、以下のようなケースにも適用可能です。

 

 

・新しい事業を立ち上げる場合や、既存の事業をリブランディングする場合

新規事業を立ち上げる場合や、既存事業をリブランディングする場合のMVV策定にワークショップを用います。このような複数の人間で進めるべきプロジェクトでは、全員の意思統一や合意形成がプロジェクトの成否はもちろん、進捗の効率にも大きく影響を与えるためです。

 

プロジェクトに横断的にさまざまな人間が関係し、コミット具合が低い場合

新規事業立ち上げのような大きなプロジェクトに限らず、会社内の各部署からさまざまな人が参加するようなプロジェクトでは、その目標を自分事としてとらえる人、他人事のままの人など、コミットメントに濃淡が生じがちです。このような場合はプロジェクトの話し合いをワークショップ形式で進め、全員参加を促すことによりコミットメントの統一を図ることが可能になります。

 

 

・限られた人間でプロジェクトを始めるのではなく、全員を巻き込んだ形でスタートしたい場合

限られた人間である程度フレームを決め、細かい施策策定だけをメンバーに任せるプロジェクトは、一見効率的に見えるかもしれません。しかし、プロジェクトの根幹の部分に納得できていないメンバーがいれば、やはり全員参加の効果は望めません。このような場合にも、全員を巻き込んだ形でプロジェクトをスタートできるワークショップが有効な手段となります。

 

 

ワークショップの進め方

ワークショップはその目的によって進め方が変わりますが、今回のようにMVVを決めるのであれば、まずは参加者が意見を出しやすい環境を作ることが大切です。ブレーンストーミングの鉄則と同じように、参加者の意見や考え方を批判するような姿勢、また意見を言い難い環境などは避けなければなりません。参加者全員がフラットな立場で、何でも言える環境がワークショップには不可欠なのです。

ワークショップには経営層や上長が参加する場合もありますが、その場合にはオブザーバー(議決する権利はないが、参加できる人。もしくは傍聴者)のような立場で参加することが望ましいといえるでしょう。ワークショップは、バイアスがかからない環境整備と全員で作り上げていく意識を参加者にもってもらうことが最も重要です。

 

ワークショップのメリット

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では最後に、ワークショップのメリットを整理しておきましょう。

 

 

決議事項に全員が共感できる

限られた人しか知らない経緯や、知らない場所で決められた事柄に、人はなかなか共感することができません。決められた内容に少しでも納得できないことがあれば、悪意はなくとも「いったい誰がそう決めたのか」となってしまいます。ワークショップであれば、はじめから全員が参加して意見交換をするので、決議事項に全員が共感できます。

 

 

決議事項を全員で推進できる

誰かが決めたことはあくまで他人事ですが、全員で決めたことであればそれは自分事になります。ワークショップであれば、合意後それぞれの持ち場に戻っても、同じ意識で決議事項を推進できることでしょう。

 

 

答えがわからないときこそ効果を発揮する

ワークショップは、答えがわからないことを論議する場合に大きな効果を発揮します。答えがわからないからこそ全員で考え、全員が納得する答えを導き出すことが必要なのです。ワークショップは、合意形成のための最も有効な手段なのです。

 

まとめ

 

企業経営や事業展開においてそれぞれが独自の解釈や手法でビジネスを進めると、頻繁に方向修正や手戻りが発生し、ビジネスそのものの効率が低下してしまいます。このような事態を防ぐためには、ビジネスが始まる前に、またはターニングポイントごとにメンバー間の合意形成が必要です。ビジネスやマーケティングを効率的に進めるために、合意形成に最適なワークショップをぜひご活用ください。

 

 

 

※このコラムは「マーケのカチスジ」で2024月6月13日に公開された記事を移行したものです。

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土田 琢磨
WRITER
土田 琢磨
コピーライターとしてキャリアをスタートし、国内広告会社にてクリエイティブ部門責任者・シニアクリエイティブディレクターを務めた。主に、広告クリエイティブのディレクション・コピーライティング・CMプランニングを担当。医薬品・新聞社・官公庁・教育・家電などのクライアントワークに携わる。

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